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    リスクは「収束」より「拡散」 福島原発事故 - 2011.04.06 Wed

    東京電力福島第1原子力発電所の地元、福島県双葉地方市町村組合の町村長らは5日、首相官邸に菅直人首相を訪ねたあと、日本記者クラブで記者会見しました。恒例のゴールデンブック記帳で、遠藤雄幸川内村長は「必ず戻る!」と書きました。家を捨てて避難している人々の魂の叫びです。その一方で、4月2日に汚染水が流れ込んでいる2号機の取水口付近で採取された水から、ヨウ素131が1ml当たり30万ベクレルと、国の基準の750万倍という極めて高い濃度で検出されたことが明らかになりました。タービン建屋からあふれ出した汚染水の阻止のためには水ガラスの使用なども検討されているようですが、依然として、外界への放射性物質の放出は目に見えて減る状態にはなっていません

    必ず 

    ●希釈原理で安心できるのか

    高校の数学で「収束」と「拡散」という概念を学んだような記憶があります。原子炉や使用済み燃料プールの状態と環境への汚染物質の放出までを含め、原発事故総体を1つの系と考えるとリスクは「収束」というよりは「拡散」の方向に進んでいるようです。海への汚染水放出について、政府・東電は「希釈原理が働いて、害はない」と説明してきました。しかし、5日夜のNHKニュースウォッチ9に出演した東京海洋大学の石丸隆教授は750万倍という数字について、海洋生物の食物連鎖による濃縮を考えると、希釈されるから大丈夫といえるだろうかと述べました。「希釈原理」ということばは60歳以上の方には記憶があると思います。チッソによる水俣病をはじめとする公害が問題になった40年ほど前、政府、専門家、企業は必ずこの「希釈原理」を持ち出したものです。結果はご存じの通りでした。

    水俣病 

    ●汚染は累積する

    放射性物質の放出が止まらないことで心配されるのは、「汚染物質の累積」です。これは海洋はもちろんですが、陸地ではより深刻です。数日前にこういうニュースがありました。「原発の近くに津波で亡くなった遺体が数百から1千あるが、被曝しているため危険で回収できない」というものです。日々の空中の汚染物質の量が小さくてもそれは地上で地中で累積していきます。そして陸地では希釈原理は働きません。ドイツの知人Aさんが「欧州どまんなか」で指摘しているポイントはここにあります。

    朝日新聞
    5日

    ●水による冷却では間に合わない?

    双葉地方の町村長らの会見に先立ち、日本記者クラブでは、環境エネルギー研究所の飯田哲也さんの記者会見がありました。飯田さんは「政府・東電の対策は後手後手に回っているだけでなく、新たに出てくる事象はより深刻になっている」と指摘しました。まさに「収束」より「拡散」との現状認識です。人間による精密な工事が必要な「水による冷却」は汚染の放出がとまらない以上見通しがなさそうだということを前提に、ロボットを工事に使う「石棺方式」による出口戦略を提起しました。

    ●チェルノブイリ型でない石棺の必要性

    石棺 
    チェルノブイリ型石棺はできない

    これまでは、廃炉を可能にする道として、水によって冷温停止の状態を実現したうえで、人間が工事をしてコンクリートで石棺化することが想定されていました。チェルノブイリ型の解決です。しかし、飯田さんの出口戦略はこれはもはや不可能という認識にもとづいています。未だに膨大な崩壊熱を持つ福島第1原発では、チェルノブイリと同じコンクリートの石棺処理はとれないとし、そのうえで飯田さんは具体的な方法としてロボットによる「除熱も可能な石棺化(スズあるいは、砂まじりのスラリーを使用)を早期に研究開発する必要がある」と述べました。これは、かつてどこにも知見のない措置であり、国際研究開発実証チームでモックアップを作って、何とか実現可能な方法を突き止めなければならないということです。そして、「現実的かどうかもわからないが、マクロな立場から見て、それしかないのではないか」とも説明しました。「日本の原子力研究者、研究機関ではもはや手に負えない状態」で、炉心解体のノウハウなどを持つ海外の機関の全面協力が必要ということのようです。

    ●被災者の望みは実現できるか?

    町村長 
    「必ず戻る!」と訴える町村長さんたち

    リスクが「収束」より「拡散」に向かっているようでは、海洋、地上、地下水の汚染は累積していきます。「必ず戻る!」という被災者の望みは次第に遠のいてしまうのではないでしょうか。それはどれほどの広さの土地が使えなくなるのかの問題であり、さらにはその広さは、今後の対策のありようによっても流動的ということになりそうです。誰が戻れ、誰が戻れないかの問題でもあります。日本の原発にかかわってきた人々の「無策無能無責任」(飯田さん)を改めて痛感するしかないのです。
     




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    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
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