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    「暴力装置」 ”sengoku"ビデオから見えるもの(1) - 2010.11.22 Mon

    仙谷由人官房長官が18日の参議院予算委員会の答弁で、自衛隊を「暴力装置でもある」と表現したことで国会は紛糾、このことば使いは新聞、テレビや、ネットの世界でさまざまな角度で論じられました。

    ●大学の授業で顛末を解説

    「暴力装置」論争の顛末。私は翌日、法政大学の「マスコミ論」の授業で紹介して、コミュニケーション論とメディア論の観点から解説しました。主なキーテーマは「世代と言語環境」「メディアの違いによる認識の違い」と「現実政治」の係わりでした。

    ●youtubeに感謝

    私の学生時代には、授業でこうした問題の取り扱うのは容易ではありませんでした。「暴力装置発言」という事実自体を生で知ることがむずかしいからです。国会の委員会を傍聴できるのは極めて限られた人です。テレビの国会中継も見られる時間のある人は少数。あとは、テレビにせよ新聞にせよ、マスメディアの価値判断によって編集されたものです。しかし、ネット時代のいまは「仙谷答弁」は即日youtubeにアップロードされていました。当然授業では4分弱の起承転結を学生に見せることから始まりました。ごらんください。

     

    ●3分半劇場

    「暴力装置」論争はいまなおくすぶっています。これを解明するための簡単なキーがあるのですが、テレビ・ニュースや「字」によるメディアで一報を知った人たちには、そのキーは手にできません。それは、
    youtubeでわかるように、これまでの失言では撤回・謝罪に時間がかかった仙谷さんがわずか3分半の間に、「撤回・謝罪」してしまったことです。

    ●仙谷さんのミス

    わずか3分半で決着させたのは、「ミス」に仙谷さんが気づいたからだと私は見ています。最初に委員会室が騒然とすると、仙谷さんはすぐに「実力組織」と言い直します。以後は、世耕 弘成委員(自民)の要求に従って、あっという間に謝罪しました。国会の場ではそれで決着です。しかし、それとは別に「暴力装置発言」はさまざまな反応を呼びます。

    ●マックス・ウェーバーに飛びつく快感

    マックス・ウェーバー 

    まず出てきたのは「『暴力装置』はマックス・ウェーバーのことば。政治学、社会学の基礎用語だ」と仙谷さんを擁護する意見です。これは、まず学者や知識人によって持ち出されました。一方匿名なのに自己顕示欲の強い人の多いネット住民がこれに飛びつきました。「仙谷批判」に絡むついでに、自分をインテリであると顕示するチャンスです。

    ●共産党の小池晃さんは「・・・」

    レーニン 

    「暴力装置」は”日本語版”ではマックス・ウェーバーにも、レーニンにも出てきます。学問の世界では普通に使われています。しかし、世間ではどうでしょうか? ふだんの生活で使われることばではありません。一方、日本では、「暴力装置」は左翼用語、革命用語でした。「軍隊や警察は革命勢力による権力奪取を妨害する暴力装置だ」という使われ方でした。1990年代前半ぐらいまでは、国会でも革新系議員が使いました。しかし、共産党の小池晃さんがtwitterで「“暴力装置”・・・。ずいぶんと昔にそんな言葉を聞いたような…。今では日本共産党のHPにもそんな用語はありませんけど」というような代物です。

    ●仙谷さんの「QBK」

    翌日の記者会見で仙谷さんは「(野党側から)細かいところの無通告質問が多く的確に答えるのは難しい」とこぼしました。ここから推察できるように、仙谷さんの口からとっさに、かつて使い慣れた「暴力装置」ということばが出てしまったのでしょう。2006年サッカーワールドカップでの柳沢敦選手のQBKのようなものです。しかし、ただちに訂正し、さらに撤回、謝罪した仙谷さんの判断は的確だと思います。

    ●国会答弁には不適切なことばだった

    JSDF1 JSDF2 

    革命用語としての「暴力装置」を過去に使い慣れたことのある団塊の世代以上ならともかく、1970年代以降、革命用語としてのこの言葉を使う人は過激派など、ごくかぎられています。多くの人は「暴力装置」ということばには驚きもし、そう呼ばれた「自衛隊員はかわいそう」と思う時代です。広く国民向けに政府の姿勢を説明する国会の場で使うのは不適切です。また、仙谷さんが過去使い慣れていたのはマックス・ウェーバーの学術用語ではなく、「革命用語」「反体制用語」としてです。その文脈でいえば、いまや仙谷さんは権力の中枢、革命で打倒される対象ですし、「暴力装置」に守ってもらう筋合いです。他方、マックス・ウェーバーの意味合いだとしても、マックス・ウェーバーを知らない人に対して、その権威をもって、その驚きや嫌悪を帳消しにすることはできないでしょう。

    ●仙谷さんは火消ししようとしたのだが

    すぐに火消ししようとした仙谷さんはさすがです。また、謝罪を「法律用語としては不適当」「自衛隊のみなさん方には謝罪いたします」と限定もしています。憲法にも自衛隊法にも警察法にも「暴力装置」ということばはありません。政府は法律の用語の範囲内で答弁、行動するという認識は正しいと思います。しかし、事態は「3分半劇場で決着」とはいきませんでした。






    ● COMMENT ●

    承認待ちコメント

    このコメントは管理者の承認待ちです

    Re: No title

    匿名ウェーバリアン様
    長文のコメントお疲れ様でした。

    私は「暴力装置」ということばを使いたい人の権利は否定していません。私自身も適切である場合には「暴力装置」ということばを使うとtwitter上で明らかにしています。しかし、「国会で自衛隊名指しで使う」のは適切でないとということを当事者の仙谷さんが認め、一方の当事者である自衛隊員がこの言葉に不快感を抱いているとしたら、それ以上何をいうことがありましょう。問題はあくまでも「国会の場」です。

    このブログには続きの(2)がありますので、それをお読みください。

    No title

    > 匿名なのに自己顕示欲の強い人の多いネット住民がこれに飛びつきました。「仙谷批判」に絡むついでに、自分をインテリであると顕示するチャンス

    自分はツイッターを追っていたのですが、個別の反応が絡み合いながら話題として盛り上がっていくなかで、確かに少なからずそういう色合いも帯びてきたのは自分も感じました。上記のご見解は、その傾向がより顕著だったであろう某掲示板での書き込みなどを念頭に置かれているのだろうと推察いたしますので、その点では同意いたします。
    ですが、今回のネット住民の間での反応を、単に「自己顕示欲」という皮相なレベルの動機に落とし込んでしまうのは、現在の時局を鑑みる限り果たして適切と言えるのでしょうか?
    とくに、ほとんどの新聞やテレビのマスコミ各社がこの用語について注釈を一切加えず報道していた当初の状況(この点についても、元記者としてのご見解に大変興味があります。もし続きの(2)をお書きになっているならぜひ。)を考慮すると、野党の政府批判の流れにマスコミも加わった「一方的な印象操作」による「世論誘導」に対する疑念や憤り、危機感などが根底にあったのではないかと思いますが。あくまで個人的な印象論にすぎませんが。

    また、もし仙谷氏の「暴力装置」の用法がレーニンの暴力革命論的な解釈によるものだとしても、野党が噛みついたように、「暴力(装置)」概念の、果ては文民統制の否定へもつながりかねない今回の騒動の本質から外れた議論ではないでしょうか?
    仙谷氏や彼の発言を擁護するつもりではなく、「国会答弁には不適切なことばだった」にも全面同意します。しかし、前半の「国会答弁には」という重要な文脈が解説されぬまま発言が曲解されるのを放置していると、もしかしたらこのままでは「暴力装置」という言葉と、それによって担保されている諸概念までもが封じ込められかねないのでは危惧しております。


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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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