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    電子書籍の閲覧方式統一なるか - 2010.12.30 Thu

     「電子書籍:世界標準、日本語も対応 EPUB縦書き可能に」(29日毎日新聞電子版)だそうです。「EPUB(イーパブ)」は米電子書籍標準化団体『国際電子出版フォーラム(IDPF)』の電子書籍の閲覧方式です。同紙によると、「欧米の小説を電子化するために生まれ、画面の大きさに応じて文字数やレイアウトが自動的に変わる『リフロー』という機能が特徴。米アップル、米グーグル、ソニーが採用するなど海外で主流になっている」とのこと。縦書きやルビ、句読点の禁則処理など日本語対応したイーパブを国内の出版社や電子書籍端末のメーカーが採用すれば、開発にかかる時間や費用を大幅に抑えられ、電子書籍をさらに普及させることになる、と同紙は伝えています。

    ●日本語の電子書籍化が抱える障害

    2バイト文字コード 
    2バイト文字コード表

    メモリーさえ大きければ、小さなデバイスにちょっとした書庫分の本が記録、閲覧できる電子書籍は将来性豊かです。日本の出版業界と電子機器業界は「電子書籍」という黒船を前に、開発競争を展開しています。しかし、使用する文字数が数千もある2バイト文字で、漢字かな交じり文、縦書きという書式を持つ日本語は難物です。英語など西欧語やアラビア語などの1バイト文字言語とちがい、電子書籍化にはけっこう高いハードルを抱えているだけなく、各社がばらばらに発表している方式には互換性の問題があります。

    ●もう人身御供にはなりたくない

    ワープロ専用機  
    お世話になったワープロ専用機、富士通OASYS

    日本語ワープロの開発に大変なエネルギーを要したことはよく知られています。おかげで、いまわれわれは日本語ワープロの恩恵に浴しているのですが、初期にはメーカー各社がばらばらに開発するワープロ専用機のどれを選ぶかウロウロし、互換性の問題に悩みました。結局日本語を解するDOS/Vの出現で、ワープロ専用機は消滅しました。ユーザーの立場から見ると、これは家庭用ビデオのβマックスとVHSの競争と同じでした。電子書籍でも、どの方式がデファクトスタンダードになるか見定めないと、かなり高い出費をしたあげく「人身御供」だったとの悲哀を味わいかねません。

    ●英語読むならamazon kindle

    kindle 
    amazon kindle

    私は昨年、電子書籍端末amazon kindleを購入しました。外国の雑誌や新聞を購読するには、たいへん便利です。写真や図版などは利用できませんが、発行即受信のスピーディさ、価格の安さ、そしてクレジットカード決済による便利さはすばらしいものがあります。私が買った世代のものは、日本語も表示できるということでしたが、実際にはグラフィック、それも横書きとしての表示でした。ためしに漱石の「我が輩は猫である」を受信したら、「門」が送信されたというバグがありましたが、通勤途上に英米の新聞が読めることに満足しています。

    ●iPadは帯に短したすきに長し

    iPad 
    画期的なデバイス iPad

    その後、apple社からiPadが発売されました。画像の美しさは、アプリの豊富さはすごい魅力です。日本での発売前に入手していたデーブ・スペクターさんに見せびらかされて食指が動きましたが、ぐっとがまんしました。私はすでにiPod touchの利用者だったからです。iPod touchを持っていなかったら、買っていたでしょう。でも、ノートPC、iPad、
    iPod touch 、モバイルギア3つは鬱陶しいし、その中でiPadはなんとなく帯に短し、たすきに長しの感がありました。3か月ぐらいしたら、デーブさんも同じ結論に達し、iPadは奥さんにあげてしまったそうです。

    ●閲覧方式の統一待つ

    友人の大学教授Aさんは、iPadを入手しました。最近では購入した本をばらして、スキャナを使って、iPadに取り込んでいます。しかし、これも所詮はグラフィックですし、本をばらすという行為には何となく罪悪感を感じます。私がiPadを忌避したもう一つの理由は、閲覧方式の互換性の問題です。電子書籍の閲覧方式のデファクトスタンダードができるのを待ってもよいと思いました。

    ●ガラパゴス化は避けたい

    ガラパゴス 

    SHARP「ガラパゴス」がガラパゴス化しないことを願う

    そうしたところへ、年末のEPUBのニュースです。果報は寝て待てといいますが、「日本語正式対応は来年5月」だそうです。あとは、日本の出版業界や電子機器業界が、我を捨ててこの統一方式に合流してくれることを望みます。そうでないと、電子書籍も日本ではガラパゴス化するおそれがあります。







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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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