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    compassionateということ 大震災+原発事故で見えたもの - 2011.04.15 Fri

    東京・浜松町の劇団四季自由劇場で「ジーザス・クライスト・スーパースター(エルサレム・バージョン)が始まりました。このロック・オペラの古典は毎回違う見え方がします。それは見る私の精神状態に影響されてのことですが、今回は東日本大震災とそれに連動した東京電力福島第1原子力発電所の事故の被災者の方々の境遇と重なりあうことになりました。苦難を受けている人々にどう向き合うかは、私たちすべての課題です。

    ●イエスの生涯

    ジーザス 
    劇団四季HPから

    「ジーザス……」のイエス・キリストは彼を裏切ったユダ同様、「迷う者」「苦悩する者」、つまり「普通の人」として描かれています。故遠藤周作もイエスを「無力な者」と見ていました。イエスの生涯は主に新約聖書の4つの福音書によって伝えられました。そして福音書をもとに、バッハなどの作曲家が大作の「受難曲」を仕上げています。「受難曲」は英語でもドイツ語でもPassionです。英語の辞書には「(愛・希望・怒り・憎しみ・恐怖・悲しみ・喜び・希望などの)情、感情」(小学館ランダムハウス英和辞典)とあります。日本語で一口に言いあらわすのがむずかしい意味内容ですが、そこにはイエスの生涯を動かした心理的な力そしてイエスの生涯を記憶する人々の感情が重なり合っています。

    ●compassionateであること

    passionから派生したことばにcompassionということばがあります。「思いやり」「同情」ですが、それは「他人の苦痛やその原因をなんとか取り除いてあげたい」という気持ちとされています。compassionの形容詞形がcompassionateです。キリスト教徒であった遠藤周作は「イエスの生涯」などの作品で、「何も具体的にしてあげることはできないが、悩み、苦しむひとに静かに寄り添う永遠の同伴者」としてイエスを描きます。私はキリスト教徒ではありませんが、私たちはいまcompassionateであり続けることが問われているように思います。

    ●「人間天皇」「象徴天皇」のcompassion

    天皇 

    「ジーザス……」を見た翌日の14日、天皇、皇后両陛下が千葉県旭市の避難所を慰問しました。テレビニュースを見るかぎり、周囲には肩を怒らせた警護スタッフは見えません。お二人の服装は地味で、そのまま避難所の床に座れば、被災者と見間違えるかもしれないほど抑制されたものです。ひざをついて被災者に向き合った天皇、皇后はまず被災者の話に耳を傾けます。そしてこのうえなく穏やかな表情と口調で被災者にねぎらいとはげましの言葉をかけていました。関東大震災のとき、天皇は絶対的主権者として、既存の法律を超える震災対策を打ち出す緊急勅令の法的淵源でした。国民主権の日本国憲法では、天皇は政治的な行動を禁じられています。その範囲で「国民統合の象徴」として最大限できること、国民の苦難に対してcompassionateであることが天皇、皇后の避難所訪問に表れていました。お二人は今後、東北地方の避難所も慰問されるとのことです。「普通の人=人間天皇」「象徴天皇」の役割を十分に果たされることでしょう。

    ●compassionが感じられない為政者

     一方、「無為無策無能」と批判される現在の民主党政権。それなのに、菅直人首相は13日、「福島第一原発周辺は10年、20年住めない」などと発言したとされます。密室での発言でしたから、被災者の怒りを買ったと知るやあわてて否定に走りました。それも、記者団の質問に立ち止まりもせず、にやにやした表情で「私がいったことじゃありません」といいました。福島原発周辺の被災者にとって、家にもどれるかどうかは、最大で死活の問題です。この重要かつ微妙な問題については適切な時期に適切な方法、態度で政治の最高責任者が肉声で被災者に語りかけなければなりません。範囲の広さはともかく、被災者はいずれは直面しなければならない苦難としてすでに理解しているでしょう。ずるずるとそうした事態に至らせた政府・東電に対する怒りもさることながら、大震災、原発事故対対策の責任と権限を課されている菅首相の軽率な発言の連発や無責任な否定にcompassionのかけらすら感じられないことがさらに怒りをかき立てたのではないかと思います。

    菅直人

    ●身内からも厳しい批判

    福島県選出の玄葉光一郎・民主党政調会長(国家戦略担当相)は14日、「憤りを感じている。心の痛みが分かる政治をしなければならない」と怒りを隠しません。「仮にそういうことが本当なら、科学的な根拠をもって、しかるべき立場の人がしかるべき時期に万感の思いを込めて、土下座をして話をしなければならない重大な問題だ」と身内からの厳しい批判を突きつけました。そして「がんばれ、がんばれ」という菅首相は眉根にしわは寄せて見せるものの常に他人事あるいは上から目線に見えます。「首相サイドは火消しに躍起になっているが、与野党双方の『嫌・菅』ムードや首相退陣論に拍車をかけている」(読売新聞)のは当然です。



     
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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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