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    尖閣ビデオ流出 保安官の処分遅らせる2つの逡巡 - 2010.11.12 Fri

    尖閣ビデオを流出させたのは私だ」と名乗り出た海上保安官(43)の事情聴取は11日で2日目を終えましたが、仙谷由人官房長官の厳しい姿勢をよそに、逮捕されるでもなく何か妙な雲行きです。しかし、海上保安官が名乗り出て以来、日本中は蜂の巣をつついたような大騒ぎです。現在の論点は
    1)youtubeに流出したビデオは「秘密」にあたるか
    2)海上保安官は「職務上知り得た」か
    です。

    よなくに 
    尖閣ビデオの1画面

    ●ビデオは秘密にあたるか?

    衝突ビデオは当初、秘密扱いされていなかったようです。海上保安庁のサーバーに置いてあったビデオは全国の海保で見ることができました。それが秘密扱いされるようになったのは事件から1ヶ月余たった10月18日に馬淵澄夫・国土交通大臣が扱いに厳重に注意するように指示してからです。「後付けで秘密扱いをするのはおかしい」との主張は強いよでうです。また、この主張のかげには、政府がフジタ社員の解放のために「ビデオ非公開」の密約をしたのではないかとの疑惑があります。

    ●ビデオは「職務上知り得た」ものか?

    一方、ビデオが秘密だと仮定しても、これが「職務上知り得た」ものかどうかにも疑いがあるようです。尖閣事件を扱う職務の直接の範囲内に海上保安官がいたかどうかです。まったく違う職務を行っていた者が、たまたま知り得たとしたら、それは国家公務員法が定める刑事罰の要件をみたすのかどうかがむずかしい判断だそうです。11日夜のNHK「ニュースウォッチ9」での警視庁記者クラブからのレポートは、1)2)の判断すなわち国家公務員法が定める要件を満たすかどうかがはっきりしないのが、2日目の午後10時を過ぎても「逮捕」の決断ができない理由だと述べていました。

    ●処分方針決定を遅らせる2つの「逡巡」

    しかし、私はこの遅延の主な理由は2つの逡巡、すわなち政権中枢と司法当局の逡巡だと考えています。

    ●内閣崩壊を心配する政権中枢の逡巡

    まず、「政権中枢の逡巡」です。新聞やテレビを見る限り、世論の過半は海上保安官の行為を「国民の利益」と受けとめているようです。小澤問題尖閣事件そのものの扱い、普天間問題など国政の多くの場面で国民の不興をかっている菅直人政権が、この問題の扱いを誤れば、致命的な打撃を受けます。民主党が助け舟と期待していた公明党すら、補正予算案への反対を正式に決めました。致命的な打撃とは内閣の崩壊です。


    菅直人首相             仙谷官房長官
    菅直人 sengoku

     ●菅直人政権は「王手飛車取り」

    この状況のもとで菅政権が海上保安官の逮捕、処分に走れば、30%台まで落ちた内閣支持率はさらに落ち込むでしょう。マニフェストの空虚さが露呈し、世論しか頼りのない民主党にとっては絶対に避けたいところです。反対に、逮捕しない、あるいは厳しい処分をしないということになれば、国家公務員の守秘義務というガバナンスの根幹を政府みずから踏みにじることになります。世論は政府の判断を一時的に好感しても、やがて「ガバナンス喪失批判」に傾くことは火を見るより明らかです。政府にとっては、どちらの方針をとっても活路がない、いわば「王手飛車取り」の状況に陥っています。判断停止状態といってよいでしょう。

    ●事案は「逮捕相当」

    一方の「司法当局の逡巡」です。純粋法律的にみれば、海上保安官が
    youtubeにビデオをアップロードした11月4日夜には、すでに馬淵国交相による厳重な扱いの指示が有効でした。また、海上保安官がビデオにアクセスできたのは海保の仕事の枠内の可能性が高いといえます。保安官に逃亡のおそれがないにしても、証拠隠滅の可能性はありますから、専門家の目からみると、「逮捕相当」のようです。

    ●司法当局の政権不信

    しかし、11日夜のテレビ朝日報道ステーションによると、事情聴取をしている警視庁は保安官の扱いについて検察庁と協議するといっているようです。どうやら、その背景には、司法の現場の「政治」への不信があるようです。二言目には「政治主導」をいう菅政権は、なにか問題が起きると、かならず現場に責任を押しつけます。中国人船長の釈放のときは、検察庁が政治判断をしたことになりました。今回のビデオ流出について責任を問われると、仙谷官房長官は「政治職と執行職の責任の取り方はちがう」と現場に責任をなすりつけようとします。

    警視庁 
    警視庁

    ●トカゲのシッポ切り恐れる

    警察や検察にとってみれば、世論に抗して、逮捕、厳正処分に走れば、世論を理由にまた「トカゲのシッポ切り」をされかねません。とくに検察は「村木厚労省元局長冤罪」事件で、政権に組織の内部に手を突っ込まれています。ここでまたビデオ流出事件の取り扱いを理由に干渉されてはたまったものではないでしょう。こうした政権の逡巡と、司法当局の逡巡の相乗効果、いいかえれば、政権中枢と司法当局の責任のなすりつけ合いが時間のかかる原因になっているとみるのが妥当です。

    ●落としどころは「処分保留・釈放」?

    では、今後この事件はどうなるのでしょうか? 保安官の責任をまったく問わずに終わるわけにはいきません。眼前の公務員の違法行為を処罰しない政府は存在理由を失うからです。落としどころは、私が11月8日にtwitterでささやいた「国内法に従って厳正に扱い、結果として(内閣支持率を考慮した)”大局的”政治判断で処分保留で釈放、その判断も
    「検察がした」ことになりそうな予感」というところにありそうです。これは、中国人船長の扱いのパロディでもあったのですが、ある弁護士さんは「逮捕して処分保留釈放のほかに起訴してスピード裁判で懲役10日とか実害のない処分でお茶を濁すかもしれない」といっていました。
     






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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
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