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    2011-10

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    負けに不思議の負けなし 世界経済危機と日本 - 2011.10.27 Thu

    ヨーロッパのソブリン危機が世界恐慌への転落につながるかどうか、ひとつの山を迎えています。けさの日経の1面トップは「欧州銀自己資本9%に」、朝日の1面トップは「銀行借入、各国が保証」です。ギリシャのデフォルトを回避するために、欧州連合(EU)各国がギリシャの債務軽減策をとれば、域内の金融機関の財務状況を悪化させ、それが貸し渋りを誘い、金融機関の破綻、さらには規模の大きな不況を招きかねません。日経、朝日の1面トップの記事はそれを防ぐための対策を報じるものです。

    ●内向き日本を襲う世界経済危機

    日本はいま、記録的な円高に襲われていますが、多くの人々はまだ、今回の危機の深刻さを正確に受け止めているかどうか不明です。バブル崩壊以来の日本経済の低迷に加え、東日本大震災、原発事故が発生し、日本人が極端な内向きになっていたこの半年です。ふと目を外に転じてみたら、「遠い欧州の小国の財政危機が世界恐慌を招くかもしれない」といわれました。目の焦点が合わないような感覚に襲われている人が多いと思います。

    ● 欧州危機の既視感

    思い返してみれば、リーマン・ショックのころもそうでした。CDS(クレジット・デフォールト・スワップ)だとか、サブプライムローンだとか、わけのわからない専門用語を駆使する専門家の解説を敬遠して、人々は身の回りの範囲内で自分たちの利害を守ることの方を優先させてきました。その結果が既得権のぶつかり合い。政治の決定力不足も手伝って、日本は低迷から抜け出せませんでした。しかし、けさの両紙の1面トップの記事には、「既視感」を抱いた人が多いのではないでしょうか? この2つの対策は1990年代の日本の不良債権危機のときに毎日のようにメディアを賑わしたことばでした。「金融機関への資本注入(公的資金導入)」であり、「貸し渋り対策(銀行間の短期融資体制の維持)」です。いま、欧州で起きていることは決して、外国語ができなければ理解できないことではありません。そして、いま世界で先進国の政治、経済の機能不全が「日本病」と表現されているように、日本人にとって、すでに経験ずみのことが起きているのです。メディアには、長々しく小難しい説明をするのではなく、それを端的に解説してくれることが望まれます。

    ● 原因は身の丈にあわぬ生活

    日本はすでに経験済みのことといいながら、日本はそれを見事に解決できたわけではありません。だからこそ、日本はますます低迷しているのですが、その最大の理由は、日本、そして欧米の危機の真の原因を直視していないからです。かんたんにいってしまえば、それは身の丈に合わない生活をしてきたことです。欧米も日本も繁栄の中で、労働力コストと社会福祉など公的な給付がかさんできました。それこそが繁栄そのものなのですが、一方で、世界は変わります。新興国が先進国に追いついてくるにしたがって、欧米や日本はその繁栄を維持するだけの稼ぎをあげることがむずかしくなってきていました。それでも、負担よりも給付の方を求める国民の要求を「仕分け」することのできなかった政治は、どこの国でも、借金=国債発行に頼りました。この借金は景気対策の性格を持つことから大手を振ってまかり通りました。しかし、いまや政府投資の景気刺激効果は薄れています。むしろ、いまはさらに国債発行を続ければ、それが国債価格暴落=長期金利の暴騰=不況の原因になりかねないのです。げに、身の丈に合わない生活のツケとは恐ろしいものです。

    ● 不思議の負けなし

    こうして振り返ってみますと、日本の長期低迷もリーマン・ショックも欧州ソブリン危機も巨視的に見れば同じ性質の「敗北」です。前プロ野球楽天監督・野村克也さんの座右の銘に「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」というのがありますが、経済危機にもこのことばがあてはまります。アリとキリギリスの寓話を持ち出す必要もありますまい。「稼ぐに追いつく貧乏なし」の裏返しをやってきた結果なのですから。

    ● 不思議の勝ちは期待できない


    さあ、ここから日本を含む先進国が、「勝ち」を転じられるかどうか。不良債権危機後の日本も、リーマン・ショック後のアメリカも、その後「勝ち」に転じたわけではありません。経済には「経済価値」という不動のルールが支配しています。野球とちがい、運などに左右される「不思議の勝ち」は期待できません。確実な「勝ち」に転じるためには、偏狭な既得権に目を奪われず、危機の本質を的確に理解する必要があるでしょう。



     
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    「ジャスミン」は枯れた カダフィ大佐の終末 - 2011.10.22 Sat

    「中東の狂犬」と呼ばれたリビアの独裁者カダフィ大佐が20日、根拠地のシルト陥落とともに殺害されました。リビアの人々は、独裁者が消えたことに歓喜していますが、今回のリビアの結末は気がかりな点を残しました。
     
    ●統制なき結末
     
    カダフィ大佐拘束の映像は、私が出演したテレビ朝日「スーパーJチャンネル」でも放送されました。血まみれでもみくちゃにされるカダフィ大佐の周囲の人たちが「生かしておけ」といっているスーパーとともに、です。「ラー、ラー、ラー」と叫ぶ声も。「ラー」はアラビア語の「ノー」です。カダフィ大佐自身の声か、それとも拘束した民衆の声かはわかりませんが、「殺すな」という人々の中で、カダフィ大佐に銃弾を発したのは19歳の少年だったそうです。カダフィ派を追い詰めた武装勢力に「統制」がまったくなかったことがわかります。非合理的な抵抗を最後までやめなかったカダフィ大佐側にも一端の責任はありますが、リビアの混乱はそこまで行き着いた上での結末を迎えたのです。
     
    ●保てるか?リビアの一体性

    ことし1月、無血でベンアリ大統領を追放したチュニジアの民主化は「ジャスミン革命」と呼ばれました。続くエジプトでも、ムバラク大統領は逮捕されて裁判を受けています。しかし、リビアでは、独裁者を裁判にかけるという民主主義の手続きがとれない「民主化」に終わりました。独裁者を追放することはできましたが、今後の民主化が順調に進むのか懸念されます。西部トリポリタニアと東部キレナイカの対立にアラブ人とベルベル人の亀裂を抱えた国だけに、今後リビアの一体性が保てるのか、北アフリカの安定がどうなるかが心配です。アフリカ一番の原油産出国だけに、その成り行きは国際社会に大きく影響するからです。
     
    ● もはや「ジャスミン」の名は冠せない
     
    中東では、まだシリア、イエメンで民主化闘争が続いています。とくに、先代のハフェズ・アサド大統領と、その息子のバシャル・アサド大統領と少数派アラウィ教徒による強権的かつ陰湿な独裁が続いているシリアでは、独裁者側の弾圧が依然として強力です。チュニジア、エジプトからリビアに至り、中東の民主化はもはや「ジャスミン」の名は冠せなくなりました。シリア、イエメンで流血の度合いが深まることが警戒されます。独裁者打倒が流血のものであればあるほど、その後の民主化は危ういものになるからです。
     
    ● NATO関与の正当性は?
     
    もうひとつの懸念は、北大西洋条約機構(NATO)の関与です。これまでに伝えられるところでは、カダフィ大佐はシルト陥落に伴い、車列で脱出する途中でNATO軍機の空爆に会い、排水管に隠れているところを拘束されました。NATO軍の関与はことし3月の安保理決議1973に基づくものです。決議はリビアにおける停戦の即時確立を要求し、文民を保護する責任を果たすために、国際社会によるリビア上空の飛行禁止区域の設定と、外国軍の占領を除いたあらゆる措置を講じることを加盟国に容認する内容となっています。「あらゆる措置」にカダフィ大佐殺害までが含まれるかどうか。案の定、ロシアのラブロフ外相は、21日ジュネーブ条約に記された人道規定に抵触する可能性があるとして国際的な調査を求めました。
     
    ● 「外部の正義」はどう関与できるか?
     
    主権国家内で、非人道的な独裁が行われているとき、国際社会は何ができるかという基本的な問題がここでも問われているのです。「ロシアは東西冷戦のころからのカダフィ体制と近かった」と、この問題を見過ごすのはよくありません。湾岸戦争、イラク戦争、ソマリア内戦、ルワンダ内戦、ユーゴスラビア内戦、スーダン内戦と繰り返されてきた問題です。折しも、世界は世界同時不況、新たな世界恐慌の瀬戸際にあります。「外部の正義」による関与のあり方をもう一回考えなおす必要がありそうです。


     

    党内融和から政策選択へ - 2011.10.12 Wed

    野田佳彦内閣が成立して50日がたちました。民主党による政権交代から2年余が経過して、私たちは鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦と3人の総理大臣を経験しました。アメリカでは、新政権が誕生して100日間は、新政権への批判を控えるというハネームーン期間とされます。野田政権はまだ100日の半分を過ぎたばかりですから、ハネームーン期間なのでしょうか。世論調査の支持率はまだ50%を超えています。

    ●ハネームーンが長すぎる

    民主党政権下でも、新しい総理大臣が誕生するたびに、「新政権への無用な批判は控えたい」という声がありました。しかし、アメリカでは新政権の誕生は4年に1回、大統領の任期は4年ですから、ハネームーン期間は、100÷(365×4)すなわち任期の約7%です。一方民主党政権の場合は16日で成立して25ヶ月で、3人の総理大臣のハネームーン=鳩山100日、菅100日、野田50日とすると、「あるべき」ハネームーン期間はこれまでの三分の一にも達してしまう勘定になります。そう考えてみると、日本の憲政制度にアメリカ流の「ハネームーン」論を持ち込むのは百害あって一利なしといえるでしょう。

    ●鎖国心理から抜けだそう

    もちろん、野党もマスメディアも、それぞれのハネームーン期間もめげずに政権批判をしてきましたから、その責務を果たしてはいます。しかし、肝心の政治は、まだあまり動いていません。菅政権の無責任、無為無策が引き起こした政争に疲れたためでしょうか。ギリシャなどに端を発するユーロ危機が世界恐慌を再現する瀬戸際にあるというのに、また、東アジアでは中国の膨張政策が「東アジア共同体」というユートピア論とは正反対の状況を引き起こそうとしているのに、日本だけが自閉症のような鎖国心理にたゆとうているように見受けられます。

    ●新しい動き

    こうした中で、むしろ政権の側がアクションを起こそうとしています。11月のアジア太平洋経済協定(APEC)首脳会議までに環太平洋パートーシップ協定(TPP)交渉への参加問題で方向性を出す方針や国家公務員の人権費削減へ向けた具体的な動き、働きながら年金をもらう「在職老齢年金制度」の見直し、専業主婦が夫の年金の半分を受け取れるようにする年金制度の見直しなどが政府主導で新聞紙面をにぎわすようになりました。

    ●最大の反対勢力

    いずれも、大きな目でみれば国家や経済の活力を取り戻すための方向性を持った政策です。ようやく、政局でなく政策を議論する時期に入ったのかとの期待をもたせます。しかし、この3つの方向性に限ってみても、農業保護ではなく既存の農家を守ることでしかない「農家の個別所得補償制度」や、官公労の既得権擁護や専業主婦敵視など与党内に最大の反対勢力がいるのです。

    ●「政策選択」

    こうした方向性を発展させて、日本の活力をとりもどすには野田首相が、まず与党内の反対勢力と戦う必要があります。それは「党内融和」から本格的な「政策選択」に踏み出すことでもあります。いま求められているのは、まったく新しいアイデアを考えだすことではありません。さまざまな処方箋は出尽くしています。どの薬を選択し、どの時期にどの薬を使うかを選択する「組み合わせ」の問題です。そして、いま大事なことは、時間があまりないことです。欧州財政危機が世界恐慌に進展すれば、日本一国主義の対応ではそれを乗り切ることはできないでしょう。バブル崩壊以来20年、そして民主党政権2年余の時間のムダを挽回するには、「ドジョウ」が龍に変身する必要があります。
     

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    萩谷 順

     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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