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    人類未体験の危機とメディア - 2011.03.14 Mon

    twitterのハッシュタグを#jishinに設定しておくと、滝のように次々と情報が流れてきます。地震、被災関係のハッシュタグはほかにもたくさんあります。「だれでもが発信者になれる」時代の賜物です。被災しながらも、また救援にあたりながらもマスメディアが拾いきれない情報、そして個人、個人が知りたい情報を発信している方々には敬意を表します。

    ●新しいメディアの活躍と限界

    その一方で、マスコミからweb2.0への移行期のためでしょうか、さまざまな限界も見えてきます。14日午前11時すぎ、2つの大きな情報がありました。ひとつは、岩手県大船渡湾で大きな潮位変化があったという情報。いまひとつは、東電福島第一原発の3号機で爆発音がし、白煙があがったという情報です。NHKの災害特別番組が伝える前に、#jishinはその情報であふれました。結局潮位変化は大きな津波被害にはつながりませんでしたが、3号機は1号機と同じ水素爆発を起こしたものとみられ、いずれもマスメディアによって確認されました。

    tweetdeck tweetdeckの画面

    twitterには「こうしたとき、未確認情報を流して不安を煽る手合い」がいると警告するつぶやきもありました。その通りです。しかし、緊急時には「未確認」であっても、警戒を呼びかける情報も大事ですし、SNSの本領はそこにあります。法政大学の私のゼミでも、在学生、卒業生それぞれがSNSや携帯を駆使して、14日朝までほぼ全員の所在確認を終えたようです。若者たちの友情と行動力に感謝するほかありません。

    ●epic2014の予言

    課題はSNSを通じて流れる情報をどう活用するかです。#jishinのハッシュタグで受信できる情報ををどう仕分けて情勢を的確に判断し、安全かつ合理的な選択に結びつけるかは簡単ではありません。実際のところ
    #jishinのハッシュタグは役に立ちません。情報量が巨大すぎ、玉石混交だからです。専門家やプロのジャーナリストでも、ここからすべてをより分けるのは不可能です。それができる検索・編集エンジンはまだ開発されていません。結局、個人個人のタイムライン(TL)が主要な情報の源泉になりますが、その結果は「一部の優れた人にはすばらしい情報源になる一方で、ほとんどの人にとっては、くだらない情報の単なる寄せ集めになる。その多くが真実ではなく、狭く浅く、そして扇情的な内容となる」というepic2014の予言www.youtube.com/watch通りになるでしょう。情報の質は「そのひとのTLの質」に依存するからです。



    ●「事実」と「分析」「見通し」

    もし、その中に関東大震災のときの「XX人が井戸に毒を入れた」という類の悪意あるデマ情報が混入したら、それは恐ろしいことです。その意味で先ほどのtwitterの警告は的を射ています。ただ、ここで大事なのは「事実」と「分析、見通し」を混同しないことです。すでに起こったはずの「事実」に関しては、誤った情報、あやふやな情報は厳に戒めるべきです。一方、確認された情報にもとづく「分析」「見通し」は「事実」とは異なります。原子物理学や気象学、経済学や社会心理学そのほかの素養を備えた人による「分析」「見通し」には「楽観的なもの」から「悲観的なもの」までさまざまな幅がありますが、情緒に流される人たち以外には、この種の情報は大切です。しかし、残念なことに、twitterを観察していると、こうした貴重な「分析」や「見通し」に対してさえ「甘すぎる」とか「煽っている」と短絡的な攻撃をしかける人を見かけます。twitterはわずか140字です。そこに流れる情報はたいていが「舌たらず」です。これを「すべて」と決め込んでいらだちをぶつけるのは生産的ではありません。

    ●既成メディア不信に変化

    「すべての人が発信者になれる」時代以前、マスメディアが情報流通を支配していたころは、情報は当事者から専門家のルートでチェックされたうえで、その情報をプロのジャーナリストが選別、解釈、解説した情報が市民に流されました。SNS時代に入って、こうしたマスメディアはむしろ反感の対象になりました。「情報を操作し、ときに情報を隠蔽する」というのがその理由です。wikipediaの事件のときは、それが頂点に達した感がありました。

    miyako 
    津波を伝えるテレビ画面

    東日本大震災が起きて、それは少し変わってきたようです。ある大学の先生が「雑感:フリージャーナリストの方々があれこれ議論している間に、NHK自身がUSTREAMやニコ動で放送するようになってしまった。不要になったのは、どちらの側の議論なのか」とつぶやいていました。現在のところ、新聞やテレビなどの既成のメディアは健闘しています。USTREAMやニコ動がNHKの放送を流すのは、多様な回路で市民に情報を伝えるという大事な判断の結果でもありますが、彼らには情報収集、選択、判断の能力がないことの証明でもあります。一部の人を除いて
    「われわれのメディアがあれば、マスメディアはいらない」という考えは消えつつあると思います。

    ●新旧メディアの相互補完

    要は既成のマスメディアと新しく生まれたメディアが互いにたりないところを補いあうことです。そして、われわれ利用者は双方の長所と短所をわきまえて双方の情報を利用することが必要です。14日現在、情報は錯綜し、新たな緊急事態が生起する可能性もあります。政府も事態を掌握しきれていませんし、正統性が揺らいでいる政権に対する不信もあります。マスメディアも未曾有の危機に態勢立て直しを迫られています。そうしたとき、個人によってSNSなどに乗せられる情報は、それを批判的に受容できるメディア・リテラシーを持ち合わせている人々には貴重な補完的手段です。

    ●電力など所与のインフラが壊滅するとき

    atom 水素爆発後の第1号機建屋

    しかし、SNSなどの新しいメディアは、「電力が供給されるのはあたりまえ」という所与の社会インフラを存立の前提としていることを忘れてはなりません。東京電力による計画停電が現実のものとなろうとしています。私の地域でも、あと30分ほどでその時間が来ます。社会の危機に際して、電力供給の優先順位をつけなければならなくなったら、既成のマスメディアとSNSのどちらに優先順位が与えられるかは自明です。基地局などに電力が供給されなくなれば、新しいメディアは使えません。

    ●さらに新しい可能性開発が求められる新メディア

    それはそれとして、既成のメディアが機能する一方で、SNSなどの新しいメディアが補完的な役割を発揮するとともに新たな可能性を開発することが求められます。「M9.0の地震プラス複数の原発事故」という人類が未だ経験したことのない危機をわれわれ日本人が乗り切るためには両方のメディアの活躍が必要です。



     

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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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