topimage

    2011-03

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    「自粛」は日本経済をさらに痛める 大震災と経済 - 2011.03.31 Thu

    巨大地震+巨大津波+原発事故の傷が癒える兆しがまだ見えない中、次第に経済への悪影響が進行しています。日経平均や円相場はとりあえず安定していますが、今後の日本人の取り組み次第で、憂慮すべき事態になる可能性なしとしません。30日のNHK「クローズアップ現代」は東北地方の製造業インフラが崩壊した有様を伝えました。メーカーを頂点とした下請け、孫請けのピラミッド構造のどこが壊れても、日本がそして世界が必要としている「モノ」の生産は減速します。それは、失業→収入減→消費減退→企業の縮小・倒産→失業のスパイラルを招きます。30日には青森を本拠地とする百貨店「中三」の倒産が伝えられました。地方に立地した製造業を主な働き先かつ収入源としてきた被災地の兼業農家は被災者の上に失業者になります。

    ●私たちに無縁な経済活動はない

    フカヒレ 
    フカヒレは気仙沼の特産だった(河北新報)

    30日夕のテレビ朝日「スーパーJチャンネル」は、フカヒレの国内生産の8割を占める宮城県気仙沼市の水産業が壊滅したことで、フカヒレを仕入れられなくなった横浜中華街の悲鳴を伝えていました。「フカヒレは食さない」という人もいます。しかし、食しても、食さなくても、また対象がフカヒレ以外のものであっても、すべての日本人がマイナスのスパイラルと無縁では済まされません。外国にも大震災のせいで高度な工業製品の供給がとまって困っている企業も出てきているのです。中華街では中国人のコックさんが続々帰国しているようです。そのせいでしょうか。六本木ヒルズにある、中国人職人の手さばきが外から見える上海小籠包の名店は休業しています。東京・新大久保の韓国系24時間スーパーは24時間営業ができなくなりました。韓国人店員が帰国してしまったからだそうです。こうした人々を介しても、私たちすべてが経済活動のネットワークにつながっています

    ●広がる「自粛」の波

    石原慎太郎 

    東京都の石原慎太郎知事は「桜が咲いたからといって、一杯飲んで歓談するような状況じゃない」と被災者に配慮して今春の花見は自粛すべきだとの考えを示しました。石原知事は「今ごろ、花見じゃない。同胞の痛みを分かち合うことで初めて連帯感が出来てくる」と指摘したうえで「戦争の時はみんな自分を抑え、こらえた。戦には敗れたが、あの時の日本人の連帯感は美しい」とも語ったそうです。某大企業では九州の支社までを含めて「講師を呼んでの社員研修」の自粛令が出たそうです。「華美なことは避けよ」というのが主旨だそうです。こういうとき、人の話を聞くことは大事だと思うのですが、ひたひたと自粛の波が広がっています。やがて津波となって日本経済を破壊しかねないおそれがあります。

    ●「自粛はやめて!」 被災漁師の叫び

    折も折、このブログでも再三紹介している岩手県宮古市の漁師@heiunさんが30日、こんなツィートをしていました。「イベントなど自粛してるようだけど被災者からすればあなた達は 経済を回すことをしてください。自粛しなくていいです。経済止めたらばだめ」。不必要な自粛はかえって被災者のクビを絞めることになるという悲鳴にも似た警告です。

    ●「有望な輸出商品」を破壊した原発事故

    海江田2 

    海江田万里経済産業相は30日、福島第1原子力発電所の事故が原発の海外輸出に与える影響について、「さらなる安全対策を固めていく中で世界の信頼を得られる道も付けられると思っている」と述べ、引き続き輸出を推進する意欲を示しました。案の定この発言はネット住民のかっこうな餌食になりました。環太平洋パートナーシップ協定が論議されていたつい先頃まで、「原発」は日本の有望な輸出商品でした。「半世紀にわたって深刻な事故を起こしていない」のがウリでした。しかし、いまや短期的にはもちろん中期的にもこれはムリです。そういえば「安全でおいしい日本の農産物」も有望な輸出商品とされていましたが、中国産のキュウリやシイタケの悪口はいえない(危険ならいうべきですが)心持ちです。

    ●オプションはオープンにということか

    とはいえ、原子力平和利用の研究を葬り去るのが自明の道かどうかはむずかしいところです。ジャーナリストの武田徹さんは日経ビジネスonlineで「福島第1原子力発電所の事故が原発の海外輸出に与える影響について、「反原発と推進派、2項対立が生んだ巨大リスク」という記事を書いています。この記事自体の理解も2項対立を呼びそうですが、これまでの日本の原子力利用が犯した誤りの1つの本質を的確に指摘しています。海江田発言が時宜をわきまえない上っ調子なものであるとしても、「輸出立国」のリーダーである経済産業大臣の遠い未来に向けた1つの考え方としてtake noteしておくのがよいかもしれません。

    切手 

    ●企業活動への支援がjobを生む

    巨大地震+巨大津波+原発事故がなくても、「輸出立国」の日本は、ポストITの国際競争力を備える必要に迫られていました。その原動力はなんといっても企業です。富士通福島をはじめ、災害から立ち上がろうと生産を再開する企業のニュースも相次いでいます。心から声援を送りたいと思います。企業活動が再び活性化すれば、それはjobを生みます。被災者の方々にはできるかぎりの支援をしつつ、企業活動を活発にしなければなりません。復興財源としての「所得税の上乗せ定率増税」や国債発行はすでに検討されています。@funomatasaburoさんはツィッターで「大企業には200兆円も及ぶ内部留保金があります。この20%でも投資できる環境を作ることはできないものでしょうか。例えば今回の震災地域に投資した企業には、法人税率を10%にするとか。お金が回れば経済は活性化するのでは」という提言をしています。企業活動を活発化するために、政府、経済界、学者、そして民間の知恵を結集すべきでしょう。

    ●チャーチルと@heiunさん

    churchill 

    いま必要なのは「自粛」ではありません。1914年、第1次世界大戦に直面した英国民にチャーチルは
    "The maxim of the British people is 'Business as usual'"(英国民が心すべきはいつも通りに働くこと)」と述べたそうです。宮古の漁師@heiunさんの叫びと同じです。チャーチルは「悲観主義者はすべての好機の中に困難をみつけるが、楽観主義者はすべての困難の中に好機を見いだす」ともいっています。被災者の@heiunさんは動いています。けさは5時から活動、船のバッテリーを充電し、魚群探知機で港内の海底調査です。ブログには「今日もコツコツやれることからです」とありました。




     
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    1歩後退でも2歩前進を all japanで原発事故解決へ - 2011.03.30 Wed

    東京電力福島第1原子力発電所を「冷やし、閉じ込める」作業の課題は前日と大きくは変わっていません。日本経済新聞30日付朝刊の「福島原発、専門家ら『3つの懸念』燃料棒激しく損傷」は①1号機「空だきに近い状態」②2号機、圧力容器もなお不安定③3号機含め汚染水除去は難航、と現状をまとめています。東電はフランス・アレバ社などの助言を受けつつ汚染水除去の努力を続けています。汚染水を抜かないとポンプや配線に作業員が近づけず、本格的な冷却機能を回復できないからです。同時に汚染水を環境に撒き散らさない注意が必要です。このため、汚染水をタンカーで回収する案も検討されています。また、水溶性の合成樹脂を敷地内に撒布して放射性物質の拡散を防ぐことも検討されています。

    汚染水除去のイメージ 
    (日本経済新聞)

    ●「フクシマ」型解決へ知恵結集を

    一方、枝野幸男官房長官は30日午前の記者会見で建屋が吹き飛んだ1、3、4号機に、特殊な布をかぶせて放射性物質の飛散を防ぐ策を検討していることを明らかにしました。原子炉を安定して冷却するための電源復旧などに向けた作業環境を確保するためです。建造物を「梱包」する作品で知られるブルガリア生まれの芸術家クリストを思い出させるアイデアです。永田町や霞ヶ関では、さまざまなアイデアが出始めているようです。ある物質を「冷やす」ために使うというのを小耳に挟みました。東電福島第1原発事故には、スリーマイル型でも、チェルノブイリ型でもない要素があります。「ある物質」については「そんなあやしげな」という危惧もありますが、巨大地震、巨大津波発生からまもなく3週間たちます。学者・専門家、官僚機構、企業、そして民間の知恵を結集して、「フクシマ型」の解決を実現してほしいものです。

    クリスト 
    ドイツ連邦議会議事堂を梱包したクリストの作品

    遮蔽イメージ 
    (朝日新聞)

    ●依然「冷やす、閉じ込める」の途上

    枝野官房長官はその会見で、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却について「温度がある程度、安定的に下がるまでは相当な時間がかかる」と長期化は避けられないとの見通しを示しました。米エネルギー省のライヨンズ次官補代理は29日、上院エネルギー委員会で証言し、福島第1原子力発電所の事故に関して、これまでの情報を勘案すると「事故後の処理作業が遅い」との認識を示しました。たしかに、「1歩後退2歩前進」なのか「1歩前進2歩後退」なのかわからないところはありますが、現状は「止める、冷やす、閉じ込める」の途上にあることには変わりありません

    ●オールジャパンの発想を

    菅直人福島みずほ  

    菅直人首相は29日の参院予算委員会で、社民党の福島瑞穂党首が廃炉を求めたのに対し「一定の安定状況になった後に専門家の意見を聞いて決めるが、その可能性が高い」と述べました。しかし、現状では「廃炉」ということばを引き出すことにやっきになっている人たちよりは、菅首相の方が冷静、正確な認識だといえるでしょう。「廃炉」にするにしても、その前提は「冷やし、閉じ込める」ことです。繰り返しになりますが、「反原発論者」から「原発維持論者」に至るまで、私たちは一蓮托生なのです。批判すべきは批判しなければなりませんが、一蓮托生であることは忘れてはなりません。「それ見たことか」といういらだちをぶつけるだけでは、解決のために必要な、国民の高いモラルを阻害することになりかねません。一方、政府・東電にはこれまで散見された「責任逃れ」的姿勢を払拭することが求められますし、政府・民主党には、党派的思考を捨てて、「新生日本」の礎をオールジャパンで築く度量が必要です。

    ●追記● 
    宮古市の知人1人のご健在の知らせ

    昨夜遅く「Person Finder」から1通のメールが届きました。1月に岩手県宮古市で講演したときに知り合った宮古商工会議所会頭のAさんについての情報です。文面は「ご本人より電話をいただきました。ご無事です」「状況: この人が生きているという情報を入手した。この人と連絡を取った人がいます」「すべての記録は XXXで見ることができます」というものでした。ほっと安堵しました。それにしても、今回Googleによって開設された「Person Finder」の威力には驚きました。
    「Person Finder」については20日付の「ネットが支える人々の相互扶助 大震災その後」で紹介している通り、ネット時代ならではの恩恵です。



     

    あちら立てればこちらが立たず 原発事故対策の悩み - 2011.03.29 Tue

    昨夜、東京電力福島第1原子力発電所の状況が動きました。主なものは原発敷地内から微量のプルトニウムが検出されたことと、原子炉の圧力容器にキズがあるかもしれないということです。いずれも、これまでの政府・東電の発表を見る限り、「あってはならないこと」です。これを受けて、twitterでは激しい罵り合いも展開されました。またustreamで中継された武藤栄・東電副社長の記者会見は250万人以上が閲覧し、そこのtwitterへの書き込みはめまぐるしく、動体視力の衰えた人には認識不能に近いものでした。こういうのをネット時代のパニックというのでしょうか。

    29日午前の状況(朝日新聞)
    29日午前 

     ●「止める、冷やす、閉じ込める」のもくろみ遅々として

    最悪ケースシナリオ」を提示したうえで国民一体でそれを回避する努力をするダメージコントロールの手法をとらない政府・東電にとって、昨夜明らかになった事実は「不都合な真実」です。たしかに再臨界や原子炉の水蒸気爆発に比べれば、まだ「不都合度」は高くありません。しかし、これまでとってきた「止める、冷やす、閉じ込める」という原子炉事故対策3原則は当初のもくろみ通りに進むのがむずかしくなりました。「あちら立てれば、こちらが立たず」という障害が度を強めたからです。

    ●プルトニウムは原発由来

    プルトニウムは、内部被曝すれば発がん性の高い有毒物質で、半減期もおそろしく長いやっかいものです。プルトニウム検出について、枝野幸男官房長官は29日朝の記者会見で、天然のものでなく「福島原発」由来のものと認めました。なぜ、そんなことがわかるのでしょうか?推測ではありません。核物質はどこで生成されたかを科学的に突き止めることができるようです。指紋を持っているようなものです。トム・クランシー原作の映画「トータル・フィアーズ(The  Sum of all fears)」(2002年)を見たことのある方には記憶があると思います。テロリストが米国フィラデルフィアで核爆弾を爆発させますが、核爆発の起きた爆心地から採取された核物質がアメリカのサヴァンナ・リバー原子力発電所で生成されたプルトニウムで、米国がイスラエルに供与した核爆弾由来であることを突き止めることによって米ソの全面戦争が回避されるという筋です。

    トータルフィアーズ 

    ●作業遅らせかねないプルトニウム検出

    今回は微量で大きな問題はないようですが、今後の問題は、福島原発からのプルトニウム放出は続くのか、またその量、さらに汚染される範囲がどこまでかです。東電は継続的な調査を約束しました。それにしてもこれまで、プルトニウムについて政府・東電は意図的と見えるほど口をつぐんできました。しかし、微量にせよ検出されたことで、プルトニウムがプルサーマル炉である3号機だけでなく、すべての炉の使用済み燃料の中にもあることが、すでに周知の事実であるかのごとく、あっさり言及されだしました。こうしたやり方こそが強い不信と不安を招くことがまだわからないのでしょうか? それはともかく、プルトニウムの値が今後さらに増えれば、「冷やす」作業の進行を遅らせかねません。ヨウ素131やセシウム137よりはるかに毒性の強い物質ですから、作業員をさらすのは危険になります。

    ●水のないはずのトレンチに高濃度汚染水

    もう一つの問題、「原子炉の圧力容器にキズがあるかもしれない」という懸念は、28日に2号機のタービン建屋から外へつながるトレンチ(坑道と立て坑)にたまった水から毎時1000㍉シーベルト以上の放射線が測定されたことで出てきたものです。通常運転時の沸騰水型原子炉は燃料棒の入った圧力容器で沸騰した水が高圧の水蒸気となってパイプを通じてタービンを回したのち、復水器で冷やされた後、原子炉に戻されます。復水器で冷却用に使われる水は原子炉←→タービンを往復する水とは完全に遮断されていますから、最終的に海に戻されても安全ということになります。これが回復を急いでいる本来の「冷やす」機能です。

    ●注げばあふれる

    トレンチ 
    (朝日新聞)

    しかし、現在までの応急冷却は、燃料プールや原子炉内への消防などのポンプによる放水や注水で行われています。自動車のエンジンに例えてみましょう。自動車の水冷エンジンはエンジン周囲を水で冷やし、ラジエーターでその水を放熱させてエンジンに戻します。しかし、その機能が失われるとエンジンはオーバーヒートします。それに外部から注水したり、放水したりすればエンジンは冷えますが、本来水がないはずのエンジンルームが水であふれます。原子炉の現状は外部からの放水・注水があふれ出して、本来は水のないトレンチに流れ込んでいる状況です。そして、そのあふれ出した水から高濃度の放射線が検出されたのです。

    ●作業遅らせる建屋、トレンチの汚染水

    原子炉にキズがなければ、トレンチの中の水はこれほどの高濃度の放射線は検出されないはずです。そこから放射性物質が漏れ出す原子炉のキズが懸念されるわけです。原子炉やタービン建屋あるいはトレンチの放射線は、原子炉本来の冷却機能を回復する作業を遅らせます。現場では汚染した水を復水器に戻すということを優先させています。また、あふれた汚染水は1万㌧にものぼるとみられており、これ以上水あふれないようにするにはを原子炉に注がれる水量と排出される水の出入りをバランスさせる必要もあります。しかし、原子炉に注がれる水量を減らせば、崩壊熱を押さえる度合いも落ちます。結果としてさらに燃料溶融を進行させてしまうことになりますし、圧力容器のキズを大きくする可能性があります。

    圧力容器 
    (朝日新聞)

    ●国民のモラルのダメージコントロールも必要

    このように「あちら立てれば、こちらが立たず」がさらに進めば、「制御不能」ということにつながりかねません。その道筋は、高校程度の理科の知識があればおおよそ推察できます。それをはっきりさせずに、原子力安全保安院は「かなり深刻な事態」と言い出しています。こうした政府・東電の情報公開のやり方は、国民に、安全とされていた防波堤が次々と破られているような感じを与えています。危機に立ち向かう国民のモラル(士気)を崩すものです。原発事故のダメージコントロールに加えて国民のモラルのダメージコントロールも必要です。それとも彼らは国民を、情報公開すればパニックに走るしかない愚民だと考えているのでしょうか?



     

    やめられないあわれさ 菅首相の名を惜しむ - 2011.03.28 Mon

    東電福島第1原発の状況は週明けも依然として予断を許しません。27日朝、東電と経済産業省原子力保安安全院は2号機タービン建屋内のたまり水から通常の炉内の1000万倍の放射能を検出したと発表し、9時間半後に「違う物質と取り違えた」と訂正、さらに28日未明再訂正する顛末でした。「1000万倍は誤り」で、ヨウ素134の濃度は通常の10000倍ということに落ち着いたものの、「一時溶融した燃料と接触した格納容器内の水が何らかの経路で流出したと推定される」(枝野幸男官房長官)と圧力容器の損傷に初めて言及することになりました。「原子炉本来の冷却機能を回復する」という現場の作業を遅らせることは間違いありません。性急に「廃炉、石棺」を主張する人々もいますが、「冷やす」に成功しなければ、石棺化作業も危険でできません。現状では「原発維持論者」も「原発廃絶論者」も一蓮托生です。そして「冷やす」作業が進展しなければ、状況は徐々に悪化していきます。

     28日午前の東電福島原発の状態(朝日新聞)
    28日の原発 

    ●奇妙な安定示す首相の座

    そうした中、奇妙な安定を示しているのが、菅直人首相の地位です。国民への説明を枝野幸男官房長官が一手に引き受けているせいもありますが、「陰薄い首相」(26日付読売新聞)「『独善』『場当たり』の首相 大震災に現れたヒトラーの亡霊」(27日付産経新聞)とそのイメージは危機に期待される指導者像とはかけ離れているありさまです。先日紹介した「新報道2001」の世論調査に続いて27日公表された共同通信社の世論調査でも内閣支持率は先月中旬から8.4ポイント上昇の28.3%でした。

    菅直人 

    ●倒閣の動きもなく

    このからくりは22日の当ブログ「挙国一致内閣か 虚構一致内閣か」で説明した通りです。そして、年度末を目前にして、2011年度予算案と予算関連法案をめぐって、与野党が本来なら文字通り内閣の命運を左右する駆け引きを続けているにもかかわらず、菅首相をただちにやめさせようという動きは野党にはありません。自民党や公明党は大震災、原発事故対策で全面協力を申し出ています。また最大の政敵・小沢一郎元代表が奇妙な沈黙を続けていた(28日、大震災以来初めて地元の岩手県入りしたそうです)中で、「菅首相のクビ」に関わる情報は「仙谷由人官房副長官が、首相のクビと引き替えの予算案、予算関連法案の成立を工作する」という程度です。

    谷垣 小沢一郎  仙谷由人 

    ●やめることのできぬ首相

    就任以来、「しがみつき」と揶揄されながら、首相の座を手放さないことをめざしてきた菅首相にとっては、いま現在「首相の座」はもっとも安定しているように見えます。しかし、実は、菅直人首相が「やめることができない首相」という、未曾有の悲惨な立場に置かれてしまったと見る方が妥当なようです。小泉純一郎氏が引退した後の首相はいずれも悲惨な末路を遂げました。総選挙で打倒された麻生太郎氏はまだ幸せといえるでしょう。安倍晋三氏、福田康夫氏は「国会のねじれ」の故に、鳩山由紀夫氏は「政治とカネ」「普天間問題」などでいずれも不本意な辞任に追い込まれたのですが、「やめる」ことで重圧から解放されました。菅首相は「ねじれ」だけでなく、「巨大震災+原発事故」という人類史上未曾有の難題に直面したにもかかわらず、辞任で解放されることができないのです。

    鳩山由紀夫  

    ●絶対君主の責任

    明治天皇と日露大戦争」という新東宝の映画がありました。子ども心に、その中で印象に残ったのは、辞任を申し出た伊藤博文首相に「天皇に辞職はないぞ」と諭した明治天皇のことばです。これが史実かどうかはわかりませんが、逃れることの許されない絶対君主としての責任を示すことばです。

    伊藤博文 明治天皇 
    伊藤博文      明治天皇

    ●菅直人の名は「巨大震災+原発事故」のみとともに記憶される

    一方、「首相の座」は刑罰ではありませんから、理屈の上では辞任することは可能です。しかし、菅首相がいま辞任すれば、「敵前逃亡」のそしりは免れません。また、辞任しようがしまいが、「菅直人」の名は後世、「巨大震災+原発事故」とセットで記憶されるのです。市民運動家としての”実績”や薬害エイズでの資料発見などの”功績”は消し飛んでしまいます。これが、歴史というものです

    カイワレ 
    カイワレを食べてみせた菅厚生相(当時)

    ●指導者のあり方を学べ

    菅首相はあわれです。首相官邸にこもり、東電をどなりつけ、「東日本壊滅」「予断を許さない状況」と国民の士気を阻害する感情的なことばを連発するだけでなく、やたらと現場視察に行きたがる”多忙さ”の中では、自らを考える時間はあまりないでしょう。異民族に包囲される中、それまでの王を倒して権力を握り、つかの間の権力に酔った末、異民族に町ごと殲滅されていった歴史上数多い例が菅首相に重なります。いまからでも遅くありません。菅首相の周囲に必要なのは母校東京工業大学の「原子力に強い」学者たちだけではなく、「指導者のあり方」を指南してくれる文科系の賢人だと思います。

    マックス・ウェーバー マキャベリ 孔子 
    マックス・ウェーバー   マキャベリ      孔子

    ●新生日本の礎になれるか

    私もいま、菅首相の辞任は求めません。募金で、ボランティアで、節電で、そしてなによりも被災者の方々への深い共感で国民はかつてなく団結しています。野党も被災者対策、原発事故対策でこれまでにない協力姿勢を示しています。菅首相に望みたいのは、うわべの効率優先のストレス社会が生んだ最後のあだ花であった「マニフェスト」へのこだわりを捨て、国民統合への新しい道を開く捨て石になることです。そうすれば、菅直人の名は「新生日本の礎」として記憶されるかもしれません。






     

    大局を見失わないために 東電福島原発事故 - 2011.03.27 Sun

    まるでモグラ叩きのような状況です。東京電力福島第1原発の事故だけに限定しても、避難地域・屋内退避、作業員の被曝、水道水汚染、海水汚染、野菜の汚染、首都圏への汚染波及と次から次へと事態は拡散しています。これに加えて、東電が作業員がつかる水の汚染を知りながら通告していなかったこと、半径20~30キロの住民への「自主的避難の要請」という矛盾した政府の対応、さらには、野菜、水道水の汚染について「ただちには健康に影響はないが。摂取しない方がよい」というわけのわからない告知などなど。私たちは、あたかも「あっち向いてホイ」の遊戯のように毎日、目先の異なる深刻な新しい事態に驚いています。そして政府、東電ともに失策を連発して国民を怒らせることばかり。おかげで、大局を見失っている人が少なくないようです。

    モグラ叩き 

    ●かゆいところに手が届くブログ

    そんなとき、twitter上で、冷静に事態の本質を解説しているブログを見つけました。ブログが指摘するのは「原子炉本来の冷却系を回復する」ことというあたりまえのことです。長文のブログなので、ここで引用することは控えます。そのURLをクリックしてください。筆者は専門家ではありませんが、(あるいはその故に)かゆいところに手の届く書き方です。40年前、大学紛争の中熟読したサムエルソンの「経済学」(当時の翻訳!)をほうふつとさせます。

    ●断片的情報摂取が疑心暗鬼招く

    3号機 

    福島第1原発が保有する6基もの原子炉は状態のよいものから状態の悪いものまでさまざまです。マスコミは1つが改善すれば、それをクローズアップし、1つが悪化すれば、それをクローズアップします。人はこんな危機でも、それぞれがなすべき仕事があります。24時間ウォッチできるのは暇人です。ですから、どうしても情報摂取は断片的になります。これが人々の疑心暗鬼を呼びます。西表島まで逃亡した人もいるようですし、ネット上には「これはユダヤ人の陰謀だ」という破天荒なデマまで横行しています。こうしたとき、テレビやネットは断片的情報摂取を加速してしまう傾向なしとしません。

    ●新聞の機能に期待する

    新聞には、立ち止まって現状を正確に把握させる役割を期待したいのですが、悲しいかな十分にその機能を発揮しているとは言い切れません。「本格的高級紙」が存在しない日本の新聞文化の故ですし、それ以前に大震災前から人々は「新聞離れ」していました。そんな中27日の朝日新聞に、3月26日現在の「福島第1原発の損傷」という表が掲載されました。この図表と上記のブログを読むと、現状がよくわかります。

    a1 

    ●現在行っている「冷やす」は緊急避難にすぎない


    6つある原子炉の1つ1つの状態変化に一喜一憂するよりも、6つの原子炉を一体として考えましょう。原子炉事故対策の基本は①停める②冷やす③閉じ込めるです。①の停めるについては稼働中の炉も緊急停止されました。②の冷やすについては、現在もっとも進んだ段階は「原子炉への真水注入」です。しかし、この消防のポンプなどによる真水注入はあくまでも緊急避難措置です。事態の解決をもたらす「冷やす」は緊急炉心冷却装置(ECCS)を含む原子炉本来の冷却系の機能を回復することです。「fukushima50」の決死の活動はそれをめざしています。そのために東北電力の休眠電力線をつなぎました。さらに、ポンプや冷却装置を点検、修理しよう、あるいは別系統の冷却装置を稼働させようという努力が続けられているのです。

    破損 

    ●「冷やす」に時間がかかれば、さらに派生的被害

    しかし、問題は「冷やす」というプロセス回復に時間がかかっていることです。原発は生命体ではありませんから、あくまでも人間が機能を回復させなければなりません。自然治癒はありえないのです。「冷やす」に時間がかれば、状態は悪化し、派生的な被害を生みます。野菜、水道水、海水の汚染がそれですし、作業員の被曝もそれです。まず、「冷やす」を達成させなければなりません。「冷やす」にメドが立たないことから、当然「閉じ込める」も道遠しです。2号機から通常運転時の原子炉内の冷却水の1000万倍という高濃度の放射性物質が検出される(27日のNHKニュース,同日夜東電と経済産業省原子力安全・保安院は「ほかの物質と取り違えた誤りだった」と訂正)などこれまでに出てきしまった派生的被害はその結果です。さらに時間がかかり、「閉じ込める」が失敗すれば、さらに派生的被害を生むでしょう。それがどこまでか、を見極めることが大事です

    経路   

    ●戦争なら人間がやめられる

    危機管理の基本は「最悪ケース」を想定することです。しかし、政府、東電がそうしているとは見えません。いま私たちが直面しているのは、人類がこれまで経験したことのない巨大地震+巨大津波+複数の原子炉事故です。これは大規模な戦争よりも苛酷です。戦争は人間がやるものですから、人間は戦争をやめることができます。一方、原子炉事故の経過を支配しているのは、核分裂反応という物質界の法則です。物質界の法則は人間の意思や希望とは無縁に冷厳に進みます。「停める、冷やす、閉じ込める」人間の努力もあくまでも物質界の法則の枠内でしか効果を持ちません。

    降伏 
    米戦艦ミズーリ艦上での降伏文書調印

    ●ダメージコントロールの視点を

    いま必要なのは政府、東電、そして私たちが事態の本質を直視して「最悪ケースシナリオ」が進行しないように努めること、そして、「ダメージコントロール」の視点を持つことです。それには、「情報の公開」が欠かせません。たとえば、3号機については、プルトニウムを燃料とするプルサーマル炉であることから、プルトニウム汚染が警戒する声がネット上にはあふれています。それなのに、政府はプルトニウムにほとんど触れません。プルトニウムに関しては3号機だけの問題ではありません。ウランだけの燃料でも、燃焼することによってプルトニウムを生成します。すべての炉で水以外に遮蔽物のないプールに入っている使用済み燃料にはプルトニウムが入っているのです。これもほとんど触れられません。なにか、政府、東電ともに希望的観測を頼りに漂流しているように思えます。それが「ひょっとして、最悪ケースはわかっているのに隠しているのではないか。マスコミもそれに加担しているのではないか」という疑いを招いているのです。



    国民の生活様式を変える 原発事故を機に - 2011.03.25 Fri

    海江田万里経済産業相は25日の記者会見で、この夏、東京電力管内で予測される1500万キロワットの電力不足対策の1つとして、企業に夏休みの分散取得を要請すること検討すると述べました。福島原発はこの日も「安定には向かっていない」(NHKの昼ニュース)状態ですから、「何をいまから」あるいは「悠長な」とお怒りになる方もいるかもしれませんが、私はこれを単なる苦し紛れの窮余の策とは思いません。

    海江田2  

    ●持続可能な経済、社会をめざす

    海江田大臣の記者会見に先立つ政府の電力緊急対策本部の会合で、枝野幸男官房長官は「産業部門の事業活動のあり方や国民の生活様式に踏み込んだ抜本的な対策が必要だ」と述べました。これは正論です。日本の経済、日本人の生活を根本的に改革し、持続可能な経済、社会を実現する方策につながりうる考え方です。

    edano 

    ●夏休みの分散取得の意味

    夏休みの分散取得はこれまでも省エネの方法の1つとして提言されてきました。しかし、個別企業や産業の能率が下がるだけでなく、社会全体の経済活動の連関が分断されることで、さらに生産力が下がるという観点から反対が強かったものです。一方、私はかねてから「分散取得」論者でした。大震災よりも前、テレビのコメントでも何回か発言しましたが、あまり反響はありませんでした。私が強調したいのは「分散取得」によって、ピーク電力需要がならされることだけではありません。日本人の余暇が余裕のあるものに変わり、その余裕が経済活動全体にも広がっていく可能性があることです。

    ●「集中豪雨型ストレス社会」からの脱却を

    pool 
    芋を洗うようなプール

    国土が狭いのに急峻な山が多く、すぐ海が控える日本の川は急流で、洪水時には人命を奪うほどの水量が流れますが、それ以外のときには実におとなしい流れです。「集中豪雨型」です。日本人の余暇も「集中豪雨型」といわれます。ゴールデンウィークや盆正月に圧倒的多数の人々の長期休暇が集中します。鉄道、航空機、道路などの交通インフラはこうしたピーク時に対応するように設備、人員を用意します。一方、観光地や旅館、ホテルなどもピーク時に稼がなければほかの時期は採算がとれないほど閑散とするところが多いため、ピーク時に対応する設備、従業員を用意します。その結果閑散期の設備、従業員は遊休状態にです。これはヒト、モノの無駄遣いです。一方、レジャー客は渋滞、混雑、そして行き届かないサービスを甘受しなければなりません。余暇どころか苦行の様相を呈することさえあります。休暇の分散取得はこれを緩和します。

    ●「夏休み分散取得」が効果を持つ前提

    「そんな簡単にいくか!」という声があるのはもちろんです。しかし、それを平然として実行している国は先進国とりわけ欧米には少なくありません。たとえば、ドイツです。ドイツでは、16ある州が学校の夏休みをすこしずつずらして設定しています。毎年そのローテーションは変わります。これはピークをできるだけならすためです。「じゃあ、親の夏休みと食い違うじゃないか」という声が聞こえてきます。心配はあまりありません。働く人の有給休暇は、好きな時期に、所定の有給休暇日数のうち好きな長さとれるのが原則だからです。

    Urlaub 
    Urlaub(ウアラウプ=ドイツ語で休暇)

    ●休暇の権利を確立するとは?

    もう四半世紀前ですが、私がサラリーマンとして勤務していたドイツの公営ラジオ局では毎週1回、所属する課の課員会議がありました。ドイツ人の課長が最初に尋ねるのは「課員の有給休暇取得の予定」です。仕事の分担は、それを大前提として割り振られます。仕事より休暇が優先します。当初私が2日、3日と小出しにとっていたら、「できるだけまとめてとるように」と人事部から注意されました。「親方日の丸(?)の公営の局だから特別なのでは」という方には当時の1つの裁判の例を示します。ある民間企業の技術者が家族とともに海外旅行をするために長期の有給休暇をとりました。ところが、急にその技術者の力が必要な大規模注文が入りました。経営者は技術者に休暇を変更するよう要請しました。しかし、技術者は断りました。怒った経営者は彼にクビを言い渡しました。技術者が訴えた裁判の結果は経営者の完全な敗訴でした。 「有給休暇の取得時期、期間」は侵しがたいほどの権利なのです。

    ●文化の切り替えが必要

    サラリーマン忠臣蔵 

    しかし、一昨日の「サマータイム」のブログで書いたような経済文化や企業文化さらには労働文化の変革がないと「分散取得」は容易ではありません。ある組織に用事があって電話をかけたとしましょう。たまたま担当者は休みをとっていました。日本なら担当者の課の人が代わって用にこたえてくれます。ときには担当者に電話で連絡をとったり、果ては担当者が休みをあきらめて出勤してくれることさえあったりします。ドイツでは簡単です。「担当者は休暇中です」。それだけです。休暇が終わるまで待たなくてはなりません。その代わり、勤務時間中は能率的に働きます。お茶も仕事、タバコも仕事というわけにはいきません。

    ●仕事優先のストレス社会は効率的か?

    こういう社会ではトヨタ自動車のカンバン方式は成り立ちません。日本では休暇を犠牲にしても、お互いが融通をつけて物事が進みます。ドイツではお互いが休暇を尊重しあうことを前提として物事が進みます。ミクロでは日本の方が心遣いの行き届いた社会関係、経済関係に見えますが、それを維持する個々人にはストレスがたまります。それどころかマクロの国民経済全体では必ずしもすばらしい結果につながらないのは、日本の労働者の「時間あたり労働生産性」が先進国中最下位という事実が示しています。

    モーレツ 
    結局「モーレツ」から「ビューティフル」にはなれなかった
    (若い人にはわからなくて、ごめんなさい)

    ●ほんとうにゆとりある社会をめざして

    目先の効率を追求するあまり、大きな損失を招く。これは東電福島原発が突きつけた日本の企業社会の欠陥です。「24時間戦えますか?」というCMコピーが示すモーレツ社会はいまでも色濃く残っています。しかし、これは日本人の宿命ではありません。戦前の日本はもっとゆったりしていました。モーレツ社会は戦後の産物です。たしかに「企業の夏休み分散取得」が単に省エネだけを考えてのものなら、経済的損失を招くだけでなく、巨大なストレスを溜めることになるでしょう。一方、経済文化、企業文化、労働文化を改革するきっかけと考えてコンセンサスを養っていくなら、日本を持続可能な経済、社会に変えていくきっかけになりうると、私は思います。その先に開けてくるのは原発に支えられた社会の浮島としての「スローライフ」ではなく、ほんとうに「ゆとりある社会」ではないでしょうか。


     

    too big to failの上にあぐらをかくもの - 2011.03.24 Thu

    巨大地震、巨大津波、原発事故という未曾有の災厄に直面している日本で、もうひとつの問題が進行しています。みずほ銀行のシステム障害です。巨大地震、巨大津波、原発事故がなければ、みずほ銀行が引き起こしたトラブルは連日新聞の1面を騒がす問題です。新聞の扱いが小さいといっても、巨大地震、巨大津波、原発事故が日本経済に壊滅的打撃を与えかねないいま、その悪影響は平時よりも深刻です。

    みずほ 

    ●銀行のシステム障害の被害

    システム障害の結果、給与振り込みの遅れ、住宅ローンの決済ができない人も出てきました。そして、何よりも怖いのは企業の取引の決済ができなくなることです。みずほ銀行をメインバンクとしている中小零細業者は取引の決済ができない恐怖に陥りました。資金繰りができなくなったら、企業にとっては最悪です。場合によっては黒字倒産という事態にも直面します。 

    ●関東大震災と震災手形

    健全な経済は健全な決済機能によってはじめて実現します。関東大震災が残したことばに「震災手形」というのがあります。大震災によって多くの手形の決済ができなくなりました。こうした手形を「震災手形」と呼びます。当時の政府は一般に流通する手形のうち被災地に関わるもののみを緊急勅令によるモラトリアムや、法令によって日本銀行が再割引することで補償の対象としました。災害の経済への悪影響を食い止めるための措置でした。

    ●「決済機能」維持のために金融危機を生き延びた金融機関

    バトル 

    銀行の決済機能がダウンすると、その影響ははかりしれません。1990年代の不良債権問題のとき、「不良債権を生んだのは、バブル期の銀行の無責任、不道徳な融資が原因」という世論の強い批判をよそに、当時の与野党は一致して公的資金注入(税金からの貸し付け)に踏み切りました。日本長期信用銀行や北海道拓殖銀行などが破綻しましたが、破綻を免れたほかの大手銀行は国から大規模な公的資金注入を受けて生き残りをはかりました。「決済機能を守る」が錦の御旗でした。また、最大手の銀行については、「too big to fail」(大きすぎて潰せない)ということがいわれました。具体的にいえば、自己責任で破綻させるのはよいが、破綻した結果どのような余波が起きるか予測できないということなのです。当時の大蔵省は行政指導で旧企業系列を越えた銀行の大規模合併によってメガバンクを成立させました。旧富士銀行、第一勧銀、日本興業銀行が合併してみずほフィナンシャルグループが誕生したのはその一環です。「決済機能」を守り、日本発の金融危機を世界に波及させないためでした。いいかえれば、銀行は税金と国策によって守られたのです。

    ●みずほ銀行は2度にわたりシステム障害起こす

    その後、公的資金の注入を受けたメガバンクは莫大な利益をあげ続けました。しかし、みずほ銀行は旧富士銀行と旧第一勧銀のシステム統合がうまくいかず、2002年に、大規模なシステム障害を起こし、顧客と日本経済に大きな迷惑をかけました。そして再度のシステム障害です。金融危機を踏み台にしてあげた莫大な利益が顧客のために十分に投資されていなかったのでしょう

    ●人災の余波

    謝罪 

    システム障害の原因は直接的には東日本大震災ではなく、想定を越える振り込みがある口座に集中したことだとされています。、西堀利頭取は口座の選定を間違えた「ヒューマンエラー(人為的なミス)だ」としていますが、システム自体に問題があるとの指摘も出ています。要するに「人災」だということを当のみずほ銀行が認めているようなものです。みずほ銀行は24日「未処理決済は解消した」と発表しました。しかし、25日には企業の給与振り込みが集中します。25日午前の日経WEBによると、「200万件の給与振り込みはすべて完了した」とのことです。しかし、公共料金、カード料金引き落としにからむデータ処理に遅れが出ているそうです。年度末を控え、不安はなお続きます

    ●too big to failと多寡をくくっていたのか?

    西堀 東電社長 菅直人 

    私は銀行性悪説には立ちません。健全な金融機関は安心して暮らせる豊かな社会を支える大事な機能だと確信しています。銀行が人々に安心を与えるかぎり、銀行の経営者や従業員が世間並みより多少高い待遇を享受するのも甘受します。しかし、公的資金(国民の税金)の注入によって急場をしのぎ、その後、莫大な利益をあげながら、too big to failと多寡をくくってきたのだとすれば、厳しく指弾されるべきです。ちなみに半独占の東京電力もtoo big to failの上にあぐらをかいてきたひとつの例でしょう。さらにいうなら、国家はtoo big to failの王様です。




     

    サマータイム導入検討を機に頭の体操 - 2011.03.23 Wed

     節電啓発を担当する蓮舫行政刷新相は22日、東京電力福島第1原子力発電所の事故などで計画停電実施に追い込まれている東電管内の夏場の電力不足に備えるため、サマータイム(夏時間)の導入などを検討する考えを表明しました。私はこれは早急に検討すべき課題だと思います。

    renho 

    ●サマータイムは総量規制の一つのかたち

    サマータイムは、「省エネルギーの観点から導入すべし」との声が一部にありましたが、反対論が強くこれまでは実現に至っていません。蓮舫大臣は夏場の電力需要について「今の3000万キロワット(kw)という値ではない。去年の実績は7月で5000万、6000万kwで、今より相当増える」と指摘しました。これは休眠火力発電所を再稼働しても到底まかなえる数字ではありません。23日の日本経済新聞によると、首都圏の夏の電力不足は最大1500万kw、東電管内のピーク時需要の25%と予測されています。これは北海道電力2つ分の能力に相当します。一方、現行の計画停電に対しては「総量規制の方が経済に与える打撃が少ない」という声があります。たしかに休眠火力発電所を再稼働させても、夏場になったら、計画停電では、経済どころか市民生活も壊滅的な打撃を受けるでしょう。サマータイムは総量規制の一つの考え方です。

    ●サマータイムの得失

    wikipediaによると、サマータイムの効果
    (1)省エネルギーにつながる(2)明るい時間を有効に使えるので照明などのエネルギー消費の節約になり、企業の経費削減にもなる。(3)日照を利用した余暇の充実(4)交通事故や犯罪発生率が低下する、などです。
    一方、有力な反対論
    (1)近年は冷房が各家庭に普及しているため、明るいうちに帰宅すると暑い時間を家で過ごすことから冷房需要が増え、照明の節約効果以上にエネルギー消費量が増える(2)始業時刻は夏時間でも、終業時刻は外の明るさを基準にする人が出れば、逆に残業が増加するなどです。

    どちらも、それなりに根拠はあります。

    サマータイム 

    ●サマータイムの恩恵

    私はドイツの放送局に派遣されていたとき、サマータイムの恩恵を享受しました。勤務時間があってなきがごとしの日本の新聞社の拘束を離れてドイツのサラリーマン暮らしをしていたときのことです。夏の夜、いつまでも沈まない夕日の中、友人たちとホームパーティを楽しんだゆったりした時間の流れの印象が強いのです。

    ●前提が違うドイツと日本

    しかし、現実にはドイツと日本ではさまざまな前提の違いがあります。終業時間になれば、仕事が途中でも帰宅するドイツ人。たとえば商店の閉店時間は、日本では、その時間までお客さんは入店できますが、ドイツでは店員さんがカギを閉めて帰る文字通りの閉店時間です。また、労働慣行としては、上記反対論の(2)が大きく影響します。日本では上司が「まだ明るいのだから、仕事をしよう」といいだせば、それを尻目に帰れる人はどれほどいるでしょうか。

    Kaufhof.jpg 
    ドイツの商店は閉店時間に冷酷に閉まる

    中央官庁を例にとりましょう。霞ヶ関の中央官庁は夜12時を回っても、こうこうと灯りがついています。居酒屋タクシーが発生したのはそのためです。ドイツ・ボン特派員当時の隣家はドイツ外務省のキャリア外交官でしたが、彼はほぼ毎日、午後5時半ごろには帰宅していて、居間で高級紙を読んでいました。また、勤め人の通勤距離も大きく違います。日本では朝と夜の2回、場合によっては往復それぞれ2時間(ときにはそれ以上)の通勤時間に耐えている人が大勢います。その人たちを運ぶ公共交通機関の電力消費はサマータイムを導入しても変わりません。ドイツでは、そんな長い通勤時間のかかるところに人は勤めません。こうした違いは日本の首都圏すなわち東電管内では、とくに顕著です。

    ●経済文化、企業文化、労働文化

    このように経済文化、企業文化、労働文化を無視しては、サマータイムは論じられません。ただ、福島原発の事故は電力の節約あるいは極端なまでの効率的利用を否応なく迫っています。ひょっとしたら経済文化のあり方、企業文化や労働文化のあり方を変えることがその解決方法につながるかもしれません。

    サラリーマン 

    ●頭の体操 時間当たり生産性を考えてみよう

    それは、「時間当たり労働生産性」という考え方です。時間あたりの労働生産性は、経済協力開発機構(OECD)によると、2009年でアメリカを100とした場合、日本は66.6にすぎず、先進国で最下位です。就業者あたりで見ても、08年は加盟30カ国中20位でした。「日本人は勤勉」という通念とは矛盾するデータです。多くの場合、日本人は「日本人は勤勉」という考え方を変えずにこれを解釈しようとします。

    ●日本人は勤勉か、怠け者か

    東京新聞の去年10月17日の「生活図鑑」は「労働生産性 日本人は怠け者か」というタイトルでこれを解説しています。そこでの解釈は「非正規労働者が増えているから」というものです。「就業者は正社員とパートで労働時間が違っても、1人として計算される。このため、雇用者に占める非正規比率が上昇し、GDPが伸び悩む中、就業者あたりの生産性が低下した一因になった」。これは就業者当たりの生産性が低い説明にはなりますが、時間当たり生産性の説明ではありません。時間当たり生産性については、「年間の平均労働時間は以前に比べれば減少したものの、先進国の中では長い。これも、時間あたりの生産性を押し下げる要因」と説明します。わかったようなわからないような説明と私には思えます。

    二宮金次郎 

    ●日本人の勤勉さは浪費されている?という仮説

    時間あたり労働生産性が低い李由の理由の一つを私は日本人の働き方の問題だと思っています。「日本人は怠け者だ」とはいいませんが、「日本人の勤勉さ」が職場での「生産」に直接投入されず、職場の環境によって浪費されているという仮説です。上司の顔色をうかがって帰れないというのは典型的な例ですが、だらだら残業をしても職場に長く滞留する人が評価されます。とくにホワイトカラーの職場ではその傾向なしとしません。昭和30年代の東宝の「サラリーマンもの映画」にはその生態が理念型として描き出されています。サラリーマン処世術に熟達しないと出世できないのです。こうして「日本人の勤勉さ」はサラリーマン処世術によって浪費されます

    サラリーマン忠臣蔵 

    ●労働時間の目的外使用

    こうした「労働時間の目的外使用」は生産力につながらないだけでなく資源とりわけ電力を浪費します。たしかに、こうした処世術は右肩上がりの時代には職場の潤滑油であり、取引先との間の潤滑油でした。「勤務時間外でも顧客の無理な要求にも応える」「酒食の接待で午前様」が当たり前の企業文化、労働文化でした。そのへんのメカニズムがわからない欧米人は「夜遅くまで家に帰らず、職場の仲間と飲みに行くのは、フリンジ・ベネフィット(給与外給付)である接待を含め職場が楽しいからだ」と考えてみたりします。

    スーダラ節 

    ●サマータイム導入論をきっかけに

    こうした「右肩上がり」時代の企業文化は排除しなければならないという考え方はバブル崩壊以来強くなってきましたが、雀百まで踊り忘れずで根強く残っています。福島原発が突きつけた問答無用の電力節約には複合的な対応が必要です。サマータイム導入論議を契機に、企業文化、労働文化の改革とも併せて考えてみたらいかがでしょうか


    挙国一致内閣か 虚構一致内閣か - 2011.03.22 Tue

    菅直人内閣の支持率が急上昇したそうです。東日本大震災後の17日に首都圏でフジテレビ系の「新報道2001」が行った世論調査で、支持率は
    35.6%
    となり前回(3日実施)の24%から11.6ポイント上昇しました。当の菅内閣も手放しで喜んではいないと思います。当面の最大課題である放射能漏れを起こした福島第1原発への政府対応では過半数が「適切ではない」と批判しているからです。

    3号機 

    ●首相を交代させる余裕はない


    twitterを飛ばし読みしていると、人々の菅内閣への態度は大きく2つに分かれます。「未曾有の危機だから、菅内閣を盛り立てよう」というグループと、「批判すべきは批判しておかなければならない」というグループに分かれます。それでも「とにかくいまは菅内閣を替える余裕はない」という点ではほぼ一致しているのが11.6ポイントの上昇の背景だと推測できます。

    菅直人 

    ●権力基盤強化のあがき

    しかし、この対比は35.6%の支持が移ろいやすいものであることを意味しています。別のことばを使えば、権力基盤が弱いということです。菅首相自身それを十二分に意識しています。そこで、この3連休、菅首相は最大野党・自民党の谷垣禎一総裁に、電話1本で入閣を要請しました。自民党から閣僚が出れば、大連立内閣の誕生です。。衆参両議院のねじれに苦しんでいた菅政権の問題が一気に解決します。衆参両議院の圧倒的多数を背景にすれば、政治の世界では、できないことはありません。憲法改正だって可能です。

    谷垣 
    自民党の谷垣禎一総裁

    ●底意疑われた大連立工作

    しかし、谷垣総裁は入閣を拒否しました。「大連立をつくるには、きちんとした政策協定がなければならない」というのがその理由ですが、同時に「大震災+原発事故という未曾有の危機を政治利用して、ドサクサ紛れにねじれを解消し、政権延命をはかる目的が隠されている」という警戒もありました。ある新聞の見出しには「火事場泥棒」という言葉さえ登場しました。

    ●評価分かれる自民党の拒否

    これを受けて市民はどう思ったでしょうか? さきほどの「批判すべきは批判しておかなければならない」と思っている人々の多くは、谷垣総裁の拒否をやむを得ないと思ったでしょう。一方、「未曾有の危機だから、とにかく菅内閣を盛り立てよう」と思う人のかなりの部分は自民党の態度はかたくなだと思っていることでしょう。人はそれぞれです。

    ●世論調査の示すもの

    「新報道2001」の世論調査では、福島原発への対応では「適切に対処しているとは思わない」が52.6%、「適切に対処している」は41.6%でした。過半数は批判的ですが、拮抗しています。一方、巨額の復興支援の財源については、子ども手当や高速道路無料化を充てる考えを
    83.6%が支持しました。圧倒的です。

    避難 

    ●バラマキ4Kの財政上の意味

    子ども手当、高速道路無料化、高校授業料無償化、農家の戸別所得保障は民主党政権の存在理由でした。「16兆円の財源が出てくる」という鳩山由紀夫前首相の選挙前の夢物語が消えたあとでも、民主党政権はこの4つの施策を実現しました。もっとも目に見えやすい「民主党政権の恩恵」だったからです。しかし、このバラマキ4Kと呼ばれる施策は、大震災前から廃止・縮小を求める世論が高まっていました。そこへ未曾有の大災害です。救援・復興には巨額のお金がいますぐ必要です。ところが3月までの2010年度予算でそれに使える予備費は1000億円あまりしかありません。年度末ですからほかのお金ももうほとんど使っています。転用しようにも財源はありません。そこで、まもなく始まる2011年度の予算で対応しようということになるわけです。

    manifesto 

    ●バラマキ4Kが挙国一致の阻害要因

    ここで、与野党の考え方が食い違ったのが大連立工作が不発に終わった原因です。自民党が「バラマキ4Kをやめて災害予算に回せ」と主張するのに対し。民主党は「とにかくいま審議している予算案を(与野党攻防の焦点であり、菅内閣の命運を左右するともいわれていた赤字国債発行などの予算関連法案ぐるみ)成立させて、その後の2011年度補正予算で組み替えや、災害対策を行う」ともくろんだのが対立の実相です。

    ●バラマキ4K廃止でもたりない

    その後、民主党はバラマキ4Kの2011年度での増額分については凍結を考えるそぶりを示していますが、「バラマキ4Kをどうするか」が最大の争点であることに変わりはありません。22日の閣議後の記者会見で与謝野馨経済財政相は復興を支援するための財源について「考えられるのは既定経費の節減、一部にある新しい税の考え方、それから公債発行などだ」と述べました。政府部内には年金財源を取りくずすアイデアも出ています。大変な事態なのです。バラマキ4Kを中止したとしても、それで浮くお金は2.8兆円です。それでは到底たりないからこそ、与謝野大臣の発言になるわけです。

    yosano  
    与謝野馨経済財政相

    ●マニフェストへの固執捨てきれぬ民主党

    それでも、民主党側はバラマキ4Kに手をつけるのをいやがります。さまざまなおいしい約束(マニフェスト)の中で、何をおいても(スーパー堤防は削られました)実現した目に見える民主党政権の恩恵がバラマキ4Kだったからです。これがなくなったら、民主党政権とはいったい何だったのかということにもなりかねません。そこで、持ち出したのが谷垣自民党総裁への入閣要請でした。「究極の抱きつき戦術」ともいわれています。

    ●世論に半分背を向けた不真面目な連立工作

    しかし、国民がとるべき道は「新報道2001」の世論調査結果が明白に示しています。「菅首相が責任を持って政権を担当せよ(責任転嫁は許されない)」「福島原発への対応をもっとしっかりやれ」「お金が必要なのだから、もうマニフェストにこだわるな」の3点です。幸い、国民は他国からも驚嘆されるほどの「我慢」と「団結」を示しています。挙国一致内閣ができれば、国民の力はもっと力強く発揮されるでしょう。しかし、共産党までを含む野党が災害対策への全面協力を国会審議などで実行に移しているのに、菅首相の自民党への働きかけは世論の示すものに半分背を向けた不真面目なものでした。

    ●虚構一致内閣はいらない

    自民党が申し出を断ったのもやむを得ないところです。「バラマキ4Kを公式に放棄し、谷垣総裁を総理大臣に迎え、一定時期の解散総選挙を約束する」ぐらいの謙虚さがあったならともかく、「電話一本の宅配ピザ注文」のような大連立が実現していたら、そこにできるのは「挙国一致内閣」ではなく、「虚構一致内閣」だったでしょう。ねじれを政府の中に抱え込むだけだからです。




     

    写真で見るビフォア&アフター  宮古市の大震災被害 - 2011.03.21 Mon

    岩手県宮古市の浄土ヶ浜パークホテルの総支配人、平原裕治さんから20日、メールをいただきました。大震災後、安否を問い合わせた私のメールへの初めての返信です。昨日のブログに書いたように、浄土ヶ浜パークホテルは健在、従業員も無事でした。ライフラインが途絶したため、休業中ですが、避難所として機能しています。

    ●ホテルは避難所として190人を収容

    宮古湾をのぞむ浄土ヶ浜パークホテルのロビー
    parkhotel

    平原さんはそのメールで「11日の地震直後から固定電話携帯電話が繋がらなくなり、当然ながらインターネットにもアクセス出来ず、また電気水道は未だに回復せず、ガス(プロパン)もあまり残っておらず本当に困りました。地震当日夕方、地元で被災された方々190名強がホテルにお越しになり、急遽ホテルのロビーフロアと宴会場に畳を敷いてマットレスと布団を敷いてお休みになれるよう準備をしました」と書いています。heiunさんの「漁師の徒然なるブログ」によると、ホテルでは被災者の方々には朝昼夕の3食が出るとのことです。また、水産加工業の中国人女性研修生数十人もここに収容され、健気に立ち働いているそうです。先ほど、heiunさんのブログを再度確認していたら、3月11日の地震発生、沖合に逃げる自分の船から写した、津波が宮古に押しよせる場面が同時進行で記録されていることがわかりました。これは貴重な記録です。


    ###############################

    ●東日本大震災 日常生活のビフォア アンド アフター

    このメールには平原さんが撮った宮古市の被災状況の写真が添付されていました。すさまじい被災状況もさることながら、うち4枚にはご自宅の窓からとった日常の風景の「大震災前」と「大震災後」が記録されています。平原さんも被災者です。


    大震災後の光景(A) 画面左上隅が宮古市役所
    A.大震災後 

    昨年7月の同じ場所の風景
    A.大震災前 


    ################################


    大震災後の光景(B)
    B.大震災後 

    昨年7月の同じ場所の風景
    B.大震災前 

    マンションのベランダに出た1人の市民の日常の風景がこのように変わりました。そして、それはすべての市民に降りかかったのです。

    ################################



    平原さんは大震災後、救援、復興の仕事に追われる中で惨状を記録しました。そして、これらも被災地では「ありふれた(!)光景」です


    市役所前 
    宮古市役所前


     市役所対面 
    宮古市役所の道路をはさんだ反対側の市街


    次の光景には私は個人的に強い衝撃を受けました。私の宮古での講演の会場だったホテル近江屋の玄関です。昨日のブログに書いた宮古商工会議所のみなさんとはここでお目にかかったのです。ホテル近江屋は宮古市役所などとは閉伊川の川口をはさんだ向かい側の磯鶏という地区にあります。平原さんは「近江屋は材木置き場の隣にありましたので津波とともに丸太がたくさんホテルを襲いました」と書いています。玄関内に積み重なる巨大な原木の数は津波のエネルギーのすさまじさを物語ります。

    ホテル近江屋玄関
    ホテル近江屋玄関

    住宅地に漁船が鎮座しています。
    住宅地 


    墓地です。墓石が喪失しています。消防団の消防車はどこから流されてきたのでしょうか。
    墓地  



    建物の壁には標語が
    津波の標語 

    その標語 チリ地震津波(50年前)ということばが
    標語  

    運良く自宅が残った人、避難所暮らしの方、あるいは遠くほかの町へ仮移転された方々も、大震災で生き残った方たちすべてが失ったものは建物や家財だけではありません。すべての人が仕事やコミュニティのヒトのネットワークに組み込まれ、所を得、お互いに必要とされて生きていたのが日常生活でした。大地震と巨大津波はそのネットワークをずたずたに切り裂きました。避難所にいる方々や仮移転した方々のこうしたつながりを回復することが復興です。

     






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    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
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