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    売り言葉に買い言葉は避けられたが・・・ 竹島問題にどう対応する - 2012.08.16 Thu

     ことしの終戦の日は、近年になく騒がしい一日でした。尖閣諸島に上陸した中国人とみられるグループが逮捕され、一方では、10日に島根県竹島に上陸した韓国の李明博大統領による天皇陛下についての発言などが日本を騒がせました。
     
     水曜日の15日は、テレビ朝日「モーニングバード!」のコメンテーターの日です。「終戦の日」「韓国」「天皇」は、それぞれ単独であっても、言論の自由が支配する日本でさえなかなかむずかしい課題です。視聴者はさまざまな意見をもっています。多様な意見に配慮しなくてはなりませんし、当たらず触らず、も許されません。
     
     最近日本を騒がせた李大統領の発言は「従軍慰安問題など、日本には過去への反省がない」「日本の国際社会での影響力は昔と同じではない」、そして極めつけが日本国民の統合の象徴への侮辱といえる「痛惜の念などということばひとつ持ってくるなら(韓国へ)来なくてよい」という発言でした。天皇に関する発言については、朝日新聞のソウル特派員が「(李大統領の)国家元首としての品格をも失いかねないほどだ」と抑制的な書き方ではあれ、厳しく批判したほどでした。日本で、強い怒りと反発が出るのは当然のことです。
     
     しかし、私は、李大統領については、「発言」と「行動」を区別すべきだと考えます。「行動」は撤回できませんが、「発言」は撤回、修正できます。李大統領が竹島に上陸してしまった=実効支配の強化はもはや後戻りのできない既成事実です。この事実に対しては、しっかりと毅然とした態度を示さなければならないのは前々回のブログに書いたとおりです。幸い政府は近々にも、国際司法裁判所(ICJ)への提訴に踏み切ると報道されています。これは、正しい一歩です。日本では「竹島は日本の領土」が常識であっても、それを「世界の常識」にする努力を政府とりわけ外務省・日本外交官は怠ってきました。こんどこそ、給料に見合う仕事をしてもらわなくてはなりません。
     
     では、「発言」に対してはどうしたらよいのでしょうか? 私は「モーニングバード!」で、「大人の対応というより紳士的に対応すべきだ」と述べました。日本人を嫌悪させる大統領の発言には挑発の臭いがします。これを機会に反韓国的な(できれば差別的な)不規則発言を日本側から飛び出せば、対外、対内的な宣伝戦を有利に展開できます。「売り言葉に買い言葉」で、竹島上陸という重大な既成事実をうやむやにしてはなりません。
     
     もうひとつ気になっていたのは、韓国側が大統領発言を修正する可能性です。政府による中央の公式のイベントなどでの逃れようのない発言と異なり、今回の天皇に関する発言は地方での小さな集会での発言でした。
     
     案の定、韓国大統領府は「(天皇陛下が)韓国を訪問したがっている」とする李大統領の発言を訂正し、実際は「(天皇陛下が)韓国を訪問したいならば」と仮定の話であったとの修正を加えてきました。そして、代表取材をした韓国人記者の誤報と責任を転嫁しました。(この段落15日の読売新聞WEB報道から)

     この訂正は、日本にとっては意味があまりなくても、国際社会向けの言抜けにはなります。そして、15日の光復節(植民地からの独立を祝う記念日)の公式演説では、李大統領は竹島にも天皇にも触れませんでした。ことばでの挑発や攻撃は日本の極めて強い反発を招くことを学習したからでしょう。読売新聞によると、韓国大統領府高官は、竹島に触れなかったのは、「既に(上陸という)行動で立場を表明したからだ」としているそうです。一連の言動、行動で、韓国は実効支配の強化という一番大事な目的を達成しました。

     それでも、日本側の韓国への対応は、当面一応及第点といえるでしょう。政府は竹島についても、天皇に対する妄言についても抗議し、慰安婦問題についても日韓基本条約で解決済みという態度を変えていません。また、ことばによる非難、挑発に反応し、かえって乗じられる「売り言葉に買い言葉」という愚は犯してはいません。でも、肝心の「行動」=大統領の竹島上陸という既成事実に対しては、有効な手は打てていません。逆に韓国側はこのへんをしっかり学習したようです。韓国海兵隊が来月竹島で上陸訓練を行うと報道されています。

     加速度的に竹島への実効支配を強めてくる韓国に、どう対応すべきでしょうか。自衛隊を使うというのは論外だけでなく、国際的、国内的に巨大なマイナス効果を生みます。その点、藤村修官房長官が15日の会見で言及した「日韓通貨スワップ協定(2005年締結)」の見直しは、いわばソフトパワーによる対抗措置といえます。これは通貨危機などの緊急時に外貨を融通し合うもので、1990年代に深刻な通貨危機に陥り、現在でも、ウォンが必ずしも盤石の通貨になりえていない韓国に対しては、有効でしょう。
     
     いまひとつは、李明博大統領自身がヒントを提供してくれています。「日本の国際社会での影響力は昔と同じではない」という発言です。その発言の裏には、いまだ成熟国家とはいえない韓国が日本より厳しい少子高齢化に直面していくあせりがうかがわれます。やがて韓国の国力も衰えていけば、長期的には竹島の帰属だってどうなるかわからないのです。これを克服していく韓国政治の指導力回復のためにこそ、李大統領は「反日カード」を切ったのでしょう。「李明博は親日のはずだったのに」などといっている日本の「親韓」政治家は愚かとしかいいようがありません。親日的姿勢であれ、反日的姿勢であれ、韓国の政治家は「韓国民のために」その姿勢を決めます。これは敵ながらあっぱれといえます。

     それはそれとして、日本に十分な国力があったのは「昔の話」だという李大統領の指摘は的確です。われわれは、日本の長期的衰退こそが、中国、ロシア、韓国に領土問題でのやりたい放題を許しているという現実を直視して、国力の回復にカジを切るべきです。たとえば、日中韓自由貿易協定(FTA)よりも、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を優先させる。財政を再建する。労働市場を改革して産業構造を高度化する。社会保障、社会福祉をスリム化、効率化して、豊かな人も貧しい人も働くことが正しく評価される社会に戻すことなどです。迂遠ですが、平和国家日本が外の侮りをはねのける王道だと私は考えます。幸い、野田佳彦首相は、そうした指向の政治家です。


     
     
     
     
     
      

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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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