topimage

    2017-10

    スポンサーサイト - --.--.-- --

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    やめられないあわれさ 菅首相の名を惜しむ - 2011.03.28 Mon

    東電福島第1原発の状況は週明けも依然として予断を許しません。27日朝、東電と経済産業省原子力保安安全院は2号機タービン建屋内のたまり水から通常の炉内の1000万倍の放射能を検出したと発表し、9時間半後に「違う物質と取り違えた」と訂正、さらに28日未明再訂正する顛末でした。「1000万倍は誤り」で、ヨウ素134の濃度は通常の10000倍ということに落ち着いたものの、「一時溶融した燃料と接触した格納容器内の水が何らかの経路で流出したと推定される」(枝野幸男官房長官)と圧力容器の損傷に初めて言及することになりました。「原子炉本来の冷却機能を回復する」という現場の作業を遅らせることは間違いありません。性急に「廃炉、石棺」を主張する人々もいますが、「冷やす」に成功しなければ、石棺化作業も危険でできません。現状では「原発維持論者」も「原発廃絶論者」も一蓮托生です。そして「冷やす」作業が進展しなければ、状況は徐々に悪化していきます。

     28日午前の東電福島原発の状態(朝日新聞)
    28日の原発 

    ●奇妙な安定示す首相の座

    そうした中、奇妙な安定を示しているのが、菅直人首相の地位です。国民への説明を枝野幸男官房長官が一手に引き受けているせいもありますが、「陰薄い首相」(26日付読売新聞)「『独善』『場当たり』の首相 大震災に現れたヒトラーの亡霊」(27日付産経新聞)とそのイメージは危機に期待される指導者像とはかけ離れているありさまです。先日紹介した「新報道2001」の世論調査に続いて27日公表された共同通信社の世論調査でも内閣支持率は先月中旬から8.4ポイント上昇の28.3%でした。

    菅直人 

    ●倒閣の動きもなく

    このからくりは22日の当ブログ「挙国一致内閣か 虚構一致内閣か」で説明した通りです。そして、年度末を目前にして、2011年度予算案と予算関連法案をめぐって、与野党が本来なら文字通り内閣の命運を左右する駆け引きを続けているにもかかわらず、菅首相をただちにやめさせようという動きは野党にはありません。自民党や公明党は大震災、原発事故対策で全面協力を申し出ています。また最大の政敵・小沢一郎元代表が奇妙な沈黙を続けていた(28日、大震災以来初めて地元の岩手県入りしたそうです)中で、「菅首相のクビ」に関わる情報は「仙谷由人官房副長官が、首相のクビと引き替えの予算案、予算関連法案の成立を工作する」という程度です。

    谷垣 小沢一郎  仙谷由人 

    ●やめることのできぬ首相

    就任以来、「しがみつき」と揶揄されながら、首相の座を手放さないことをめざしてきた菅首相にとっては、いま現在「首相の座」はもっとも安定しているように見えます。しかし、実は、菅直人首相が「やめることができない首相」という、未曾有の悲惨な立場に置かれてしまったと見る方が妥当なようです。小泉純一郎氏が引退した後の首相はいずれも悲惨な末路を遂げました。総選挙で打倒された麻生太郎氏はまだ幸せといえるでしょう。安倍晋三氏、福田康夫氏は「国会のねじれ」の故に、鳩山由紀夫氏は「政治とカネ」「普天間問題」などでいずれも不本意な辞任に追い込まれたのですが、「やめる」ことで重圧から解放されました。菅首相は「ねじれ」だけでなく、「巨大震災+原発事故」という人類史上未曾有の難題に直面したにもかかわらず、辞任で解放されることができないのです。

    鳩山由紀夫  

    ●絶対君主の責任

    明治天皇と日露大戦争」という新東宝の映画がありました。子ども心に、その中で印象に残ったのは、辞任を申し出た伊藤博文首相に「天皇に辞職はないぞ」と諭した明治天皇のことばです。これが史実かどうかはわかりませんが、逃れることの許されない絶対君主としての責任を示すことばです。

    伊藤博文 明治天皇 
    伊藤博文      明治天皇

    ●菅直人の名は「巨大震災+原発事故」のみとともに記憶される

    一方、「首相の座」は刑罰ではありませんから、理屈の上では辞任することは可能です。しかし、菅首相がいま辞任すれば、「敵前逃亡」のそしりは免れません。また、辞任しようがしまいが、「菅直人」の名は後世、「巨大震災+原発事故」とセットで記憶されるのです。市民運動家としての”実績”や薬害エイズでの資料発見などの”功績”は消し飛んでしまいます。これが、歴史というものです

    カイワレ 
    カイワレを食べてみせた菅厚生相(当時)

    ●指導者のあり方を学べ

    菅首相はあわれです。首相官邸にこもり、東電をどなりつけ、「東日本壊滅」「予断を許さない状況」と国民の士気を阻害する感情的なことばを連発するだけでなく、やたらと現場視察に行きたがる”多忙さ”の中では、自らを考える時間はあまりないでしょう。異民族に包囲される中、それまでの王を倒して権力を握り、つかの間の権力に酔った末、異民族に町ごと殲滅されていった歴史上数多い例が菅首相に重なります。いまからでも遅くありません。菅首相の周囲に必要なのは母校東京工業大学の「原子力に強い」学者たちだけではなく、「指導者のあり方」を指南してくれる文科系の賢人だと思います。

    マックス・ウェーバー マキャベリ 孔子 
    マックス・ウェーバー   マキャベリ      孔子

    ●新生日本の礎になれるか

    私もいま、菅首相の辞任は求めません。募金で、ボランティアで、節電で、そしてなによりも被災者の方々への深い共感で国民はかつてなく団結しています。野党も被災者対策、原発事故対策でこれまでにない協力姿勢を示しています。菅首相に望みたいのは、うわべの効率優先のストレス社会が生んだ最後のあだ花であった「マニフェスト」へのこだわりを捨て、国民統合への新しい道を開く捨て石になることです。そうすれば、菅直人の名は「新生日本の礎」として記憶されるかもしれません。






     

    ● COMMENT ●


    管理者にだけ表示を許可する

    トラックバック

    http://hagitani.blog51.fc2.com/tb.php/155-1f376caa
    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

    あちら立てればこちらが立たず 原発事故対策の悩み «  | BLOG TOP |  » 大局を見失わないために 東電福島原発事故

    おすすめブログに

    萩谷 順

     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
    出演番組
     スーパーJチャンネル(金)
     モーニングバード!(水)
     ワイド!スクランブル(月)
     ビートたけしのTVタックル
       (不定期)
    過去の出演番組
     そうだったのか!学べるニュース
     やじうまプラス'04-'10
    ニュースステーション '00-'04
     ニュースレーダー '85-'87
     (いずれもテレビ朝日)

    お問い合わせや講演の依頼は...

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    本人から返信します(お名前やメールアドレスなど個人情報は本人の同意なしには公開しません)

    いま何時?

    ※この時計の時刻は、閲覧しているパソコンのものであり、必ずしも正確な時間とは限りません

    Twitter

    最新記事

    カテゴリ

    大震災+原発事故 (38)
    政治経済 (71)
    国際情勢・グローバル化 (21)
    社会・生活・文化 (22)
    大学・教育・若者 (4)
    テレビ (4)
    講演 (2)
    IT・パソコン (2)
    たのしみ (28)
    ごあいさつ その他 (8)

    リンク

    このブログをリンクに追加する

    朝日新聞グループニュース

    月別アーカイブ

    RSSリンクの表示

    検索フォーム

    最新トラックバック

    FC2カウンター

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。