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    2010-11

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    避けられない既得権の検討 TPPを農業再生のてこに - 2010.11.16 Tue

    先週、長崎県西彼杵郡長与町議会と時津町議会合同の研修会で講演しました。テーマは、「今後の日本の行方について」。講演では、世界を動かす中心的な市場が欧米からアジアにシフトしようとしている中で、日本のとるべき道をお話ししました。菅直人首相すら「第二の開国」という状況の中です。坂本龍馬が日本の辺境から出たように、第二の坂本龍馬を地方が輩出することを期待します。

    TPP 

    TPPの参加国
    緑     は発効時の加盟国
    オレンジ は発効後の参加国


    ●地方で関心の高いTPP

    これまで、地方での関心は多くの場合「地方の活性化」「地方の再生」だったのですが、「空白の10年」が「20年」になったいま、地方の問題は日本全体の問題の解決なしには解決しなくなっています。開会前の町長さんや町議会議長さんとの話で必ず出てきたのが「TPP」(環太平洋パートナーシップ)の3文字だったのも、それを象徴しています。

    ●荒廃する農業

    長与町の場合、耕地面積の約半分が耕作放棄地、また農業従事者の多くが70歳以上でかつ後継者のめどが立たない農家が多いとのことです。2005年農林業センサス(農林水産省)によると、全国の耕作放棄地は22万ヘクタール(総農家)で、耕地面積に占める割合(耕作放棄地率)は
    5.8%となっています。これに土地持ち非農家分を加えると38.6万ヘクタールになります。長崎県は耕作放棄地の割合が15.5%で全国一です。長与町のケースはその中でもとくに耕作放棄の傾向が強いようです。

    耕作放棄地 


    ●長与町は未来の日本図

    これは極端な例だといってすますことはできません。「農業従事者の多くが70歳以上でかつ後継者のめどが立たない農家が多い」という長与町の嘆きはそのまま全国の農業地帯の嘆きです。このままでは国全体が長与町と同じ状態になります。長与町は、長崎市のベッドタウンとしての発展の道がありますが、そのような可能性がない町にとって、それは深刻です。

    ●農業再生の障害となった農地法

    講演の後に1人の町議さんが質問に立ち「農地の流動化こそ重要」と指摘されました。その通りです。耕作放棄後継者難の問題を解決し、農業の生産性を上げ、結果的に食料自給率の向上につなげるためには、大規模営農化が最善の道です。それを妨げているのが農地法です。自民党政権も末期には大規模営農化を農政の柱に掲げましたが、それは失敗しました。大規模営農化を妨げてきた人たちの言い分はさまざまです。いわく、土地の流動化による株式会社農業はかつての地主小作制の復活、自営農こそ国の基本、農業の伝統を守れなどなどです。

    ●圧倒的に低い日本の農家1戸あたり農地面積

    フランスの農村 
    フランスの農村

    戦後の農地改革の中では、農地法は自営農育成の効果を持ちました。しかし、それから60年たって、産業構造や食料消費のあり方、そして国際環境が大きく変わった現在では、農地法の規制は既得権の擁護であり、都市近郊では、地価値上がり期待の農地保有の温床です。その結果、農家1戸あたりの農地面積でみると、アメリカやオーストラリアと比べなくとも、フランスやイギリスの40~50ヘクタールに対し、日本は多く見積もっても2ヘクタール以下です。面積が小さければ、生産性が低いのは当たり前の話です。


    ●戸別所得保障は農業衰退を助長

    米作は最近では、1年に20日強の労働投下で成りたつそうです。これは2種兼業農家を生み出すだけでなく、農業後継者難を拡大再生産しています。こうしてみると、米作農家を対象とした民主党の「農家の戸別所得保障制度」がいかに農業の現状固定から衰退への道を開くものかが明らかになってくるでしょう。

    ●TPPを機に農業再点検を

    農林業予算にまつわりついたさまざまな既得権益をひとつひとつはがしていって真の農業改革につなげるのは容易でありません。その意味で、これまで日本を豊かにしてきた製品輸出が競争力を失うか否かに関わるTPPは、かっこうの黒船です。生産者米価をはじめ農家の所得保障にいたるまで、農林業予算全体をこそ「事業仕分け」の対象にしなくてはならないでしょう。

    ●16日夜の追記

    TPP論議はいよいよ旬になってきました。
    以下の青字は16日の読売新聞電子版の引用です。

    菅直人首相は16日の衆院本会議で「若い人でも障壁なく農業に参加できるよう農地法など法体系も見直す必要がある」と述べ、農業への新規参入を促す農地法の見直しに言及した。「農業をやっている人しか農地が買えない」とも指摘した。
    農業従事者の平均年齢が65.8歳と高齢化していることにも触れ「わが国の農業は貿易自由化とは関係なく、このままでは立ちゆかなくなる」と強調。対策に「必要な財政措置やその財源を検討する」と語った。環太平洋経済連携協定(TPP)を視野に入れた農業改革の一環として発言した。

    これは正論です。しかし、その対策に「必要な財政措置や財源を検討する」となると、虻蜂取らずどころか、焼け太りのおそれさえある。 これまでにばらまかれてきた不必要な財政措置や既得権をスクラップした上で、ほんとうの意味で農業を守り育てる方向に踏み出せれば、「第二の開国」=日本再生も可能でしょう。






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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
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