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    2011-02

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    なつかしい味に三陸・宮古で再会 - 2011.02.07 Mon

    岩手県宮古市を1月下旬に訪れたときに、子どものころ、よく我が家の食卓にのったなつかしい食材に再会しました。というより、以前から探していたものが三陸沿岸の特産であることをつきとめたのが先で、宮古を訪れる機会を得たのが後なのです。それは「メロウド」という魚の干物です。文章で描写するより、まず写真を見てください。

    メロウド 

    ●稚魚はおなじみだが、成魚はなじみ薄のメロウド

    トレイの上の冷凍状態メロウドは1尾約20センチほど。サヨリのようなスマートな姿ですが、実はアブラののった濃厚な味わいの干物です。これはイカナゴで、稚魚は地方により「コウナゴ(小女子)」、「シンコ(新子)」と呼び、成長したものを「メロウド(女郎人)」、「フルセ(古背)」と呼びます。「なあんだ」と思われる方も多いと思います。稚魚はチリメンや佃煮にした「イカナゴのクギ煮」でおなじみです。でも、ここまで成長したものはあまりおなじみではないと思います。

    ●安すぎる美味 地元では引っ張りだこ

    宮古の市街に行って最初に向かったのが佐々由商店。インターネットで「メロウド」の干物を扱っていることを突き止めていたからです。「メロウドの干物はありますか」と尋ねると、年配の女性店員が「メロですか?きょうあるかどうか?ちょっと見てきますね」といって、しばらくして持ってきてくれたのが写真のメロウド君です。春に獲れる魚なのですが、最近では冷凍保存しています。でも、宮古の人にはおなじみの郷土の味。店頭に出すとすぐ売り切れてしまうそうです。それもそのはずです。お値段は1パックなんと230円。稚魚であるコウナゴの市場価格は1キログラム当たり1000円ほどなのに対し、成魚のメロウドは100円以下と、成長するのに伴い価格が下がってしまうため、ほとんどが魚の養殖用の餌として出荷されてしまいます。

    マダラ 
    宮古市の魚菜市場には全長80センチもある旬の真ダラが

    ●少量生産の安い食品は大都市には縁遠く

    宮古では岩手県漁連の会長さんらにもお会いしましたが、「なんで知っているの?」と不思議がられました。昭和30年代。東京・下高井戸駅前のマーケットには、お魚やさんが2軒ありました。いまは老齢化が進んでいますが、当時は食べ盛りの子どもの大勢いる住宅街でした。その食欲を支えるお店はそれはそれは繁盛していました。そのうちの一軒には地方のお魚やさんの跡取りが修行に来ていたものです。後年、朝日新聞長野支局時代に知り合った長野市の大きな魚やさんの若旦那もここで修行したと聞いて驚いたことがあります。

    焼きメロウド 
    水分が抜けるようにトースターで焼き上げたメロウドの干物

    下高井戸ではメロウドは「メロト」という名で扱われていました。亡くなった母がよく買ってきてくれました。私たちは、シシャモよりおいしいと思い、喜んで食べました。宮古で値段を聞いてなるほどと思いました。カギは値段にあったのでしょう。東京生まれ東京育ちの母がメロウドを昔から知っていたわけはありません。「安い」+「子どもが喜ぶ」=家計のやりくり、という方程式です。しかし、いつの間にやら、メロウドは東京では見かけなくなりました。コールドチェーンの発達大量一括仕入れ大量販売のスーパーマーケットが大都市の消費者市場を支配するようになって、少量しか生産されず、利幅の小さな商品は生産地周辺にしか出回らなくなったのです。いわば、冷凍マグロにメロウドははねとばされたのです

    ●マツモは少量生産、高価の故に縁遠く

    宮古ではもう一つなつかしい味に出会いました。それはマツモです。北海道,本州太平洋岸犬吠埼以北でとれる海藻。マツモは大変美味で、 そのまま「生マツモ」として,また乾燥させて「干マツモ」焼マツモ」などに加工され,販売されているのですが、これは収穫期が制限される貴重品になりました。いまや5グラム小分けの乾燥マツモが5袋パックされて840円もします。盛岡駅の物産店では「今シーズン初の生マツモ入荷しました!」と「!」マークつきです。

    マツモ 
    貴重品になったマツモ

    マツモも母がよく買ってきてくれました。焼きマツモをなまり節を焼いてほぐしたものとあえて我が家のお総菜の常連だったのですが、いつのころからか手に入らなくなりました。「メロウド」とは逆に高くなってしまったこともあり、大都市への流通チェーンにのらなくなったのですね。何でも手に入るようになったと思っている大都市住民ですが、「メロウド」や「マツモ」のように大量仕入れ・大量販売から抜け落ちた美味は、やはり産地に行かなくては手に入らなくなりました。しかし、いったん入手先を確認すれば、通販で手に入るのも現代です。これからはときどき「メロウド」を味わうことでしょう。




     
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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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