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    ノーベル平和賞のメッセージ  日本への影響 - 2010.10.09 Sat

     劉
    劉暁波氏

    ノルウェーのノーベル賞委員会は8日、今年度のノーベル平和賞を中国の人権活動家・劉暁波氏に与えると発表しました。ニューヨークタイムズ(電子版)は、これを中国が経済の強大化に伴い力ずくの外交で世界に不安を感じさせていること(spreading unease internationally over
    the muscular diplomacy that has accompanied China’s economic
    rise)への叱責(rebuke)であると論評しました。ノーベル賞委員会は授賞理由として「今、中国での人権抑圧に目をつぶれば、世界での(人権の)基準を下げることに直結する」とさえ述べました。

    ●中国は怒り心頭

    馬朝旭 馬朝旭報道局長
    wikipedia commons

    平和賞授与に込められたメッセージは、これ以上でもこれ以下でもないでしょう。中国外務省の馬朝旭報道局長はただちに「劉暁波は犯罪者である。この授与はノーベル平和賞への冒涜であり、中国とノルウェーの関係を傷つけるものだ」とこれまた最大級の怒りを表明しました。そうなのだろうと思います。チベットのダライ・ラマ14世にも平和賞が授与されていますが、中国人として初めてのノーベル賞授与が平和賞それも服役中の一市民の反体制活動家への授与だったことの衝撃は、かつて封建的支配者でもあったチベット人のダライ・ラマの比ではありません。日本やアメリカのテレビの「平和賞」報道の電波を遮断するという強硬手段に出たほどです。

    ●平和賞のメッセージ

    ノーベル平和賞はこのような政治的メッセージとして使われることがあります。旧ソ連の反体制科学者アンドレイ・サハロフ氏(1975年)、ポーランドの自主労組「連帯」のレフ・ワレサ氏(1983年)、ダライ・ラマ(1989年)、ミャンマーのアウンサンスーチー氏(1991年)、イランのシーリーン・エバーディー氏(2003年)。いずれも自由を抑圧する権威主義体制への批判であり、自由を求める人々へのはげましでした。

    サハロフ サハロフ氏   ワレサ ワレサ氏
    1991年、ソ連の記念切手

    ●変わる中国への見方

    権威主義体制の方から見れば、内政干渉であり、中国の用語でいえば、「和平演変」(平和的手段によって社会主義体制を崩壊させる)の陰謀です。日本では、尖閣紛争以来中国への見方が少し変わってきました。ナイーブな「日中友好」一辺倒から、資源を獲得するためなら独裁者を助けることをためらわない中国、東シナ海、南シナ海に貪欲な食指を伸ばす中国に気づき、世界に「中国やりすぎ論」が出はじめていることも知りました。今後、劉氏への扱いがクローズアップされていけば、日本も世界も中国の負の側面を知っていくことになるでしょう。

    ●日本にとって追い風?

    だからといって、日本に追い風が吹き出したと思うのは早計です。サハロフ氏への授与からソ連崩壊までは約15年、ワレサ氏への授与からポーランド自由化までは6年がかかりました。チベットは依然として中国に支配されていますし、ミャンマー、イランの権威主義体制は生き延びています。また仮に中国共産党の支配が揺らぐようなことになれば、それは世界に未曾有の混沌をもたらす可能性だってありうるのです。目を覚ました眠れる獅子が身震いすれば、そばにいるだけで危険かもしれません。なにしろ世界の人口の約5人に1人は中国人なのですから。

    EU  人民元  温家宝 
    EU旗         人民元         温家宝中国首相

    ●自国の国益が第一

    また、世界の国々が「中国やりすぎ論」を共有したとしても、それぞれの国は自国の国益第一で行動します。尖閣紛争で、日本が中国人船長を釈放したとき、アメリカとASEAN(東南アジア諸国連合)がやったことは、南シナ海をめぐって結束を確認することでした。それに、ポーランドやイラン、ミャンマー、さらには落ち目だった旧ソ連とまったく異なり、中国は世界第二位の経済大国、それも上げ潮です。きょう届いたドイツのフランクフルターアルゲマイネ紙(4日付)の経済面のトップ記事は温家宝・中国首相のギリシャ訪問でした。このとき、温首相はギリシャの国会で演説し、ヨーロッパの経済危機の源であるギリシャへの支援、ギリシャ国債の購入を高らかに宣言しました。ギリシャへの支援で自国経済すら危うくなりかねないフランスやドイツなどEU(欧州連合)諸国にとって、金主・中国は願ってもない心強い味方です。

    ●自立外交か 孤立外交か

    世界は次第に中国の引き起こす波風に直接間接にさらされるようになるでしょう。日本では「人民解放軍の野戦司令官」を自認した政治家を権力の座につけないですんでいますが、「自立外交」を標榜して、その実「孤立外交」に陥りそうな危険があります。へたをすると、東シナ海とその沿岸諸国を「獅子の分け前」として中国の勢力圏として認めるという、チェンバレンばりの宥和政策が絶対に再現しないとは言い切れません。日本の舵取りはますますむずかしくなります。

    書き終わったところで、テレビのニュース速報のテロップ。「1ドル81円台に突入」。これも孤立の表れのひとつです。 

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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
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