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    サマータイム導入検討を機に頭の体操 - 2011.03.23 Wed

     節電啓発を担当する蓮舫行政刷新相は22日、東京電力福島第1原子力発電所の事故などで計画停電実施に追い込まれている東電管内の夏場の電力不足に備えるため、サマータイム(夏時間)の導入などを検討する考えを表明しました。私はこれは早急に検討すべき課題だと思います。

    renho 

    ●サマータイムは総量規制の一つのかたち

    サマータイムは、「省エネルギーの観点から導入すべし」との声が一部にありましたが、反対論が強くこれまでは実現に至っていません。蓮舫大臣は夏場の電力需要について「今の3000万キロワット(kw)という値ではない。去年の実績は7月で5000万、6000万kwで、今より相当増える」と指摘しました。これは休眠火力発電所を再稼働しても到底まかなえる数字ではありません。23日の日本経済新聞によると、首都圏の夏の電力不足は最大1500万kw、東電管内のピーク時需要の25%と予測されています。これは北海道電力2つ分の能力に相当します。一方、現行の計画停電に対しては「総量規制の方が経済に与える打撃が少ない」という声があります。たしかに休眠火力発電所を再稼働させても、夏場になったら、計画停電では、経済どころか市民生活も壊滅的な打撃を受けるでしょう。サマータイムは総量規制の一つの考え方です。

    ●サマータイムの得失

    wikipediaによると、サマータイムの効果
    (1)省エネルギーにつながる(2)明るい時間を有効に使えるので照明などのエネルギー消費の節約になり、企業の経費削減にもなる。(3)日照を利用した余暇の充実(4)交通事故や犯罪発生率が低下する、などです。
    一方、有力な反対論
    (1)近年は冷房が各家庭に普及しているため、明るいうちに帰宅すると暑い時間を家で過ごすことから冷房需要が増え、照明の節約効果以上にエネルギー消費量が増える(2)始業時刻は夏時間でも、終業時刻は外の明るさを基準にする人が出れば、逆に残業が増加するなどです。

    どちらも、それなりに根拠はあります。

    サマータイム 

    ●サマータイムの恩恵

    私はドイツの放送局に派遣されていたとき、サマータイムの恩恵を享受しました。勤務時間があってなきがごとしの日本の新聞社の拘束を離れてドイツのサラリーマン暮らしをしていたときのことです。夏の夜、いつまでも沈まない夕日の中、友人たちとホームパーティを楽しんだゆったりした時間の流れの印象が強いのです。

    ●前提が違うドイツと日本

    しかし、現実にはドイツと日本ではさまざまな前提の違いがあります。終業時間になれば、仕事が途中でも帰宅するドイツ人。たとえば商店の閉店時間は、日本では、その時間までお客さんは入店できますが、ドイツでは店員さんがカギを閉めて帰る文字通りの閉店時間です。また、労働慣行としては、上記反対論の(2)が大きく影響します。日本では上司が「まだ明るいのだから、仕事をしよう」といいだせば、それを尻目に帰れる人はどれほどいるでしょうか。

    Kaufhof.jpg 
    ドイツの商店は閉店時間に冷酷に閉まる

    中央官庁を例にとりましょう。霞ヶ関の中央官庁は夜12時を回っても、こうこうと灯りがついています。居酒屋タクシーが発生したのはそのためです。ドイツ・ボン特派員当時の隣家はドイツ外務省のキャリア外交官でしたが、彼はほぼ毎日、午後5時半ごろには帰宅していて、居間で高級紙を読んでいました。また、勤め人の通勤距離も大きく違います。日本では朝と夜の2回、場合によっては往復それぞれ2時間(ときにはそれ以上)の通勤時間に耐えている人が大勢います。その人たちを運ぶ公共交通機関の電力消費はサマータイムを導入しても変わりません。ドイツでは、そんな長い通勤時間のかかるところに人は勤めません。こうした違いは日本の首都圏すなわち東電管内では、とくに顕著です。

    ●経済文化、企業文化、労働文化

    このように経済文化、企業文化、労働文化を無視しては、サマータイムは論じられません。ただ、福島原発の事故は電力の節約あるいは極端なまでの効率的利用を否応なく迫っています。ひょっとしたら経済文化のあり方、企業文化や労働文化のあり方を変えることがその解決方法につながるかもしれません。

    サラリーマン 

    ●頭の体操 時間当たり生産性を考えてみよう

    それは、「時間当たり労働生産性」という考え方です。時間あたりの労働生産性は、経済協力開発機構(OECD)によると、2009年でアメリカを100とした場合、日本は66.6にすぎず、先進国で最下位です。就業者あたりで見ても、08年は加盟30カ国中20位でした。「日本人は勤勉」という通念とは矛盾するデータです。多くの場合、日本人は「日本人は勤勉」という考え方を変えずにこれを解釈しようとします。

    ●日本人は勤勉か、怠け者か

    東京新聞の去年10月17日の「生活図鑑」は「労働生産性 日本人は怠け者か」というタイトルでこれを解説しています。そこでの解釈は「非正規労働者が増えているから」というものです。「就業者は正社員とパートで労働時間が違っても、1人として計算される。このため、雇用者に占める非正規比率が上昇し、GDPが伸び悩む中、就業者あたりの生産性が低下した一因になった」。これは就業者当たりの生産性が低い説明にはなりますが、時間当たり生産性の説明ではありません。時間当たり生産性については、「年間の平均労働時間は以前に比べれば減少したものの、先進国の中では長い。これも、時間あたりの生産性を押し下げる要因」と説明します。わかったようなわからないような説明と私には思えます。

    二宮金次郎 

    ●日本人の勤勉さは浪費されている?という仮説

    時間あたり労働生産性が低い李由の理由の一つを私は日本人の働き方の問題だと思っています。「日本人は怠け者だ」とはいいませんが、「日本人の勤勉さ」が職場での「生産」に直接投入されず、職場の環境によって浪費されているという仮説です。上司の顔色をうかがって帰れないというのは典型的な例ですが、だらだら残業をしても職場に長く滞留する人が評価されます。とくにホワイトカラーの職場ではその傾向なしとしません。昭和30年代の東宝の「サラリーマンもの映画」にはその生態が理念型として描き出されています。サラリーマン処世術に熟達しないと出世できないのです。こうして「日本人の勤勉さ」はサラリーマン処世術によって浪費されます

    サラリーマン忠臣蔵 

    ●労働時間の目的外使用

    こうした「労働時間の目的外使用」は生産力につながらないだけでなく資源とりわけ電力を浪費します。たしかに、こうした処世術は右肩上がりの時代には職場の潤滑油であり、取引先との間の潤滑油でした。「勤務時間外でも顧客の無理な要求にも応える」「酒食の接待で午前様」が当たり前の企業文化、労働文化でした。そのへんのメカニズムがわからない欧米人は「夜遅くまで家に帰らず、職場の仲間と飲みに行くのは、フリンジ・ベネフィット(給与外給付)である接待を含め職場が楽しいからだ」と考えてみたりします。

    スーダラ節 

    ●サマータイム導入論をきっかけに

    こうした「右肩上がり」時代の企業文化は排除しなければならないという考え方はバブル崩壊以来強くなってきましたが、雀百まで踊り忘れずで根強く残っています。福島原発が突きつけた問答無用の電力節約には複合的な対応が必要です。サマータイム導入論議を契機に、企業文化、労働文化の改革とも併せて考えてみたらいかがでしょうか


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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
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