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    「我々は間違っていた」といえないリーダーたち - 2011.03.07 Mon

    前原誠司外相が辞任しました。在日外国人から政治資金を受け取っていたためで、場合によっては、公民権停止もありうる政治資金規正法違反ですから、辞任は順当です。しかし、菅直人首相が退陣するとき、民主党の後継首班としてもっと有力視され、世論調査でも人気のあった前原氏はクリーンな民主党の旗頭として、小沢一郎元代表らとの党内抗争の重要な柱だっただけに、菅首相の受ける打撃は亀井静香金融・郵政改革担当相、柳田稔法相(いずれも当時)の辞任とは比較にならないほど大きいものでしょう。

    前原外相が西田昌司参院議員(自民)の狙いすました一撃を受けた4日は参院予算委員会を終日テレビでチェックしていました。判で押したような答弁をただ繰り返す首相と官房長官、次々とボロを出す細川律夫厚生労働相ら閣僚たち、惻隠の情すら催させるほどのていたらくでした。

    前原  

    ●死んでも政権は離さない

    そこから唯一浮かび上がってきた菅首相のメッセージは「死んでも政権を離さない」です。「予算が何よりも大事」とは、予算を人質にとった政権しがみつきです。そして、解散・総選挙についての山本一太議員(自民)の質問に菅首相は「解散するつもりはないが、何らかの選択を迫られることがあったときには、憲法上のルールにのっとって行動する」と答えました。これは、「首相、解散を排除せず」としてニュースになりますが、実はこれも延命の手管にすぎません。

    総理大臣がそのような「何らかの選択を迫られる」のは、衆議院で内閣不信任案が可決される事態です。その場合、憲法は「内閣総辞職」か
    衆議院解散」を定めています。しかし、現在の衆議院の議席配分からみれば、内閣不信任案が可決されるのは民主党から同調者あるいは欠席者が大量に出る場合です。そして、この場合それは小沢系議員にほかなりません。

    菅直人2

    ●「解散」は党内反対派への威嚇

    通常、総理大臣が「解散」で威嚇する対象は野党です。ところが、いま野党はむしろ「解散歓迎」です。そして「菅首相での総選挙」こそ歓迎です。ですから、参院予算委では、自民党はポスト菅の有力候補を一人一人つぶしにかかっています。前原氏は最初の血祭りです。4日には野田佳彦財務相、蓮舫行政刷新相にも照準が合っていました。一方、民主党議員すべてにとって、「解散」は威嚇になります。ごく少数を除いて次の選挙は落選の恐怖に直面する選挙ですし、新人あるいは政権交代ブームに乗って当選した議員の多い親小沢派にはとりわけ強い威嚇でしょう。「倒閣は落選への道」が首相の反首相派へのメッセージです。この期に及んでも、党内抗争のみを強く意識している首相というのも珍しいと思いますし、首相の地位への執着ぶりもまたすさまじいものです。

     ●現在と重なり合うNHKスペシャル

    東条英機 

    前原外相辞任のニュース速報はNHK総合のNHKスペシャルの画面に映し出されました。シリーズ「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」第4回 開戦・リーダーたちの迷走」です。タイミングがタイミングですから、開戦の1941年と、それから70年たった現在の日本の政治リーダーシップのありさまが重なりあって見えました。NHKスペシャルは、開戦前夜、海軍とちがってこれまで強硬な開戦派とみられていた陸軍も実は対米戦争に勝ち目がないという試算をしていたことを戦後の軍幹部の証言によって明らかにしていきます。そして、海軍も陸軍も実は対米戦争に反対なのに、反対できなかったというのです。しかし、戦争回避のためには中国大陸からの完全撤兵という米国の要求をのまなくてはなりません。

    ●死者への負債

    日中戦争 

    中国大陸からの完全撤兵を言い出す勇気が指導部のだれにもなかったのが開戦への道だったわけです。リーダーのだれもが正しい決断ができなかった事情をジョン・ダワーMIT教授は「死者への負債」ということばを使って説明します。日中戦争ではその時点ですでに日本の戦死者は20万人にのぼっていました。「死者が増えるほど手が引けなくなる。リーダーは、犠牲者に背を向けて『我々は間違っていた』とはいえないのです」

    ●日中戦争とマニフェスト

    nanjin 

    「なるほど」と思いました。日中戦争を始めたのは東条英機ではありません。赤字国債に頼る放漫財政を始めたのが菅直人氏でないのと同様です。しかし、東条英機が日中戦争を世界を相手にした戦争に拡大したのと同様に、民主党政権は財源探しに失敗し、赤字国債に依存することになっても、マニフェストを機械的に守って子ども手当や農家の戸別所得保障などの公共支出を拡大しました。そして東条英機をかつぐ陸軍が対米戦争に勝ち目がないことを認識していたのと同様に、民主党はマニフェストに成算がないことを認識しはじめています。

    manifesto 

    その意味でマニフェストは戦前の日本にとっての日中戦争のようなものかもしれません。当時、中国からの完全撤兵は総理大臣2、3人の暗殺を招いただろうといわれます。いまマニフェストを撤回すれば、菅首相も政治生命を失うでしょう。民主党も瓦解するかもしれません。だから、一昨年8月の総選挙で政権交代に期待した人たち、子ども手当などマニフェストに基づく給付を受け始めてしまった人々に対して、民主党政権のだれもが「我々は間違っていた」といえないのです。
     




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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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