topimage

    2011-04

    スポンサーサイト - --.--.-- --

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    フクシマから安全のノウハウを  東電原発事故 - 2011.04.05 Tue

    新年度初の教授会のために、東京・市ヶ谷の大学に行きました。外濠ぞいのサクラが咲き始め、おだやかな日差しの中で、人間たちの混乱をよそに、自然界には春が訪れています。朝日新聞(4日朝刊)によると、全国の「大学110校超が始業日延期 交通事情・計画停電を考慮」ということです。私の大学も新学期の授業開始はゴールデンウィーク明けの5月6日になりました。恒例の入学式は中止され、せっかく入学が決まった新1年生はとまどっていることと思います。しかし、災いを福に転じることができるなら、ことしの新大学生はまたとない動機づけを与えられているともいえます。

    桜 
    外濠のサクラ 背景は法政大学ボアソナードタワー

    ●未来へ向けた国作りを担う若者

    私の所属する法学部は国家と法律、政治のあり方を学ぶ学部です。近年の学生たちは「自分たちが何を学ぶのか」という認識や動機付けが希薄になっていました。しかし、人々の安全や暮らしは、政治や国家のあり方に大きく左右されることを今回の東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所の事故は再認識させたはずです。いま日本は戦後65年の国作りを点検し、未来に向けての国作りをスタートさせなければなりません。そして、その原動力になるのは若者たちです。教師は若者たちを育てるという大事な役割を再認識して、性根をすえてそれにとりくむ必要があります。

    ●日本は援助・支援を受ける立場に

    教授会とそれに先立つ学科会議、そしてその周辺で私たちは多くのことを話し合いました。その中で1つだけ、ここでご紹介したいと思います。それは国際貢献です。日本は経済大国としての地歩を固めて以来、政府開発援助(ODA)などで発展途上国に援助の手をさしのべてきました。そして、今回日本は諸外国の援助や支援を受ける立場になりました。「モンゴルで公務員に1日分の給与を拠出する動きが出た」「台湾での義援金が100億円を超えた」あるいは「アメリカが震災直後に空母ロナルド・レーガンを派遣した」というニュースを心強く感じたものです。

    reagan  
    米空母ロナルド・レーガンを訪れ、米軍の支援に謝意を表する北沢俊美防衛相

    ●原発事故の経験から国際貢献の道を

    しかし、今後日本からのこれまでのかたちでの援助(お金)は否応なく減少せざるを得ないでしょう。原発事故対策、復興には20兆円にのぼるお金が必要だといわれているからです。こんな話をしているとき、国連での長い経験を持つA教授がこういわれました。「大震災+原発事故の経験から国際貢献の道をさぐることも可能だ」。たしかに、そうです。私たちはいま未曾有の災厄にあえいでいます。でも、この災厄から抜け出すことに成功するなら、そのノウハウは世界に役立つでしょう。遠い将来、脱原発のクリーンエネルギー利用に成功するにしても、日本はもとより世界の多くの国々は、現存する原発をただちに廃止することはできそうにありません読売新聞が3日公表した世論調査結果によりますと、「今後、国内の原子力発電所をどうすべきか」という質問に対し、もっとも多かった回答は「現状維持」の46%でした。以下「減らすべきだ」29%、「すべてなくすべきだ」12%、「増やすべきだ」10%でした。

    3号機 

    ●人々は求めるのは「安全」

    おそらく世界でも、こうした傾向でしょう。一方で、だれもが「安全」を求めていることはまちがいありません。「なぜ、想定を誤ったのか」「警告を無視したのはなぜか」「事故発生後の対応は妥当だったのか」「国民への情報公開はどうあるべきなのか」。いまのところ、福島原発の事故では及第点をあげられる科目はほとんどないかもしれません。実はけさは、きょうのブログで、政府・東電に安全対策のノウハウを体系化することを求めようと思っていました。A教授の話はそれをさらに未来につなげるものでした。

    ●お金にも勝る国際貢献

    事故を克服する努力と並行して、こうした再点検・検証作業を怠らなければ、それは貴重な「ノウハウ」として残るでしょう。その結果、私たち日本人が被った悲劇をほかの人が味わわなくてすむなら、それはお金にも勝る国際貢献です。春秋の筆法をもってするなら、第二次大戦以後、世界で核兵器が実際の戦争に使われなかったのは、また冷戦が米ソ全面戦争に発展しなかったのは、ヒロシマ・ナガサキの犠牲者のおかげといえるでしょう。私たちが、核の悲劇を二度までも体験しなくてはならないのは、痛恨の極みですが、フクシマからノウハウを引き出すことも私たちの務めではないかと思います。


     
    スポンサーサイト

    NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

    おすすめブログに

    萩谷 順

     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
    出演番組
     スーパーJチャンネル(金)
     モーニングバード!(水)
     ワイド!スクランブル(月)
     ビートたけしのTVタックル
       (不定期)
    過去の出演番組
     そうだったのか!学べるニュース
     やじうまプラス'04-'10
    ニュースステーション '00-'04
     ニュースレーダー '85-'87
     (いずれもテレビ朝日)

    お問い合わせや講演の依頼は...

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    本人から返信します(お名前やメールアドレスなど個人情報は本人の同意なしには公開しません)

    いま何時?

    ※この時計の時刻は、閲覧しているパソコンのものであり、必ずしも正確な時間とは限りません

    Twitter

    最新記事

    カテゴリ

    大震災+原発事故 (38)
    政治経済 (71)
    国際情勢・グローバル化 (21)
    社会・生活・文化 (22)
    大学・教育・若者 (4)
    テレビ (4)
    講演 (2)
    IT・パソコン (2)
    たのしみ (28)
    ごあいさつ その他 (8)

    リンク

    このブログをリンクに追加する

    朝日新聞グループニュース

    月別アーカイブ

    RSSリンクの表示

    検索フォーム

    最新トラックバック

    FC2カウンター

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。