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    事態は劇的に変化 福島原発事故 - 2011.03.15 Tue

    事態は14日深夜から15日朝にかけて、劇的に悪化しました。巨大地震と津波よりも東京電力福島第一原子力発電所の事故の方が「現在そこにある、差し迫った危険」になってきました。読売新聞は、フランス原子力安全局のアンドレクロード・ラコスト局長が15日、福島第一原発の事故について、国際原子力機関(IAEA)が定める8段階の国際原子力事象評価尺度(INES)で「レベル6」に当たると述べたと伝えました。「レベル7」とされた旧ソ連・チェルノブイリ原発事故(1986年)より下回るものの、「レベル5」とされた米スリーマイル島原発事故(79年)より深刻な事態となります。そして、原発問題を嫌気した株式市場では日経平均終値は1015円安、史上3番目の下落率を記録しました。政府、いや日本国民は地震、津波の被害者救済と再発対策、原子炉事故(それも4基同時に!)、経済の急激な機能不全というマルチタスクの対応を迫られるようになりました。

    号外 
    号外を読む人 産経新聞から

    ●封じ込められているはずだった

    原発事故は昨日夕方までは、「核燃料はすべて原子炉格納容器の中にあり、封じ込められている」とされていました。それを前提にすれば、原子炉事故対策の3原則「停める、冷やす、閉じ込める」が実現可能に見えました。私は久しぶりに早めに就寝したのでした。

    ●一転、チェルノブイリに近づく

    しかし、15日朝起きてみると状況は一変していました。2号機に水素爆発が起きた模様で、圧力抑制室が損壊したようです。また、これまで定期点検中で完全停止していたとされた4号機でも火災が起きました。これは原子炉から取り出した核燃料を保存していた冷却プールの循環機能が失われていて核燃料がむき出しになってしまった結果とみられます。つまり、前夜までの前提「閉じ込め」が消えてしまったのです。朝日新聞の専門記者竹内敬二編集委員は同日の夕刊で「極めて深刻な放射能放出が始まった。(略)今後1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故と比較して語られることになる」と書きました。

    チェルノブイリ 
    チェルノブイリ原発の廃墟

    ●え!4号機も?


    2号炉の圧力抑制室の破損は爆発の結果ですから、まだ理解できるとしても、4号機の事態は寝耳に水です。国民は4号機は安全と思っていたのです。しかし、むき出しの核燃料を抱えた4号機は推移によってはもっとも危険になりえます。「聞いてないよ!」と菅首相も思ったのでしょうか。それとも、政府、東電は想定していたのでしょうか。その辺のところはわかりません。

    ●冷静でいられない事態

    菅直人首相は午前11時から記者会見して「ぜひ冷静にお聞きいただきたい」と切り出しました。一国の政治を預かる人が「冷静に」というのは「冷静ではいられない事態」が起きたということです。しかし、菅さんご自身冷静ではないようです。早朝に東電本店に乗り込んだ菅首相は、読売新聞によると、「(原発対応は)あなたたちしかいないでしょう。(原発からの)撤退などあり得ない。覚悟を決めてください。撤退したときは東電は100%潰れる」とまくし立て、首相の叱責する声は、会議室の外まで響き渡ったそうです。たしかに、テレビで見る東電の記者会見は、果たして本当に責任を持って事態を収拾する決意と能力があるか、不安にさせるものです。

    ●枝野官房長官の存在が救い

    だからといって、「イラ菅」を丸出しにするのにも困ったものです。読売新聞は「政治主導演出へのこだわり、混乱を増幅」と首相を批判しています。首都圏が大混乱した東電の計画停電発表も、首相がしゃしゃり出たため、東電の会見開始が遅れたとその記事は書いています。こうした中で枝野幸男官房長官の存在は救いです。枝野氏の会見を聞いていると、彼が原発事故の科学的メカニズムをしっかり理解したことがわかります。ですから、どのような質問にも落ち着いて答えています。不眠不休で任務をこなす枝野氏へのいたわりの表現でしょう。twitter上には、「#edano_nero」というハッシュタグが登場しました。

    edano 

    ●現場の人々の努力を無にするな

    ネット上には、政府や東電を批判する人、擁護する人などさまざまな意見が飛び交っています。批判のあまり、やみくもに当たり散らす人や他人にからむ人には困りますが、一方で「東電は一生懸命やっているのだから」という擁護論にもいささかどうかと思わされます。たしかに福島の現場で危険を顧みず消火、冷却などの作業をしている職員、関係者の方々にはいくら感謝してもたりません。しかし、東電が情報伝達の不備で政府を振り回したことや4号炉の事態を想定していなかったらしいことは現場の努力を台無しにしています。作業に加わった自衛隊・防衛省は「安全だと言われ、それを信じて作業をしたら事故が起きた。これからどうするかは、もはや自衛隊と東電側だけで判断できるレベルを超えている」と怒っているそうです(読売新聞)

    自衛隊 
    放射能漏れで被曝したとされる人たちを搬送する自衛隊員ら=読売新聞

    ●第二次世界大戦の愚をくりかえさないように

    ネット上で公開されている各地の放射線測定データの推移に一喜一憂している人から、のんきに構える人、ただただ恐れおののく人まで、国民はばらばらの状態に置かれています。いま必要なのは、想定される危険の限界を見極めて的確な対策を講じること、そしてそれを国民に理解してもらうことです。そのためには東電が現場の状況を的確に政府に提供しなけれななりません。そうでないと、敗北はわかりきっていたのに、前線の兵士にただただ「一生懸命」戦わせた第二次世界大戦の愚をここでも繰り返すことになります。一喜一憂する市民の一人として事態の好転を祈ります。

     

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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
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