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    2011-05

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    「そうだったのか!学べるニュース」に出演します - 2011.05.24 Tue

     しばらくのごぶさたでした。

    多忙なのに、気分転換に新しいパソコンを作ったりしていて、時間がとれず失礼しました。新しいパソコンでの初アップロードです。INTELのCPU、Core i7 2600KとOCZのSSD、Vertex3を使った現在最新鋭のPCです。わずか30秒で起動するのはすごいものです。

    25日(水)午後8時からのテレビ朝日「そうだったのか!学べるニュース」に出演します。テーマは「原発事故の現状」についての基礎知識です。原発事故については、初動段階での「海水注入中断」が問題になっています。焦点は菅直人首相と斑目春樹原子力安全委員長の食い違いです。科学者の「可能性はゼロではない」ということばをどう理解するかがカギです。細野豪志原発問題担当は「検証」「検証」と透明性を強調しています。真実はやがて明らかになると期待したいところですが、肝心のやりとりについては「議事録」がありません。またまた繰り返される「いった、いわない」の水かけ論でおわりそうです。

    とろで、あすの「学べるニュース」はこうした政治の話は一切抜きです。といっても、そもそもなじみの薄い原発のシステムと事故の現状をやさしく解説するのは、むずかしい課題でした。きびしい勉強でした。

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    不思議な言葉遣い 菅首相の福島原発事故 - 2011.05.10 Tue

    東日本大震災から11日で2か月。巨大地震と大津波の被災者、そして東京電力福島第1原子力発電所の事故による被害者の救済のカレンダーが先行き不透明のままにとどまっている一方で、菅直人首相にとってはこの日付けはとても重要なようです。中部電力浜岡原子力発電所の全面稼働停止で中電をねじふせた勢いをかって、10日の記者会見では、首相は「事故の収束のメドがつくまで首相としての歳費は6月から返上する」ことを表明しました。

    ●安全と安心

    浜岡原発 
    浜岡原発

    浜岡原発の全面停止要請にあたって、菅首相は「国民の安全と安心のため」と説明しました。「安全」は科学的な根拠にもとづいて判断することができます。この場合は「30年以内にマグニチュード8以上の東海地震が発生する可能性は87%」という数字で説明されました。しかし、「安心」は人の心を根拠とするものだけに、客観的な基準にはなりにくいものです。「安心」を持ち出されては、中電はぐうの音も出ません。中電は9日に停止を決定しました。しかし、「安心」をいうなら、停止が浜岡原発に限定されるのは納得がいかないと思う人が多いでしょう。早速、全国のほかの原発立地にも波紋が広がっています。それだけではありません。「停止」はあくまでも中電が自主的に決定したものです。総理大臣は要請しただけです。結果の責任は中電にあります。ですから、菅首相は浜岡原発停止が「英断」であるかぎりその果実を享受します。こうしたやり方は実はあまりフェアとはいえません。前回のブログで、「菅首相は錦の御旗をわしづかみにした」と表現したのはその意味でした。

    ●歳費と給与のことばのあやは?

    一方、「歳費の返上」ということばを聞いたとき、私は違和感をおぼえました。「歳費」ということばは総理大臣の報酬には普通使わないことばだからです。総理大臣の報酬は「特別職の職員の給与に関する法律」で規定されます。一方、「歳費」は国会議員の報酬を意味し、「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律(歳費法)」によって定められています。そして、歳費法は「国会議員である特別職の公務員の給与が歳費を上回る場合は、その差額を歳費に上乗せして支給する」としています。現実は、議員「歳費」は返上せず(できない)、上乗せ分の「給与」を返上することなのに、菅首相は会見で「総理大臣としての歳費」という言葉遣いをしました。行政の長ともあろうものが、「給与」と「歳費」の違いを知らなかったのか、それともなにか意図があったのか、極めて不思議な言葉遣いでした。

    10日菅首相 
    10日、記者会見する菅首相

    ●原発を国策とした政府の責任

    そして上乗せ分の「給与」返上の理由としてあげたのが「今回の原子力事故、直接の原因は地震、津波によるものでありますけれども、これを防ぎえなかった責任は事業主であります、事業者であります東電とともに、原子力政策を国策として進めてきた政府にも大きな責任があるとこのように考えておりまして、その責任者として、本当に国民のみなさんにこうした原子力事故が防ぎえなかったことを大変申し訳なくおわびを申し上げたいと思います」でした。

    ●なし崩しの国策

    これも不思議な言葉遣いです。「原子力事故を防ぎえなかった」第1の責任を東電としながらも、「原子力政策を国策として進めてきた政府にも大きな責任」があるという言い方は一見極めて謙虚です。しかし、長らく原子力政策を国策としてきたのは自民党政権でした。菅首相は野党時代にそれを批判してきたはずです。形式的にいえば、非の大半は過去の政権にあります。もう1つ不思議なのは、民主党政権が政権奪取後、なし崩しに原発を国策として認めてしまっていることです。「反原発」の意思を込めて民主党に投票した人たちはどう受けとめているのでしょうか。

    ●求められるのは対策の実

    切手 
    原子力平和利用は1957年に遡る

    十分な安全対策を講じずに原発を国策としてきたことについては、自民党も民主党も同罪です。そして、いま問われているのは原発を国策とした「過去」ではなく、3月11日以降の破局=制御不能な原子炉=を安定した状態にする効果的な対策を講じてきたか、講じているか、これからも講じることができるかです。そして、国民の求めているのは「給与返上」などというチープなパフォーマンスではなく、「対策の実」です。 菅首相が自負するように「ほかのだれがやっても、これ以上はできない」のなら、給与を倍にしてもよいぐらいです。

    ●福島原発安定までには数十年?

    10日、日本記者クラブで講演した松浦祥次郎・元原子力安全委員会委員長は「福島第1原発の4基の原子炉から、各燃料を完全に取り出したうえで、安定した状態にこぎつけるには数十年を覚悟しなければならないかもしれない」と警告しました。しかし、各新聞のweb版を見る限り、10日の記者会見で菅首相は、浜岡などについては多弁でしたが、福島原発事故については、事故調査委員会の設置や東電による賠償のスキームにはふれたものの、「東電が示している工程表などもきちんと進んで、完全に原発の事故がもう新たな放射性物質を出さないで、冷温停止になる目途がつけば……」とあくまでも東電を盾にして、政府としての明確な対策、見通しを示しませんでした



    ●次第に広がる無関心の中で

    事故発生以来、2か月がたち、「あすにも放射能雲が首都圏を襲う」といったたぐいのパニックはさすがに影を潜めました。逆に恐いのは、「原発事故被害は福島県の問題」といった無関心が次第に広がっていくことです。事態は単純な白黒でなく、複雑に錯綜し、何が前進で何が後退か、素人にわかりにくくもなっています。いわば逢魔が刻というような状態です。政治家や官僚が跳梁する絶好の機会でもあります。そうした中、菅首相は「現在、ここにある危機」から目をそらさせるように、「浜岡」や「給与返上」というパフォーマンスを繰り広げているように見えます。次の「魔球」はなんでしょうか?
     

    美しき5月 ウィーンの花と音楽 - 2011.05.09 Mon

     Der schoenste Mai 'st gekommen. 美しき5月になりました。3月11日以来、このブログもほとんど大震災とそれに関連する政治、経済、社会をテーマにしてきました。被災された方々や、日本の将来を思うと心は晴れないのですが、きょうは、美しき5月のオーストリア・ウィーンの花と音楽の話です。

    ●ドナウのほとり葡萄の花咲く頃

    テレビもなかった子供のころ、外国への窓のひとつが母のSPレコードでした。兄弟たちで堅いクラシック音楽に傾倒する中で私が密かに浮気していたのは第2次世界大戦前のドイツ映画の音楽でした。25㌢のSPにAn der Donau wenn der Wein bluehtという女声の魅惑的な歌がありました。華やかで艶っぽいその歌のタイトルが「ドナウのほとり葡萄の花咲く頃」という意味だと知ったのは高校に入ってドイツ語を第1外国語として選択してからです。しかし、いつの日かそのSPレコードは割れてしまいました。1991年、朝日新聞の特派員としてウィーンに赴任した際、その歌のレコード、あるいはCDを探しました。後にドイツのボンに赴任したときにも折りにふれて探しました。インターネット時代を迎えて検索を繰り返したのですが、しばらくはこれも空振り。このゴールデンウィークにyoutubeでやっとそれを発見しました。



    私が聴いていたのはトーキー初期の音楽映画「Waltzerkrieg(ワルツ合戦)」の主題曲で主演のRenate Mueller(レナーテ・ミュラー)が歌ったものですが、youtubeにアップロードされていたのは戦後ドイツの国民的歌手Peter Alexander(ペーター・アレクサンダー)が1963年に歌ったものです。Renate Muellerはナチスのお気に入りだったのですが、31歳でゲシュタポに殺害された、あるいは自殺したという悲しい最後があることも知りました。

    Muller 
    レナーテ・ミュラー

    ●ウィーンの爛熟した文化


    欧州中部の大国であったハプスブルク帝国の爛熟した文化の息づかいはヨハン・シュトラウスIIの「こうもり」やレハールのオペレッタで知ることができますが、この歌もその余韻を伝えるロマンティックな郷愁に満ちあふれています。そして、子供の頃に心に刻み込んだイメージは、ウィーンに住んだ1年半余にそのまま目の前に現れました。

    それは、なんといっても「美しい5月」です。ウィーンはアルプスの東の外れに位置します。そして、ウクライナやハンガリーの平野につながるため、寒くて暗いドイツとは大きく異なり、春から夏は穏やかな晴れに恵まれます。ドナウ川の中の島にある広大なバラ園はあたり一面が豊かなバラの香りにあふれています。古く広壮な町並みのあちこちには、住民が植えた花が咲き誇ります。我が家から歩いて5分ほどにはBeethovengang(ベートーベンの散歩道)があります。第6交響曲のテーマが浮かんだという林の中の道です。

    beethovengang 

    ●ウィーンの春は花とホイリゲ

    中でもすばらしいのは、私の住んでいたウィーン北部のSievering(シーフェリング)という町です。東京でいえば世田谷区でしょうか。ベートーベンの遺書で知られるHeiligenstadt(ハイリゲンシュタット)からウィーンの森へ向かう大通り、Sieveringerstrasse(シーフェリング通り)は緩やかな斜面をうねうねと登ります。両側には、かつては貴族や金持ちの別宅だったような豪奢な家が建ち並び、その前面は5月には色とりどりの花壇です。

    当時、私の仕事はユーゴスラビアの内戦、ウィーンの国際原子力機関(IAEA)が管轄の北朝鮮の核開発問題、旧ソ連のクーデター騒ぎ、さらにはパレスチナの和平交渉など、ほとんどが殺伐たるものでした。そうしたとき、映画「第3の男」の大観覧車で知られるプラーターの遊園地の花や、車で通るシーフェリング通りの花壇が心に刻み込まれました。当時、息子たちは、8歳、5歳、1歳でしたから、せっかく音楽の都に住みながら、オペラや音楽会に行く心の余裕はなかなか生まれません。家族での外食も市中のしゃれたレストランではなく、家の近くの庶民的なワインレストラン「ホイリゲ」です。ホイリゲはワインの新酒のこと。田舎づくりの建物や花にあふれた内庭で、その年の新酒を提供します。料理もありますが、町の人々は料理持ち込みという気の置けないところです。プラーターの子供だましのような遊具「白鳥の騎士の舟」が大好きだった5歳の次男はホイリゲに歩いて行くとき、ハイリゲンシュタットにひっかけて「ホイリゲンシュタット、ホイリゲンシュタット」とリズムをつけてくちずさんでいたものです。

    Heurige
    ホイリゲで憩う人々


    そんなウィーン郊外の5月の雰囲気に満ちた歌が、ヨハン・シュトラウスIIのDraussen in Sievering blueht schon der Flieder「郊外のシーフェリングではもうフリーダーの花が」という曲です。CDはウィーンで入手していましたが、今回、やはりyoutubeで発見しました。ウィーン・フォルクスオーパーの歌手マルティーナ・ドーラクの歌です。




    ●ウィーンのライラックは濃い

    この濃い雰囲気はシーフェリングとフリーダーの花そのものです。ワインで酔ってからお聞きになるとさらに効果抜群です。youtubeが始まって1分ぐらいに現れる庭のセットシーン。建物の壁の色は18世紀の女帝マリア・テレジアが好み、シェーンブルン宮殿に使ったMaria-Theresiengelb(マリア・テレジアの黄色)をバックにフリーダーが登場します。フリーダーはライラック(リラ)。ライラックの花言葉は、友情・青春の思い出・純潔・初恋・大切な友達などですから、可憐なイメージを持っている方が多いと思いますが、ウィーンのライラックは、枝も隠れんばかりに厚く、こんもりと咲きます。可憐というより、圧倒的な色香です(videoのライラックはセットのせいか少し元気がない)。ちなみに日本では宝塚歌劇の歌として知られる「スミレの花咲く頃」という歌がありますが、この本歌はスミレではなく、リラの花のようです。"wenn der weisse Flieder wieder blueht"。そうだとすると、だいぶイメージが変わってくるな、などと考えたゴールデンウィークでした。







    借り暮らしの菅首相 浜岡原発全面停止要請に透けてみえるもの - 2011.05.07 Sat

    連休最後の谷間での唐突なできごとでした。菅直人首相は6日夕の記者会見で、中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)のすべての原子炉の運転停止を、海江田万里経済産業相を通じて中部電力に要請したと発表しました。中電は7日緊急の取締役会を開いて対応を協議しましたが、中電にとって、また中部経済にとってあまりに大きな問題なため、議論持ち越しになりました。しかし、法的強制力はないにしても、総理大臣の要請の意味は重いものがあります。また、結論持ち越しに対する批判も強まるでしょうから、いずれは要請を受け入れることになる公算が大といえます。

    浜岡原発 
    中部電力浜岡原子力発電所

    ●「評価」から「留保」まで多様なメディアの反応

    7日の全国紙各紙の反応を社説で見ると「首相の決断を評価したい」(毎日)「首相の停止判断は妥当だ」(朝日)「やむをえない」(読売)と「評価」「妥当」「やむをえない」の濃淡はあるものの、朝毎読3紙は肯定的です。他方、日経は「念のために止める考え方は理解できる。しかし突然の発表に国民はかえって不安を募らせたのではないか。夏場の電力不足への備えは大丈夫か」、産経は「日本のエネルギー政策に及ぼす影響について『熟慮』があったとはみえない。唐突な決断である」と「留保」に重点が置かれています。日経が国民生活や経済への悪影響を主に懸念するのに対し、産経は、民主主義の手続き軽視に重点が置かれています。

    ●浜岡原発全面停止は錦の御旗

    desaster  
    東電福島第1原発の惨状

    しかし、真っ正面から批判する新聞がないのは、あらゆることに後手後手に回ってきた菅首相が突如「原発の安全」という錦の御旗をわしづかみにしてしまったからでしょう。いくら各種世論調査で消極的支持を含め原子力発電の維持が多数を占めているとはいえ、東京電力福島第1発電所の惨状と周辺住民の苦境を目の当たりにしている現在、もっとも危険といわれている浜岡原発を摘出しての「停止判断そのもの」に異を唱えるのは、新聞にとっても世論を敵に回すことになるからです。

    ●2本社説に表れた全国紙各紙の本音

    しかし、新聞の論調は文章だけでは判断できません。「評価」から「留保」まで割れている各紙ですが、いずれも「浜岡原発社説」の扱いは2本ある社説の1つです。5紙の社説は平時には2本掲載されます。そして、題材がエポックメーキングな大きな意味を持つときには社説は2本分の行数を1本にまとめた「1本社説」とします。その意味で、菅首相の要請を各社は平時のニュース、それも決定的なものでなく、「途中経過」と見なしているようです。それかあらぬか、もっとも積極的な毎日ですら、「評価したい」と「したい」という留保をつけています。

    ●早とちりはできない

    鳩山由紀夫 

    一昨年夏、国民の期待を担って登場した民主党政権はこれまで、その期待を裏切ってきました「埋蔵金」や「マニフェスト」は絵に描いたモチでした。「国外、少なくとも県外」と普天間基地移設問題で沖縄県民の期待を煽った鳩山由紀夫前首相本人が「辺野古での決着」を事前にアメリカに伝えていたことがwikileaksによって暴露されました。「クリーンな政治」の約束は小沢一郎元代表の資金疑惑で台無しになりました。東日本大震災の結果、巨大地震、巨大津波、原発事故の三重苦の中で菅政権の対応は「熟議の政治」とは縁遠い「場当たり対応」の連続です。学校での放射線被曝限度引き上げの問題点を指摘して辞任した小佐古敏荘・東京大学教授が今月2日に予定していた記者説明会が首相官邸から「老婆心ながら、守秘義務があると言われた」ことで中止に追い込まれた1件(一部のみ報道)は「公開性、透明性」どころか、都合の悪いことは「守秘義務」をふりかざして権力的に押さえ込む体質さえのぞかせました。こうした経験からすれば、浜岡停止も今後どのように推移するかは未知数です。7日朝の民放番組に登場した細野豪志首相補佐官(原発担当)はさっそく、浜岡以外の原発に関しては、「原子力政策全体をやめようということではない」と強調したそうです。そうしてみると、全国紙各紙の「留保」は無理からぬところがあります。「今後を見よう」という姿勢が2本社説の1つという扱いに透けてみえます。新聞とりわけ社説には見通しがぶれないことが重要だからです。

    ●浜岡原発全面停止が「英断」と判断されるケース

    大津波 

    ところで、今回の「浜岡原発全面停止要請」は英断なのか、愚策なのか、それとも何か別のものなのでしょうか?「英断」という評価がもっともあざといかたちで表れるのは、中電が高さ15㍍の防潮堤を完成する時期(2年といわれます)の間に、核燃料を完全に撤去したもぬけの殻の原発を大津波が襲う場合です。しかし、菅首相を含めそんな事態を望む人は1人たりといないと思います。もう1つの可能性は、浜岡原発の完全な安全を確保したうえで、大地震、大津波が襲う前に、代替エネルギーへの転換を達成することです。この場合は、エネルギー転換の達成までのかなり長い期間「目に見えない安全」を確保するための電力不足やそれに起因する国民生活の不便や経済への悪影響に耐えなければなりません。おそらくそれは菅首相の任期中には実現しないでしょう。


    ●「愚策」とされかねないさまざまな状況

    計画停電 
    計画停電で閉鎖され照明も暗い改札口

    一方、「愚策」といわれてしまう材料には事欠きません。浜岡原発の地元御前崎市長からは、「(地元の)意見を聞いたのか」という批判が出ています。また、菅首相は対象を浜岡原発に限っていますが、電力政策の全体像を明らかにしないままの突然の発表のゆえに、全国で運転停止中の原発32基の再稼働が困難になるだけでなく、今後定期点検に入る原発も含めすべての原発が稼働できなくなる可能性が指摘されています。これは、東京電力管内への他電力会社からの援助給電を不可能にするにとどまらず、東京電力、東北電力管内だけに限られていた電力不足が全国に波及することを意味します。それが国民経済、国民生活にどのようなマイナスの影響を与えるかについて、首相官邸が熟慮した形跡はいまのところみえません。また、原発を持たない沖縄電力を除く全国9電力会社の経営が維持できるかどうかの問題にもなってきます。

    ●唐突な意思決定を強いた「菅降ろし」

    小沢釣り 
    千葉沖の魚の安全性をアピールのため、自分たちの釣った魚を味わうパフォーマンスも

    いずれにせよ、「英断」か「愚策」なのかの判断を下せるまでには相当の時間がかかります。新聞各社の「判断留保」はその結果ですが、その一方で、短期的に極めてわかりやすい「その他」の要素があります。ゴールデンウィーク中に高まっていた「菅降ろし」の潮流です。今回の「菅降ろし」は自民党・公明党といった野党からのものだけでなく、小沢元代表や鳩山前首相ら民主党内の動きが合流しかねない様相でした。産経新聞7日朝刊の「反首相勢力には『クセ球』…」という記事はその裏を解説しています。5月2日に福島みずほ社民党党首に「ぜひ浜岡原発を止めてくださいね」と迫られたとき、菅首相は「ヒャッハッハッ…」と笑ってごまかしたというエピソードを紹介したうえで、小佐古・東大教授の内閣官房参与辞任後、反首相勢力が原発事故を「菅降ろし」の軸に据えつつあったことが意思決定の背景にあったと指摘します。

    ●借り暮らし、自転車操業の政権維持

    菅直人浜岡 
    浜岡原発全面停止要請を発表する菅首相

    今回の意思決定の背景やプロセスは今後、マスメディアの検証の対象となりますが、それには時間がかかるでしょう。一方、「(原発事故対応は)このままではいけない」と、ゴールデンウィーク明けから政府批判を強める意向を明らかにしていた小沢元代表にとってみれば、「浜岡原発全面停止」はその出鼻をくじく一撃でした。小沢氏らの「倒閣戦略」は見直しを余儀なくされるでしょう。その間、政権は延命されます。また、今回の発表がマスコミ各社の5月の世論調査開始の直前に行われたことも注目に値します。「浜岡全面停止」で支持率を向上させることができれば、仏ドービルで5月26日、27日に行われるG8サミットに出席できます。サミットでの「英断評価」を背景に帰国し、大震災対策の2次補正予算を先送りして通常国会を閉会してしまえば、内閣不信任案を封じ込めることができます。「借り暮らしのアリエッティ」ではありませんが、時々に支持率を借り暮らしの無鉄砲な自転車操業にせよ、短期的には政権は維持できるという寸法です。長期的な構想で日本の再創造を始めなければならないときなのにです。


     

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    萩谷 順

     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
    出演番組
     スーパーJチャンネル(金)
     モーニングバード!(水)
     ワイド!スクランブル(月)
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     (いずれもテレビ朝日)

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