topimage

    2017-05

    スポンサーサイト - --.--.-- --

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    科学の活用と誤用(1) C.P.と福島原発事故 - 2011.04.13 Wed

    東京電力福島第1原子力発電所の事故が国際的な事故評価尺度(INES)で最悪の「レベル7(深刻な事故)」に評価替えされて1日がたちました。平静を装う日本政府をよそに、海外からは日本に対する不信の津波が次第に波高を増しています。今後はその不信が不安となり、根拠のない日本製品ボイコットなどに広がっていくおそれさえあります。一方、国内では、政府やマスコミに対する不信から扇情的な一部ジャーナリストを信仰する人々がネット上で右往左往の傾向を強めています。

    ●原子力安全委は他人事

    その責任は第一義的に、日本政府・東電はじめ原子力の安全に携わってきた関係者に帰せられます。国民が「安全のための機関」と思っていた原子力安全委員会からは「3月23日の時点で、放射性物質の放出量がレベル7相当と認識していた」という発言が飛び出しました。しかし、そのとき原子力安全委は何のアクションもとりませんでした。「INESの評価は原子力安全保安院の仕事」。おまけに「レベルが上がっても事故対応が変わるわけではない」からだそうです。なんと他人事です。

    fukushima 

    ●レベル7評価に逆批判も

    原子力安全保安院は「放射性物質の総放出量はチェルノブイリの10分の1」と説明します。また、菅直人首相は12日夕の会見で「放射性物質の放出は少なくなってきている」と強調しました。一方、ロシアからは「健康への影響から判断すればレベル4にも届かない」(ロシア科学アカデミー原子力エネルギー安全発展問題研究所のアルチュニャン副所長)という”逆批判”さえ出ています。

    ●「安定」の根拠は?

    石棺 

    どうやら、外部からの放水作業が始まった3月の3連休当時までに現在までの累積放出量の大半が放出されて、その後は最高の放出時に比べるとはるかに少量の放出がだらだらと続いているのが実態のようです。安全委の試算では、3月15日のピーク時に比べると、現在の放出量はその1万分の1程度とされます。これはこれで、「評価替え」の遅れ批判の強力な根拠になるのですが、その一方で将来への見通しについて、政府・東電は少々楽観的なのではないかとの懸念が残ります。「レベル7ではあるが、チェルノブイリとは違う」という見方の根拠は「原子炉が爆発したわけではない」「放射能による直接の死者は出ていない」「現在の放出量は少量」「封じ込めの対策が今後進展する」ことです。しかし、これはとりもなおさず、放射性物質を閉じ込める原子炉格納容器が壊れたり、給水機能がストップしたりすれば、根拠が失われます。そして、福島第1原発には、チェルノブイリの1基とは比べものにならない大量の核燃料がまだあるのです。

    ●C.P.といってもコスト・パフォーマンスではありません

    大学時代に習ったあるラテン語の単語を思い出します。セテリス・パリブス(ceteris paribus)。略して「C.P.」です。ミクロ経済学で、一定の経済変数の影響を扱う場合、他の変数の値はすべて一定であると仮定します。つまり、「ほかの条件が一定なら」というのが「C.P.」の意味です。まさに、福島原発の放射性物質の放出の今後についての政府見通しにこれは当てはまります。

    ダビンチ 

    ●科学的手法には大事なC.P. されど現実は

    学問の世界では、「C.P.」はとても大事です。自然科学にしても、社会科学にしても、実際の事象は気が遠くなるほど多種多様な変数によって左右されます。しかし、それ全体を操作して事象を科学的手法で分析するのは不可能ですから、「C.P.」を使うのです。大学時代の近代経済学の先生は「C.P.」を教えてくれたとき、「学問と現実は違うんですよ」ということを強調していました。

    ●科学的手法の野望

    さはさりながら、自然科学で実験や科学的推論が成り立ちうるのは、「C.P.」のおかげです。また、「C.P.」の状態を作り出すことに実験は最大の精力を注ぎます。完璧な「C.P.」の状態を作り出すことに成功すれば、仮説の正否を知るのはそうむずかしいことではありません。私の大学時代には計量経済学が華々しい成果をあげつつありました。「C.P.」とコンピューターを使った成果でした。政治学でも計量的手法をとりいれようというのがはやりでした。理系の同級生の中には「将来、遺伝子解析が進めば、貧困や差別も解決できるのよ」と夢見る女子学生もいました。

    dna 

     ●計量政治学の挫折

    綾小路きみまろさんではありませんが、「あれから40年」。最近では、計量政治学ということばはほとんど聞きません。政治学の入門書では数式の影が薄くなりました。政治学では個人個人の心が一番重要な変数です。「人生いろいろ」ですから、それに計量的手法を応用するのや、「C.P.」の状態を作り出すのは困難なのです。当時鳴り物入りで自然科学系から政治学の分野に参入してきた学者もいましたが、結局は突拍子もない議論が少なくありませんでした

    スパコン
    スーパーコンピューターはすべてを解決するか?

    ●リーダーはC.P.の限界わきまえる必要

    原発事故については、「C.P.」の限界を踏まえたリーダーシップが必要なのです。でも、「おれは原子力に強い」という理系の菅首相は危うい限りです。まさに、論語にいう「学而不思則罔、思而不学則殆」=学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)=の感があります。

    ●理系偏重の弊害

    戦後の日本には「理系偏重」の傾向が色濃くあります。「数学ができないとお医者さんになれない」というのはその1つの負の結果です。経済学の分野でもそれは見られます。最近の1つの例は、古くは景気回復、新しくは大震災復興のツールとしての「赤字国債の日銀引き受け」あるいは「政府紙幣の発行」です。反対論者は「これに手を出せば、際限がなくなり、超インフレを引き起こしかねない」と主張します。一方、推進論者は「インフレなど起きない」と反論します。

    ●国債日銀引き受けの論法

    日銀 
    日銀本店

    日銀による引き受けの限度、あるいは政府紙幣の発行限度を守れれば、効果はあるかもしれません。しかし、賛成論者にとって、これは「C.P.」です。固定されてしまった変数です。要するに考慮しないのです。それ以外の条件だけ考えて「効果的」と主張します。

    ●C.P.で見落とされるもの

    しかし、国民経済を勝手な「C.P.」で左右されてはかないません。これには先例があります。日本では赤字国債発行は財政法で禁じられていますが、現実には莫大な量の赤字国債が累積しました。なぜでしょうか? 皮肉なことに赤字国債発行に踏み切ったのは、財政均衡論者であった故福田赳夫首相でした。当時私は駆け出しの首相番記者でした。福田さんは限度=出口戦略を考えていました。しかし、「天の声にも時には変な声」で、福田さんは権力から追われました。その後の田中角栄亜流政権の日本は際限のない赤字国債垂れ流しを続けました。「政治家は安易な財源調達に走るものだ」という一番重要な前提を考慮に入れなかった結果です。

    菅直人 

    ●いまC.P.の罠は何?

    さて、原発事故対策に振り回される政府・関係者が「C.P.」の罠に落ちて見落としている重要な条件は何なのでしょうか? 「日本の二大リスクは原発事故と菅直人」という警句を演繹すると、菅さんが政権に居座り続けていることが、それかもしれません。





     

    裏目に出た大震災1ヶ月 危機に浮遊する菅ニッポン - 2011.04.12 Tue

    昨日午後、中東問題研究会のあと東京・日比谷の日本記者クラブでオールド・ジャーナリストたちと雑談をしていると、携帯にメールが入りました。「きょう11日、ここ数日間と比べて東北や長野で細かい地震がかなり頻発中。要注意」。メールの送り主のネタもとは、先月11日の東日本大震災の直前にも警告を発していた人です。しばし、雑談ののち「お気を召されよ。ご同輩」と帰宅の途につきました。1時間後、自宅最寄り駅に電車が滑り込もうとしているとき、乗客の携帯が一斉に鳴りはじめました。「緊急停車します」というアナウンスとともに、電車は平常通りホームに停止しました。

    ●久しぶりに地震速報装置が活躍

    警報装置 

    帰宅してみると、テレビは福島県の震度6弱を中心とする地震のニュースを伝えていました。昨夜からけさにかけてさらに地震は頻発し、しばらく鳴りを潜めていた我が家の緊急地震速報装置(写真上)が頻繁に警告を発しました。これはケーブルテレビiTSCOMの付帯サービスですが、家人によると、3月11日の本震のときは「4分前」に警告を発しました。火の元をとめ、家の玄関にいた飼い犬コタロウを庭のケージに戻し、と十分に準備の時間を与えてくれたすぐれものです。気象庁のホームページを見ると、午後5時すぎのM7.1の地震の前に、たしかにここ1週間ほどには無かったほどの地震の回数が記録されていました。

    ●地震発生回数はね上がる

    気象庁のHPによると、震度3以上の地震は結局11日には41回です。そしてきょう12日午前中は27回と前日よりハイペースでした。ネットを検索すると、「東北地方太平洋沖地震発生前後の地震発生回数の推移グラフ」がありました。日本気象協会のデータ(気象庁HPとは異なり、震度2以上)をもとに10分に1回更新される丁寧なものです。それを見ると、3月11日、12日以降漸減傾向だった地震発生回数が4月11日、12日には特異に突出しています

    chart  
    ●余震か、新たな本震か、はたまたその予兆か

    一般的に大地震のあと、地震発生回数を累計回数でグラフにすると、日数が経過するにしたがってグラフの勾配はゼロに近づきます。最近の大地震ではほとんどが1ヶ月以内に「0」に近づいたのですが、先週テレビ朝日「スーパーJチャンネル」に出演した元気象庁長官によると、東日本大震災の場合は、累計回数が他とは比べものにならないほど多いだけでなく、4週間たってもグラフの勾配は「0」になっていませんでした。余震が収まっていないのか、それとも新たな本震あるいは新たな本震の予兆なのか。それはわかりません。一般に、大地震の最大余震は本震よりもマグニチュード値として「1」ほど低いものとされています。東日本大震災の本震のモーメント・マグニチュード(Mw)は9.0です。発展途上の学問である地震学では、残念なことに、昨日の地震がどういう意味を持つのかは、推測しかできないのです。12日午後2時すぎには、福島県浜通りと茨城県北部で震度6弱の地震(M6.3)がありました。

    ●福島原発事故は最悪の「レベル7」に

    1夜明けた朝のNHKニュースは「原発事故評価 最悪のレベル7へ」いう特ダネを報じました。そして、午前11時すぎ、経済産業省の原子力安全保安院は、東京電力福島第1原子力発電所から広い範囲で人の健康や環境に影響を及ぼす大量の放射性物質が放出されているとして、国際的な基準に基づく事故の評価(INES)を、これまでの「レベル5」から最悪の「レベル7」に引き上げることを発表しました。「レベル7」は、旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故と同じ評価です。これまで、日本では奇妙な自己満足の空気がありました。「いくらなんでも、あの旧ソ連のようなことにはならない」というものです。たしかに運転中の原子炉が爆発したチェルノブイリと違い、日本のケースは、だらだらと放射性物質の放出が続く結果、「累積値」がレベル7の下限を超えたということです。

    チェルノブイリ  fukushima 
    チェルノブイリ原発                 fukushima(3月18日)

    ●「5」から「7」になった原因は?

    レベル7

    しかし、指摘しなければならないのは、「なぜ、そうなったか?」です。それぞれの時点での原子力安全保安院の評価「レベル5」「レベル7」が正当だと仮定するなら、「レベル7」に至ったのは事後の対策の失敗の結果だと考えることができます。そして、今後も効果的な封じ込め策に成功しなければ、だらだらと放射性物質の累積放出量も増え続け、やがてチェルノブイリ・レベルに近づくということも「想定外」とはいえなくなるかもしれません。津波直撃後の初動のどこに誤りがあり、だれが責任を負うべきかは継続的に検証しなければならないでしょう。

    ●1ヶ月という発想の陳腐さ


    菅直人政権は11日、「東日本大震災復興構想会議」の新設を決めました。政府は11日、米ウォール・ストリート・ジャーナル、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン、英フィナンシャル・タイムズ、仏フィガロ、中国の人民日報、韓国の朝鮮日報、露コメルサントで、6か国計7紙に支援を感謝する意見広告「絆」を掲載しました。11日夕方には、菅首相の記者会見が予定されていました。10日投開票の統一地方選で明確に示された「政府・与党への不信」を相対化するねらいもあったでしょう。選挙での敗北は想定内だったからです。つまり、「大震災1ヶ月」を、政権への内外からの逆風を食い止める足がかりにしようともくろんでいたことがありありです。しかし、自然現象、物理学的反応に人間世界の「1ヶ月」という枠組みを当てはめようとういう発想はなんとも陳腐です。意味のあることなら、もっと早くやっていればよいのです。

    kizuna  

    ●もくろみは裏目に?

    菅首相の会見は夕方の大地震でキャンセルに追い込まれました。「東日本大震災復興構想会議」のメンバーをみれば、よくて官僚機構のお膳立てを追認するぐらいのことしかできないでしょう。だったら、政府が直接官僚機構を効果的に使うことに専念した方が賢明です。松原聡・東洋大学教授は「無用の長物。安倍内閣の『教育再生会議」』のように、総理交代とともに事実上の機能停止するだろうけど・・」とツィートしています。また、「レベル7」への評価変更によって、世界の目はさらに厳しくなってくるでしょう。竹田圭吾ニューズウィーク日本版編集主幹は12日午後「アルジャジーラもBBCもワシントンポストもNY TImesもサイトの一面トップが『フクシマ、最高レベルに』『日本の事故、チェルノブイリ級に』に切り替わった」とツィートしています。

    ●もう、XX心は捨ててください

    菅直人

    振り返ってみると、菅政権は大震災の前から危機に見舞われ続けました。そこで特徴的なのは次から次へと襲う危機の波高が前のものより高くなっていることです。そして、政権にしがみつく一心の菅首相は危機の波頭を浮遊しているようなものです。朝日新聞の12日の社説は「危機克服に一刻の猶予もならない時だからという理由だけで、辛うじて政権の継続が黙認されている。もはやそこまで追い詰められていると、首相と民主党は自覚するべきである」と指摘しています。下品なことばですが、もう「助平心」を捨てて一生懸命仕事をして「結果」を出すか、辞任するかの瀬戸際です。もう、次の危機を経験するのはいやですし、まして、それが民主党政権に起因するものだとしたらとんでもありません。


     

    危機管理と情報公開 イスラエルの小さな話 - 2011.04.11 Mon

    きょう11日は東日本大震災から1ヶ月です。東京電力福島第1原子力発電所の状況は依然として予断を許しません。巨大津波の被災地の東北地方はいまだ復興が緒に就いたとはいえない状況です。きょう午後7時からのTV朝日の「たけしのTVタックル」は大震災後初めてのオンエアです。「あの大震災から1ヶ月…どうする!?復興&原発危機管理!」がタイトルで、私も出演していますのでぜひごらんください。

    ●心和む光景をどうぞ

    この1ヶ月、被災者の方々はいうまでもなく、直接の被災地以外の日本中が暗い気持ちにとらわれてきました。自粛するつもりがなくても、いまを盛りと咲き誇るサクラを楽しむ気持ちもなかなかうまれてきません。そこで、ブログのタイトル画像を変えてみました。草花に覆われた静かな内庭です。時にはレモンの実が枝から落ちる瞬間を味わうことさえできる、心を落ち着かせてくれる場所です。私の経験でももっとも落ち着く時間を与えてくれたこの光景は、イスラエル占領地東エルサレムにある歴史あるホテルの内庭です。その名はアメリカン・コロニー・ホテル。アメリカ(米国)、コロニー(植民地)と聞いて眉をしかめる方は早計です。このホテルの歴史を知れば、それは誤解だということはわかります。

    朝食 
    内庭での朝食
     
    ●パレスチナ紛争の焦点に位置するホテル

     いまは、スイスのホテル・チェーンが経営していますが、もともとはアメリカ人とスウェーデン人の巡礼の家族がここに定着し、キリスト教徒の巡礼のお世話をし、パレスチナ人とユダヤ人のために授産施設を運営するためにパレスチナ人の大金持ちが4人の奥さんのために建てた邸宅を買い取ったものです。2つの家族はそれをホテルにしました。

    創立者american-colony
    創立者の家族

    従業員はすべてキリスト教徒のパレスチナ人です。その中立性から、中東戦争当時も休戦交渉の場として使用されました。このため、西側のジャーナリストはここを取材拠点としてきました。私も朝日新聞の中東特派員だったころ、パレスチナ、イスラエル双方へのアクセスが便利なここに宿泊して取材対象と連絡をとったものです。また殺伐とした占領地取材からもどったとき、この内庭でトルコ・コーヒーやイスラエルのビールを飲みながら、心を休めました。その後、ウィーン、ボンの特派員になったときも、出張でこのホテルを利用するだけでなく、冬休みの家族旅行で訪れました。当時は、料金もいまの4分の1から5分の1でしたが、最近はちょっと手が出ないほど高くなってしまいました。さて、きょうはパレスチナ、イスラエル取材の経験の中から、いま日本で課題になっている「危機管理」に関する小さなお話です。

    ●「危機管理」とイスラエル

     「危機管理」という点でイスラエルほど、切実な経験をし、またノウハウを積んでいる国はほかにないと思います。西暦紀元直後、ローマ帝国によってエルサレムを追われたユダヤ人は世界中に離散(ディアスポラ)しました。ヨーロッパだけでなく、その末裔は南アフリカ、中国まで散り散りになりました。キリスト教社会では迫害、ポグロム(殺戮・略奪・破壊)の辛酸をなめました。

    holocaust

    そして20世紀に入り、ユダヤ人最大の苦難ホロコーストを経験したのち、第二次世界大戦後にようやく先祖の地に戻り、自分たちの国を建国しました。しかし、まわりをアラブ諸国に囲まれ、4度の中東戦争を経ても、国の存立は常に危機にさらされています。その「危機管理」は「疑念」を根本にしています。イスラエル女性と結婚してイスラエルに住んでいた知り合いの日本人(故人)はよく「疑り深い人たちですから」と弁解したものです。民族の歴史からは無理からぬところです。「水と安全はただ」と思ってきた日本人とは対極的です。

    ●24時間以内の総動員態勢

      
    イスラエルは小さな国です。地中海からエルサレムのあるジュデア丘陵、そしてそこから東に標高差1000メートル急に落ち込んだヨルダン川渓谷を経て、ヨルダンまで。東西は一番離れた地点間でも135km。車での走行時間は、西の地中海から東の死海までならば90分ほどしかかかりません。シリア、ヨルダンなどの機甲師団が侵入して、ひとたびジュデア丘陵への進出を許せば、地中海まで一瀉千里です。

    israel指導者
    イスラエルの隣国             イスラエルを敵視する指導者たち

    このため、イスラエルの危機管理の根本は2つ。「早期警戒によって敵の動向を知り、ジュデア丘陵を登る4本しかない道路で敵の機甲師団を阻止する」「予備役を召集し、24時間の間に総動員態勢をとる」ことです。「24時間内の総動員態勢」というのはかんたんではありません。東日本大震災で予備自衛官を召集するまで5日かかったことでも、それはわかります。国民皆兵のイスラエルは男女ともに兵役がありますし、兵役を終えたのちでも予備役に編入され、中年になるまで、毎年訓練のために召集されます。そうであっても、24時間で総動員態勢をとるのは簡単ではありません。

    IDF 
    女性兵士も総動員対象

    ●「おもしろく、真実に迫る軍放送」は危機管理に必要

    20年前、イスラエル軍の取材をしていたとき、興味深い話を聞きました。イスラエルには、ラジオの「イスラエル軍放送」があります。といっても、愛国精神を鼓舞する番組だけをやっているわけではありません。イスラエル軍放送のディスク・ジョッキーはその内容のおもしろさで人気が高いのです。そして軍放送のニュース番組はときに、政府高官や軍幹部の汚職や不正を暴きます。「なぜですか?」と尋ねた私に軍スポークスマンは、「24時間で総動員態勢をとるためには、国家危急の事態をできるだけ早く国民に知らせるのが軍放送の使命です。そのためには、常に国民に軍放送を聞いてもらうわなければなりません。魅力ある番組、真実を伝えるニュースを常に伝えるという定評を得ていなければ聞いてもらえません」。同時にイスラエルはシビリアンコントロールの徹底した民主主義国家です。

    IDF_Radio 
    イスラエル軍放送のスポーツ・レポーター

    ●危機管理には正確な情報公開が必要

    「なるほど」と思いました。東日本大震災後の、政府による国民への情報公開へ批判が集中しています。それはマスコミ報道への不満となって広がっています。こうした批判、不満がより正確で必要な情報公開につながるならよいのですが、「どうせ、たいしたことはない」と高をくくる人々から、「大変だ。大変だ」と煽られてパニックに近い人たちまでを押しなべると、巨大地震から1ヶ月たって全体としては情報摂取への意欲が減退しているように見えます。その一因は「不信」です。日本は憲法の前文にもあるように「平和」を前提とした国家です。幸い外敵の侵入こそありませんでしたが、東日本大震災は、その日本にも「有事」=大災害があることを思い知らせました。そして、その「有事」に国民の力を結集することに関して、政治のリーダーシップ、原発の安全対策から国民生活の端々に至るまで、「危機管理」に穴がいっぱいあいていたことがわかりました。そして、その根底には「情報公開」の欠陥があります。私たちが再建の道を歩むためには「危機管理」「情報公開」のあり方を正していかなくてはならないでしょう

    edano 

    ほんのわずかでも心を休めることができれば、と思ってブログの画像を変えてみたのですが、やはり「現在」からは逃れられませんでした。早く心和むような話をおつたえできるようになることを願っています。
     




    大震災に先人は何を思う 後藤新平と安田善次郎 - 2011.04.07 Thu

    東京では6日、サクラが満開になりました。日比谷公園のサクラも咲き誇っていますが、時節柄、その美しさを楽しむ余裕のある人は例年のように多くはありません。

    日比谷のサクラ 

    ●歴史のえにし

    取材の途中、日比谷公園界隈を歩くうち、あることに気づきました。単なる偶然ではありますが、この春、日本を不安に陥れた2つのtoo big to fail(大きすぎてつぶせない)企業の東京電力とみずほ銀行の本店が東京・内幸町の隣組だということです。そしてもう1つは、みずほ銀行本店、東電本店と日比谷通りをはさんで向かいに日比谷公会堂があることです。ここには歴史の縁(えにし)があります。

    日比谷 
    左から市政会館(日比谷公会堂)、みずほ銀行本店(超高層ビル)、その右の低いビルが東電本店

    ●後藤新平と安田善次郎

    日比谷公会堂は上野の東京文化会館ホールができるまで、東京で唯一の本格的コンサートホールでした。1929年に開館した日比谷公会堂は、東京市長でもあり、中立な市政のための調査機関の必要性を訴えていた後藤新平の主張に銀行家安田善次郎が共鳴、当時としては巨額の350万円の寄附を得て、「市政調査会(市政会館)」およびそれに併設する公会堂として計画されました(wikipedia)。東日本大震災後、関東大震災からの復興に尽力した後藤新平の名が再び思い出されましたが、その気宇、計画の規模の大きさから「大風呂敷」とあだ名された後藤新平を理解し、資金面で支えていたのが安田善次郎でした。

    後藤新平安田善次郎  
      後藤新平     安田善次郎

    4月5日付の産経新聞の1面コラム「産経抄」は震災からの復興と2人の関係をとりあげています。(以下引用)

    ●「産経抄」

     ソフトバンクの孫正義社長(53)が、東日本大震災の被災者のために、個人で100億円を寄付するとの発表には、仰天した。経済界からは、すでに「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(62)や楽天の三木谷浩史会長兼社長(46)らが、10億円の寄付を表明している。
     ▼彼らに匹敵するような太っ腹な実業家といえば、明治から大正にかけて、数多くの破綻銀行を救い、銀行王と呼ばれた安田善次郎が思い浮かぶ。東京大学の象徴ともいえる大講堂の建設費用を寄付して、「東大安田講堂」にその名を残している。寄付した100万円は、現在では約4億円に当たるという。
     ▼もっとも安田は、原則として寄付を匿名で行っており、生前は知られていない。それどころか、納得のできない寄付の申し入れにはたとえ少額でも拒否したから、世間では「吝嗇(りんしょく)家」の悪評が広がっていた。
     ▼大正10年に神奈川・大磯の別荘を訪ねてきた男の凶刃に倒れ、82年の生涯を終えたとき、犯人が英雄扱いされたほどだ。一方、安田の訃報を聞いて、「しまった」と口走ったのが、東京市長の後藤新平だった。
     ▼安田は、後藤の「東京改造」計画に賛同して、当時の国家予算のほぼ半分に当たる8億円の支援を約束していた。その東京が2年後、関東大震災によって壊滅的打撃を受ける。復興のために後藤が立てた案が大幅に縮小される話を、2週間前に書いた。「安田がいてくれたら」と何度も悔やんだことだろう。
     ▼被災地となった、東北地方太平洋岸の復興には、気が遠くなりそうな時間と資金が必要だ。「平成の安田善次郎」がいることはわかった。後は「平成の後藤新平」の出現を待つばかりだ。

     (引用終わり)

    ●京浜工業地帯と安田善次郎

    安田講堂 
    東大安田講堂

    東大の著名教授が政治学の講義で「顕示的消費」(売名のためにお金を出すこと)の例として安田善次郎と安田講堂をあげたのを聞いたことがあります。当時は「そんなものかな」と思ったのですが、後になって「産経抄」にあるように安田が当初匿名を条件に寄付し、暗殺後、顕彰のために名前を冠したということを知りました(wikipedia)。安田はまた、浅野聡一郎が立案した東京湾築港計画を支援しました。東京から横浜にかけての臨海工業地帯を創設しようという計画のあまりの規模の大きさに神奈川県すら二の足を踏んだ事業でした。いま、この2人はJR鶴見線の安善駅浅野駅に名前を残していますが、浅野もまた安田善次郎の非業の死を悔やんだ1人です。

    浅野総一郎 
    浅野総一郎

    ●庶民を大事にした銀行王

    幕末維新のころ、富山から江戸に出てきて、日本橋小舟町の道に戸板を敷いて両替商をはじめたという伝説の残る安田善次郎は一方で庶民の顧客を大事にする銀行家でした。巨大財閥系の銀行がお金持ちしか相手にしなかったころ、安田の経営する銀行は1銭の預金も喜んで受け入れたそうです。安田銀行は戦後富士銀行と名を変え、その後みずほ銀行になります。そのみずほ銀行は度重なるシステム不全で庶民の経済活動に不安を与えました

    ●求められる先人の構想力

    ホール 
    日比谷公会堂のホール(楕円形がレリーフ)

    日比谷公会堂のホールには、後藤と安田の肖像のレリーフが飾られています。東日本大震災と東電原発事故に対し、事態鎮静化と復興に向けた構想力を示せないでいる政府、そして日比谷通りをはさんで向かい合う巨大企業、東電とみずほ銀行のていたらく。いま日本に必要なのは未来に向けた構想力です。図抜けた構想力を持っていた後藤新平と安田善次郎はどう思っているでしょうか。
     




    リスクは「収束」より「拡散」 福島原発事故 - 2011.04.06 Wed

    東京電力福島第1原子力発電所の地元、福島県双葉地方市町村組合の町村長らは5日、首相官邸に菅直人首相を訪ねたあと、日本記者クラブで記者会見しました。恒例のゴールデンブック記帳で、遠藤雄幸川内村長は「必ず戻る!」と書きました。家を捨てて避難している人々の魂の叫びです。その一方で、4月2日に汚染水が流れ込んでいる2号機の取水口付近で採取された水から、ヨウ素131が1ml当たり30万ベクレルと、国の基準の750万倍という極めて高い濃度で検出されたことが明らかになりました。タービン建屋からあふれ出した汚染水の阻止のためには水ガラスの使用なども検討されているようですが、依然として、外界への放射性物質の放出は目に見えて減る状態にはなっていません

    必ず 

    ●希釈原理で安心できるのか

    高校の数学で「収束」と「拡散」という概念を学んだような記憶があります。原子炉や使用済み燃料プールの状態と環境への汚染物質の放出までを含め、原発事故総体を1つの系と考えるとリスクは「収束」というよりは「拡散」の方向に進んでいるようです。海への汚染水放出について、政府・東電は「希釈原理が働いて、害はない」と説明してきました。しかし、5日夜のNHKニュースウォッチ9に出演した東京海洋大学の石丸隆教授は750万倍という数字について、海洋生物の食物連鎖による濃縮を考えると、希釈されるから大丈夫といえるだろうかと述べました。「希釈原理」ということばは60歳以上の方には記憶があると思います。チッソによる水俣病をはじめとする公害が問題になった40年ほど前、政府、専門家、企業は必ずこの「希釈原理」を持ち出したものです。結果はご存じの通りでした。

    水俣病 

    ●汚染は累積する

    放射性物質の放出が止まらないことで心配されるのは、「汚染物質の累積」です。これは海洋はもちろんですが、陸地ではより深刻です。数日前にこういうニュースがありました。「原発の近くに津波で亡くなった遺体が数百から1千あるが、被曝しているため危険で回収できない」というものです。日々の空中の汚染物質の量が小さくてもそれは地上で地中で累積していきます。そして陸地では希釈原理は働きません。ドイツの知人Aさんが「欧州どまんなか」で指摘しているポイントはここにあります。

    朝日新聞
    5日

    ●水による冷却では間に合わない?

    双葉地方の町村長らの会見に先立ち、日本記者クラブでは、環境エネルギー研究所の飯田哲也さんの記者会見がありました。飯田さんは「政府・東電の対策は後手後手に回っているだけでなく、新たに出てくる事象はより深刻になっている」と指摘しました。まさに「収束」より「拡散」との現状認識です。人間による精密な工事が必要な「水による冷却」は汚染の放出がとまらない以上見通しがなさそうだということを前提に、ロボットを工事に使う「石棺方式」による出口戦略を提起しました。

    ●チェルノブイリ型でない石棺の必要性

    石棺 
    チェルノブイリ型石棺はできない

    これまでは、廃炉を可能にする道として、水によって冷温停止の状態を実現したうえで、人間が工事をしてコンクリートで石棺化することが想定されていました。チェルノブイリ型の解決です。しかし、飯田さんの出口戦略はこれはもはや不可能という認識にもとづいています。未だに膨大な崩壊熱を持つ福島第1原発では、チェルノブイリと同じコンクリートの石棺処理はとれないとし、そのうえで飯田さんは具体的な方法としてロボットによる「除熱も可能な石棺化(スズあるいは、砂まじりのスラリーを使用)を早期に研究開発する必要がある」と述べました。これは、かつてどこにも知見のない措置であり、国際研究開発実証チームでモックアップを作って、何とか実現可能な方法を突き止めなければならないということです。そして、「現実的かどうかもわからないが、マクロな立場から見て、それしかないのではないか」とも説明しました。「日本の原子力研究者、研究機関ではもはや手に負えない状態」で、炉心解体のノウハウなどを持つ海外の機関の全面協力が必要ということのようです。

    ●被災者の望みは実現できるか?

    町村長 
    「必ず戻る!」と訴える町村長さんたち

    リスクが「収束」より「拡散」に向かっているようでは、海洋、地上、地下水の汚染は累積していきます。「必ず戻る!」という被災者の望みは次第に遠のいてしまうのではないでしょうか。それはどれほどの広さの土地が使えなくなるのかの問題であり、さらにはその広さは、今後の対策のありようによっても流動的ということになりそうです。誰が戻れ、誰が戻れないかの問題でもあります。日本の原発にかかわってきた人々の「無策無能無責任」(飯田さん)を改めて痛感するしかないのです。
     




    フクシマから安全のノウハウを  東電原発事故 - 2011.04.05 Tue

    新年度初の教授会のために、東京・市ヶ谷の大学に行きました。外濠ぞいのサクラが咲き始め、おだやかな日差しの中で、人間たちの混乱をよそに、自然界には春が訪れています。朝日新聞(4日朝刊)によると、全国の「大学110校超が始業日延期 交通事情・計画停電を考慮」ということです。私の大学も新学期の授業開始はゴールデンウィーク明けの5月6日になりました。恒例の入学式は中止され、せっかく入学が決まった新1年生はとまどっていることと思います。しかし、災いを福に転じることができるなら、ことしの新大学生はまたとない動機づけを与えられているともいえます。

    桜 
    外濠のサクラ 背景は法政大学ボアソナードタワー

    ●未来へ向けた国作りを担う若者

    私の所属する法学部は国家と法律、政治のあり方を学ぶ学部です。近年の学生たちは「自分たちが何を学ぶのか」という認識や動機付けが希薄になっていました。しかし、人々の安全や暮らしは、政治や国家のあり方に大きく左右されることを今回の東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故は再認識させたはずです。いま日本は戦後65年の国作りを点検し、未来に向けての国作りをスタートさせなければなりません。そして、その原動力になるのは若者たちです。教師は若者たちを育てるという大事な役割を再認識して、性根をすえてそれにとりくむ必要があります。

    ●日本は援助・支援を受ける立場に

    教授会とそれに先立つ学科会議、そしてその周辺で私たちは多くのことを話し合いました。その中で1つだけ、ここでご紹介したいと思います。それは国際貢献です。日本は経済大国としての地歩を固めて以来、政府開発援助(ODA)などで発展途上国に援助の手をさしのべてきました。そして、今回日本は諸外国の援助や支援を受ける立場になりました。「モンゴルで公務員に1日分の給与を拠出する動きが出た」「台湾での義援金が100億円を超えた」あるいは「アメリカが震災直後に空母ロナルド・レーガンを派遣した」というニュースを心強く感じたものです。

    reagan  
    米空母ロナルド・レーガンを訪れ、米軍の支援に謝意を表する北沢俊美防衛相

    ●原発事故の経験から国際貢献の道を

    しかし、今後日本からのこれまでのかたちでの援助(お金)は否応なく減少せざるを得ないでしょう。原発事故対策、復興には20兆円にのぼるお金が必要だといわれているからです。こんな話をしているとき、国連での長い経験を持つA教授がこういわれました。「大震災+原発事故の経験から国際貢献の道をさぐることも可能だ」。たしかに、そうです。私たちはいま未曾有の災厄にあえいでいます。でも、この災厄から抜け出すことに成功するなら、そのノウハウは世界に役立つでしょう。遠い将来、脱原発のクリーンエネルギー利用に成功するにしても、日本はもとより世界の多くの国々は、現存する原発をただちに廃止することはできそうにありません読売新聞が3日公表した世論調査結果によりますと、「今後、国内の原子力発電所をどうすべきか」という質問に対し、もっとも多かった回答は「現状維持」の46%でした。以下「減らすべきだ」29%、「すべてなくすべきだ」12%、「増やすべきだ」10%でした。

    3号機 

    ●人々は求めるのは「安全」

    おそらく世界でも、こうした傾向でしょう。一方で、だれもが「安全」を求めていることはまちがいありません。「なぜ、想定を誤ったのか」「警告を無視したのはなぜか」「事故発生後の対応は妥当だったのか」「国民への情報公開はどうあるべきなのか」。いまのところ、福島原発の事故では及第点をあげられる科目はほとんどないかもしれません。実はけさは、きょうのブログで、政府・東電に安全対策のノウハウを体系化することを求めようと思っていました。A教授の話はそれをさらに未来につなげるものでした。

    ●お金にも勝る国際貢献

    事故を克服する努力と並行して、こうした再点検・検証作業を怠らなければ、それは貴重な「ノウハウ」として残るでしょう。その結果、私たち日本人が被った悲劇をほかの人が味わわなくてすむなら、それはお金にも勝る国際貢献です。春秋の筆法をもってするなら、第二次大戦以後、世界で核兵器が実際の戦争に使われなかったのは、また冷戦が米ソ全面戦争に発展しなかったのは、ヒロシマ・ナガサキの犠牲者のおかげといえるでしょう。私たちが、核の悲劇を二度までも体験しなくてはならないのは、痛恨の極みですが、フクシマからノウハウを引き出すことも私たちの務めではないかと思います。


     

    重苦しい「小康状態」 東電福島原発事故 - 2011.04.04 Mon

    ドイツに住む知人Aさんからメールをいただきました。ドイツ人女性と結婚し、もう数十年もドイツに暮らしている日本人ですが、東京電力福島第1原子力発電所の苛酷事故について深く心配しています。Aさんはご自分のブログ「欧州どまんなか」で、原発事故について書き続けています。そして、日本が原発の冷却機能の回復に力を注いでいることに対し、「もはやこんな話ではなくなっている」。すなわち、広がっている汚染をどう食い止めるかが大事で、「これが、外国で散々非難されている日本側の『危機意識の欠如』である。というのは、まず冷却機能の修復に精を出すことは、限定的汚染から広範囲な汚染へ進行して放射能汚染で何千年も立ち入りできない大地がどんどん広がっていくことから目をそむけて、日常の修理活動、メインテナンスに集中していることになるからだ」と指摘します。

    ●時間の経過がもたらすもの

    撒布  
    福島第1原発で1日、放射性物質の飛散防止剤をまく作業員

    3月の3連休当時、原発の状況は深刻でした。水素爆発が続いて3基の原子炉建屋が破壊され、原子炉本体の状態によっては、水蒸気爆発を起こす危険さえあったからです。水蒸気爆発を起こせばAさんのいう広範囲の汚染を急激に引き起こす可能性がありました。あれから10日あまり。原発の状態はいま「小康状態」と表現されています。しかし、放射性物質の外界への放出は続いています。Aさんは「冷却機能の回復に固執して時間を失うことはとんでもないことにならないか」「限定的汚染のために修理作業もできなくなり、どんどん破局的な広範囲の汚染に移ってしまうのではないのか」と警告します。ひとつの見方です。私はもう15年にわたってAさんの見識と洞察力のお世話になっているのですが、これについては、正しくもあり、正しくもない、と思います。

    ●複雑化する「モグラ叩き」状態

    本来の冷却系を回復する作業は次々に難問にぶつかっています。緊急冷却のために注ぎ続けた水が放射性物質を含んで原子炉建屋、タービン建屋など原発敷地内にあふれ、直接海に流れ出しています。放射性物質が各地で検出されることは、そのときによって放出量は異なっても、原発からの放出がとまっていないことを示しています。「モグラ叩き状態」はさらに複雑になっています。Aさんの危惧はまことにもっともです。

    漏水 
    壁の亀裂から海に流れ出ている水

    ●放射性物質の放出阻止に有効かつ実現可能な方法は?

    しかし、核燃料や使用済み燃料の崩壊がとめられなければ、放射性物質の放出の根源はとまりません。そして、大気中、周辺の土壌、そして海に拡散します。その意味で「冷却」は依然として大事です。その一方で、外界に放出される目に見えない物質を食い止める有効かつ実現可能な方法はみつかっていません。これは冗談ですが、ウルトラマンがやってきて原子炉敷地をすっぽり覆う鉛のお椀でもかぶせてくれれば話は別ですが。ドラえもんなら、原発ごと時空のかなたへ移動させてくれるかもしれません。冗談はこれぐらいにして、政府が検討していると伝えられた「特殊な布をかぶせて飛散を防ぐ」というアイデアはどうなったのでしょうか? 実現可能かもしれませんが、これにしても、「原子炉建屋を特殊シートで遮蔽 政府、福島原発事故で」(共同47ニュース)によると、1~4号機の工事には1~2か月かかります。しかし、いまや政府は原子力専門家からの「放射性物質の拡散を抑える効果は限定的で、リスクの方が大きい」との反対を、政治判断で押し切ろうとしているようです。それほどまでに、打つ手がないという証拠でもあります。漏水をとめるために3日には高分子ポリマーの吸水剤(おむつに使われる)を投入しましたが、これも効果がなかったようです。

    ●チェルノブイリとスリーマイルの経過

    チェルノブイリ原発(黒鉛減速炉)の場合は事故を起こした4号炉は最終的に石棺で封じ込められました。その結果、放射性物質の大規模な漏出は止められたのですが、石棺の工事ができたのは、爆発後の応急措置の結果、核燃料の活動が落ち着いたあとでした。スリーマイル島原発(加圧水炉)では、福島と同様崩壊熱によって燃料棒が破損しましたが、運転員による給水回復措置が取られ、事故は終息しました。

    ●放射性物質の放出阻止が当面の優先課題に

    細野 
    細野豪志首相補佐官

    鉛のお椀をかぶせられない以上、何とか冷却機能を回復する努力は続けなくてはなりません。廃炉にするにも冷温停止が前提です。しかし、そのまえに放射性物質の外部放出を食い止めるのが緊急の要請になりました。そうしないと冷却機能の回復作業もできないからです。細野豪志首相補佐官は3日、外部放出を食い止める時期を「数カ月後が一つの目標になる」との見通しを示しました。そして、「(次は)原子炉冷却の仕組みをつくり安定させるのが目標。いつの時点で達成するか。目指すべき方向性を出すべきで、国民に説明する時期がきている」とも述べました。

    ●次第に薄れる楽観論

    edano 
    枝野幸男官房長官

    一方、枝野幸男官房長官は福島第1原発から半径20~30キロ圏の屋内退避の指示について「原発事故の影響の長期化は避けられない。地域の設定のあり方について放射線量の総合的な分析をしており、さらに精緻な対応ができるよう鋭意準備を進めている」と述べ、近く修正する考えを示唆しました。政府高官から発せられることばからも、次第に楽観論が消えてきたように見えます。時間の経過はこの場合は「敵」です。だらだらと放射性物質が放出される重苦しい「小康状態」に耐える日々がまだ続きます。


     

    口座に眠る巨額の義援金 被災者にはおあずけ - 2011.04.01 Fri

    31日朝、毎日新聞のweb版に目を通した私は、がっくりと萎えました。「日本赤十字社は30日、東日本大震災の被災者のために取りまとめている義援金が594億円に達したと発表した。発生後16日間で160億円余が集まった95年の阪神大震災時を大きく上回る過去最高ペース。一方で、被害が広範囲にわたり、全容が把握できていないことから、配分を検討する委員会の設置などは未定で、被災者の元に届くにはもう少し時間がかかりそうだ」という記事です。

    日赤 
    ↑クリック!

    ●かつてない支援の高まり

    かつてない額の義援金が寄せられたのは未曾有の大震災に国民が粛然とした結果でしょう。大震災の帰宅難民から帰宅した後の週明け、私も郵便局に駆けつけ、民間団体の口座に義援金を振り込みました。直前に岩手県宮古市を訪れていたこともありましたが、一刻も早く被災者に支援の手がさしのべられることを願ったからです、

    ●「モノ」「ボランティア」より「まずはお金」のはずだった

    95年の阪神大震災時、私はドイツにいましたので直接の記憶はないのですが、今回は生活のさまざまな局面で、支援の手を差しのべようとする国民の熱意を感じました。我が家でも長男が、自分の応援するJリーグチームのサポーターグループとともに動きました。緊急に必要と思われる物品6種に絞って集め出しました。モノを運ぶ道路が寸断され、帰りの燃料がないことからトラックも動けない状態になっていました。「こういうときはすぐに送れて何でも買えるおカネの方がいい」と助言しましたが、若い彼らはどんどん動き、最終的にグループのリーダーの伝手で、運搬手段も確保した自民党を通じて物資を被災地に届ける段取りになりました。自民党本部では小泉進次郎代議士や石井浩郎参院議員らがこころよくあずかってくれたそうです。

    エスパルス 

    ●私は大甘でした

    義援金を振り込んだとき、私は振込用紙の通信欄に「とにかく早く被災地に届けてください」と書き込んでいました。これだけ規模の大きい災害です。そして被災地には雪も降っていました。運ぶことや仕分けに人手がかかる「モノ」や、食べるもの寝る場所が必須な「ボランティア」よりお金の方がよいと確信していました。寄託団体が自治体と迅速に連絡を取り合って効率的に救いの手が行き届くに違いないと思っていたのです。でも、私は大甘だったようです。

    ●口座に眠る巨額の支援

    dinner 
    @heiunさんの30日の夕食

    岩手県宮古の漁師@heiunさんは30日のブログで避難所での夕食を紹介しました。大震災発生から20日もたっているのに、配られたのは「おにぎり1個、リンゴ2切れ、コーラ1本」です。なぜ、暖かいものが食べられないのだろうと不思議に思いました。そして毎日新聞の記事です。この3週間に寄せられた国民の善意を示す巨額なお金は、日赤の口座に眠っていたのです

    ●清水国明さんは知ってしまった

    元「あのねのね」の清水国明さんは、ご自分のブログ「しみずくにあきの多毛作倶楽部」の30日付「ちょっと過激な意見ですが・・・」でこう書いています。「今すぐ一人でも多くの人を救いたいとい願っての皆さんのその義援金が、今救いを求めている人たちのところには、今は届かないということを、私は知りました。先日、救援物資を被災地に運んで行った時、沢山の水や食べ物が山積みになっていました。けれど、避難所の子どもたちに聞くと、すぐには食べさせてもらえない、とのこと」
    「なんで?」
    公平公正が絶対ルールの行政主導で分配するので、全員に配れる数が揃うまでおあずけなのだそうです。義援金はプールされ、募集期間を終えてから、行政関係者などが組織する分配委員会で討議されて公平公正に、使われるのだそうです」(31日の修正バージョン)

    食料に列 
    福島県南相馬市で、食料の配給に長い列をつくる人たち=読売新聞

    そして、
    「すべての募金が集まっている『日本赤十字社』さんへお願いしてみました。『公平公正、公共性という理由で『個人や企業に義援金を今の段階で配ったことは一切ありません』ときっぱり

    ということなのです。

    ●話が逆

    毎日新聞によると、災害義援金は「国の防災基本計画に基づき、被災した地方公共団体が日赤などと配分委員会を結成」して配分を決めるそうです。阪神大震災では、発生8日後に委員会が設置され、約2週間後、死者や行方不明者の家族に見舞金10万円など1次配分が行われました。しかし、今回は被害の規模が大きく全容把握がむずかしいことが滞っている原因なのだそうです。話が逆ではないでしょうか? 被災の規模が大きく深刻であれば、それだけ早く支援を行き渡らせなければならないはずです。@eulekmさんはツィッターで「とりあえず、100億円づつ被災県へ」とつぶやきました。民間の募金団体や政党でも、集めたお金を日赤に寄託するところが少なくありません。その結果も同じです。そうした団体には寄託しておしまいでなく、いつどのように、だれに対して使われたかまでを監視していただきたいと思います。

    私たちの側からすれば、日赤を批判するだけで終わってはならないと思います。

    日赤 ←クリック!
    このほかにも、義援金、救援物資の受け付け窓口は多数あります。





     

    「自粛」は日本経済をさらに痛める 大震災と経済 - 2011.03.31 Thu

    巨大地震+巨大津波+原発事故の傷が癒える兆しがまだ見えない中、次第に経済への悪影響が進行しています。日経平均や円相場はとりあえず安定していますが、今後の日本人の取り組み次第で、憂慮すべき事態になる可能性なしとしません。30日のNHK「クローズアップ現代」は東北地方の製造業インフラが崩壊した有様を伝えました。メーカーを頂点とした下請け、孫請けのピラミッド構造のどこが壊れても、日本がそして世界が必要としている「モノ」の生産は減速します。それは、失業→収入減→消費減退→企業の縮小・倒産→失業のスパイラルを招きます。30日には青森を本拠地とする百貨店「中三」の倒産が伝えられました。地方に立地した製造業を主な働き先かつ収入源としてきた被災地の兼業農家は被災者の上に失業者になります。

    ●私たちに無縁な経済活動はない

    フカヒレ 
    フカヒレは気仙沼の特産だった(河北新報)

    30日夕のテレビ朝日「スーパーJチャンネル」は、フカヒレの国内生産の8割を占める宮城県気仙沼市の水産業が壊滅したことで、フカヒレを仕入れられなくなった横浜中華街の悲鳴を伝えていました。「フカヒレは食さない」という人もいます。しかし、食しても、食さなくても、また対象がフカヒレ以外のものであっても、すべての日本人がマイナスのスパイラルと無縁では済まされません。外国にも大震災のせいで高度な工業製品の供給がとまって困っている企業も出てきているのです。中華街では中国人のコックさんが続々帰国しているようです。そのせいでしょうか。六本木ヒルズにある、中国人職人の手さばきが外から見える上海小籠包の名店は休業しています。東京・新大久保の韓国系24時間スーパーは24時間営業ができなくなりました。韓国人店員が帰国してしまったからだそうです。こうした人々を介しても、私たちすべてが経済活動のネットワークにつながっています

    ●広がる「自粛」の波

    石原慎太郎 

    東京都の石原慎太郎知事は「桜が咲いたからといって、一杯飲んで歓談するような状況じゃない」と被災者に配慮して今春の花見は自粛すべきだとの考えを示しました。石原知事は「今ごろ、花見じゃない。同胞の痛みを分かち合うことで初めて連帯感が出来てくる」と指摘したうえで「戦争の時はみんな自分を抑え、こらえた。戦には敗れたが、あの時の日本人の連帯感は美しい」とも語ったそうです。某大企業では九州の支社までを含めて「講師を呼んでの社員研修」の自粛令が出たそうです。「華美なことは避けよ」というのが主旨だそうです。こういうとき、人の話を聞くことは大事だと思うのですが、ひたひたと自粛の波が広がっています。やがて津波となって日本経済を破壊しかねないおそれがあります。

    ●「自粛はやめて!」 被災漁師の叫び

    折も折、このブログでも再三紹介している岩手県宮古市の漁師@heiunさんが30日、こんなツィートをしていました。「イベントなど自粛してるようだけど被災者からすればあなた達は 経済を回すことをしてください。自粛しなくていいです。経済止めたらばだめ」。不必要な自粛はかえって被災者のクビを絞めることになるという悲鳴にも似た警告です。

    ●「有望な輸出商品」を破壊した原発事故

    海江田2 

    海江田万里経済産業相は30日、福島第1原子力発電所の事故が原発の海外輸出に与える影響について、「さらなる安全対策を固めていく中で世界の信頼を得られる道も付けられると思っている」と述べ、引き続き輸出を推進する意欲を示しました。案の定この発言はネット住民のかっこうな餌食になりました。環太平洋パートナーシップ協定が論議されていたつい先頃まで、「原発」は日本の有望な輸出商品でした。「半世紀にわたって深刻な事故を起こしていない」のがウリでした。しかし、いまや短期的にはもちろん中期的にもこれはムリです。そういえば「安全でおいしい日本の農産物」も有望な輸出商品とされていましたが、中国産のキュウリやシイタケの悪口はいえない(危険ならいうべきですが)心持ちです。

    ●オプションはオープンにということか

    とはいえ、原子力平和利用の研究を葬り去るのが自明の道かどうかはむずかしいところです。ジャーナリストの武田徹さんは日経ビジネスonlineで「福島第1原子力発電所の事故が原発の海外輸出に与える影響について、「反原発と推進派、2項対立が生んだ巨大リスク」という記事を書いています。この記事自体の理解も2項対立を呼びそうですが、これまでの日本の原子力利用が犯した誤りの1つの本質を的確に指摘しています。海江田発言が時宜をわきまえない上っ調子なものであるとしても、「輸出立国」のリーダーである経済産業大臣の遠い未来に向けた1つの考え方としてtake noteしておくのがよいかもしれません。

    切手 

    ●企業活動への支援がjobを生む

    巨大地震+巨大津波+原発事故がなくても、「輸出立国」の日本は、ポストITの国際競争力を備える必要に迫られていました。その原動力はなんといっても企業です。富士通福島をはじめ、災害から立ち上がろうと生産を再開する企業のニュースも相次いでいます。心から声援を送りたいと思います。企業活動が再び活性化すれば、それはjobを生みます。被災者の方々にはできるかぎりの支援をしつつ、企業活動を活発にしなければなりません。復興財源としての「所得税の上乗せ定率増税」や国債発行はすでに検討されています。@funomatasaburoさんはツィッターで「大企業には200兆円も及ぶ内部留保金があります。この20%でも投資できる環境を作ることはできないものでしょうか。例えば今回の震災地域に投資した企業には、法人税率を10%にするとか。お金が回れば経済は活性化するのでは」という提言をしています。企業活動を活発化するために、政府、経済界、学者、そして民間の知恵を結集すべきでしょう。

    ●チャーチルと@heiunさん

    churchill 

    いま必要なのは「自粛」ではありません。1914年、第1次世界大戦に直面した英国民にチャーチルは
    "The maxim of the British people is 'Business as usual'"(英国民が心すべきはいつも通りに働くこと)」と述べたそうです。宮古の漁師@heiunさんの叫びと同じです。チャーチルは「悲観主義者はすべての好機の中に困難をみつけるが、楽観主義者はすべての困難の中に好機を見いだす」ともいっています。被災者の@heiunさんは動いています。けさは5時から活動、船のバッテリーを充電し、魚群探知機で港内の海底調査です。ブログには「今日もコツコツやれることからです」とありました。




     

    1歩後退でも2歩前進を all japanで原発事故解決へ - 2011.03.30 Wed

    東京電力福島第1原子力発電所を「冷やし、閉じ込める」作業の課題は前日と大きくは変わっていません。日本経済新聞30日付朝刊の「福島原発、専門家ら『3つの懸念』燃料棒激しく損傷」は①1号機「空だきに近い状態」②2号機、圧力容器もなお不安定③3号機含め汚染水除去は難航、と現状をまとめています。東電はフランス・アレバ社などの助言を受けつつ汚染水除去の努力を続けています。汚染水を抜かないとポンプや配線に作業員が近づけず、本格的な冷却機能を回復できないからです。同時に汚染水を環境に撒き散らさない注意が必要です。このため、汚染水をタンカーで回収する案も検討されています。また、水溶性の合成樹脂を敷地内に撒布して放射性物質の拡散を防ぐことも検討されています。

    汚染水除去のイメージ 
    (日本経済新聞)

    ●「フクシマ」型解決へ知恵結集を

    一方、枝野幸男官房長官は30日午前の記者会見で建屋が吹き飛んだ1、3、4号機に、特殊な布をかぶせて放射性物質の飛散を防ぐ策を検討していることを明らかにしました。原子炉を安定して冷却するための電源復旧などに向けた作業環境を確保するためです。建造物を「梱包」する作品で知られるブルガリア生まれの芸術家クリストを思い出させるアイデアです。永田町や霞ヶ関では、さまざまなアイデアが出始めているようです。ある物質を「冷やす」ために使うというのを小耳に挟みました。東電福島第1原発事故には、スリーマイル型でも、チェルノブイリ型でもない要素があります。「ある物質」については「そんなあやしげな」という危惧もありますが、巨大地震、巨大津波発生からまもなく3週間たちます。学者・専門家、官僚機構、企業、そして民間の知恵を結集して、「フクシマ型」の解決を実現してほしいものです。

    クリスト 
    ドイツ連邦議会議事堂を梱包したクリストの作品

    遮蔽イメージ 
    (朝日新聞)

    ●依然「冷やす、閉じ込める」の途上

    枝野官房長官はその会見で、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却について「温度がある程度、安定的に下がるまでは相当な時間がかかる」と長期化は避けられないとの見通しを示しました。米エネルギー省のライヨンズ次官補代理は29日、上院エネルギー委員会で証言し、福島第1原子力発電所の事故に関して、これまでの情報を勘案すると「事故後の処理作業が遅い」との認識を示しました。たしかに、「1歩後退2歩前進」なのか「1歩前進2歩後退」なのかわからないところはありますが、現状は「止める、冷やす、閉じ込める」の途上にあることには変わりありません

    ●オールジャパンの発想を

    菅直人福島みずほ  

    菅直人首相は29日の参院予算委員会で、社民党の福島瑞穂党首が廃炉を求めたのに対し「一定の安定状況になった後に専門家の意見を聞いて決めるが、その可能性が高い」と述べました。しかし、現状では「廃炉」ということばを引き出すことにやっきになっている人たちよりは、菅首相の方が冷静、正確な認識だといえるでしょう。「廃炉」にするにしても、その前提は「冷やし、閉じ込める」ことです。繰り返しになりますが、「反原発論者」から「原発維持論者」に至るまで、私たちは一蓮托生なのです。批判すべきは批判しなければなりませんが、一蓮托生であることは忘れてはなりません。「それ見たことか」といういらだちをぶつけるだけでは、解決のために必要な、国民の高いモラルを阻害することになりかねません。一方、政府・東電にはこれまで散見された「責任逃れ」的姿勢を払拭することが求められますし、政府・民主党には、党派的思考を捨てて、「新生日本」の礎をオールジャパンで築く度量が必要です。

    ●追記● 
    宮古市の知人1人のご健在の知らせ

    昨夜遅く「Person Finder」から1通のメールが届きました。1月に岩手県宮古市で講演したときに知り合った宮古商工会議所会頭のAさんについての情報です。文面は「ご本人より電話をいただきました。ご無事です」「状況: この人が生きているという情報を入手した。この人と連絡を取った人がいます」「すべての記録は XXXで見ることができます」というものでした。ほっと安堵しました。それにしても、今回Googleによって開設された「Person Finder」の威力には驚きました。
    「Person Finder」については20日付の「ネットが支える人々の相互扶助 大震災その後」で紹介している通り、ネット時代ならではの恩恵です。



     

    NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

    おすすめブログに

    萩谷 順

     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
    出演番組
     スーパーJチャンネル(金)
     モーニングバード!(水)
     ワイド!スクランブル(月)
     ビートたけしのTVタックル
       (不定期)
    過去の出演番組
     そうだったのか!学べるニュース
     やじうまプラス'04-'10
    ニュースステーション '00-'04
     ニュースレーダー '85-'87
     (いずれもテレビ朝日)

    お問い合わせや講演の依頼は...

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    本人から返信します(お名前やメールアドレスなど個人情報は本人の同意なしには公開しません)

    いま何時?

    ※この時計の時刻は、閲覧しているパソコンのものであり、必ずしも正確な時間とは限りません

    Twitter

    最新記事

    カテゴリ

    大震災+原発事故 (38)
    政治経済 (71)
    国際情勢・グローバル化 (21)
    社会・生活・文化 (22)
    大学・教育・若者 (4)
    テレビ (4)
    講演 (2)
    IT・パソコン (2)
    たのしみ (28)
    ごあいさつ その他 (8)

    リンク

    このブログをリンクに追加する

    朝日新聞グループニュース

    月別アーカイブ

    RSSリンクの表示

    検索フォーム

    最新トラックバック

    FC2カウンター

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。