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    身勝手を見抜かれた菅直人首相 - 2011.07.12 Tue

     11日は東日本大震災から4か月目でした。津波の被災地の状況や福島原発周辺の被曝状況が目に見えて好転したとはいえない4か月目です。きょう公表されたNHKの世論調査によると、菅直人内閣の支持率は16%(先月より9ポイントの急落)、民主党の支持率は13.6%(先月より7ポイント近く急落)と、いずれも政権交代以来最低(民主党支持率は2007年5月以来の低率)です。内閣支持率は麻生太郎内閣の最末期の15%に近い一方、自民党の支持率は23.4%とほぼダブルスコアに近い数字です。就任わずか8日で、松本龍復興担当相が被災地に対する暴言で辞任する一方、菅首相自身が海江田万里経産相のはしごをはずして玄海原発再稼働への同意を翻し、突然原発のストレステスト(耐性検査)を振り回して、世間を呆れさせたことを考えるとこれは当然の結果といえるでしょう。

    ●原発事故は想定外としても

    4か月の節目にあたって、菅首相の責任(無責任)を整理しておきたいと思います。3月11日の東日本大震災の発生と東京電力福島原発の過酷事故の発生は、そこまでに至る道で過去の自民党政権と東電そして原子力ムラが積み重ねてきた過失を考えれば、菅首相にとっては「想定外」とするのがフェアでしょう。しかし、それからの失政はもはや看過しきれないところまできています。NHK世論調査の数字、菅首相の退陣時期について「ただちに」という回答が38%で最多という数字が如実にそれを示しています。

    ●想定された事態に対応できない菅首相

    菅首相の罪は、大震災、原発事故発生という事態を受けて「想定されたこと」に対する対策が後手後手に回り、実行すべき対策が十分に講じられてこなかったことにあります。ひとつひとつ挙げているときりがありませんので、ストレステスト事件に焦点を絞ります。ストレステストとは、原発の運転再開や継続を判断するための新たな基準を作るための前提です。通常より過酷な条件を加えたコンピューター上のシミュレーションで原発の安全の度合いをはかるものです。ストレステスト自体、さらには「新しい安全基準づくり」自体は必要なことです。問題は、それを原発事故から4か月も過ぎようというときに突然言い出したことです。

    ●想定されていた電力需給逼迫に向けて菅内閣がやったこと

    ストレステストや「新たな基準づくり」は時間がかかるだけでなく、電力供給に深刻な影響を与えます。このままだと来年の5月には全国の原発がストップする事態も予測されていますし、冬場の電力不足が国民生活に与えるダメージは夏場の電力不足よりも深刻だといわれています。そして、福島原発事故以降、すなわち3月の時点で、この夏場の電力不足はだれにも予測されたことです。東電、東北電力は休眠火力の活用や電力会社間の電力融通で対処しようとしてきました。一方、菅政権がやったことは蓮舫さんという節電啓発担当大臣をおき、節電PRをしたことと、電力使用制限令を発動したことです。

    ●ねこなで声と罰則

    節電啓発担当大臣が置かれたとき、私はアフガニスタンのタリバーン政権が置いた「勧善懲悪大臣」を思い出しました。これは、イスラム原理主義の戒律を守らせるいわば宗教警察のようなものです。しかし、蓮舫さんは7月の改造で姿を消し、その任務は細野豪志原発担当の坦務の中に消えてしまいました。原発担当大臣が節電を坦務するのは本来当然のことですが、そもそも何もできなかった蓮舫さんにやらせたことは菅首相が国民を甘く見ていたことの表れです。電力制限令というのは要するに「電力がないから使うな」と命令しただけのことです。「ねこなで声」や罰則で電力消費をむりやり減らそうとしたのです。夏場の電力不足という「想定された」事態に手をこまねいていたというなによりの証左です。

    ●危機のガバナンス

    菅内閣は何をやるべきだったのでしょうか?マクロ、ミクロの経済構造や社会の電力消費慣習を利用あるいは改革して短期的には電力需給のバランスをとること、企業の生産活動や国民生活に電力需給が好転する見通しをつけることです。これが危機のガバナンスです。菅内閣でなく、ほかの内閣であったとしてもやらなければならなかったことですが、現にここに存在している菅内閣が実際にやったことは、電力需給の逼迫の最頂点で、見通しを真っ暗にすることでした。

    ●見抜かれている手前勝手

    その一方で、東京電力管内の11日の最大電力使用は4,599万㌔ワット(供給量の88%)と今年最高を記録しましたが、梅雨明け前だった昨年の相当日を大幅に下回っています。これを蓮舫さんの啓発のおかげだと考える人がいたら、相当ノーテンキな人です。企業も市民も「使うな」といわれたから使わないのではありません。いま日本が大変な危機にあると市民が認識しているからこそです。そして、この市民のリアルな危機感はNHK世論調査の「菅総理大臣が急きょ原発の運転再開や継続を判断するための新たな基準を作るよう指示したことに対する評価を聞いたところ、▽『大いに評価する』が3%、▽『ある程度評価する』が22%、▽『あまり評価しない』が34%、▽『まったく評価しない』が32%でした」にも表れています。ストレステストの必要は原発事故直後から野党などによって指摘されていたのに、いまごろになって持ち出した菅首相の「『脱原発』依存」=地位しがみつき、を見抜いているのです。

    ●ストレステストをやるべきだった対象は?

    3.11後に想定された事態に適切な対応ができない菅直人という政治家にこそ、総理大臣になる前に「ストレステスト」をやっておくべきだったと思います。



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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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