topimage

    2011-06

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    政治空白を解消するために考えるべきこと - 2011.06.07 Tue

    菅直人首相の命運もいよいよ尽きようとしています。「月内退陣論が加速」(7日付朝日新聞朝刊1面)。復興基本法が17日にも成立する運びになったのを機に、政権内にも菅首相に見切りをつけようという考え方が支配的になってきたためです。菅首相は、なお第2次補正予算案や特例公債法案にこだわっていますが、これらは野党の反対で合意のめどが立ちません。これら2法案が菅首相の延命の口実として利用されるのを許しては「菅首相が存在するという政治空白」が延々と続きかねないということに与党内も辛抱できないということです。

    菅直人渋面 

    ●「こんなことをしている場合か!」との怒り

    「菅おろし」の具体的な道筋、そしてどのような新政権が誕生するかは、今後の推移によってまだはっきりしません。しかし、新政権が国民の期待するような実行力を発揮できるかどうかについては、確信はありません。これまで、菅首相が「だれがやってもこれまで以上のことはできない」とうそぶいて、政権にしがみつく口実にすることを可能にした土壌です。被災地の方々の「政争などをしていられる場合か!」と怒る根拠もそこにあります。一方国民生活全体が東日本大震災と福島原発事故という未曾有の国難で危機に瀕していることからも、被災者の怒りは国民のかなりの部分に共有されています。

    ●菅首相という名の政治空白

     不信任案 

    しかし、いま政権をめぐる争いを休戦してしまったらどうなるでしょうか。政権延命のために「やめる、やめない」のペテンを弄した菅首相は完全に信を失いました。一部の菅信者をのぞいて国民の多くは、菅批判というレベルを超えてあきれています。野党はもちろん、与党や官僚機構もあきれてしまっています。かりに菅首相が今後どのような素晴らしい政策を思いついたところで、それを行政、立法のプロセスを経て実現することはできないでしょう。それが「信を失う」ということなのです。菅内閣のもとでの政治休戦は「政治空白」なのです。

    ●政治空白の最大の被害者は?

    政治空白という怪物はまず弱者に襲いかかります。その弱者は第一に被災者の方々です。そして、それ以外の国民生活の中でも「政治空白」は弱者から次第に傷めつけていきます。福祉、雇用、さらには一般のビジネス活動まで被害は広がり、日本の経済、社会を掘り崩していきます。「政争をしている場合か!」という怒りは極めてもっともですが、そのままに受け取ったり、政争の具にするのでは有害になりかねないのです。「スピード感をもって新しい実行力のある政権をつくることによって、政治空白を解消する」と読み替える必要があるでしょう。

    ●政治家は被災者のことを考えているのか

    仙谷由人   原口 鳩山由紀夫

    そのためには、永田町の国会議員たちが国民の付託にこたえて一生懸命汗をかく必要があるのですが、メディアによって伝えられる永田町の動きはそれとは程遠いものがあります。昨日のテレビ朝日「TVタックル」で被災者の訴えに答えず、自説を述べ続けた自称首相候補の某国会議員にネット上で強い批判が浴びせられたのはそれを象徴しています。なぜそうなるのでしょうか。

    ●解散回避という安全地帯の住人たち

    noda edano 

    まず、第一の理由は、永田町の国会議員たちが弱者とは一番対極的な立場にいるからです。憲法によって首相選出=政権づくり、そして法律づくり=政策の実現に一番の権力を付与されている衆議院議員は、「解散がないかぎり」彼らの立場は大災害があろうと戦争があろうと保障されています。解散がないかぎり、被災者そっちのけの政争に明け暮れることができます。この場合の政争は、スピード感をもって有効な政策を実行できる政権を生み出すという積極的なものではなく、自らの保身、権力欲と主導権争いを意味します。新聞、テレビで伝えられている政局、とりわけ民主党内の主導権争い、さらに大連立をめぐって堂々巡りする権力抗争がそれです。

     前原小沢

    ●総理大臣に「信」さえあれば

    こうした表層を一皮めくると、永田町の国会議員たちが非生産的で見苦しい政争をくりかえさざるをえないのも無理ないという事情が第二の理由としてあります。「ねじれ国会」です。しかし、議会の構成がどうであれ、総理大臣が十分に国民に支持されていれば、「ねじれ」を乗り越えての政策の実行が可能です。もし、衆議院がいうことをきかなければ、解散に訴えて国民に判断してもらえます。総理大臣が国民に支持されていれば与党が勝つでしょう。が、現実はそうではありません

    ●国民の声を聞くのが怖い政府・与党

    石井一 
    石井一民主党副代表

    菅首相は解散をちらつかせて与党議員たちを内閣不信任案に反対させるというアクロバットまでは可能でしたが、現実の解散はこわくてできません。4日夜、菅首相が、退陣後の後継首相について「自民党の谷垣禎一総裁にやらせたらどうか」と大連立前提の禅譲を進言した民主党の石井一副代表に対して「谷垣氏にやらせたら6カ月以内に衆院解散するだろう」と難色を示した というエピソードはそれを証明しています。一方、菅首相の「退陣詐欺」=内閣不信任案否決を可能にしたのは民主党衆議院議員たちの「なにがなんでも解散を回避したい」という保身でした。いま解散すれば、民主党は確実に権力の座から追われます。政党としての態を維持することもむずかしくなるかもしれません。党首から党所属国会議員までこうした見方で一致しているというのは、悲しいことです。

    ●解散求める自民党の実態は

    谷垣 

    では、一方の自民党はどうでしょうか。自民党は早期の解散を求めています。総選挙で民主党が敗北するのは確実です。でも、自民党の勝利の程度はどうでしょうか? 一昨年の総選挙での民主党には未知数のフレッシュな魅力で圧倒的な勝利を収めました。しかし、自民党は「既知」の政党です。政権から追われて2年になりますが、自民党が本当に生まれ変わったと思う人は残念ながらほとんどいないでしょう。現在の国会の勢力分野とそれぞれの政党のこれまでの行状をみれば国会議員がいくら汗をかいても、生産的にはなれないのです。

    ●議会内だけで手詰まり解消は可能か?

    こうして行き詰まったあげく、日本は政治空白に突入しています。しかし、私たちは、この政治空白を議会制民主主義を定めた日本国憲法が提供してくれる道具を使って解決していかなければなりません。議会制民主主義は、選挙によって選出された代表が議会の手続きにしたがって有能な実行力のある政権を創りだすことを求めています。それなのに、現状の国会はその政権を生み出すことができないだけでなく、その手続を乱用して、国民の利益にならない醜い権力闘争に明け暮れています。それが被災者をはじめおおかたの国民に怒りを拡大させているのです。現在の国会議員たちが所属政党を離れて、政策優位の政党再編成に踏み切って有能な実行力のある政権を創りだすことができるでしょうか?いま、民主、自民両党が向かおうとしている大連立はそこに向かう可能性を秘めていますが、これとても大連立をめぐる権力争いを見れば、国民の意にかなうものになるかどうかは保証の限りではありません。

    国会議事堂 

    ●国民の意見を聞くことが処方箋

    議会の手詰まりに対して憲法が提供している道具は、衆院解散=総選挙以外にありません。なによりも、議会制民主主義では、「国民の意見を聞く」=選挙は最大の大義です。そして、議会制民主主義がよりよいものになるためには政権交代が必要といわれるのは、選挙を繰り返すことによって、よりましな多数派を産み出すこと、さらには、そのためには政党の再編成をも伴うということなのです。

    ●政治空白は政治不信に転化して弱者を襲う

    一時帰宅 
    一時帰宅して墓参する被災者

    未曾有の大災害が襲った危機に選挙などとんでもない。あるいは、被災地では統一地方選挙もできなかったではないか。こういう見方が強いのは事実です。しかし、このままでは政治空白がさらに深刻化していきます。大震災で延期させた被災地の統一地方選挙を9月22日までに実施させるという地方選延期法が5月20日に成立しました。これは9月22日までには総選挙も可能になるということを意味します。実行力のある政府をつくるために国民一人ひとりの意見を反映させる総選挙への道を進むのか、それとも「菅以後」をめぐる権力闘争を傍観者として見物させられるのを甘受するのか。9月22日に向けて、私たちはよく考えなくてはなりません。もし、それまでに大連立政権が誕生したとしても、これはあくまでも緊急避難です。大連立政権形成にあたっては、その任務を政策協定によってはっきり限定することと、少なくとも年内の解散総選挙を約束することが必要です。選挙なしの首相交代は好ましくありません。まして、権力の政党構成が変わる大連立の場合には必ずその信を問う必要があります。そして、国民の意見を聞く総選挙をできるだけ早期に行う約束をしなければ、現在の「政治空白」がそれよりもさらに深刻な「政治不信」=「政治が国民の意思を反映していないと思うこと」に転化していきかねません。そして、その被害はまず被災者に襲いかかることを理解する必要があります。


     
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    菅直人から中古車が買えるか? 政治と信用について - 2011.06.04 Sat

    3日(金)の閣議のときの菅直人首相の満面の笑顔は何だったのでしょうか。これだけの晴れやかな笑顔はなかなか作り笑顔ではできません。まさに「してやったり」です。しかし、天網恢恢疎にして漏らさず。政治家菅直人氏は、衆議院での内閣不信任案否決をめぐる談合で、鳩山由紀夫前首相に「口約束を守れないのはペテン師」とまでいわしめたことによって、目論見とは反対に遠からず退陣に追い込まれることになりそうです。

    菅直人笑顔 

    ●鳩菅談合のキモは


    2日午前の菅・鳩山会談で何がどう話し合われたかの細部は新聞で伝えられていますから、それに譲ります。ここでの要点は、①菅首相が早期の退陣を(口約束にせよ)認めた②菅首相は「私を信じてほしい」と「退陣」を文書化させなかったの2点です。これをもって、鳩山氏は不信任案反対に転じ、民主党内の反菅派もこれに同調しました。「切腹する」といっている者の首をはねるのは控える。いわば「武士の情け」です。ところが、菅首相は代議士会でのあいさつで、「退陣」の「た」の字も出さず、否決後の記者会見では来年初めまでの続投を宣言したのです。

    ●退陣の「た」の字もない「首相あいさつ」「覚書」

    この日、私はスーパーJチャンネル(テレビ朝日)の出番でした。テレビ朝日入りする直前に情勢は前日深夜とは大きく変わっていました。テレビ朝日の報道局で「菅首相あいさつ」の全部を聞き、「菅鳩覚書」をチェックした私はスタッフにいいました。「おいおい、菅はやめるなんて、ひとこともいってないぞ!」。「若い人たちにさまざまな責任を引き継いでもらう」という文言は、「部分的に責任を分担させていく」ことと理解する方がすなおです。「覚書には退陣ということばはない」という菅首相の言い分は、それはそれでそのとおりなのです。

    代議士会 
    2日の民主党代議士会であいさつする菅首相

    ●報道の流れつくった「耳打ち」

    しかし、新聞の号外、夕刊、そして夕方のテレビニュースは「菅首相退陣表明」の流れになってしまいました。なぜでしょう? 翌日になってわかったその背景は次のようなものでした。2日の鳩菅会談の直前に首相側近(安住淳・国対委員長といわれます)が記者たちに「首相退陣」の情報を耳打ちでばらまきました。記者たちは、そのコンテクストでその後の情報を理解し、「首相あいさつ」をも色眼鏡で見て、「首相退陣」と報道してしまったというわけです。民主党議員も雪崩を打ちました。「あいさつ」が効いたのです。その夜のtwitterで「あいさつするほど友だち増える」と公共広告機構(AC)の「ぽぽぽぽ~ん」CMをもじった人がいたのには大笑いしました。まさに「あいさつ」が青票(信任)を稼いだのです。一方、菅首相は用心深く言葉を選び、不信任案が否決された安全地帯にたどりついてから、「やめるなどとひとこともいっていない」と開き直ったということのようです。

    ●約束守らぬのは民主党の十八番か?

    鳩山前首相の詰めが甘いのに乗じたということです。そして、このペテンは計画的な匂いすらします。鳩山氏が激怒するのも当然ですが、彼とて有名な「トラスト ミー」事件があります。資金疑惑での政治倫理審査会への出席問題で小沢一郎元代表も信用に自ら傷をつけています。民主党さんは「約束」というものをあまりまじめに考えていないといわざるをえません。

    鳩山由紀夫小沢  

    ●「能力」「資質」を超えて「人格」に自ら決定的な汚点

    しかし、今回ばかりは、菅首相は自らを決定的に追い込んでしまいました。ただでさえ大震災、原発事故対応で、菅首相の「能力」「資質」には大きな疑問符がついていました。だからこそ、野党は不信任を突きつけ、与党内にも同調の動きが出たのです。もし、菅首相の「能力」「資質」が万全なら与党内の反乱は起きる余地がありません。そしてなにより致命的なのは、今回の「ペテン師」事件が、菅首相の「人格」に決定的な疑念を抱かせたことです。それを象徴するのが、巾着切りのようなやり方で結党の同志を裏切ったあげくの翌朝の笑顔です。

    ●約束を守らぬ人は信用されない

    政治というのは人間関係の技術です。その基本は「約束を守る」ことにあります。約束を守る人は信用されます。信用は他人を動かす最大のもとでです。しかし、菅首相は自らを「信用できない人間である」と天下に宣伝してしまいました。

    ●菅首相から中古車を買うと?

    ヘルムート・コール 
    ヘルムート・コール元ドイツ首相

    1980年代から90年代にかけてドイツ統一のリーダーだったヘルムート・コール元首相には、若いときから「コールさんからなら安心して中古車が買える」という評価がありました。ドイツの中古車売買は業者を通じてでなく、大半が個人間で行われます。中古車を売りたい人は新聞に三行広告を出します。買い手はその新聞広告によって売り手に接触するのです。どこに瑕疵があるかわからないのが中古車です。査定データを示す場合もありますが、それにはけっこうなお金がかかります。基本は売り手、買い手双方が会ってみて、それぞれが「相手が信用できるか」を判断する真剣勝負です。ある世論調査で「恋人よりクルマが大事な男性が多い」という結果が出たほどにクルマはドイツ人にとって重要なものです。そして、その売買について「この人なら信用できる」と太鼓判を押されたコール元首相が16年にも及ぶ長期政権を維持したのは理解できることです。

    さて、みなさんは菅首相から中古車を安心して買いますか?


     

    質の悪い抗争に収束 菅内閣不信任案のてんまつ - 2011.06.02 Thu

    日本の政治に転機をもたらすかもしれなかった菅直人内閣不信任案を審議する2日の衆議院本会議は、「幕が開いたときには芝居が終わっていた」状態でした。本会議直前の菅首相と鳩山由紀夫前首相の談合で、「一定時期の首相退陣」と引換えに反菅勢力が矛を収めるという取引が成立したためです。その結果、民主党からの造反は松木謙公議員と横粂勝仁議員の不信任賛成と小沢一郎元代表以下14人の欠席という小規模なものに終わり、不信任案は圧倒的大差で否決されました。

    横粂 松木 

    ●解散の恐怖で双方がしっぽ巻く

    1日深夜には、民主党内の造反機運が高まり、不信任案は可決される形勢でした。これに対し、菅首相側は衆院解散で迎え撃つ態勢を整えていました。それが急転直下となった原因は、なによりも議員たちの「解散の恐怖」でした。反菅勢力は不信任案が可決されても菅首相は解散に踏み切れないとタカをくくっていました。しかし、解散が現実のものになりそうになると、厳しい現実に気づきました。いまでこそ、小沢、鳩山系は前回総選挙で大挙当選した「チルドレン・ガールズ」によって数の力を誇示できますが、一旦総選挙となれば、彼らの大部分は落選してしまうのは確実です。一方菅首相にとっても、総選挙を経れば再び首相官邸に戻れる可能性はありません。解散をめぐるチキンゲームで折れたのはまず、小沢、鳩山系であり、菅首相も退陣示唆に追い込まれました。

    小沢 

    ●覚書に表れた保身

    菅鳩合意覚書の
    ▽民主党を壊さないこと
    ▽自民党政権に逆戻りさせないこと
    は、解散の恐怖からの民主党衆院議員の保身そのものです。その結果、今回の政局は、民主党内の閉鎖的な権力闘争というもっとも質の悪い政局になってしまいました。

    鳩山由紀夫 

    ●早くも始まった「いった いわない」

    そして、質の悪い党内抗争にふさわしく、不信任否決直後に、菅鳩合意をめぐる民主党お得意の「いった、いわない」がはじまってしまいました。
    菅鳩覚書の3項目は
    ▽大震災の復興並びに被災者の救済に責任を持つこと
    1〉復興基本法案の成立
    2〉第2次補正予算の早期編成のめどをつけること
    で、鳩山前首相は1)2)の条件が満たされれば、菅首相は退陣する、そして退陣の時期は6月いっぱいと説明していますが、岡田克也幹事長は「それは条件ではない」と言い出したため、鳩山氏は岡田氏を「うそつき」呼ばわりする始末です。

    okada 

    ●自公に後ろ足で砂かけた反菅勢力

    民主党代議士会での菅首相あいさつは、そのへんを微妙にぼかしています。民主党内はこの「いった、いわない」でまたまたこじれ始めるかもしれません。ただ、今回、反菅勢力は大変な無駄遣いをしました。それは自民、公明両党が提案した「不信任案」です。反菅勢力が菅首相の譲歩を引き出せたのは自公提案の「不信任案」のおかげです。民主党内の反菅勢力だけで不信任を成立させることはできません。その貴重な機会を提供してくれた自公両党に反菅勢力は後ろ足で砂をかけてしまいました。今後、自公両党はこれまでよりさらに反菅勢力と距離をおくでしょう。また、菅首相が国会会期を延長すれば、再び不信任案を提出できる可能性は遠のきます。そして、菅首相のいう「一定のめど」には正確な定義はありません。菅首相が居座ろうと思えば、いくらでも居座れそうです。

    ●一時しのぎの結果見えてきた民主党消滅の可能性

    菅直人渋面 

    しかし、菅首相の側も、反菅勢力をだますことはできても、もう自公両党はもとより、世論を納得させることはできないでしょう。政権居座りを続けているとみられてしまえば、ますます支持率は低下するでしょう。今回ばかりは、つかの間の談合で政権は維持したものの、もしこのまま衆院の任期満了まで行くと、その後の総選挙で民主党を待ち受けているのは「消滅の危機」かもしれません。
     

    やっと政治が動く 2日に菅内閣不信任案採決へ - 2011.06.01 Wed

    日本の政治が大きく動こうとしています。自民、公明などは1日夕、菅直人内閣不信任案を提出しました。これに対して、与党民主党の小沢一郎元代表、鳩山由紀夫前首相が不信任案に賛成の意向をそれぞれ表明しました。2日午後、衆議院本会議での採決の結果が不信任と出るのか、信任とでるのか、不信任案が可決した場合、内閣総辞職か衆議院解散の2者択一を定めた憲法69条の規定のどちらを菅首相が選択するのか、1日深夜の段階ではまったく見通しがつきません。

     鳩山由紀夫 小沢

    ●道の分かれ目

    衆院議員の数をめぐる読みは本職のマスコミにおまかせして、ここでは、明日の不信任案採決がどのような道の分かれ目になるのかを整理しておきましょう。

    ●不信任案可決なら「解散」か「総辞職」以外に道なし

    まず、最大の選択肢は不信任決議成立か、不成立かです。不信任案が可決された場合、憲法の規定通り、菅首相は10日以内に内閣総辞職するか、衆院を解散しなければなりません。衆院の意思に従うのが総辞職です。これに対して、解散は衆院の意思には不服で、国民に直接信を問おうというものです。戦後、内閣不信任は4回成立しており、その何れの場合も時の首相は解散を選択してきました。

    菅直人渋面 

    ●「解散」に走れば、「被災者を政争の道具とした」との批判も

    では、内閣不信任が可決された場合、菅首相はいずれを選ぶのでしょうか。これまでの菅首相ならびに内閣や党執行部の主要メンバーの言動を信ずるなら、解散の道をとることは許されないはずです。この間、党内外の批判や退任要求に対して、菅首相側は「震災、原発事故の被災者のことを考えれば、総選挙などはありえない」と菅首相の続投を既成事実化しようする一方で、党内の造反を防止するために「解散はありうる」と正反対のメッセージで脅してきました。しかし、不信任案の可決の可能性が増した現在、菅首相は「やぶれかぶれ解散」に出るのではないかとの観測が強まっています。その場合は、解散をめぐる正反対のメッセージの矛盾をきちんと説明しなくてはなりません。さもないと、菅首相側が続投の根拠として強調してきた「被災者の窮状」とは結局自らの延命策のダシにすぎなかったという批判を免れることはできないでしょう。

    ●総辞職は政界再編へのスタートライン

    日本の現状と菅内閣の行状を見れば、解散後の総選挙を経て菅首相が再び首班指名されることは99.9%ありえません。解散後の政治は政党の再編成を含む「新たな、有効な多数派」を形成するための産みの苦しみの時代に突入します。では、菅首相が解散を選ばず、総辞職の道を選んだとしたらどうなるでしょう。この場合は、民主党の分裂をきっかけにやはり産みの苦しみの時代に突入します。そして、この場合は解散後の再編成よりもさらに時間がかかることになりそうです。

    ●不信任案否決もイバラの道の始まり

    次に、2日に内閣不信任案が否決された場合です。この場合が菅内閣が信任されたということになりますが、今回の信任は与党がこぞって内閣不信任案に反対する場合とは大きく異なります。与党からかなりの内閣不信任案賛成者が出るからです。ただでさえ、政権基盤が大きく揺らいでいる菅内閣はさらに弱体化します。それは法案や予算を国会で成立させる力がなくなるということです、菅首相は名目上首相に留まりますが、「菅の菅による菅のための政権」とでもいいましょうか。その内閣はなんのための政権なのかわからなくなります。一方、造反防止のために党執行部は造反者への除名などの厳しい処分をちらつかせてきましたから、処分なしではすませてはさらに弱体化してしまいます。でも、処分者の離党あるいは新党結成など民主党分裂に始まる政界再編成への道につながっていきます。

    国会議事堂 

    ●政治のミスマッチ解消へ

    上記3つの分かれ道は結局、ひとつの道へ収束しそうです。そしてそれには十分な理由があります。1990年代の初め以来、日本の首相は小泉純一郎氏を除いていずれも短命でした。首相になった政治家の資質に問題があった場合もありますが、そうしたケースも含めて過去20年間の日本政治の通奏低音は、国民の多様なニーズを正確に反映する政党配置に欠けていること、すなわち、国民と政党のズレという不協和音でした。太平洋プレートとユーラシアプレートのズレが引き起こした東日本大震災が日本政治の深層に巨大な地震=本格的な政界再編成を誘発しようとしているのが現実なのです。これまで、政治家たちの都合で先送りしてきたミスマッチ解消の動きが始まるのかもしれません。
     

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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
    出演番組
     スーパーJチャンネル(金)
     モーニングバード!(水)
     ワイド!スクランブル(月)
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