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    2011-09

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    早期更迭にしくはなし 鉢呂経産相 - 2011.09.10 Sat

     野田佳彦内閣が発足してわずか一週間、 施政方針演説すらまだなのに、早くも手痛いボロが出ました。鉢呂吉雄経済産業大臣です。野田首相に随行して福島県の東京電力福島第一原発事故現場と周辺を視察したあと、「市街地は人っ子一人いない、まさに死の街という形だった」と発言したのです。

     鉢呂

    ●「批判されるべきなの?」という疑問もあるが
     
    この発言については、「それほど批判されるべきなのか?」という疑問を持つ人が少なくなかったようです。悲しいことですが、原発周辺の市街地に人っ子一人いないのは事実です。また、まったく人がいないわけではなくても、人影のまばらな町を「ゴーストタウン」に例えることはあります。そんな感覚でしょうか? しかし、原発事故の被災者たちが置かれた環境をよく理解するよう努めれば、それは違うということがわかってくるでしょう。
     
    ●被災者の希望を打ち砕く心ない発言
     
    大震災・原発事故の被災者は、家を追われ、家を遠く離れたところに疎開せざるをえなくなっています。家族がばらばらになったり、日頃助け合ってきた隣近所からも切り離されたり、さらには職場をも失ったりした人が多いのです。人は、一人では生きていけません。家族や友人の絆、隣近所の絆、そして職場関係の絆の中で、助けたり、助けられたりして生きています。大震災の被災者はそれが根こそぎにされました。昨日のテレビ朝日「スーパーJチャンネル」では、避難所から仮設住宅に移った高齢のご夫婦を取り上げていました。ご主人は大震災以降、寝たきりに近くなりました。奥さんはいいます。「311日以来、何もやることがなくなったからね」と。もし、震災がなかったら、このご主人にも家族や隣近所の長老として、期待もされ、さまざまにやることもあったでしょう。周囲に期待されているということは、その人にとって「希望」になります。原発被災者の場合はふるさとの放射能汚染が長く続くという点で津波の被災者よりはるかに深刻です。原発に近いところの住民たちは、いつ帰れるかわからない不安にうちひしがれていますが、それでも、「いつかは帰れるだろう」という希望にすがっています。鉢呂経産相の発言は、その人々の希望を踏みにじるような発言なのです。だから批判されるのです。思えば、菅直人前首相も「東日本がつぶれる」「20年は帰れない」と発言したとして批判されました。どんな人々にもやさしい政治を主張していたはずの政治家集団に属する鉢呂氏(旧社会党系横路グループ)や菅氏(市民運動出身)が、そろいもそろって心ない発言をするのですね。
     
    ●謝罪も心伴わず
     
    鉢呂発言については、さすがに野田首相は直ちに「不穏当な発言だ。謝罪して訂正してほしい」と不快感を表明しました。これは正常な反応です。これを受けて、それまで四の五のいっていた鉢呂氏は「思いはみなさんにご理解いただけると思うが、被災地のみなさんに誤解を与える表現だった。真摯(しんし)に反省し、表現を撤回したい。大変申し訳ありませんでした」と陳謝しました。しかし、これとて、かつて民主党が批判してきた自民党の暴言大臣の謝罪の様式を踏襲したものです。ことばは丁寧ですが、「お前たちは誤解したのだ」と宣言しています。野田首相の意さえ理解していないのがありありです。
     
    ● 新しい暴言も暴露される
     
    そのためでしょう。今度は足下から火がつきました。鉢呂氏は視察から帰京した8 日夜、都内の議員宿舎で記者団と懇談中、記者に防災服の袖をすりつけるしぐさをし「放射能をうつしてやる」などと発言したことが判明したのです。これがなぜけしからんかは、説明する必要もないでしょう。それよりも重大なのは、この発言が行われたとき、現場には大臣と記者しかいなかったことです(ひょっとしたら、秘書もいたかもしれませんが)。当然、情報源は「鉢呂番」の記者です。鉢呂氏は国対委員長も務めていますから、記者団との付き合いも昨日今日始まったものではありません。普通の政治家なら記者団との関係も親密あるいは、情の湧く関係になるのが普通ですが、記者の中に「大義親を滅する」行動に出た人がいたのです。そして、興味深いことに「放射能をうつしてやる」という発言そのものに、新聞によって「ほら、放射能」とか「放射能をつけちゃうぞ」とかの細かい相違があるのです。通常、自宅での懇談はメモなしが原則です。その記者たちが一斉に書いたということは、すでにこの大臣が就任した瞬間から「要注意」とみられていたことをうかがわせます。

    野田首相 

     ● 早期に辞任させなければ、累は野田首相にも及ぶ
     
    福山哲郎前官房副長官は10日のTBS番組で「発言は不適切だ。これからいろいろなことが起きてくる」と述べ、進退問題に発展する可能性に言及しました。「これからいろいろ出てくる」というのは意味深長です。wikipediaによると、鉢呂氏はこれまで、昨年起きた北朝鮮の韓国・延坪島砲撃について、「砲撃戦は民主党にとって神風だ」と発言したとか、昨年末の正副国対委員長会議で「野党の質問があまりにも低俗だ。答弁者は質疑者の低劣さに合わせなければ答えようがない」と発言したとか、芳しくない言行を残しています。民主党幹部が「自発的辞任が望ましい」と表明したのは、放っておけないということなのでしょうか。しょせん、この大臣は力量、適性というより派閥力学で選ばれた人のようです。早期辞任で火消しができればともかく、今週の週刊誌に様々な過去が出てくるようでは、野田首相の任命責任も次第に大きくなってしまいます。

    追記
    10日夜、野田首相と会談した鉢呂経産相は、辞表を提出しました(TBSニュース速報)。順当な成り行きです。野田内閣のためというより国民のためにはよい結果だったと私は思います。
    一方、この間、「鉢呂経産相は『原発ゼロ』をいったから、罠にはまった」と考える人たちもいることを知りました。



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    野田新内閣高支持率の「なぜ?」 - 2011.09.03 Sat

    野田佳彦内閣が成立して最初の内閣支持率調査の結果が出ました。92日、3日の共同通信世論調査によると、野田内閣の支持率はなんと62.8%です。野田首相自身は829日に民主党代表に選出された直後の演説で「私が首相になっても支持率は上がらないだろう」といっていましたから、本人の言を裏切る超高率です。野田さんにとってはうれしい「なぜだ?」のはずですが、ご本人にとっても、国民にとっても、これはきちんと検討してみる必要があります。
     
    ● ドジョウの効用は「癒し」
     
    昨日のテレビ朝日「スーパーJチャンネル」で私は「どうも野田氏の代表選出以来、世間に何となく『癒し』の感情がみなぎってきている」と述べました。おごりたかぶらない人格、自衛官の息子として生まれ、自助の精神で叩き上げてきたキャリア、わかりやすい演説内容に自らを「ドジョウ」に例えるユーモアなど。「世間知らずの金持ちのぼんぼんの鳩山由紀夫元首相」「無策、後手後手なのに『おれが、おれが』だけが鼻についた菅直人前首相」に苦しめられた国民は、野田首相のキャラクターに癒されたのではないかと感じたからです。高支持率は鳩山政権、菅政権への絶望の裏返しといえます。とりわけ、菅直人氏は、この数字を直視して、彼の好きな単語を使えば「しっかりと」「きちんと」自らの不徳を「総括」してほしいものです。
     
    ● 高支持率は「期待」の表れ
     
    就任直後の高支持率といえば、安倍晋三元首相も、鳩山元首相、菅前首相もそうでした。彼らの高支持率は根拠不明の「人気」でした。末路はご承知の通りです。野田首相は総理大臣としてはまだ何もしていません。高支持率は成果への評価ではなく、まったく定かでない「これからへの期待」でしかありません。ですが、ここで重要なのは野田首相の高支持率は、「もう後がない」「この難局をなんとかしてほしい」という国民のほんとうに切実なギリギリの期待のあらわれだということです。
     
    ●政党支持率の逆転も「野田効果」
     
    この世論調査では政党支持率も民主党が27.2%で、自民党の23.6%を上回りました。久しぶりの逆転です。この間自民党の支持率が民主党を上回っていたのは、民主党の失点の裏返しだったことが明らかになりました。民主党も、今回の数字は、実績が評価されたのではなく、「野田効果」にすぎないことを肝に銘ずべきです。野田氏への期待とは比べるべくもありません。自民党も民主党も態勢を立て直す必要があります。
     
     ● 臨時国会早期召集で施政方針を明確に
     
    野田首相がこれまでに表現された通りのキャラクターなら、この高支持率が、うつろいやすいものであることは重々理解していることでしょう。この数字は野田首相にとって、もっとも有利な環境で叩き出されたものですから。問題はこれからです。そして、その見通しはまったく未知数です。野田首相は国会での施政方針演説すらまだ行っていません。民主党を政策面で一致させて、国民に明らかにしたうえで真摯に野党との協議にのぞみ、実績を積んでいかなくてはなりません。いずれも「坂道を雪玉を転がしながら登る(野田首相)」ような難行です。姿勢方針演説はその第一歩です。それなのに、輿石東幹事長以下の民主党新執行部は、野党が要求する施政方針演説のための臨時国会早期召集をいやがっていると伝えられます(4日付朝日新聞朝刊)。民主党の考えている10月召集では、9月がまるまる「政治空白の継続」になってしまいます。国会の召集に消極的なようでは、せっかくの高支持率もしぼみかねません。 



    ドジョウは龍になれるか - 2011.09.02 Fri

    第一次野田佳彦内閣の閣僚、党役員人事が決まりました。鳩山由紀夫、菅直人と2代続いた民主党政権の混乱の後に出てきた野田新首相は、その風貌に「ドジョウ」を自称していることが相まって、何か一種の「癒し効果」をもたらしているようです。2日午前に行われた藤村修官房長官による閣僚名簿発表の記者会見では、内閣記者会の記者たちも、前2代の政権との対決姿勢が陰をひそめ、「模様見」を底流とした穏やかな姿勢でした。
     
    ● 挙党一致の責任を負わされた輿石幹事長
     
    先月29日の逆転勝利から4日後の野田内閣の船出。「挙党一致」を掲げて野田新体制を強く牽制する小沢一郎元代表、鳩山由紀夫元首相の小鳩グループから輿石東参院議員会長を幹事長に起用したのは、党の実権を小鳩グループに譲り渡した譲歩と見ることもできますが、一方で、「挙党一致」を実現する責任を輿石幹事長に担わせたことでもあります。これまで、輿石氏らにとって「公正な党運営」とは、反小鳩グループの主張に顧慮せず小鳩グループの利益を通すことでしたが、幹事長となっては、反小鳩グループの主張を無視することはできなくなります。今後の党運営は輿石氏にとって政治家としての品格を問われるストレステストです。輿石氏はこれまで国民の評価の矢面に立つことはありませんでした。しかし、世論調査の趨勢を見ると、国民にとっての民主党の公正な党運営とは、「小沢氏排除」を是とするものです。もし輿石氏がこの世論に露骨に抗する動きを見せれば、輿石氏は国民に直接批判されることになります。輿石氏が世論に配慮すれば、野田首相にとって輿石氏は小鳩グループからの防波堤になりえます。
     
    ● 与野党協力の責任も小鳩系に
     
    その他の党人事では、平野博文元官房長官の国対委員長起用が注目されます。野田首相は、菅政権時代の「三党合意」を守ることを天下に約束しました。平野国対委員長は、「三党合意」を守らないこともありうるとした小鳩グループの幹部です。その平野氏を国会での与野党交渉の責任者にしたことも、小鳩グループの動きを封じる一手です。野党に信頼されない国対委員長となっては平野氏の政治家としての将来にもかかわります。
     
    ●民主党第一世代は一丁上がり?
     
    内閣人事では、玄葉光一郎外相、安住淳財務相の起用が目を引きます。代表選挙での野田氏勝利に貢献したことで、「論功行賞」とされますが、なかなかどうして、民主党の将来、そして来るべき政界再編を見通した人事ともいえます。今回の政府、党人事では、小沢、鳩山、菅のトロイカ、そして岡田克也前幹事長、仙谷由元官房長官という民主党第一世代の姿が消えました。挙党一致の旗印の下で第一世代を一丁上がりにしたともいえます。野田首相をはじめ第二世代の時代に舞台が回ったのです。国民の間に漂う安堵感はこれとも関係あるかもしれません。鳩山・菅2代の政権、そして第一世代の人々は、それほどまでに政権交代への国民の期待を裏切ってきたのです。
     
    ●民主党に求められる政策面での挙党一致
     
    世間では「派閥均衡人事」「目玉のない人事」という評価がもっぱらですが、私は「ドジョウはなかなかやるな」という感想です。以前のブログで、「新政権は『ありもの』の中から」と書きました。その「ありもの」の中から、それなりのできの内閣が誕生しました。あとはそれが、どう機能するかです。中国の言い伝えでは、鯉は龍門という難所を越えて龍に変身するそうです。ドジョウが龍になるための難関は挙党一致の政府、党人事だけではありません。財政経済危機、大震災、原発事故という戦後最大の危機への対応です。野党との協力以前に与党民主党自身が内部で政策を一本化しなければ、野党との協議も始まりません。しかし、外交、財政経済政策から社会保障政策にいたるまで、民主党の内部の対立は党としての一体性を疑わせるまでに高じています。野田政権は民主党に与えられた最後の機会です。挙党一致を派閥均衡人事だけではではなく、政策面で実現できなくては、ドジョウはドジョウのままで終わってしまうでしょう。また、それは民主党の終焉をも意味するかもしれません。 



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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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