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    2011-08

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    300議席の呪縛 - 2011.08.27 Sat

     日本記者クラブで27日午後行われた、民主党代表選挙の立候補者5人による共同記者会見に出てきました。同日告示、29日投票というあわただしい日程です。政策論争を深めることができないという批判がある中で、5候補がそろって政策を競う数少ない機会でしたから。勝ち負けを占えば、第一回投票で決まることはなさそうです。第一回投票の1位と2位で争われる決選投票に残るのは、まず海江田万里経済産業相、それに前原誠司前外相、野田佳彦財務相,、鹿野道彦農林水産相の3人のうちいずれかということになりそうです。

    民主党代表選 

    2時間にわたった記者会見で、すべての候補が重要課題としてあげたのは①大震災、原発事故からの復興②経済成長と財政再建でした。現在の日本が抱える病は、「生活習慣病」としての経済不振、過大な社会保障負担と巨額の財政赤字、それに「急性の病気」としての大震災、原発事故ですから、重要課題が一致するのは当然のことです。しかし、経済成長や震災復興のために財政出動すれば、財政危機を悪化させます。一方、財政危機を治療しようと緊縮政策や増税に走れば、景気をさらに悪化させる恐れがあります。この二律背反の中で出口を見つけなければならないという極めて厳しい状況が現在の日本です。

    この二律背反は日本を悩ませているだけでなく、アメリカやヨーロッパ連合(EU)も同じです。そして、主要国がいずれも出口を見いだせないでいる最大の原因は、政治家たちが目先の自分の選挙を優先させ、国の将来にかかわる痛みを伴う重要な政策決定を先送りにしていることです。最近ではそれを「フジヤマ病」あるいは「日本化」というようにさえなってしまいました。先送りに関しては民主党政権にだけ咎があるわけではありません。バブルのころからの自民党政権も同罪です。

    しかし、今回の民主党代表選挙でも、民主党をがんじがらめにし、この2年間を「重要な政策の先送り」に終始させた構図は変わりません。それは、衆議院「300議席の呪縛」です。「300議席の呪縛」は、民主党の分裂・崩壊回避を国民の利益に優先させてきました。国民の利害も「あちら立てれば、こちらが立たず」なのですが、その中で一部に痛みを与えても、全体を好転させることで、将来的にその痛みを回復するような勇気ある決断をするのが政治の役割です。しかし、それをやれば、党が分裂することもありえます。300議席まとまってこそ維持できる政権のうまみは捨てられません。その結果が党内の政策論争を回避する結果としての「先送り」です。他方、議員の多くは、次の総選挙が自身の議席喪失に直結しかねないため、勇気ある行動をとるどころか、300議席に安住しています。

    けさの朝日新聞社説は「民主党は一から出直せ」と説きましたが、果たしていまの民主党には回帰すべき原点がまだあるのでしょうか? マニフェストの扱い、小澤一郎元代表の党員資格停止問題の態度を見ても、民主党は四分五裂状態です。「どの候補が勝っても政権維持については全党一丸でいようね」という「300議席への安住」だけでは一致するのですが、新体制が発足すれば、内閣、党人事で食い違いがすぐに露呈するでしょう。そして政策面でも、政権交代以来の政治空白を招いてきたのと同じ党内の分裂が新体制をまひさせそうです。

    民主党の支持率が下がっても、自民党の支持率がそのまま上がるわけではないという現在の世論状況を見れば、民主党だけでなく、自民党、公明党もふくめて、現在の政党が国民に選んでもらえるに値しないものになってきてしまっているのは明らかです。世論は早期の総選挙だけでなく、それをきっかけとした政党の再編を求めて始めています。それを妨害している最大の要因も、民主党の「300議席の呪縛」です。民主党の新体制に国民がほとんど期待しない原因はそこにあります。




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    夏はNHKの戦争ドキュメンタリー - 2011.08.15 Mon

    終戦記念日の15日午後は、録画しておいたNHKスペシャル2本「原爆投下 活(い)かされなかった極秘情報、 続いて「圓の戦争」、さらに「”9.11テロ”に立ち向かった日系人」とハシゴをすることになりました。大量の音楽CDをネットワーク・ハードディスクにコピーをしていたため、最初はコピー待ち時間の傍らだったのですが、次第に画面が主になりました。いずれも見ごたえのある作品でした。

    「原爆投下 活(い)かされなかった極秘情報」は広島、長崎に原爆を投下した米軍のB29のテニアン島出撃を当時の陸軍特種情報部が無線傍受で探知し、情報を参謀本部上層部に上げていたのに、迎撃はもちろん、空襲警報すら出されなかったという秘話です。「圓の戦争」は、日中戦争、第二次世界大戦を戦った日本の巨大な軍費を賄っていた特殊なメカニズムについての貴重な記録です。そして、「”9.11テロ”に立ち向かった日系人」は、9.11テロ直後の米国で人種差別と闘ったノーマン・ミネタ元米運輸長官が、大戦中に日系人強制収容所に入れられていた経験を振り返る中から米国社会を語るものです。番組を見ていない方は、それぞれの番組の名前(青色 下線部)のところをクリックしてください。


    7年前大学教員になり、久しぶりに夏季休暇に恵まれるようになって、夏はNHKのドキュメンタリーをよく見るようになりました。数年間続いた「兵士たちの戦争」がきっかけでした。戦前の日本の都市の多くには、陸軍の師団や連隊がありました。NHKの各地方放送局が地元の師団、連隊の悲惨な戦史を、地元の生存者を訪ねて物語るものです。登場する元兵士たちは90歳前後、生存兵士たちの多くが亡くなっていく中での貴重な聞きがたりです。初めは同業者として、「時」と「地の利」を生かした上手な企画だなと思ったのですが、やがて、NHKの地方放送局の高い力量にも気付かされました。

    「情報」がありながら、それを活かせず、むざむざ20万人余の犠牲者を出した国家上層の不手際を突く「原爆投下 活(い)かされなかった極秘情報」にしても、破綻することが予測されるのに、無謀な戦争のために国債や通貨の乱発を続けた国家の愚かしさを描き出した「圓の戦争」にしても、原発事故後の無為無策や、借金漬けなのにご機嫌とりのマニフェストを捨てられないいまの政治を思い起こさせずにはおかない現在的視点があります。

    訴求力はハイビジョンの映像のせいだけではありません。戦争と国家、国民の関係を考えるとき、新聞がともすれば、「逆コース批判」と「自虐史観批判」の不毛な二項対立にはまり、教条的になりがちな中で、時間と手間をかけて、中庸の立場からわかりやすく語るNHKの戦争ものの視点は貴重です。若いひとたちにはぜひ見てもらいたいと思います。




     

    「ありもの」と「総選挙」が新政権のキーワード - 2011.08.14 Sun

    お盆を迎えて、3月11日以来の日本の異常事態も表面上小休止の盛夏です。菅直人首相はようやく延命をあきらめたようです。お盆以降は日本の政治も前向きに動き始めそうです。メディアも、完全な死に体なのに往生際悪く小細工を繰り返す菅首相について批判を繰り返さなければならないというなんともやりきれない状況から解放されます。やれやれです。

    ●政治空白に終止符が打てるか?

    特例公債法と再生エネルギー利用法が成立して、菅首相が約束通り退任すれば、民主党の新代表選挙、続いて新首相の指名、そして政権の構成と新内閣の組閣が行われます。3月11日以来の事実上の政治空白に終止符を打つことが期待されます。とはいえ、菅首相退任は行き詰まり感からの心理的な解放感をもたらすものの、民主党が衆議院では圧倒的多数なのに、参議院では少数という「ねじれ国会」には変わりはありません。おまけに民主党は首班指名で優先的な力を維持していますが、「マニフェスト」をかなぐりすてただけでなく、党内もバラバラで、もはや政権党としては政策的にも、組織的にも一体性を失ってしまいました。こうした中で、今後の政治の動きを見ていくうえで重要なキーワードは「ありもの」「解散・総選挙」です。

    ●「理想の指導者」を求めることはできない

    新首相に理想の人材を期待することはできません。これが現実です。いま私たちが見ている民主党の中ボスたち、つまり「ありもの」から新首相を選ばなければならないということです。いま有力とされている野田佳彦財務相をはじめとした中ボスたちの世論調査での期待度は5%前後。まさに「どんぐりの背比べ」です。みんなの党の渡辺喜美代表は「B級グルメどころかD級グルメ」と表現しました。しかし、「理想の指導者」を求める余裕はありませんし、ときには危険でさえあります。新首相は、野田氏にせよ、だれにせよ「ありもの」の中から選ばねばなりません。また衆議院の現在の多数派である民主党の中から選ばねばなりません。もし、民主党がほんとうに「挙国一致」「救国」を望むなら自民党など野党の中の優秀な人材に総理大臣を譲るという方法もありますが、残念なことに民主党にその潔さを期待するのはむずかしそうです。また、野党にも衆目の一致する首相候補がいないことも世論調査の示すところです。

    ●「ありもの」を上手に使う政治上手になろう

    だからといって失望する必要はありません。料理上手というのは、完璧なレシピと上等な食材から料理を作る人ではありません、冷蔵庫の中のありものの中からでもおいしいものを作れる人をいいます。これまでの日本人は、長く続いた自民党政権下で、「正しい政治」についての妄想をふくらませすぎてきました。その結果、絵に描いたモチの「マニフェスト」や「米軍駐留なき安保」という幻想に飛びつき、結果として東日本大震災、原発事故対策での政治の不始末を被ったのでした。私はイソップの寓話「カエルの王様」を思い出します。カエルの王様はカエルが一番です。「ありもの」の政治家の中から首相を選び、それを上手に使い、だめなら首をすげかえればよいのです。どうも鳩山由紀夫前首相や菅首相というのは、この寓話の「流木」の王様(ひょっとしたら、もうコウノトリ?)だったような気がします。そろそろ、カエルの王様に戻りたいものです。

    ●国民に求められるもの

    しかし、政治の主人公である国民にもやるべきことがあります。それは、もうすこし我欲を捨てることです。バブル崩壊以来の日本の政治の最大の課題は、グローバル化の結果、新興国が中心になってきた世界に適応できるように日本を作り替えることでした。しかし、それは様々な既得権の壁に阻まれてきました。政治家たちは、選挙だけを気にして重要な決定を先送りしてきました。いま、世界では、これは「フジヤマ病」(英誌TheEconomist)と名付けられています。日本同様、財政危機を脱する力がないオバマ米大統領やメルケル独首相もその患者とされています。先進国がグローバル化に適応するには、有害な既得権をなくしていく必要があります。しかし、国民の多くは他人の既得権は非難しますが、自分が乱用している既得権には知らぬ顔をします。最近の日本での好例は大震災、原発事故の被災者に対する高速道路の無料使用です。茶碗が壊れただけでも被災証明書が出るというのはまだしも、常磐道の水戸インターを使うことで、被災地とまったく関係ないトラックが無料通行しています。水戸インターで出入りするトラックの14%がこうした制度の乱用だったそうです。14%というのはなかなか興味深い数字です。数知れぬ政策的補助や給付、さらには社会福祉など弱者への給付などの100%すべてが乱用ではないとは考えられません。しかし、こうした乱用されている既得権を削ることができず、赤字国債を乱発してきたのが、自民党政権、民主党政権を通じての日本の政治の過ちです。「ありもの」の新首相に、日本が本当に必要とする政策決定をしてもらえるようにするには、国民が賢くかつ道義的になる必要がありそうです。

    ●総選挙を意識した与野党せめぎあい

    一方、「ありもの」の新首相が誕生しても、政治の趨勢はいやおうなく「解散・総選挙」を意識したものになっていきます。野田財務相は13日、新政権の構成について自民党、公明党を含む大連立の必要性を指摘しました。たしかに、「ねじれ国会」の現状では、大連立は大きな意味を持ちます。現在の与野党の勢力配置で大連立に移行すれば、国会での与党は圧倒的多数になり「ねじれ国会」は解決します。しかし、巨大与党は社民党に近い民主党議員からタカ派の自民党議員までを抱え込みます。これでは政権内部がねじれるだけです。また、民主党からの大連立の誘いは多分に来たるべき総選挙対策の匂いがします。野党を政権内に誘い込んで共犯者にすれば、総選挙での民主党の敗北を軽減することができるかもしれないからです。一方の自民党、公明党は大連立が国民の声となったときには追い込まれます。大連立に参加して共犯者の道を選ぶか、野党に徹して「挙国一致」に背を向けたと非難されるかのどちらかです。いまのところ、自民党内でこの中間の「閣外協力」の線が強いそうなのは、自民党の利害からいえばうなづけるところです。こうした現状を見るかぎり、与党も野党も口では「挙国一致」を唱えながら、党利党略をなかなか超越できていないというのが現状です。

    ●意味のある総選挙を

    しかし、政治はこの現状を前提としなければなりません。ないものねだりをしている余裕はありません。「ありもの」の総理大臣と「大連立」か「閣外協力」の内閣で再出発しなくてはならないのです。いずれにせよ、民主党単独政権(国民新党などとの小連立もそうですが)はマニフェストの瓦解とともに正統性を失っています。まして、東日本大震災+原発事故は政権交代時の条件を根底的に変えました。議会制民主主義の公理からいえば、解散総選挙が必要なのです。ただちにそれができないとすれば、新しい政権の重要な任務のひとつは、可能な限り早く総選挙を行うことです。そのためには、「一票の価値」の不公正を是正する必要がありますし、そもそも、自民党、民主党という二大政党が解体しての政党再編成を経た総選挙が理想的です。「支持政党なし」が60%を超える状態というのは既成政党の存在理由が極めて希薄だということを意味します。まさに日本の将来を左右する来るべき総選挙は選び甲斐のある、そして意味のある総選挙でありたいものです。しかし、国会議員たちが享受している既得権(議席)も、国民が享受している既得権同様たいへん頑固な障害です。
     

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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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