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    国民の生活様式を変える 原発事故を機に - 2011.03.25 Fri

    海江田万里経済産業相は25日の記者会見で、この夏、東京電力管内で予測される1500万キロワットの電力不足対策の1つとして、企業に夏休みの分散取得を要請すること検討すると述べました。福島原発はこの日も「安定には向かっていない」(NHKの昼ニュース)状態ですから、「何をいまから」あるいは「悠長な」とお怒りになる方もいるかもしれませんが、私はこれを単なる苦し紛れの窮余の策とは思いません。

    海江田2  

    ●持続可能な経済、社会をめざす

    海江田大臣の記者会見に先立つ政府の電力緊急対策本部の会合で、枝野幸男官房長官は「産業部門の事業活動のあり方や国民の生活様式に踏み込んだ抜本的な対策が必要だ」と述べました。これは正論です。日本の経済、日本人の生活を根本的に改革し、持続可能な経済、社会を実現する方策につながりうる考え方です。

    edano 

    ●夏休みの分散取得の意味

    夏休みの分散取得はこれまでも省エネの方法の1つとして提言されてきました。しかし、個別企業や産業の能率が下がるだけでなく、社会全体の経済活動の連関が分断されることで、さらに生産力が下がるという観点から反対が強かったものです。一方、私はかねてから「分散取得」論者でした。大震災よりも前、テレビのコメントでも何回か発言しましたが、あまり反響はありませんでした。私が強調したいのは「分散取得」によって、ピーク電力需要がならされることだけではありません。日本人の余暇が余裕のあるものに変わり、その余裕が経済活動全体にも広がっていく可能性があることです。

    ●「集中豪雨型ストレス社会」からの脱却を

    pool 
    芋を洗うようなプール

    国土が狭いのに急峻な山が多く、すぐ海が控える日本の川は急流で、洪水時には人命を奪うほどの水量が流れますが、それ以外のときには実におとなしい流れです。「集中豪雨型」です。日本人の余暇も「集中豪雨型」といわれます。ゴールデンウィークや盆正月に圧倒的多数の人々の長期休暇が集中します。鉄道、航空機、道路などの交通インフラはこうしたピーク時に対応するように設備、人員を用意します。一方、観光地や旅館、ホテルなどもピーク時に稼がなければほかの時期は採算がとれないほど閑散とするところが多いため、ピーク時に対応する設備、従業員を用意します。その結果閑散期の設備、従業員は遊休状態にです。これはヒト、モノの無駄遣いです。一方、レジャー客は渋滞、混雑、そして行き届かないサービスを甘受しなければなりません。余暇どころか苦行の様相を呈することさえあります。休暇の分散取得はこれを緩和します。

    ●「夏休み分散取得」が効果を持つ前提

    「そんな簡単にいくか!」という声があるのはもちろんです。しかし、それを平然として実行している国は先進国とりわけ欧米には少なくありません。たとえば、ドイツです。ドイツでは、16ある州が学校の夏休みをすこしずつずらして設定しています。毎年そのローテーションは変わります。これはピークをできるだけならすためです。「じゃあ、親の夏休みと食い違うじゃないか」という声が聞こえてきます。心配はあまりありません。働く人の有給休暇は、好きな時期に、所定の有給休暇日数のうち好きな長さとれるのが原則だからです。

    Urlaub 
    Urlaub(ウアラウプ=ドイツ語で休暇)

    ●休暇の権利を確立するとは?

    もう四半世紀前ですが、私がサラリーマンとして勤務していたドイツの公営ラジオ局では毎週1回、所属する課の課員会議がありました。ドイツ人の課長が最初に尋ねるのは「課員の有給休暇取得の予定」です。仕事の分担は、それを大前提として割り振られます。仕事より休暇が優先します。当初私が2日、3日と小出しにとっていたら、「できるだけまとめてとるように」と人事部から注意されました。「親方日の丸(?)の公営の局だから特別なのでは」という方には当時の1つの裁判の例を示します。ある民間企業の技術者が家族とともに海外旅行をするために長期の有給休暇をとりました。ところが、急にその技術者の力が必要な大規模注文が入りました。経営者は技術者に休暇を変更するよう要請しました。しかし、技術者は断りました。怒った経営者は彼にクビを言い渡しました。技術者が訴えた裁判の結果は経営者の完全な敗訴でした。 「有給休暇の取得時期、期間」は侵しがたいほどの権利なのです。

    ●文化の切り替えが必要

    サラリーマン忠臣蔵 

    しかし、一昨日の「サマータイム」のブログで書いたような経済文化や企業文化さらには労働文化の変革がないと「分散取得」は容易ではありません。ある組織に用事があって電話をかけたとしましょう。たまたま担当者は休みをとっていました。日本なら担当者の課の人が代わって用にこたえてくれます。ときには担当者に電話で連絡をとったり、果ては担当者が休みをあきらめて出勤してくれることさえあったりします。ドイツでは簡単です。「担当者は休暇中です」。それだけです。休暇が終わるまで待たなくてはなりません。その代わり、勤務時間中は能率的に働きます。お茶も仕事、タバコも仕事というわけにはいきません。

    ●仕事優先のストレス社会は効率的か?

    こういう社会ではトヨタ自動車のカンバン方式は成り立ちません。日本では休暇を犠牲にしても、お互いが融通をつけて物事が進みます。ドイツではお互いが休暇を尊重しあうことを前提として物事が進みます。ミクロでは日本の方が心遣いの行き届いた社会関係、経済関係に見えますが、それを維持する個々人にはストレスがたまります。それどころかマクロの国民経済全体では必ずしもすばらしい結果につながらないのは、日本の労働者の「時間あたり労働生産性」が先進国中最下位という事実が示しています。

    モーレツ 
    結局「モーレツ」から「ビューティフル」にはなれなかった
    (若い人にはわからなくて、ごめんなさい)

    ●ほんとうにゆとりある社会をめざして

    目先の効率を追求するあまり、大きな損失を招く。これは東電福島原発が突きつけた日本の企業社会の欠陥です。「24時間戦えますか?」というCMコピーが示すモーレツ社会はいまでも色濃く残っています。しかし、これは日本人の宿命ではありません。戦前の日本はもっとゆったりしていました。モーレツ社会は戦後の産物です。たしかに「企業の夏休み分散取得」が単に省エネだけを考えてのものなら、経済的損失を招くだけでなく、巨大なストレスを溜めることになるでしょう。一方、経済文化、企業文化、労働文化を改革するきっかけと考えてコンセンサスを養っていくなら、日本を持続可能な経済、社会に変えていくきっかけになりうると、私は思います。その先に開けてくるのは原発に支えられた社会の浮島としての「スローライフ」ではなく、ほんとうに「ゆとりある社会」ではないでしょうか。


     

    ● COMMENT ●

    賛成です

    おはようございます。
    萩谷さん、毎日、寒い日が続いていますが、
    風邪などひいてないですか?
    休日をずらす方法、賛成です。実際に北海道では夏休み、冬休みがズレてますよね?
    私は観光業に携わってますが、とにかくGW、お盆、年末年始、こんなに大勢の人が休みなんだと驚いています。毎回。
    観光業はオン、オフシーズンの差が激しいです。正直、お給料も毎回不安定です。
    それに、高速道路の渋滞で、SAに駐車する時のマナーが悪く、トラックが通れなかったり、観光バスのドライバー、バスガイドがマイカーのドライバーに怒られたり…
    私達、観光業に携わった人間からするとこんな多い時に来なくてもと思うのですが、やっぱり、みなさんがお休み集中してるから仕方なくきている方が大半みたいです。
    お休みがズレる事で、観光業の需要も安定するし、省エネに
    もつながる、そして、現代人のストレスが解消されるなら、本当に今、実行に向けて動いて頂きたいです。
    長々と失礼致しました。

    支持します。


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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
    出演番組
     スーパーJチャンネル(金)
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