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    2011-02

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    暴君は去った では未来はバラ色か? - 2011.02.12 Sat

    エジプト市民が立ち上がってから18日目、ムバラク大統領がようやく辞任しました。人口8000万人の大国エジプトの体制転換は約300人の犠牲を伴いながらも、民衆の暴発や軍による流血の弾圧という事態はひとまず避けられました。1952年のナセル、サダトら自由将校団による王制打倒クーデター以来60年続いた権威主義体制には終止符が打たれたのです。それでも、エジプトの近未来は必ずしもバラ色ではなさそうです

    mubarak 
    ムバラク大統領

    ●「革命型」の権力移行

    権力の移行は、国軍最高会議に権限を移譲したうえで、一時的に憲法を停止して超法規的支配のもとで新憲法を制定し、やがて民主的な大統領選挙を行うかたちをとりそうです。その点では、まさに「革命」の手順を踏むことになります。しかし、ここで懸念されるのは、「革命主体=新憲法制定権力」がだれなのかが不明な点です。中東情勢やエジプトに詳しい池内恵・東大准教授は「軍には、単独で軍政を敷くほどの自覚も能力もなく、諸政治勢力を仲介して新たな憲法を書かせるほどの政治力もないだろう」(12日日経電子版)と見ています。

    ●解放か統合か

    革命成就 
    11日、ムバラク辞任に沸くタハリール広場の人々
    (朝日新聞)


    今回エジプト軍は、騒乱の調停者としての役はこなしましたが、民主化に向かう政治過程での役割はあまり期待できないというわけです。ムスリム同胞団を筆頭とする既存野党勢力はドングリの背比べです。今回の「革命主体」は、とりもなおさず「タハリール広場」に集まった市民です。インターネット時代以前でしたら、革命主体は底辺からの
    face to faceの組織化によって形成されます。しかし、タハリール広場に集まった人々の大半はインターネットというチャンネルによって結集された人々です。組織、そして青写真を持たない人々です。「タハリール(解放)」のベクトルは強烈ですが、「統合」のベクトルには疑問符がつきます。

    ●つかみどころのない「革命主体」

    新憲法制定、民主化の過程で、諸政治勢力が「統合」に動くのか、「対立抗争」に走ってしまうのかは予断を許しません。エジプト軍がトルコの軍部のように「クーデター~民政移管」のプロセスに慣熟していないことも不安材料です。野党勢力や軍にとって、タハリール広場に集まった人々が、吹き寄せられる砂嵐の砂のようにつかみどころがないのは極めて深刻です。

    ●エジプトはファラオの末裔

    papirus 

     幸いエジプトはイラクなどのように地域的な分離主義の要素はほとんどありません。また、5000年の歴史を持つエジプトは、さまざまな民族のるつぼですから、人々は「アラブ」意識よりも、「ファラオの子孫たち」という意識を強くもっています。中東在勤時、私はエジプトの人々が「アラブ」を3人称のtheyで呼ぶことに驚きました。エジプトにはエジプトとしての統合の要素が強いのです。

    ●少数派にスケープゴートの危険

    しかし、一方で国内には対立の要素もあります。一つは宗教です。国民のほとんどはイスラム教徒ですが、少数派としてのコプト教徒、そしてユダヤ教徒が存在します。イラン革命以来の中東全体のイスラム化の流れの中で、コプト教徒は次第に居づらくなってきています。私の古い友人のコプト教徒たちもずいぶん海外に移住しました。ムバラク体制の末期、コプト教徒が襲撃される事件が続きました。コプト教徒には資産階級、知識階級も多いので、経済の推移によっては彼らがスケープゴートとされるような社会情勢も生まれかねません。

    ●経済の不振は混乱招く

     obama hamas 

    エジプトの将来を左右する最大の要素は経済です。わずかながら産出する石油は次第に枯渇しています。食料の多くを輸入に頼る一方、観光が主要な収入源のエジプトは、他方で貧富の差の大きな社会を抱えています。政治の混迷が経済の不振を加速すれば、過激なイスラム至上主義がつけ込む余地が生まれます。また、エジプトの主要な同盟国であり保護者であるアメリカの出方にも注意を払う必要があります。今回オバマ大統領は右往左往しました。オバマ政権は、同様な状況だったイラン革命に対する対応を誤ったカーター政権との類似性を指摘されているだけに気がかりです。




     
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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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