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    被害者が司法に納得しないとき 映画「完全なる報復」 - 2010.12.24 Fri

    また映画の話です。来年1月公開のアメリカ映画「完全なる報復」です。

    完全なる報復 

    ●復讐と法の戦い

    妻と娘が残忍な手口で殺された。犯人の男は共犯者を検察に売り、共犯者が死刑判決を受ける一方で司法取引によって罪を逃れます。共犯者の処刑の日から被害者の報復が始まります。「復讐のために法を破る男」と「検事として法を守る男」は知力の限りをつくしての戦いを繰り広げます。想像を超える憎悪と復讐の手段は見ている者に身の毛もよだつ思いをさせるでしょう。復讐は単に犯人に向けられるだけでなく司法制度全体に向けられます。「正義とは何か」を厳しく問いかける映画です。

    ●刑罰の本質は「復讐」、それとも「教育」

    テミス 
    正義の女神テーミス

    刑罰や司法制度はいま、洋の東西を問わず揺らいでいるようです。西欧諸国の多くが死刑制度を廃止する中で、死刑制度を存続させている日本では、死刑の是非についての論議が声高に行われています。さまざまな論点のひとつに「刑罰は応報なのか、教育なのか」があります。刑罰を科す主体が被害者ならば、教育刑という考え方は出てきません。刑罰を社会が行うからこそ、教育という考え方が出てきます。しかし、長い人類社会の歴史で刑罰は応報でした。古くから家族間、部族間で行われてきた復讐です。しかし、復讐は復讐を呼び、復讐の連鎖が起きます。そこで出てきたのが社会による復讐の代行=刑罰です。社会が復讐を代行すれば復讐の連鎖が起きにくいからです。

    ●映画「アラビアのロレンス」が示す刑罰の本質

    ロレンス 

    映画「アラビアのロレンス」に出てくるベドウィンのガシームの処刑はそれを見事に表現しています。死のネフド沙漠を越えてアカバを攻撃する前夜、一方の部族の男が争いから別の部族の男を殺してしまいます。殺された男の部族は復讐を呼号します。このままではアカバ攻撃は水泡に帰します。英国人のロレンスは「私はどちらの部族にも属さない。私が処刑すればうらみは消えるか?」と銃をとります。ロレンスの前に引き据えられたのは遠征の当初からつき従い、一度はロレンス自身が命を救ったガシームだったのです。ロレンスは引き金を引きました。そして2つの部族は協力してアカバ攻撃を成功させます。

    ●刑罰は正義を実現できるか?

    復讐の権利を被害者から奪い、刑罰(復讐)を社会が代行する以上、復讐に相当する行為が実行される必要があります。教育はあくまでもそこから派生するものです。日本では、最近被害者の気持ちに量刑がそぐわないという不満が拡大しています。裁判員制度の導入は、それを是正する役割も負わされているのですが、映画「完全なる報復」の舞台アメリカには「司法取引制度」があります。完全な正義が実現できそうにないときに、容疑者との取引によって部分的正義を実現する仕組みです。部分的正義でも正義がまったく実現できないよりはまし、というプラグマティックな考えがその底にはあります。

    しかし、被害者がそれに納得しなかったときは? それをこの映画は
    violentに問いかけています。

     

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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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