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    カンディンスキー様 大挙ご入来! - 2010.11.24 Wed

     「カンディンスキーと青騎士展」(主催 東京新聞)が23日から、東京丸の内の三菱1号館美術館で始まりました。ドイツ・ミュンヘン市立レンバッハハウス美術館が所蔵するカンディンスキーを中心とするコレクションのうち60点が、ことしから始まったレンバッハハウス美術館の増改築を機に貸し出されたものです。東京新聞に勤める知人のおかげで、22日の内覧会に参加する幸運を得ました。

    poster 

    ●カンディンスキーの内的変化を知るのに絶好

    抽象画の先駆者ワシリー・カンディンスキーはモスクワ生まれのロシア人、1896年にミュンヘンに留学し、やがて抽象画に進みます。レンバッハハウスのコレクションはミュンヘン時代にパートナーだった女流画家ガブリエレ・ミュンターが寄付したものです。ですから若きカンディンスキーの内的発展を知るには最適です。

    ●抽象画は「むずかしい?」「いたずら描き?」

    absatract 
    カンディンスキーの抽象画

    抽象画というのは、ともすれば難解です。パブロ・ピカソも「あんないたずら描きならおれにもできる」といったたぐいの揶揄を浴びます。学校時代以来お絵かきが下手で劣等感を持ち続けている私もかつては、その類でした。しかし、1981年にドイツで生活する機会を得て、欧州中の美術館通いをするうちにそれは変わってきました。

    ●ピカソは具象の達人だった

    具象 
    ピカソ少年時代の作品

    その中でも大きな影響を与えてくれたのが、1982年の大晦日に訪れたスペイン・バルセロナの「ピカソ美術館」です。ここには、すでに具象画の達人であった少年時代から晩年まで作品が展示されています。具象から抽象への変移の必然性を私のような素人にも感じさせました。

    ●周到な作品選びがカンディンスキー理解を助ける

    それに負けないインパクトを与えてくれたのがレンバッハハウス美術館とカンディンスキーです。今回の東京の60点は膨大な作品群から周到に選ばれていますから、その作品に沿ってお話ししましょう。1901年の「ミュンヘン―イーザル川」(展示番号07)はまだ具象ですが、すでに色彩の意味が形象を上回っています。1903年の「花嫁」(12)はユーゲントシュティールとロシア的風景の混合でメルヘン的な雰囲気に充ち満ちています。このスタイルのカンディンスキーは甘美で妖しいまでの作品群を残しています。


     Isaar 花嫁 馬上の2人 
    イーザル川        花嫁             馬上の2人(今回非出品)

    ●決定的な意味を持った「色彩」と「光線」

    そして1908年の「ムルナウ―塔のある風景のための習作」(22)。ここでは、色彩が物の拘束を脱出して噴出し始めています。1909年の「オリエント風」(33)も同様です。こうした色彩の解放は、1904/1905年にミュンターと旅をしたチュニジアの影響であることは確実です。地中海の光がヴィンセント・ファン・ゴッホを変えたようにです。私のような素人には画家のこのような変化を知ることは絵を理解するうえでとても重要なことです。ドイツ表現主義が好きな私に、カンディンスキーは絵画を形象以外から見るなどさまざまなヒントを与えてくれます。

    murnau ORIENT 
     ムルナウ             オリエント風

    ●南の陽光は紫色?

    1992年正月、私はエルサレム中心街でユダヤ人の友人が営む画廊で、1人のロシア系ユダヤ人の若い画家に出会いました。画廊の店番をして生活費を稼いでいたその青年画家から、ゴルバチョフ改革のおかげでロシアから出てきて最初に描いたエルサレム旧市街の油彩を買いました。エルサレム・ストーンの町並みに注ぐ陽光に彼は紫色のトーンを混ぜていました。「ほんとうに紫色に見えたの?」と尋ねると彼は「そうだ」と答えました。まぶたを閉じたまま直射日光の下に出て目を開いたときの感覚です。その画家もカンディンスキーと同じ暗いロシアの出身です。

    jerusalem 
    Davi Kan の「エルサレム旧市街」

    ●光は画風を変える

    そのとき、彼はその後描いた「サロン」も買ってほしいといいました。明るい華やかなサロンでさんざめく女性群を色彩と光線主体に描いた絵でした。でも、大きな絵で、そのころ住んでいた日本のマンションでは掛けるところもありません。2000ドルという価格も障害でした。のちに、レンバッハハウス美術館でカンディンスキーの「オリエント風」を見た私は「しまった」と思いました。「サロン」はそれに似た雰囲気を持つ絵だったのです。南の陽光がここでも、画家を変えています。友人の画商は、その後彼Davi Kanをニューヨークに連れていって売り出しました。オペラでサロンの場面を見るたびに、悔やみます。

    ●館長みずからの解説も聞けた

    内覧会には、すでにこのブログにも登場したドイツ大使・フォルカー・シュタンツェル氏夫妻も来ておられました。VIPである大使には、ミュンヘンから来たレンバッハハウス美術館のヘルムート・フリーデル館長がご進講します。コバンザメよろしく、大使夫妻にくっついて解説を聴くという幸運にも恵まれました。

    三菱 

    ●建築としての三菱1号館美術館にも見る価値

    「カンディンスキーと青騎士展」は来年2月6日まで。ことし開館した三菱1号館美術館の明治のインテリアを楽しむのもまたよしです。東京のあとは愛知県美術館、兵庫県立美術館、山口県立美術館を回り、来年9月6日まで楽しむことができます。







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    Author: はぎたに じゅん
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    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
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