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    中国漁船衝突ビデオ 与野党幹部限定の公開で共通理解を - 2010.10.12 Tue

     「政府・民主党は9日、沖縄県・尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁巡視船に衝突した様子を撮影したビデオ映像について、全面公開を見送る方針を固めた」(時事通信)のだそうです。日本側の正当性の根拠はこれで日の目を見ないことになりそうです。一方、中国では国営通信社や共産党系メディアによって「海上保安庁の巡視船が中国漁船に衝突してきた」という報道がインターネット上に図入りで流されている(産経新聞)といいます。

    ●ビデオ公開の得失は?

    ビデオ公開をやめた理由は、公開すれば中国側が態度を硬化させるとの予想からだそうですが、これはいまの政府のナイーブさを物語っているように見えます。

    前原 
    前原誠司外相
    wikipedia commons

    現場での状況が前原誠司外相のいうように「中国クロ」なら、ビデオを衆院の予算委員会で公開すれば、日本の世論を激高させてしまうかもしれません。その場合でも、報道の自由がまったくない中国の市民がこのビデオを見る機会はないでしょう。それどころか「中国クロ」はプロパガンダだという中国政府による逆プロパガンダネット世論をさらに激高させて、事態は両国政府が制御できない抜き差しならぬところまで行きかねません。「公開とりやめ」には理があるようにみえます。

    では、公開しなかったらどうなるでしょう。中国政府が自国民に対して自発的に「ぶつけたのは中国漁船」などと告げるわけは金輪際ありません。中国の世論は「日本クロ」の印象を深めるでしょう。なぜなら「日本は(日本がクロだから)ビデオを公開できない」と思うからです。これは中国国民だけではありません。日本が証拠を示さなければ、国際世論も次第に「日本クロ」とまでいかなくても「どっちもどっち」に傾くでしょう。

    ●ヤブをつついてヘビを出した政府のやるべきこと

    たしかに政府は極めてむずかしい選択を迫られました。しかし、それにしても、政府は「公開」「非公開」で大きくブレました。そして、ブレたことで、また、中国を優位に立たせることになっています。

    政府が野党やマスメディアに厳しく批判されるのはやむをえません。中国漁船という「ヤブ」をつついて「中国による尖閣諸島領有権主張」という「ヘビ」を出したのは、ほかならぬ政府なのですから。しかし、こうしたとき大事なのは、野党や国民に対して、事実を明らかにしないまま、政府・与党が「自分たちは正しい」と強弁するのは百害あって一利なしだということをよく認識することす。

    戦後初めてといってもよいこの難局に対してまず必要なのは、国会で野党との間に共通の理解の土俵をつくることです。官僚にたよって、野党の正当な追及からも逃げまくるのは、およそ政治主導に反します。国民は野党にも国の舵取り補佐を頼んでいるのですから。

    Bundeswehr 
    アフガニスタンで任務につくドイツ連邦軍の車両

    ●参考になるドイツの経験

    参考になるのが、やはり第二次世界大戦の”旧敵国”ドイツです。1997年3月、アルバニア自由化をめぐる騒乱のとき、ドイツ連邦軍は自国民救出のため、6機の大型ヘリコプターからなる部隊を派遣しました。救援ヘリがティラナを離陸するとき、暴徒がヘリに銃撃を加えました。部隊はこれに対して反撃しましたが、これが、ドイツにとって第二次世界大戦後初めての「軍事救出行動」だったのです。夕刻、ヘリが安全なモンテネグロの空港に無事着いたのを機に、いまや遅しと待機していた当時のキンケル外相リューエ国防相による緊急記者会見が行われました。

    ドイツではNATO(北大西洋条約機構)域外への派兵には一回ごとに議会の事前承認を義務づけていますが、このときは、緊急事態のため、議会承認を経ていませんでした。それだけに、2人の大臣は緊張しきっていました。おまけに「ナチスの過去を持つドイツ」が外国の主権下で銃撃戦を展開したのですから。記者会見で、政府は、議会にはかけなかったが、関係国と調整したうえで、議会の与野党指導者に緊急性を説明して派遣に踏み切ったことを明らかにしました。

    kinkel 
    ドイツのキンケル外相(当時)
    wikipedia commons

    ドイツ基本法(憲法)は非常事態で議会が召集できないとき、少人数の合同委員会にその権限を任せることを定めています。アルバニアからの救出のとき、与野党指導者にのみ説明したのは、この非常事態規定にならったものです。結果的に22か国の120人が無事救出されたことで、ドイツ連邦議会は「前例としてはならない」との条件づきで「事後承認」しました。

    ●ビデオを与野党幹部に限り公開せよ

    海上保安庁による領域内の警察行動と、軍による他国の主権下での戦闘行動を単純に一緒にはできませんが、問題のセンシティブさでは、いまの日本の置かれている立場の方がはるかに微妙です。ビデオ全面公開が危険なら、せめて国会の与野党幹部に秘密会でもよいから見せておくべきだと私は思います。

    先日、このことを某野党幹部にツイートしてみたら、その幹部は後日、「国会の秘密会で即放映を!」とツイートしていました。私ならツイートでもかまいませんが、天下の野党幹部がこの問題をツイートとは情けないですね。この方は、この方法での公開の意味がわかっているのでしょうか。野党が秘密会でビデオを見せられるということは、尖閣問題で政府与党と共同責任を負うことです。政府与党の失点をあげつらうだけの立場を捨てることです。それを十分認識した上で、秘密会での公開を要求してほしいものです。

    この問題はいまや与野党あるいは与党内の政争を超えて取り組むべきものだと、私は考えます。とりわけ、「中国にパイプがある」という一兵卒閣下と前首相閣下にはビデオを見ていただきたいと思います。

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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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