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    ガバナンス不全ここまで 菅内閣と大震災・原発事故 - 2011.04.08 Fri

    まもなく東日本大震災発生から1ヶ月がたとうとしている7日深夜、東北地方を最大の余震(M7.1)が襲いました。大きな津波はありませんでしたが、東北電力管内で約400万戸が停電しただけでなく、東日本大震災で運転停止中の宮城県女川原子力発電所、青森県東通原子力発電所の冷却用外部電源が遮断されました。

    地震発生時のなぞの光=NHK

    送電線が断線したことによるアーク放電の光とみられる

    東京電力福島第1原子力発電所には異常はないとされています。しかし、その状態は依然として「小康状態」が続いています。海に直接漏れていた高濃度汚染水は6日食い止めることができました。また、原発周辺で観測される放射性物質の値は落ち着いていると伝えられます。6日からは、1号機の格納容器に窒素を注入する作業が始まりました。これは格納容器の水素爆発を予防するためで、後手後手に回っていた対策が先手に回った数少ない例として注目されます。しかし、これは水素爆発の可能性を懸念したアメリカの原子力規制委員会(NRC)の助言だそうです。現在6万㌧といわれる汚染水はさらに量を増やしていくでしょう。NRCは「原子炉の温度が再上昇する可能性が否定しきれない。依然として不安定な状態」と認定しました。

    8日朝までの福島第一原発の状況=朝日新聞
    8日朝まで  
    ●いよいよ汚染の「累積」が問題に

    チェルノブイリ原発の場合は、事故後役10日で放射性物質の放出阻止にメドがつき、1ヶ月後にはコンクリートを使用した石棺工事が始まりました。福島第1原発は遅れています。原子炉が爆発し、一時に大量の放射性物質をまきちらしたチェルノブイリとは事情が異なるにせよ、石棺工事開始どころではなく、水素爆発や水蒸気爆発の可能性が完全に消えたわけでもありません。少量だとしてもだらだらと放射性物質が放出される状態が続いているだけに、環境への汚染の「累積」がだんだん重要な懸念になってきました。

    ●大事なことを国民に伝えるチャンネルはばらばらのまま

    edano 

    政府は近く、立ち入り禁止地域地域を設けるなど、より厳しい安全対策に移行する方針のようです。「累積」を懸念してのものですが、これまで、「ただちに健康に影響はない」と説明されていた関係住民は裏切られたような気がするでしょう。「『直ちには・・・』と言っていたじゃないか」といいのがれようとするなら、そういうのを「三百代言」というのだと申し上げておきましょう。そして、これら大事な情報を国民に知らせるチャンネルは、依然として官房長官、東電、原子力安全保安院とバラバラです。さらにお互いの意思疎通が十分でないため、私たちは「小康状態」なのか「不安定状態」なのかもわからない状態に置かれています。

    ●看板だったガバナンスの改革はどこへ

    ひとことでいえば、これはガバナンスの不全です。政権交代を実現した民主党の売り物のひとつが「ガバナンスの改革」でした、自民党長期政権が定着させた不公正、不公平、非能率なガバナンスを公正、公平、能率的なガバナンスに置き換えるはずでした。事務次官会議の廃止、副大臣、政務官を増やして政治主導を実現すること、政治主導の手段としての国会での官僚による答弁の禁止などがその柱でした。

    ●笑わせるなよ

    亀井静香   

    それが緒に就く前に菅直人政権は未曾有の危機に直面してしまったということもいえるかもしれません。しかし、大震災後明らかになったことは、首相官邸が官僚機構や東電を掌握しきれていないこと、政府・与党もばらばらなことです。永田町・霞ヶ関から聞こえてくるのは「官邸はパニクっている」「がんばっても能力がない」という冷ややかな見方です。「日本の2大リスクは原発事故と菅直人だ」と言い切る人もいます。亀井静香国民新党党首は6日、菅首相と会談したあと、記者団に対し「官僚を使いこなす能力は一に亀井さん、二に私、三は仙谷さんかな」という菅首相の発言を披露しました。これは政治取材の中では「ハコだね提供」といわれるものです。お堅い政治面の息抜きになるコラムのためのちょっと面白い話です。与党経験の長い亀井さんのサービスですが、同時に亀井さんはこの菅発言が政治記者によって否定的に扱われることはとうに計算ずみです。要するに亀井さんは「笑わせるなよ」といいたかったのでしょう。そういえば、亀井さんは「バカ+バカ+バカはやっぱりバカ」という名言を残しました。これも「ハコだね提供」でした。

    ●仙谷由人官房副長官は民主党流ガバナンスを否定

    小沢一郎 

    その菅発言で「三」といわれた仙谷さんが危機のドサクサ紛れに官房副長官として政府に返り咲いて最初にやったことの1つが「各府省連絡会議」の設置でした。これは事務次官会議の復活にほかなりません。民主党は7日、官僚による国会答弁の廃止などを含む国会法改正案の取り下げを決めました。これは小沢一郎元代表肝いりの法案でした。小沢氏は法案の提出責任者になっているので、法案取り下げには、小沢氏の同意が必要なのだそうです。また火種を抱え込むことになりそうです。民主党自体は官僚による答弁禁止にまだ未練があるようですが、官僚からの信頼が厚いといわれる仙谷さんのやっていることは民主党流ガバナンスの否定です。とはいえ、「大震災発生直後に事務次官会議を開催して、各省にアイデアを出させていたらこんな右往左往にはならなかったのではないか」という声が強いだけに日本最大のシンクタンク・官僚機構の力を引き出すことにつながるかもしれません。

    ●「本部」「本部」の乱立こそ混乱のもと

    大震災発生後、政府は災害対策本部、原子力災害対策本部を立ち上げ、続いて、政府・東電による福島原発事故対策統合本部、被災者生活支援特別対策本部、復興対策本部、復興構想会議と矢継ぎ早に組織をつくりました。このうち、災害対策本部、原子力災害対策本部はそれぞれ、災害対策基本法、原子力災害対策特別措置法で設立が定められていますが、あとは法的根拠のない急ごしらえの組織です。その一方で、国家の緊急事態に際して開かれるはずの安全保障会議は開かれていません。「本部」「本部」の乱立は、日本の法律体系がすでに用意している「道具」にどのようなものがあることを知らない表れです。そして、その組織間の連携がまるでなっていないということが、国民への告知が官房長官、東電、原子力安全保安院とバラバラなことにもつながっています。

    ●主導権争いがさらに混乱招く

    菅直人仙谷由人

    さらに困ったことは、官僚使いの「二」の菅さんと「三」の仙谷さんの息が合っていないことです。仙谷さんには「官房長官から更迭された」遺恨があり、菅さんには「菅首相の首と引き替えに政府予算を成立させることを仙谷さんが野党に持ちかけた」ことへの遺恨があります。この溝が、ただでさえ弱いガバナンスをさらに弱体化させているようです。官房副長官に復帰した仙谷さんが目指したのは、被災者生活支援特別対策本部を掌握することです。今後莫大なお金が投入される「復興」は、利権とまではいわなくても絶大な権力・権勢の源になります。自民党の中の大連立論者にはここに目をつけている人が少なくありません。菅さんが「復興構想会議」「復興対策本部」を拙速に立ち上げたのはは「チーム仙谷」との主導権争いの結果であり、仙谷さんの権勢の芽を摘むためという観測が強いのです。政府部内で首相と官房副長官が「政局」をやっているのです。大連立どころの騒ぎではありません。

    ●西岡参院議長の直言

    西岡 

    6日には、西岡武夫参議院議長が記者会見で「このままなら首相に退陣要求」と菅内閣の震災対策を批判したというニュースが入ってきました。参院議長が政権批判をするのは異例なことですし、西岡さんは民主党が出した議長です。いいだしたら絶対に引かない一徹な西岡さんらしい発言ですが、それほどに菅政権のガバナンスが崩壊しているということを白日の下にさらす直言でもあります。くわしくは読売新聞の記事をお読みください。


     

    ● COMMENT ●

    コメントありがとうございます。

    マミイさんと同じような気持ちの方は多いと思います。
    また、それとほぼ同じことをいっているジャーナリストや学者はすでに数多くいますので、私はその列に入るのは遠慮しています。
    大震災発生後、民主党政権がなにをやったか、そしてなにをやらなかったかは今後検証されていくでしょう。これまでに私が得た情報の限りでは、「菅さんに2~3年やってもらう」というのはありえないことです。能力、姿勢、そしてリーダーとしてのモラルの点で彼は完全に落第です。もちろん、すぐにやめさせるのは手間がかりますから、この緊急時にそんな手間はかけていられません。しかし、いずれにせよ、再来年の夏には任期満了総選挙がありますから、3年は無理です。
    一昨年の夏に、民主党に投票した人に中には、それを引きずっている人が少なくありません。「あのときの私の選択は誤りではなかった」といいたい気持ちはわかりますが、すでに原発事故が起きてしまった現在、その弊害をいかにして極小にするかが国民的な課題です。能力のない首相を長くそのままにしておくのは、次世代への裏切りになるでしょう。

    未来ある子どもたちへ

    報道は、それぞれいろんなことを言っていますが、本当のことを言ってほしい。新聞はこの期に及んでまだ政権を茶化して、からかったような記事を書いている。首相を引きずり降ろして次は誰をと思っているのでしょう。そんなことをしている場合ではない。

    こうなったら2年や3年、管さんでやってもらうしかないでしょう?無駄なお金は一円たりとも使えません。自民党は、原発を推進した責任を取るべきであり、素直に謝罪すべきです。
    自民党のせいだけではありません。原発を推進する政党を支持した有権者は、未来ある子どもたちに取り返しのつかないことをしてしまいました。それを大人たちは認めなければ。誰のせいでもない、自分たちが播いた種なのですから。
    大人の代表として萩谷さん、言ってくださいませんか。勇気あるジャーナリストとして後世まで語り継がれると思います。

    地震国日本に「絶対安全」という言葉はありません。唯一の被爆国日本が、また悲しいことで世界中に知られるとは。「あやまちは くりかえしませんから」の言葉がむなしく響きます。


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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
    出演番組
     スーパーJチャンネル(金)
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