topimage

    2017-07

    スポンサーサイト - --.--.-- --

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    映画「アラビアのロレンス」に日本を考える - 2010.10.13 Wed

    デビッド・リーン監督、ピーター・オトゥール主演のアカデミー賞受賞映画「アラビアのロレンス」(1962年)を見ました。お気に入り筆頭の映画ですが、自宅でのDVD鑑賞がもっぱらで久しぶりの映画館での鑑賞です。

    lawrence T.E.ロレンス(1917)
    wikipedia commons

    ●夢にも思わなかったロレンスとの縁

    T.E.ロレンスの名を知ったのは小学校3年生のとき、東京創元社から出ていた世界少年少女文学全集48巻、中野好夫の「アラビアのロレンス」でした。遠い砂漠のドラマにただただ子供っぽいロマンをふくらませていただけでした。そして中学2年の冬、映画館で見た「アラビアのロレンス」の砂漠のスケール、そして美しい映像には圧倒されました。しかし、将来自分がロレンスの踏んだ同じ中東の砂漠を新聞記者として踏むことになるなど、夢にも思いませんでした。

    ●戦争、革命と混乱

    新聞記者になる前に、ロレンスを思い出したのは大学生時代。映画の終末近くに現れるダマスカスでのアラブ国民会議の混乱です。英軍より先にダマスカス入りしたロレンス率いるアラブ国民軍は、水道、電気、電話、病院などの都市インフラを占拠し、旧宗主国トルコに代わってシリア、レバノン、ヨルダンなど東アラブ地域の支配をもくろむイギリス、フランスの鼻をあかし、アラブ国家の樹立を急ぎます。

    wadi rum 
    ロレンスが活躍したアラビア半島の砂漠  wikipedia commons

    しかし、アラブ軍の主力であるベドウィンの諸部族は対立を繰り返し、国家機能を樹立できないどころか、ダマスカスの都市機能を崩壊させ、市民の日常生活はひっぱくします。国民会議は参加者の怒号と、銃声の混乱の中で失敗に終わり、ロレンスは失意の中に中東を去るというのが映画の結末です。

    ●混乱は秩序を生むか?

    フランス革命も、ロシア革命も混乱の中から国家の秩序ができあがっていきました。当時は、「この混乱こそが人類の歴史をつくってきたのだろう」と学生の私は思ったものです。

    綾小路きみまろさんではありませんが、あれから40年。映画の同じシーンがずいぶんちがって見えました。朝日新聞の中東特派員として砂漠の中東を自ら歩き、パレスチナ紛争湾岸戦争などロレンス後のアラブの混乱と、人々の苦境を目の当たりにしてきたからでしょう。また、アラブ側からの証言であるスレイマン・ムーサの「アラブが見たアラビアのロレンス」(リブロポート)を読んでもいました。

    ムーサ 
    アラブが見たアラビアのロレンス
    中公文庫版

    「混乱の中から歴史がつくられた」という歴史観は変わりませんが、映画の結末で描かれる惨状、崩壊した都市機能の中で生命を失った人々、ロレンスとアラブ軍がもたらした乱暴狼藉の犠牲者への同情、共感が強くなっていました。

    ●日本の混乱は国民をどこへ導くのか?

    戦争や革命に混乱はつきものです。しかし、平時の政権交代もかなりの混乱をもたらすことを私たちは、この一年で学びました。まるで革命政権気取りの政治家たちによって安全保障政策経済政策社会保障政策など国の根幹が改善の確証もないまま、いじりまわされました。官僚主導政治主導かの功名争いが混乱に輪をかけています。右肩あがりの時代ならまだしも、グローバル化の中で日本は沈んでいっています。こんなことをしていてよいのか? なんとなく、ダマスカスのアラブ国民会議と民主党政権を重ね合わせてみていました。

    faisal              菅直人 
    ロレンスが助けたファイサル王子       菅直人首相
    後にシリア王、さらにイラク王

    もちろん、いまの日本は議会主義のルールの上での政権交代です。昨年の政権交代による不都合が生じれば、また政権を交代させる。そして政権交代が必要に応じて起きるようになれば、昨年の政権交代は成功だったといえるでしょう。

    ●危うい英雄待望論

    第二次大戦後、日本人は日本国憲法を制定し、社会の変化に対応する手段として戦争や革命を使わないことを自らに誓いました。これは、生活習慣病を内服薬で治そうというような根気のいる作業です。ところが、世の中にはがまんのできない人が少なくありません。人気取りのポピュリズムや「剛腕崇拝」という名の英雄待望論が次第に増えているようです。英雄待望論は独裁権威主義支配への呼び水です。民主党政権が、昨年とは大きく変わった世論を顧慮せずに権力にしがみつきつづけるようなことになれば、混乱が危険な方向に進むことがないとはいえないでしょう。
     

    ● COMMENT ●


    管理者にだけ表示を許可する

    トラックバック

    http://hagitani.blog51.fc2.com/tb.php/48-f167c831
    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    HARIBOは子どもたちを幸せに クマやシカも・・・・ «  | BLOG TOP |  » 中国漁船衝突ビデオ 与野党幹部限定の公開で共通理解を

    おすすめブログに

    萩谷 順

     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
    出演番組
     スーパーJチャンネル(金)
     モーニングバード!(水)
     ワイド!スクランブル(月)
     ビートたけしのTVタックル
       (不定期)
    過去の出演番組
     そうだったのか!学べるニュース
     やじうまプラス'04-'10
    ニュースステーション '00-'04
     ニュースレーダー '85-'87
     (いずれもテレビ朝日)

    お問い合わせや講演の依頼は...

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    本人から返信します(お名前やメールアドレスなど個人情報は本人の同意なしには公開しません)

    いま何時?

    ※この時計の時刻は、閲覧しているパソコンのものであり、必ずしも正確な時間とは限りません

    Twitter

    最新記事

    カテゴリ

    大震災+原発事故 (38)
    政治経済 (71)
    国際情勢・グローバル化 (21)
    社会・生活・文化 (22)
    大学・教育・若者 (4)
    テレビ (4)
    講演 (2)
    IT・パソコン (2)
    たのしみ (28)
    ごあいさつ その他 (8)

    リンク

    このブログをリンクに追加する

    朝日新聞グループニュース

    月別アーカイブ

    RSSリンクの表示

    検索フォーム

    最新トラックバック

    FC2カウンター

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。