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    2010-11

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    尖閣ビデオの語るもの - 2010.11.08 Mon

    土曜日の夕方、時間が空いたので、いま世間を騒がせている「尖閣ビデオ」6本を通して見ました。東シナ海は青く穏やかなのですが9月7日には、文字通り日中衝突の海になりました。

    ●日本非難強める中国のネット世論

    6日夕方のニュースによると、中国では、当局の規制が緩められた模様で、インターネット上で自由に見ることができるそうです。また、ネットでの書き込みは、当初は「中国側に非がある」というのもあったのですが、次第に「日本非難」一色になってきたということです。

     
    日本人の蔑称「日本鬼子(リューベンクウェイツ)」を茶化した「ひのもとおにこ」というキャラクターまで登場した

    ●「どうぶつかったか」をビデオに見る

    日本では、「中国側に非がある」一色ですが、あえて批判を覚悟で、ビデオを見た感じを記します。「どうぶつかったか」です。

    ●漁船の故意が明白な巡視船「みずき」のケース

    みずき 
    「みずき」への衝突

    10時56分の巡視船「みずき」との衝突は、明白に中国側の故意が感じられます。停船を命じながら、中国漁船の左舷から近づいていく「みずき」は中国漁船との距離が縮まると、左に舵を切り、中国漁船の針路と平行というより、さらにわずかに左に回避しています。そこへ中国漁船が速度を上げて幅寄せのように「みずき」の右舷後方に衝突してきました。離れたところから撮影している僚船の甲板上では、最初衝突に気づかなかったようです。これは、停船を命じて横づけするときのルーティンだったからでしょう。

    ●「よなくに」の場合はわずかに微妙

    よなくに 
    「よなくに」への衝突

    それに、先立つ10時16分の巡視船「よなくに」との衝突はこれに比べるとわずかながら微妙です。中国漁船の右舷を距離を置いて並航していた「よなくに」は、漁船の左舷に回り込もうとして、漁船の前方を横切るかたちで右から左に回り込みます。回り込み終わる直前に、漁船は減速回避するどころか、「よなくに」に向かい左に舵を切った上に、速度を上げて「よなくに」の後尾右舷に衝突してきました。しかし、「漁船の航路を妨害した」との中国側の言い分も微妙に成り立ちうるという感じです。

    ●ビデオ流出で事態はかえって複雑に?

    ただ、いずれの場合も中国漁船は回避のそぶりもなく、むしろ速度を上げています。強い故意が感じられるところです。今回流出したビデオは40数分です。衆院予算委員会の理事が視聴した7分版も含めて、なお全体像がよくわかりません。また、流出ビデオによっても、日中双方は、「自分の見たいものしか見ない」選択的認知に走っています。これについては「海鴎日記」が詳しく書いています。とくにネット上で流布している「中国側が海上保安官をモリで突いた」という憶測が事実なのか否か。まだ、なぞの部分はあります。やはり、早い時期に公開しなかったことによって、事態はかえって複雑になったのかもしれません。

    ●中立的な欧米メディア

    CNN.jpg 

    このビデオは世界中をかけめぐりました。ReutersもCNNもBBCもこのビデオを流しています。海外のメディアは、「尖閣諸島をめぐって日中両国間に領有権をめぐる争いがある」ということを自明の環境として報じています。その点では、「日本の領土であることは疑いのない事実」という日本政府の主張は、国際社会には受け入れられていません。

    ●「collision」か「ram」か?

    一方で、「衝突」そのものについては微妙です。日本のメディアは「衝突」という言葉を使っていますが、英語メディアを見ると「collision」と「ram」という言葉が混在しています。「collision」は日本語の「衝突」と同義で、どちらに意図があったかは明らかにしない中立的な言葉です。

    ●「ram」は故意を示唆

    オリンピア wikipedia
    古代のガレー船 船首の角が衝角

    一方、「ram」は古代のガレー船以来攻撃用の武器として船の船首水面下につくられた 「衝角」です。映画「ベン・ハー」を見たことのある方は、ベン・ハーがローマの提督を救うことになる海戦シーンを思い出してください。「ram」の語源は「雄羊」です。発情期の雄羊は角でライバルと戦いまます。その意味では「ram」は「突っかかる」と訳すのが適当です。巡視船2隻が「突っかかられた」のは舷側です。舷側には
    「ram」はありませんから、「ram」という言葉を使うメディアは、漁船側の故意を強く示唆しているわけです。


    衝角wikipedia

    衝角による攻撃の模式図

    ●日中の対立はコンテクストの対立

    以上のように、国際社会の受け止め方は、日本にも、中国にも味方していません。主権がらみの衝突でなければ、海難審判で決着をつけることが可能ですが、海難審判の場合に判断の基礎となる「現場の状況」よりも、6日未明アップロードの私のブログ「権利の上に眠るもの 尖閣ビデオ流出に思う」で書いたように、中国側は「現場は中国の領海」ということを出発点にしていますから、そのコンテクストでは、「現場の状況」も中国のネット世論の受け止め方を裏書きするものになってしまいます。

    尖閣諸島の領有権を守る気が政府にあるのなら、対中国外交と国際社会への働きかけをビデオが流出したことを出発点とするものに早急に再構築しなければならないでしょう。








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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
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