しぼみゆく?日本 - 2010.10.08 Fri
ノーベル化学賞が日本人研究者2人に授与されることが決まったニュースは、小惑星探査船「はやぶさ」の帰還以来のうれしいニュースです。30年前のお2人の業績が現在の私たちの生活にこれほど役立っていることを知るにつれ、感謝の気持ちがわいてきます。蓮舫さんは、さぞきまりが悪いでしょう。
●ノーベル賞は繁栄ニッポンの残照か?
しかし、30年前の業績ということには、少しばかりの不安を覚えます。ノーベル賞委員会は、30年たってお2人のかつての業績への評価が定着したから表彰するのであって、現在の日本の研究レベルを表彰してはいないからです。
ノーベル賞メダル
夜空を眺めていて、ときどき思うことがあります。何万光年も離れた星の光は何万年もかけて地球に届いて、いま私たちが見ることができるのですが、ひょっとしたら、その星はすでに存在しないかもしれないのです。
「30年前の業績」と聞いて思うのは、いま日本で行われている研究開発が30年後のノーベル賞に相当するだろうか? ということです。そうであることを望むのですが、最近、しぼみつつある日本を感じさせるニュースが目立ちます。
●しぼみつつある日本
韓国が欧州連合(EU)との間で、相互に輸入関税の大半を撤廃する自由貿易協定(FTA)に正式に署名しました。日本が非効率な産業分野の保護に血道を上げている間に、ほかの国々は着々と手を打っています。日本の製造業が圧倒的優位を保っているならともかく、世界一の電子機器メーカーはサムスンです。韓国/EUのFTAによって、EU相手の貿易は大幅に韓国に奪われるでしょう。
エクソンモービルのessoガソリンスタンド
MASA
そこで、もうひつ気になるのは米石油メジャーのエクソンモービルの日本での小売り事業からの段階的撤退というニュースでした。同社は誤報であると否定しました。しかし、背景とされた「需要の減退」は現実です。もし、これが日本の化石燃料依存が劇的に減少した結果なら大歓迎ですが、そうでもありません。次第に日本の内需が減少していくことは見透かされはじめました。日本企業の星・ユニクロの売り上げも減少しています。
1980年代の日米貿易摩擦以来、「外需より内需」というのが、日本での決まり文句でした。前川レポートというのもありました。しかし、これからの日本は本当に内需立国が可能でしょうか? 実は、西欧諸国や中国、韓国と比べると日本のGDP(国内総生産)は、はるかに内需依存であったという数字があります。おまけに、少子高齢化の傾向はそう簡単には変わりません。
●きのうと同じことを同じようにやって、豊かさを維持できるか?
むしろ、外需を伸ばさなければならないのに、日本は非能率な産業分野を温存する時代逆行の政策をとっています。民主党政権になってその傾向はさらに強まっています。7日には大畠章宏・経済産業大臣が、大規模小売り店舗の規制強化に言及しました。中心街のシャッター通りはなげかわしいことですが、郊外の大規模店舗は現代の消費者のニーズに合っているから伸びているのです。「大畠さんて、どういう人?」と調べてみたら、大企業労組の専従出身でした。「なるほどね」という感じです。
大畠章宏経済産業相
民主党HPから
きのうまでやってきたことをそのままやって、きのうまでと同じように豊かに、安心して暮らせるならば、それはけっこうなことです。でも、歴史はそうではないことを示しています。日本だって、かつての先進国を追い越してきたのですから、追い越されるのを非難することはできません。
菅直人首相は「雇用」「雇用」「雇用」といっています。しかし、「雇用対策」で経済が立ち直るというのは呪術のような経済観です。ハローワークの職員を百万人にしたら、失業がなくなり、経済が立ち直るとでもいうのでしょうか。
●ノーベル賞は繁栄ニッポンの残照か?
しかし、30年前の業績ということには、少しばかりの不安を覚えます。ノーベル賞委員会は、30年たってお2人のかつての業績への評価が定着したから表彰するのであって、現在の日本の研究レベルを表彰してはいないからです。
ノーベル賞メダル
夜空を眺めていて、ときどき思うことがあります。何万光年も離れた星の光は何万年もかけて地球に届いて、いま私たちが見ることができるのですが、ひょっとしたら、その星はすでに存在しないかもしれないのです。
「30年前の業績」と聞いて思うのは、いま日本で行われている研究開発が30年後のノーベル賞に相当するだろうか? ということです。そうであることを望むのですが、最近、しぼみつつある日本を感じさせるニュースが目立ちます。
●しぼみつつある日本
韓国が欧州連合(EU)との間で、相互に輸入関税の大半を撤廃する自由貿易協定(FTA)に正式に署名しました。日本が非効率な産業分野の保護に血道を上げている間に、ほかの国々は着々と手を打っています。日本の製造業が圧倒的優位を保っているならともかく、世界一の電子機器メーカーはサムスンです。韓国/EUのFTAによって、EU相手の貿易は大幅に韓国に奪われるでしょう。
エクソンモービルのessoガソリンスタンド
MASA
そこで、もうひつ気になるのは米石油メジャーのエクソンモービルの日本での小売り事業からの段階的撤退というニュースでした。同社は誤報であると否定しました。しかし、背景とされた「需要の減退」は現実です。もし、これが日本の化石燃料依存が劇的に減少した結果なら大歓迎ですが、そうでもありません。次第に日本の内需が減少していくことは見透かされはじめました。日本企業の星・ユニクロの売り上げも減少しています。
1980年代の日米貿易摩擦以来、「外需より内需」というのが、日本での決まり文句でした。前川レポートというのもありました。しかし、これからの日本は本当に内需立国が可能でしょうか? 実は、西欧諸国や中国、韓国と比べると日本のGDP(国内総生産)は、はるかに内需依存であったという数字があります。おまけに、少子高齢化の傾向はそう簡単には変わりません。
●きのうと同じことを同じようにやって、豊かさを維持できるか?
むしろ、外需を伸ばさなければならないのに、日本は非能率な産業分野を温存する時代逆行の政策をとっています。民主党政権になってその傾向はさらに強まっています。7日には大畠章宏・経済産業大臣が、大規模小売り店舗の規制強化に言及しました。中心街のシャッター通りはなげかわしいことですが、郊外の大規模店舗は現代の消費者のニーズに合っているから伸びているのです。「大畠さんて、どういう人?」と調べてみたら、大企業労組の専従出身でした。「なるほどね」という感じです。
大畠章宏経済産業相
民主党HPから
きのうまでやってきたことをそのままやって、きのうまでと同じように豊かに、安心して暮らせるならば、それはけっこうなことです。でも、歴史はそうではないことを示しています。日本だって、かつての先進国を追い越してきたのですから、追い越されるのを非難することはできません。
菅直人首相は「雇用」「雇用」「雇用」といっています。しかし、「雇用対策」で経済が立ち直るというのは呪術のような経済観です。ハローワークの職員を百万人にしたら、失業がなくなり、経済が立ち直るとでもいうのでしょうか。
スポンサーサイト