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    重苦しい「小康状態」 東電福島原発事故 - 2011.04.04 Mon

    ドイツに住む知人Aさんからメールをいただきました。ドイツ人女性と結婚し、もう数十年もドイツに暮らしている日本人ですが、東京電力福島第1原子力発電所の苛酷事故について深く心配しています。Aさんはご自分のブログ「欧州どまんなか」で、原発事故について書き続けています。そして、日本が原発の冷却機能の回復に力を注いでいることに対し、「もはやこんな話ではなくなっている」。すなわち、広がっている汚染をどう食い止めるかが大事で、「これが、外国で散々非難されている日本側の『危機意識の欠如』である。というのは、まず冷却機能の修復に精を出すことは、限定的汚染から広範囲な汚染へ進行して放射能汚染で何千年も立ち入りできない大地がどんどん広がっていくことから目をそむけて、日常の修理活動、メインテナンスに集中していることになるからだ」と指摘します。

    ●時間の経過がもたらすもの

    撒布  
    福島第1原発で1日、放射性物質の飛散防止剤をまく作業員

    3月の3連休当時、原発の状況は深刻でした。水素爆発が続いて3基の原子炉建屋が破壊され、原子炉本体の状態によっては、水蒸気爆発を起こす危険さえあったからです。水蒸気爆発を起こせばAさんのいう広範囲の汚染を急激に引き起こす可能性がありました。あれから10日あまり。原発の状態はいま「小康状態」と表現されています。しかし、放射性物質の外界への放出は続いています。Aさんは「冷却機能の回復に固執して時間を失うことはとんでもないことにならないか」「限定的汚染のために修理作業もできなくなり、どんどん破局的な広範囲の汚染に移ってしまうのではないのか」と警告します。ひとつの見方です。私はもう15年にわたってAさんの見識と洞察力のお世話になっているのですが、これについては、正しくもあり、正しくもない、と思います。

    ●複雑化する「モグラ叩き」状態

    本来の冷却系を回復する作業は次々に難問にぶつかっています。緊急冷却のために注ぎ続けた水が放射性物質を含んで原子炉建屋、タービン建屋など原発敷地内にあふれ、直接海に流れ出しています。放射性物質が各地で検出されることは、そのときによって放出量は異なっても、原発からの放出がとまっていないことを示しています。「モグラ叩き状態」はさらに複雑になっています。Aさんの危惧はまことにもっともです。

    漏水 
    壁の亀裂から海に流れ出ている水

    ●放射性物質の放出阻止に有効かつ実現可能な方法は?

    しかし、核燃料や使用済み燃料の崩壊がとめられなければ、放射性物質の放出の根源はとまりません。そして、大気中、周辺の土壌、そして海に拡散します。その意味で「冷却」は依然として大事です。その一方で、外界に放出される目に見えない物質を食い止める有効かつ実現可能な方法はみつかっていません。これは冗談ですが、ウルトラマンがやってきて原子炉敷地をすっぽり覆う鉛のお椀でもかぶせてくれれば話は別ですが。ドラえもんなら、原発ごと時空のかなたへ移動させてくれるかもしれません。冗談はこれぐらいにして、政府が検討していると伝えられた「特殊な布をかぶせて飛散を防ぐ」というアイデアはどうなったのでしょうか? 実現可能かもしれませんが、これにしても、「原子炉建屋を特殊シートで遮蔽 政府、福島原発事故で」(共同47ニュース)によると、1~4号機の工事には1~2か月かかります。しかし、いまや政府は原子力専門家からの「放射性物質の拡散を抑える効果は限定的で、リスクの方が大きい」との反対を、政治判断で押し切ろうとしているようです。それほどまでに、打つ手がないという証拠でもあります。漏水をとめるために3日には高分子ポリマーの吸水剤(おむつに使われる)を投入しましたが、これも効果がなかったようです。

    ●チェルノブイリとスリーマイルの経過

    チェルノブイリ原発(黒鉛減速炉)の場合は事故を起こした4号炉は最終的に石棺で封じ込められました。その結果、放射性物質の大規模な漏出は止められたのですが、石棺の工事ができたのは、爆発後の応急措置の結果、核燃料の活動が落ち着いたあとでした。スリーマイル島原発(加圧水炉)では、福島と同様崩壊熱によって燃料棒が破損しましたが、運転員による給水回復措置が取られ、事故は終息しました。

    ●放射性物質の放出阻止が当面の優先課題に

    細野 
    細野豪志首相補佐官

    鉛のお椀をかぶせられない以上、何とか冷却機能を回復する努力は続けなくてはなりません。廃炉にするにも冷温停止が前提です。しかし、そのまえに放射性物質の外部放出を食い止めるのが緊急の要請になりました。そうしないと冷却機能の回復作業もできないからです。細野豪志首相補佐官は3日、外部放出を食い止める時期を「数カ月後が一つの目標になる」との見通しを示しました。そして、「(次は)原子炉冷却の仕組みをつくり安定させるのが目標。いつの時点で達成するか。目指すべき方向性を出すべきで、国民に説明する時期がきている」とも述べました。

    ●次第に薄れる楽観論

    edano 
    枝野幸男官房長官

    一方、枝野幸男官房長官は福島第1原発から半径20~30キロ圏の屋内退避の指示について「原発事故の影響の長期化は避けられない。地域の設定のあり方について放射線量の総合的な分析をしており、さらに精緻な対応ができるよう鋭意準備を進めている」と述べ、近く修正する考えを示唆しました。政府高官から発せられることばからも、次第に楽観論が消えてきたように見えます。時間の経過はこの場合は「敵」です。だらだらと放射性物質が放出される重苦しい「小康状態」に耐える日々がまだ続きます。


     

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    Author: はぎたに じゅん
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    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
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