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    米韓軍事演習 東アジアを不安定にしたのはだれ? - 2010.11.29 Mon

     28日から、黄海で米韓合同軍事演習が始まりました。今月23日の北朝鮮による韓国・大延坪島への砲撃を受けての行動ですが、横須賀を基地とする米原子力空母ジョージ・ワシントンが黄海に入ったことで、この間大きく変化しようとしていた東アジアの安全保障構図に、また新たな要素が付け加えられました。

    GW 
    米原子力空母ジョージ・ワシントン

    ●相次ぐ安保、主権に関わる事件

    尖閣諸島での中国漁船と巡視船の衝突事件をきっかけに中国は尖閣諸島に対する領有権主張を鮮明にしました。一方、ロシアはメドベージェフ大統領が北方領土の国後島を視察し、北方領土返還への期待を打ち砕きました。近来にない安全保障や主権に関わる大事件への効果的な手が打てない菅直人政権への批判が収まる間もく、今度は北朝鮮の砲撃です。

    ●民主党政権は運が悪いのか?

    中国、ロシアの動きは第二次世界大戦の勝ち負けがつくりだした権益を勝者の側から固定あるいは拡張しようというものです。また、北朝鮮の行動は朝鮮戦争の結果に挑戦するものです。「民主党政権も次々と難題が出てきて災難だ」、あるいは「間の悪いときに政権についたものだ」と同情される向きもあるでしょう。しかし、事実はその反対で、一連の事件はむしろ民主党政権が招いたものだと考えられます。

    ●一連の事件招いた「日米安保の揺らぎ」

    一連の「事件」を培養した土壌は「日米安保」の揺らぎです。東アジアで自由主義国家群の安全保障の基軸になていたのは、「日米安保」と「米韓安保」でした。日本で鳩山由紀夫政権が誕生した結果、まず「日米安保」が揺らいだのはもうみなさんよくご存じのことです。かねて、海軍を増強し、安全保障ラインを東にずらそうと考えていた中国は政権がぐらついている日本に圧力をかけるとともに、日米安保の限界を探ろうとしました。それが「尖閣事件」です。しかし、米国が「尖閣諸島も日米安保の共同防衛対象」とクリントン米国務長官が明言すると、中国は「米国は言動を慎め」と威嚇しながらも、その姿勢を弱めています。それでも、米オバマ政権も中間選挙の敗北でぐらついています。今後も日米は試されていくでしょう。
     
    obama 菅直人

    ●「日米安保の弱体化」見透かされる

    ロシアの行動は、大統領選挙を控えたメドベージェフ大統領の国内基盤固めという側面はありますが、国後島訪問という日本の国民感情を逆撫でするような挙に出たのは、やはり日米安保の弱体化を見透かしたもののようです。ただ、この間、中国がロシアに対して、「北方4島のロシア領有権を認めるかわりに、中国の尖閣領有権を認めてほしい」と誘いをかけたのに対し、ロシアは乗らなかったという情報があります。実効支配する者としていない者の差がここにはあったようです。ロシアもここではまだ慎重です。
    ●北朝鮮の挑発行動の意味

    そこに北朝鮮による韓国領砲撃が起きました。時間がたつにつれて、事件は突発的なものでなく、周到に準備されたものであることが明らかになってきました。北朝鮮は金正日から金正恩への権力移行核開発、米国による体制安堵などを同時並行で進めなければならない極めて微妙な時期にあります。そして、それぞれの正否は日米韓、中ロの出方、そして関係国相互の連関関係に大きく左右されます。

    ●日米韓と北朝鮮

    世宗大王
    韓国のイージス艦 世宗大王

    日米韓の安保上の三角形には日韓安保が欠落しています。米韓安保(米韓相互防衛条約)は日米安保によって支えられています。日米安保が強固であれば米韓安保も盤石ですが、その日米安保は揺らいでいます。その間隙をついて北朝鮮は韓国を攻撃しました。日米韓の三角形がどの程度機能するか、日米安保の揺らぎが現実の日米韓安保にどのよう影響を与えたかに探りを入れたのです。これは軍事用語の「威力偵察」に似ています。偵察には隠密偵察と威力偵察があります。隠密偵察とは敵に察知されることなく行う偵察行動であり、威力偵察とは部隊を展開して小規模な攻撃を行うことによって敵情を知る偵察行動です。

    ●中国と北朝鮮

    北朝鮮の「威力偵察」は、同時に六カ国協議のほかの参加国である中国とロシアの出方を占う効果もあります。昨年までは、米艦隊が黄海に入ることに中国は強い異議を挟みませんできませんでした。最近の海洋戦略の組み直しの結果、中国は「黄海は自国の内海」との姿勢を強めました。ことし3月の韓国哨戒艦爆沈事件後の対抗措置として計画された黄海での米韓合同演習を中国が日本海に押し戻したのは、その表れです。今回は、中国は黄海での米韓演習を結果として容認せざるを得ませんでした。拒否すれば、北朝鮮説得の「実」をあげることを求められるからです。

    kimjongil hu 金正恩 

    ●中国には迷惑だった北朝鮮の暴挙

    北朝鮮の挑発行動で中国は多大の迷惑をこうむったといえるでしょう。六カ国協議の仲介国として北朝鮮の核武装をとめる役回りと同時に、まだ「参戦条項」を残す中朝友好協力相互援助条約を結んでいる事情、さらには、北朝鮮が崩壊しても、暴発しても直接の被害を受ける隣国として事態を穏便にすませたいと思っているからです。

    ●東アジアはパワーポリティクスに突入

    今回は、日米韓の安保はとりあえず作動したといえるでしょう。北朝鮮も当分は危険な挑発行動を控えそうです。それが北朝鮮の威力偵察の結論です。なぜなら、北朝鮮は戦争をしかけることはできません。戦争の結果、直接の体制崩壊という事態に至らないとしても、米国の圧倒的な軍事力によって痛撃を受ければ、後継者としての金正恩の正統性に傷がつき、それは体制の崩壊につながるからです。今後も突然の砲撃やテロ攻撃を外交の手段として利用することはあっても、戦争に訴えることはないでしょう。米韓合同演習は戦争の抑止に役立ちました。しかし、突然の砲撃やテロまで抑止することはできません。今後も朝鮮半島では不安定な状態が続くでしょう。他方、尖閣諸島をめぐる日中対立は、28日朝にも中国は漁業監視船2隻を尖閣諸島に近づかせましたが、日本が日米安保を堅持強化すれば、当面は露骨な要求には出ないでしょう。六カ国協議や日中首脳会議という話し合いよりも原子力空母が有効というのは残念なことです。しかし、これがパワーポリティクスの現実ですし、東アジアは新冷戦どころか再びパワーポリティクスの時代に突入しています。

     ●こりない鳩山由紀夫発言

    鳩山由紀夫 

    民主党政権は北朝鮮の行動を「許容しがたい」と強く非難したものの、制裁としては朝鮮人学校の授業料無料化事務停止という、いささか筋違いの反応を示すだけで、関係国の話し合いをリードすることはできませんでした。それどころか、鳩山由紀夫前首相は24日の民主党議員勉強会で、日米同盟に「真の信頼関係があるか?」と疑問を呈したそうです。普天間基地移転問題の不誠実な扱いで日米同盟を揺るがした当事者の発言です。国内ではさすがにもう鳩山由紀夫氏をまともに取り合う人は大幅に減っていると思われますが、国外に対しては腐っても総理大臣経験者です。その不見識な発言はまた東アジアの安保に悪影響を与えかねません。日米安保はさまざまな批判を受けながらも、戦後の日本の平和を下支えしてきました。ことしはその50周年なのですが、その功績にふさわしい祝典もなく過ぎていこうとしています。これは何よりも日米安保の揺らぎを象徴しています。





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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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