topimage

    2017-11

    スポンサーサイト - --.--.-- --

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    菅直人から中古車が買えるか? 政治と信用について - 2011.06.04 Sat

    3日(金)の閣議のときの菅直人首相の満面の笑顔は何だったのでしょうか。これだけの晴れやかな笑顔はなかなか作り笑顔ではできません。まさに「してやったり」です。しかし、天網恢恢疎にして漏らさず。政治家菅直人氏は、衆議院での内閣不信任案否決をめぐる談合で、鳩山由紀夫前首相に「口約束を守れないのはペテン師」とまでいわしめたことによって、目論見とは反対に遠からず退陣に追い込まれることになりそうです。

    菅直人笑顔 

    ●鳩菅談合のキモは


    2日午前の菅・鳩山会談で何がどう話し合われたかの細部は新聞で伝えられていますから、それに譲ります。ここでの要点は、①菅首相が早期の退陣を(口約束にせよ)認めた②菅首相は「私を信じてほしい」と「退陣」を文書化させなかったの2点です。これをもって、鳩山氏は不信任案反対に転じ、民主党内の反菅派もこれに同調しました。「切腹する」といっている者の首をはねるのは控える。いわば「武士の情け」です。ところが、菅首相は代議士会でのあいさつで、「退陣」の「た」の字も出さず、否決後の記者会見では来年初めまでの続投を宣言したのです。

    ●退陣の「た」の字もない「首相あいさつ」「覚書」

    この日、私はスーパーJチャンネル(テレビ朝日)の出番でした。テレビ朝日入りする直前に情勢は前日深夜とは大きく変わっていました。テレビ朝日の報道局で「菅首相あいさつ」の全部を聞き、「菅鳩覚書」をチェックした私はスタッフにいいました。「おいおい、菅はやめるなんて、ひとこともいってないぞ!」。「若い人たちにさまざまな責任を引き継いでもらう」という文言は、「部分的に責任を分担させていく」ことと理解する方がすなおです。「覚書には退陣ということばはない」という菅首相の言い分は、それはそれでそのとおりなのです。

    代議士会 
    2日の民主党代議士会であいさつする菅首相

    ●報道の流れつくった「耳打ち」

    しかし、新聞の号外、夕刊、そして夕方のテレビニュースは「菅首相退陣表明」の流れになってしまいました。なぜでしょう? 翌日になってわかったその背景は次のようなものでした。2日の鳩菅会談の直前に首相側近(安住淳・国対委員長といわれます)が記者たちに「首相退陣」の情報を耳打ちでばらまきました。記者たちは、そのコンテクストでその後の情報を理解し、「首相あいさつ」をも色眼鏡で見て、「首相退陣」と報道してしまったというわけです。民主党議員も雪崩を打ちました。「あいさつ」が効いたのです。その夜のtwitterで「あいさつするほど友だち増える」と公共広告機構(AC)の「ぽぽぽぽ~ん」CMをもじった人がいたのには大笑いしました。まさに「あいさつ」が青票(信任)を稼いだのです。一方、菅首相は用心深く言葉を選び、不信任案が否決された安全地帯にたどりついてから、「やめるなどとひとこともいっていない」と開き直ったということのようです。

    ●約束守らぬのは民主党の十八番か?

    鳩山前首相の詰めが甘いのに乗じたということです。そして、このペテンは計画的な匂いすらします。鳩山氏が激怒するのも当然ですが、彼とて有名な「トラスト ミー」事件があります。資金疑惑での政治倫理審査会への出席問題で小沢一郎元代表も信用に自ら傷をつけています。民主党さんは「約束」というものをあまりまじめに考えていないといわざるをえません。

    鳩山由紀夫小沢  

    ●「能力」「資質」を超えて「人格」に自ら決定的な汚点

    しかし、今回ばかりは、菅首相は自らを決定的に追い込んでしまいました。ただでさえ大震災、原発事故対応で、菅首相の「能力」「資質」には大きな疑問符がついていました。だからこそ、野党は不信任を突きつけ、与党内にも同調の動きが出たのです。もし、菅首相の「能力」「資質」が万全なら与党内の反乱は起きる余地がありません。そしてなにより致命的なのは、今回の「ペテン師」事件が、菅首相の「人格」に決定的な疑念を抱かせたことです。それを象徴するのが、巾着切りのようなやり方で結党の同志を裏切ったあげくの翌朝の笑顔です。

    ●約束を守らぬ人は信用されない

    政治というのは人間関係の技術です。その基本は「約束を守る」ことにあります。約束を守る人は信用されます。信用は他人を動かす最大のもとでです。しかし、菅首相は自らを「信用できない人間である」と天下に宣伝してしまいました。

    ●菅首相から中古車を買うと?

    ヘルムート・コール 
    ヘルムート・コール元ドイツ首相

    1980年代から90年代にかけてドイツ統一のリーダーだったヘルムート・コール元首相には、若いときから「コールさんからなら安心して中古車が買える」という評価がありました。ドイツの中古車売買は業者を通じてでなく、大半が個人間で行われます。中古車を売りたい人は新聞に三行広告を出します。買い手はその新聞広告によって売り手に接触するのです。どこに瑕疵があるかわからないのが中古車です。査定データを示す場合もありますが、それにはけっこうなお金がかかります。基本は売り手、買い手双方が会ってみて、それぞれが「相手が信用できるか」を判断する真剣勝負です。ある世論調査で「恋人よりクルマが大事な男性が多い」という結果が出たほどにクルマはドイツ人にとって重要なものです。そして、その売買について「この人なら信用できる」と太鼓判を押されたコール元首相が16年にも及ぶ長期政権を維持したのは理解できることです。

    さて、みなさんは菅首相から中古車を安心して買いますか?


     

    ● COMMENT ●


    管理者にだけ表示を許可する

    トラックバック

    http://hagitani.blog51.fc2.com/tb.php/184-39d9a9b2
    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    政治空白を解消するために考えるべきこと «  | BLOG TOP |  » 質の悪い抗争に収束 菅内閣不信任案のてんまつ

    おすすめブログに

    萩谷 順

     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
    出演番組
     スーパーJチャンネル(金)
     モーニングバード!(水)
     ワイド!スクランブル(月)
     ビートたけしのTVタックル
       (不定期)
    過去の出演番組
     そうだったのか!学べるニュース
     やじうまプラス'04-'10
    ニュースステーション '00-'04
     ニュースレーダー '85-'87
     (いずれもテレビ朝日)

    お問い合わせや講演の依頼は...

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    本人から返信します(お名前やメールアドレスなど個人情報は本人の同意なしには公開しません)

    いま何時?

    ※この時計の時刻は、閲覧しているパソコンのものであり、必ずしも正確な時間とは限りません

    Twitter

    最新記事

    カテゴリ

    大震災+原発事故 (38)
    政治経済 (71)
    国際情勢・グローバル化 (21)
    社会・生活・文化 (22)
    大学・教育・若者 (4)
    テレビ (4)
    講演 (2)
    IT・パソコン (2)
    たのしみ (28)
    ごあいさつ その他 (8)

    リンク

    このブログをリンクに追加する

    朝日新聞グループニュース

    月別アーカイブ

    RSSリンクの表示

    検索フォーム

    最新トラックバック

    FC2カウンター

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。