夏はNHKの戦争ドキュメンタリー - 2011.08.15 Mon
終戦記念日の15日午後は、録画しておいたNHKスペシャル2本「原爆投下 活(い)かされなかった極秘情報」、 続いて「圓の戦争」、さらに「”9.11テロ”に立ち向かった日系人」とハシゴをすることになりました。大量の音楽CDをネットワーク・ハードディスクにコピーをしていたため、最初はコピー待ち時間の傍らだったのですが、次第に画面が主になりました。いずれも見ごたえのある作品でした。
「原爆投下 活(い)かされなかった極秘情報」は広島、長崎に原爆を投下した米軍のB29のテニアン島出撃を当時の陸軍特種情報部が無線傍受で探知し、情報を参謀本部上層部に上げていたのに、迎撃はもちろん、空襲警報すら出されなかったという秘話です。「圓の戦争」は、日中戦争、第二次世界大戦を戦った日本の巨大な軍費を賄っていた特殊なメカニズムについての貴重な記録です。そして、「”9.11テロ”に立ち向かった日系人」は、9.11テロ直後の米国で人種差別と闘ったノーマン・ミネタ元米運輸長官が、大戦中に日系人強制収容所に入れられていた経験を振り返る中から米国社会を語るものです。番組を見ていない方は、それぞれの番組の名前(青色 下線部)のところをクリックしてください。
7年前大学教員になり、久しぶりに夏季休暇に恵まれるようになって、夏はNHKのドキュメンタリーをよく見るようになりました。数年間続いた「兵士たちの戦争」がきっかけでした。戦前の日本の都市の多くには、陸軍の師団や連隊がありました。NHKの各地方放送局が地元の師団、連隊の悲惨な戦史を、地元の生存者を訪ねて物語るものです。登場する元兵士たちは90歳前後、生存兵士たちの多くが亡くなっていく中での貴重な聞きがたりです。初めは同業者として、「時」と「地の利」を生かした上手な企画だなと思ったのですが、やがて、NHKの地方放送局の高い力量にも気付かされました。
「情報」がありながら、それを活かせず、むざむざ20万人余の犠牲者を出した国家上層の不手際を突く「原爆投下 活(い)かされなかった極秘情報」にしても、破綻することが予測されるのに、無謀な戦争のために国債や通貨の乱発を続けた国家の愚かしさを描き出した「圓の戦争」にしても、原発事故後の無為無策や、借金漬けなのにご機嫌とりのマニフェストを捨てられないいまの政治を思い起こさせずにはおかない現在的視点があります。
訴求力はハイビジョンの映像のせいだけではありません。戦争と国家、国民の関係を考えるとき、新聞がともすれば、「逆コース批判」と「自虐史観批判」の不毛な二項対立にはまり、教条的になりがちな中で、時間と手間をかけて、中庸の立場からわかりやすく語るNHKの戦争ものの視点は貴重です。若いひとたちにはぜひ見てもらいたいと思います。
「原爆投下 活(い)かされなかった極秘情報」は広島、長崎に原爆を投下した米軍のB29のテニアン島出撃を当時の陸軍特種情報部が無線傍受で探知し、情報を参謀本部上層部に上げていたのに、迎撃はもちろん、空襲警報すら出されなかったという秘話です。「圓の戦争」は、日中戦争、第二次世界大戦を戦った日本の巨大な軍費を賄っていた特殊なメカニズムについての貴重な記録です。そして、「”9.11テロ”に立ち向かった日系人」は、9.11テロ直後の米国で人種差別と闘ったノーマン・ミネタ元米運輸長官が、大戦中に日系人強制収容所に入れられていた経験を振り返る中から米国社会を語るものです。番組を見ていない方は、それぞれの番組の名前(青色 下線部)のところをクリックしてください。
7年前大学教員になり、久しぶりに夏季休暇に恵まれるようになって、夏はNHKのドキュメンタリーをよく見るようになりました。数年間続いた「兵士たちの戦争」がきっかけでした。戦前の日本の都市の多くには、陸軍の師団や連隊がありました。NHKの各地方放送局が地元の師団、連隊の悲惨な戦史を、地元の生存者を訪ねて物語るものです。登場する元兵士たちは90歳前後、生存兵士たちの多くが亡くなっていく中での貴重な聞きがたりです。初めは同業者として、「時」と「地の利」を生かした上手な企画だなと思ったのですが、やがて、NHKの地方放送局の高い力量にも気付かされました。
「情報」がありながら、それを活かせず、むざむざ20万人余の犠牲者を出した国家上層の不手際を突く「原爆投下 活(い)かされなかった極秘情報」にしても、破綻することが予測されるのに、無謀な戦争のために国債や通貨の乱発を続けた国家の愚かしさを描き出した「圓の戦争」にしても、原発事故後の無為無策や、借金漬けなのにご機嫌とりのマニフェストを捨てられないいまの政治を思い起こさせずにはおかない現在的視点があります。
訴求力はハイビジョンの映像のせいだけではありません。戦争と国家、国民の関係を考えるとき、新聞がともすれば、「逆コース批判」と「自虐史観批判」の不毛な二項対立にはまり、教条的になりがちな中で、時間と手間をかけて、中庸の立場からわかりやすく語るNHKの戦争ものの視点は貴重です。若いひとたちにはぜひ見てもらいたいと思います。
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