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    「非常時」という呪縛 憲政のメルトダウン回避を - 2011.04.22 Fri

    菅直人首相は22日の閣議で、「被災者には丁寧に接するように」と指示しました。さすがに前日の福島県田村市立体育館での被災住民の「怒号」がこたえたようです。22日午前零時を期して、東京電力福島第1発電所から半径20キロは立ち入り禁止の「警戒区域」となりました。政府はさらに飯舘町など20キロ圏外であっても汚染の測定値の高い地域を「計画的避難地域」に指定しました。やっとではありますが、現実に即した対応に転換しようとしているのはよしとしても、いずれも1ヶ月も前から必要だと批判されてきたことです。なにやら「逆ギレの対応」のようにさえ見えます。そして、20キロ圏内であっても、累積汚染値が低いところもあると指摘されているように、まだまだ住民本位の丁寧な対応になってはいないのが残念です。

    ●短時間に露呈したボロ

    殺風景 
    被災者に「殺風景な男」と呼ばれた菅首相=産経新聞

    原発被災者訪問を終えた菅首相は記者団に対する説明の中で、警戒地域の範囲を「3キロ、5キロ」といいまちがえたあと、同行した福山官房副長官の耳打ちでやっと「20キロ」という正解にたどり着きました。このてんまつを映像で伝えたフジテレビの21日深夜のニュースを見て、私はあらためて暗たんたる気持ちになりました。原発被災地への短時間の滞在だけで、これだけボロを出す人を日本はまだリーダーとし続けなければならないのでしょうか。

    ●それでも、内閣支持率は少し上がった

    世論調査を見ると、菅内閣の支持率は東日本大震災前と比べるとわずかながら上がっています。しかし、多いもので30%強です。ただ、この数字には「いまは非常時、首相を替えるときではない」という消極的支持が相当数含まれているのは確実です。英語でいえば、support(支持)というよりtolerate(堪え忍ぶ)という方が適切です。我慢強い日本人の性質がそこには表れているようです。「一昨年夏、民主党に投票した自分はまちがっていなかった」と思いたい気持ちもあるでしょう。

    ●「財政再建のメドがつくまで」?

    「原発事故収束の工程表」「警戒地域の指定」「復興構想会議」の3点セットを提示したことのついでに菅首相は「財政再建のメドをつけるまで」首相にとどまる意向まで示したようです。ただでさえ火の車だった国家財政が震災、原発事故対策でさらに悪化するのは確実です。ということは、「非常時」をよいことに、再来年の任期満了衆議院選挙を越えて、居座りつづけようというのでしょうか。

    ●さすがに、民主党内に動きが

    小沢 

    民主党内では、小沢一郎元代表ら反菅派が動き出しました。しかし、彼らに倒閣ができるでしょうか? 野党の内閣不信任案に同調して菅内閣を倒しても、小沢系の首班をもくろむなら衆議院の多数を得ることはできないでしょう。自民党など野党と組んだところで、それは「非常時」を意識しない無責任な権力闘争と非難されることは確実ですし、そうなれば、政権交代で享受した「権力とポスト」を民主党で独占するうま味は薄くなります。一方、自民党など野党だけで内閣不信任案を可決する力はありません。だからといって、民主党内の反菅派と結託すれば、後継首班のメドは立ちません。やはり「非常時」を意識しない無責任な権力闘争と非難されます。仙谷由人官房副長官らにしても菅首相の首のすげ替えに出れば、同様な非難を浴びることになります。

    ●大連立も延命目的

    反対派は「非常時」ということばの前で、かけ声は出ても足が前に出ない金縛り状態です。ねじれ国会の問題を解消するための大連立構想も、これまでの民主党の動きからは野党の足元を見透かして、菅首相の延命をはかるためのものであることが見え見えです。これでは野党もおいそれと乗れません。もし、菅首相が譲って、最大野党のだれかを首班にすえる挙国一致内閣を提案するならば、状況は打開されるかもしれませんが、菅首相のこれまでを見るかぎり、それは極めて望み薄です。

    国会 

    ●「既成事実」の居座り

    議院内閣制のこうした手詰まり状態を人名を消去した客観的な方法で分析してみましょう。いまの日本の政治は表面的には民主・自民の二大政党制のようにみえますが、与党民主党は「権力とポスト」のうま味を享受することでは結束するものの、実態はバラバラです。自民党も一枚岩ではありません。政策をもって国民の支持を競うべき政党は蒸発してしまって、小ボスを中心とした小さな議員グループが乱立している状況です。この手詰まりの上に「震災前」の政治状況が生んだ既成事実=菅首相が、この国会の状況を奇貨として国政の舵取りの座にしがみついているのです。

    ●有効な多数派形成できなければ、憲政がメルトダウンへ

    議院内閣制は、選挙で選ばれた議員たちに国政を効率的に運営していく多数派を形成する能力があることを前提としています。しかし、いまの日本の国会議員たちは「大震災」後の状況に適応する有効な多数派をつくる力を失っています。こうしたとき、発展途上国であれば、超憲法的に非常時の権力をにぎる軍によるクーデターが起きても不思議のない状況ですが、幸いにして、自衛隊はシビリアンコントロールが徹底していますから、そのような挙には出ませんし、国民もそれを望んでいません。ただ、現在の衆議院の議席配分を前提としてはもはやにっちもさっちも行かない状況です。このような状況が続くと、憲法に基づく議院内閣制、政党政治に対する国民の信頼が失われていきます。それはとりもなおさず、日本国憲法の危機につながります。メルトダウンの危険は、福島原発だけではありません。日本国憲法にもとづく政治=憲政がメルトダウンしようとしています

    3号機 

    ●憲法の枠内での国会のリセットが必要

    有効な多数派を新しくつくるために日本国憲法が用意している道具は「衆議院解散」と「内閣不信任」です。つまり行き詰まった国会の議席配分を変えるか、総理大臣をやめさせるかのリセット機能です。しかし、「衆議院解散」は首相の専権事項です。菅首相がその気にならなければ実現しません。一方、「内閣不信任」が簡単に成立しないのは上で書いた通りです。「これだから日本国憲法は平時にしか使えない憲法だ」と憤ってみても始まりせん。私たちはこの憲法を使って有効な多数派を形成させなければなりません

    ●「非常時」という呪縛からの解放を

    衆議院解散 

    多くの人々は大震災+原発事故という未曾有の災厄に金縛りになり、「いま政権を替えることはできない」「解散総選挙をやっている余裕はない」と思い込んでいますが、果たしてそうでしょうか。選挙ができないなどということはありません。現に統一地方選挙は粛々と行われています。離散状態にある被災地の代表選出に関しては別途知恵を絞る必要がありますが、総選挙、そして新しい政権形成までの間は現在の政権が責任を持って政治を行います。よもや、「後は野となれ山となれ」にはならないと思います。たしかに、日本国憲法では、衆議院が解散されている間、参議院だけで予算、法律をつくることができません(憲法59条)が、これは平時のことです。憲法54条2項、3項は「国に緊急の必要があるときに」参議院の緊急集会に国会の役割を果たすことを求めています。日本国憲法の中ではまれな有事を想定したこの規定を活用すれば、早期の総選挙は可能ですし、震災後の状況に適応した新しい多数を作り出す道は開けるでしょう。そのために必要なのは、「非常時という呪縛」から自らを解放することです。「総選挙は可能だ」と国民が声をあげることが必要です



     

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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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