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    「ありもの」と「総選挙」が新政権のキーワード - 2011.08.14 Sun

    お盆を迎えて、3月11日以来の日本の異常事態も表面上小休止の盛夏です。菅直人首相はようやく延命をあきらめたようです。お盆以降は日本の政治も前向きに動き始めそうです。メディアも、完全な死に体なのに往生際悪く小細工を繰り返す菅首相について批判を繰り返さなければならないというなんともやりきれない状況から解放されます。やれやれです。

    ●政治空白に終止符が打てるか?

    特例公債法と再生エネルギー利用法が成立して、菅首相が約束通り退任すれば、民主党の新代表選挙、続いて新首相の指名、そして政権の構成と新内閣の組閣が行われます。3月11日以来の事実上の政治空白に終止符を打つことが期待されます。とはいえ、菅首相退任は行き詰まり感からの心理的な解放感をもたらすものの、民主党が衆議院では圧倒的多数なのに、参議院では少数という「ねじれ国会」には変わりはありません。おまけに民主党は首班指名で優先的な力を維持していますが、「マニフェスト」をかなぐりすてただけでなく、党内もバラバラで、もはや政権党としては政策的にも、組織的にも一体性を失ってしまいました。こうした中で、今後の政治の動きを見ていくうえで重要なキーワードは「ありもの」「解散・総選挙」です。

    ●「理想の指導者」を求めることはできない

    新首相に理想の人材を期待することはできません。これが現実です。いま私たちが見ている民主党の中ボスたち、つまり「ありもの」から新首相を選ばなければならないということです。いま有力とされている野田佳彦財務相をはじめとした中ボスたちの世論調査での期待度は5%前後。まさに「どんぐりの背比べ」です。みんなの党の渡辺喜美代表は「B級グルメどころかD級グルメ」と表現しました。しかし、「理想の指導者」を求める余裕はありませんし、ときには危険でさえあります。新首相は、野田氏にせよ、だれにせよ「ありもの」の中から選ばねばなりません。また衆議院の現在の多数派である民主党の中から選ばねばなりません。もし、民主党がほんとうに「挙国一致」「救国」を望むなら自民党など野党の中の優秀な人材に総理大臣を譲るという方法もありますが、残念なことに民主党にその潔さを期待するのはむずかしそうです。また、野党にも衆目の一致する首相候補がいないことも世論調査の示すところです。

    ●「ありもの」を上手に使う政治上手になろう

    だからといって失望する必要はありません。料理上手というのは、完璧なレシピと上等な食材から料理を作る人ではありません、冷蔵庫の中のありものの中からでもおいしいものを作れる人をいいます。これまでの日本人は、長く続いた自民党政権下で、「正しい政治」についての妄想をふくらませすぎてきました。その結果、絵に描いたモチの「マニフェスト」や「米軍駐留なき安保」という幻想に飛びつき、結果として東日本大震災、原発事故対策での政治の不始末を被ったのでした。私はイソップの寓話「カエルの王様」を思い出します。カエルの王様はカエルが一番です。「ありもの」の政治家の中から首相を選び、それを上手に使い、だめなら首をすげかえればよいのです。どうも鳩山由紀夫前首相や菅首相というのは、この寓話の「流木」の王様(ひょっとしたら、もうコウノトリ?)だったような気がします。そろそろ、カエルの王様に戻りたいものです。

    ●国民に求められるもの

    しかし、政治の主人公である国民にもやるべきことがあります。それは、もうすこし我欲を捨てることです。バブル崩壊以来の日本の政治の最大の課題は、グローバル化の結果、新興国が中心になってきた世界に適応できるように日本を作り替えることでした。しかし、それは様々な既得権の壁に阻まれてきました。政治家たちは、選挙だけを気にして重要な決定を先送りしてきました。いま、世界では、これは「フジヤマ病」(英誌TheEconomist)と名付けられています。日本同様、財政危機を脱する力がないオバマ米大統領やメルケル独首相もその患者とされています。先進国がグローバル化に適応するには、有害な既得権をなくしていく必要があります。しかし、国民の多くは他人の既得権は非難しますが、自分が乱用している既得権には知らぬ顔をします。最近の日本での好例は大震災、原発事故の被災者に対する高速道路の無料使用です。茶碗が壊れただけでも被災証明書が出るというのはまだしも、常磐道の水戸インターを使うことで、被災地とまったく関係ないトラックが無料通行しています。水戸インターで出入りするトラックの14%がこうした制度の乱用だったそうです。14%というのはなかなか興味深い数字です。数知れぬ政策的補助や給付、さらには社会福祉など弱者への給付などの100%すべてが乱用ではないとは考えられません。しかし、こうした乱用されている既得権を削ることができず、赤字国債を乱発してきたのが、自民党政権、民主党政権を通じての日本の政治の過ちです。「ありもの」の新首相に、日本が本当に必要とする政策決定をしてもらえるようにするには、国民が賢くかつ道義的になる必要がありそうです。

    ●総選挙を意識した与野党せめぎあい

    一方、「ありもの」の新首相が誕生しても、政治の趨勢はいやおうなく「解散・総選挙」を意識したものになっていきます。野田財務相は13日、新政権の構成について自民党、公明党を含む大連立の必要性を指摘しました。たしかに、「ねじれ国会」の現状では、大連立は大きな意味を持ちます。現在の与野党の勢力配置で大連立に移行すれば、国会での与党は圧倒的多数になり「ねじれ国会」は解決します。しかし、巨大与党は社民党に近い民主党議員からタカ派の自民党議員までを抱え込みます。これでは政権内部がねじれるだけです。また、民主党からの大連立の誘いは多分に来たるべき総選挙対策の匂いがします。野党を政権内に誘い込んで共犯者にすれば、総選挙での民主党の敗北を軽減することができるかもしれないからです。一方の自民党、公明党は大連立が国民の声となったときには追い込まれます。大連立に参加して共犯者の道を選ぶか、野党に徹して「挙国一致」に背を向けたと非難されるかのどちらかです。いまのところ、自民党内でこの中間の「閣外協力」の線が強いそうなのは、自民党の利害からいえばうなづけるところです。こうした現状を見るかぎり、与党も野党も口では「挙国一致」を唱えながら、党利党略をなかなか超越できていないというのが現状です。

    ●意味のある総選挙を

    しかし、政治はこの現状を前提としなければなりません。ないものねだりをしている余裕はありません。「ありもの」の総理大臣と「大連立」か「閣外協力」の内閣で再出発しなくてはならないのです。いずれにせよ、民主党単独政権(国民新党などとの小連立もそうですが)はマニフェストの瓦解とともに正統性を失っています。まして、東日本大震災+原発事故は政権交代時の条件を根底的に変えました。議会制民主主義の公理からいえば、解散総選挙が必要なのです。ただちにそれができないとすれば、新しい政権の重要な任務のひとつは、可能な限り早く総選挙を行うことです。そのためには、「一票の価値」の不公正を是正する必要がありますし、そもそも、自民党、民主党という二大政党が解体しての政党再編成を経た総選挙が理想的です。「支持政党なし」が60%を超える状態というのは既成政党の存在理由が極めて希薄だということを意味します。まさに日本の将来を左右する来るべき総選挙は選び甲斐のある、そして意味のある総選挙でありたいものです。しかし、国会議員たちが享受している既得権(議席)も、国民が享受している既得権同様たいへん頑固な障害です。
     

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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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