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    test - 2016.05.17 Tue

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    三宅久之さん逝く - 2012.11.15 Thu

      政治評論家の三宅久之さんが15日、東京都内の病院で死去しました。82歳でした。報道によると、15日にご自宅で倒れ、収容された病院でそのまま亡くなったということです。いかにも三宅さんらしい、カラリとした逝き方です。
     ことし3月末をもって、「ビートたけしのTVタックル」はじめ、TV出演はじめすべての評論活動から引退されて7ヶ月余。日本記者クラブなどでときどきお目にかかりました。そのときはお元気だったのですが・・・
     亡くなられたのは、16日の衆議院解散の前日。今回の総選挙は、最終的に55年体制を清算する選挙になりそうです。55年体制の日本政治に精通していた三宅さんが、その選挙の結果と日本政治の転換を見られないのは残念です。三宅さんは個人的には、安倍晋三自民党総裁が首相に再任されることを後押ししておられたようですが、これも見ることなく、幽明境を異にされました。
     合掌

    このぬるさは危うい 日本大使公用車襲撃事件 - 2012.08.28 Tue

     北京で27日、丹羽宇一郎駐中国大使が乗った公用車が襲われ、車につけた日本国旗が強奪された事件が起きました。尖閣諸島をめぐる日中緊張を反映した事件ですが、日本側の反応がいささかぬるいように感じます。
     
     日本政府は厳重な抗議を行いました。第三国であるアメリカ国務省でさえ、ただちに重大な懸念を表明したのに、その「厳重さ」には、なにやら微温的な感じがします。一方、28日の朝刊では、朝日新聞が1面サブトップ、日本経済新聞に至っては1面ではありますが、真ん中の3段見出し程度の扱いです。
     
     私は、この事件に怒り狂うべきだといっているのではありません。大使の車への襲撃が外交上極めて重大な主権に対する侵害であることを、外交慣例に照らした実物大のものとしてとらえるべきだと考えます。それに比べると、政府の態度や朝日、日経の反応は、事態を矮小化するものです。日中間の緊張は今後も、その速度はわかりませんが、エスカレートしていくでしょう。いま、実物大の扱いをしておかないと、相手を増長させ、つけ入られる危険があります。また、エスカレーションの一定段階で、日本の世論が「切れる」ことも懸念されます。国際社会が感じている日本人の国民性=「礼儀正しく我慢強いが、日本人にしかわからないある一定の限度を超えると、理解不能な反応が暴発する」おそれを感じます。
     
     大使公用車襲撃事件について、排除すべき反応をあげます。ひとつは、「国旗といったって、しょせんモノじゃないか。ここはひとつ大人の対応で」というものです。朝日、日経の反応には、この種の匂いがします。29日朝刊の社説が注目されます。いまひとつは「やはり中国は話にならない。一発目にモノ見せてやらなくてはならない」というものです。しかし、この「目にモノ」がどのようなものかわからないのが多くの場合です。そこで、ただただ怒りを溜め込んでいくのは、好ましくない「暴発」のエネルギーになっていってしまうからです。まして、「丹羽大使は媚中的だからいい気味だ」などというのは論外中の論外です。

    国旗 
     
     公用車襲撃とはどのような意味をもつのか、それを正当に理解する必要があります。大使=特命全権大使は、ある国が相手国に派遣する外交使節団の長で、最上級の階級にあります。相手国の元首に対して派遣されますから、その地位は日本国民の象徴であり、主権そのものです。大使に対しては「閣下」(excellency)という敬称が用いられます。また、公用車、ましてそれにつけられた国旗も日本国そのものですから、外交慣例や法規で「不可侵」が定められています。
     
     かつて日本が中華人民共和国に対して行ったこの種の侵害事件と比べてみましょう。それは、1958年に長崎市で起きた中華人民共和国国旗の毀損事件。いわゆる「長崎国旗事件」です。くわしくはwikipediaを参照されることをおすすめします。
     
     この事件は、長崎市のデパートで行われた日中友好協会長崎支部主催の「中国切手・切り絵展覧会」会場につるされた五星紅旗(中国の国旗)を右翼青年(28)が引きずり下ろしたものです。中国は怒りました。しかし、旗自体が破れなかったこともあり、犯人は軽犯罪法違反で科料500円の判決を受けました。
     
     当時日本が承認していたのは台湾(中華民国)で、中華人民共和国とは国交がありませんでした。したがって、当時の日本では五星紅旗は刑法で規定された「外国国章」にはあたりません。また、国交のある国のものでも、wikipediaによると、当時の朝日新聞の社説は「保護すべき国旗とはその国を象徴するものとして掲揚される公式の国旗のみを指し、装飾としての万国旗や歓迎用の小旗もしくは私的団体の掲げる旗は含まれない」として、中国の反応が過激すぎると批判したそうです。

    五星紅旗 甘栗 
     
     ところが、中国側の怒りはおさまりません。当時の日本政府ならびに当時の岸信介首相を厳しく批判し、陳毅外相が「日本との貿易を中止する」という声明を出しました。これは口先だけではありませんでした。対中鉄鋼輸出契約が破棄され、中国からの天津甘栗、ウルシなどの輸出がストップされました。「労働者・農民の国」によるこの制裁で、日本の零細な商工業者や労働者が職を失いました。

      長崎国旗事件(1958) 大使公用車襲撃事件(2012)
    対象 五星紅旗(装飾) 日本国旗(公式国章)
    犯行 引きずり下ろし(破損なし) 走行妨害・強奪
    反応 経済制裁(貿易中止) ???


     今回、日本はどう対応すべきでしょうか? それには世論の、事件に対する理解が反映されます。過剰な反応は慎むべきです。かといって、これからの日中間の緊張は「下手に出ていれば、いずれ丸くおさまる」性格のものではありません。適切な対応が望まれます。
     

    売り言葉に買い言葉は避けられたが・・・ 竹島問題にどう対応する - 2012.08.16 Thu

     ことしの終戦の日は、近年になく騒がしい一日でした。尖閣諸島に上陸した中国人とみられるグループが逮捕され、一方では、10日に島根県竹島に上陸した韓国の李明博大統領による天皇陛下についての発言などが日本を騒がせました。
     
     水曜日の15日は、テレビ朝日「モーニングバード!」のコメンテーターの日です。「終戦の日」「韓国」「天皇」は、それぞれ単独であっても、言論の自由が支配する日本でさえなかなかむずかしい課題です。視聴者はさまざまな意見をもっています。多様な意見に配慮しなくてはなりませんし、当たらず触らず、も許されません。
     
     最近日本を騒がせた李大統領の発言は「従軍慰安問題など、日本には過去への反省がない」「日本の国際社会での影響力は昔と同じではない」、そして極めつけが日本国民の統合の象徴への侮辱といえる「痛惜の念などということばひとつ持ってくるなら(韓国へ)来なくてよい」という発言でした。天皇に関する発言については、朝日新聞のソウル特派員が「(李大統領の)国家元首としての品格をも失いかねないほどだ」と抑制的な書き方ではあれ、厳しく批判したほどでした。日本で、強い怒りと反発が出るのは当然のことです。
     
     しかし、私は、李大統領については、「発言」と「行動」を区別すべきだと考えます。「行動」は撤回できませんが、「発言」は撤回、修正できます。李大統領が竹島に上陸してしまった=実効支配の強化はもはや後戻りのできない既成事実です。この事実に対しては、しっかりと毅然とした態度を示さなければならないのは前々回のブログに書いたとおりです。幸い政府は近々にも、国際司法裁判所(ICJ)への提訴に踏み切ると報道されています。これは、正しい一歩です。日本では「竹島は日本の領土」が常識であっても、それを「世界の常識」にする努力を政府とりわけ外務省・日本外交官は怠ってきました。こんどこそ、給料に見合う仕事をしてもらわなくてはなりません。
     
     では、「発言」に対してはどうしたらよいのでしょうか? 私は「モーニングバード!」で、「大人の対応というより紳士的に対応すべきだ」と述べました。日本人を嫌悪させる大統領の発言には挑発の臭いがします。これを機会に反韓国的な(できれば差別的な)不規則発言を日本側から飛び出せば、対外、対内的な宣伝戦を有利に展開できます。「売り言葉に買い言葉」で、竹島上陸という重大な既成事実をうやむやにしてはなりません。
     
     もうひとつ気になっていたのは、韓国側が大統領発言を修正する可能性です。政府による中央の公式のイベントなどでの逃れようのない発言と異なり、今回の天皇に関する発言は地方での小さな集会での発言でした。
     
     案の定、韓国大統領府は「(天皇陛下が)韓国を訪問したがっている」とする李大統領の発言を訂正し、実際は「(天皇陛下が)韓国を訪問したいならば」と仮定の話であったとの修正を加えてきました。そして、代表取材をした韓国人記者の誤報と責任を転嫁しました。(この段落15日の読売新聞WEB報道から)

     この訂正は、日本にとっては意味があまりなくても、国際社会向けの言抜けにはなります。そして、15日の光復節(植民地からの独立を祝う記念日)の公式演説では、李大統領は竹島にも天皇にも触れませんでした。ことばでの挑発や攻撃は日本の極めて強い反発を招くことを学習したからでしょう。読売新聞によると、韓国大統領府高官は、竹島に触れなかったのは、「既に(上陸という)行動で立場を表明したからだ」としているそうです。一連の言動、行動で、韓国は実効支配の強化という一番大事な目的を達成しました。

     それでも、日本側の韓国への対応は、当面一応及第点といえるでしょう。政府は竹島についても、天皇に対する妄言についても抗議し、慰安婦問題についても日韓基本条約で解決済みという態度を変えていません。また、ことばによる非難、挑発に反応し、かえって乗じられる「売り言葉に買い言葉」という愚は犯してはいません。でも、肝心の「行動」=大統領の竹島上陸という既成事実に対しては、有効な手は打てていません。逆に韓国側はこのへんをしっかり学習したようです。韓国海兵隊が来月竹島で上陸訓練を行うと報道されています。

     加速度的に竹島への実効支配を強めてくる韓国に、どう対応すべきでしょうか。自衛隊を使うというのは論外だけでなく、国際的、国内的に巨大なマイナス効果を生みます。その点、藤村修官房長官が15日の会見で言及した「日韓通貨スワップ協定(2005年締結)」の見直しは、いわばソフトパワーによる対抗措置といえます。これは通貨危機などの緊急時に外貨を融通し合うもので、1990年代に深刻な通貨危機に陥り、現在でも、ウォンが必ずしも盤石の通貨になりえていない韓国に対しては、有効でしょう。
     
     いまひとつは、李明博大統領自身がヒントを提供してくれています。「日本の国際社会での影響力は昔と同じではない」という発言です。その発言の裏には、いまだ成熟国家とはいえない韓国が日本より厳しい少子高齢化に直面していくあせりがうかがわれます。やがて韓国の国力も衰えていけば、長期的には竹島の帰属だってどうなるかわからないのです。これを克服していく韓国政治の指導力回復のためにこそ、李大統領は「反日カード」を切ったのでしょう。「李明博は親日のはずだったのに」などといっている日本の「親韓」政治家は愚かとしかいいようがありません。親日的姿勢であれ、反日的姿勢であれ、韓国の政治家は「韓国民のために」その姿勢を決めます。これは敵ながらあっぱれといえます。

     それはそれとして、日本に十分な国力があったのは「昔の話」だという李大統領の指摘は的確です。われわれは、日本の長期的衰退こそが、中国、ロシア、韓国に領土問題でのやりたい放題を許しているという現実を直視して、国力の回復にカジを切るべきです。たとえば、日中韓自由貿易協定(FTA)よりも、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を優先させる。財政を再建する。労働市場を改革して産業構造を高度化する。社会保障、社会福祉をスリム化、効率化して、豊かな人も貧しい人も働くことが正しく評価される社会に戻すことなどです。迂遠ですが、平和国家日本が外の侮りをはねのける王道だと私は考えます。幸い、野田佳彦首相は、そうした指向の政治家です。


     
     
     
     
     
      

    民主党議員は国会に立てこもるのか? - 2012.08.14 Tue

     読売新聞が14日公表した全国世論調査(11、12日実施)で、橋下徹大阪市長が代表を務める地域政党「大阪維新の会」が、次期衆院比例選の投票先で民主党を上回る「第2党」となりました。総選挙が行われた場合、民主党の大敗はすでに既定のこととみられていましたが、自民党だけでなく、「大阪維新の会」の後塵をも拝するとなると、前回総選挙での自民党よりもさらにみじめな状態になります。四面楚歌の中で、民主党議員たちは、さらに総選挙引き伸ばしや、野田おろしに走りそうだと報じられています。
     
     「またか」とうんざりする向きが多いと思いますが、総選挙引き伸ばしや野田おろしに動けば、その結果は重大です。総選挙を引き伸ばせば、自民、公明両党の協力はもう得られません。また、野田おろしに成功したところで、民主党政権4人目の首相は事実上何もできない首相になります。また、野田おろしが失敗したところで、野田首相の指導力はさらに低下します。
     
     いま現在では、現職国会議員のいない「大阪維新の会」は政党要件をみたさず、比例区と選挙区の重複立候補ができないなど、「第2党」の効果はそのまま議席数に反映しませんが、民主党、自民党、みんなの党の国会議員の中に「維新の会」との合流を策す者が出てきています。そうなれば、「大阪維新の会」の勢いはさらに増すでしょう。
     
     脱走者が次々と出る中での、総選挙引き伸ばしや野田おろしの唯一の成果は、総選挙が行われれば落選確実の議員たちの「束の間の延命」です。そして、これを国民の側からみれば、国民を人質に、日本再生を踏みにじりつつ、国会に立てこもろうとするのが民主党ということになってしまいます。
     
     民主党議員たちにとっては、議員バッジを自分がつけていることが大事かもしれませんが、国民から見れば、議員バッジとは、日本再生を託せる人につけてもらうものです。
     
     総選挙引き伸ばしや、野田おろしに動こうとしている民主党議員たちには、そろそろ観念してほしいものです。読売新聞の世論調査は、それを告げています。さもないと彼らは政治家としての生命さえ絶たれるコースに追い込まれかねません。第三党に転落することを覚悟して、そこから出直すのが民主党再生の道です。
     
     予測される最悪の手詰まりに終止符を打つ薬はもはや解散総選挙しかありません。行き詰まったときには、民意を問うこと=選挙、が議会制民主主主義のイロハのイです。「社会保障と税の一体改革法」を成立させるにあたっての民自公三党合意である「近いうちに民意を問う」をすみやかに行うべきです。野田首相がなお逡巡するなら、野田首相も立てこもりの一味になってしまいます。政治家野田佳彦としても、いまが国民に信頼される政治家として将来に向かって生き残れるかどうかの瀬戸際でしょう。







     




    引かれ者の小唄はやめよう 竹島問題 - 2012.08.12 Sun

     バブル崩壊後の「失われた20年」。日本人が内向きになっている間に、四海は波立っています。8月10日、韓国の李明博大統領が竹島に上陸した事件は、あらためて、内向き指向に警告を発しています。
     
     この事件に対する日本の評価にはいささか問題があります。日本政府、マスコミ総じての見解は、「親日派のはずの」李大統領が強硬姿勢に転じたのは「内政上の要請」によるというものです。曰く、経済重視の大統領の4年余の間に拡大した格差へのうらみが高まっている。実兄の汚職関与もあり、任期切れの李大統領が愛国主義をかきたてることによって、支持を回復しようとしているのだ。などなど。
     
     韓国の内情はそうかもしれません。しかし、それはあくまで他国の事情です。日本にとって重大なのは、韓国が実力によって占拠している竹島への実効支配をまた一歩進めたということです。そして、李大統領の支持がそれによって回復しようと、ことし暮れの大統領選挙で新しい大統領が決まろうと、さらには、韓国内の経済格差が解消したとしても、韓国が、8月10日に進めた一歩から後戻りすることはありえないのです。
     
     それなのに、「韓国内政上の理由」をいいたてるのは、実効支配をまた一歩強めたという事実を矮小化し、みずから目を塞ぐものでしかありえません。引かれ者の小唄にすぎないのです。一方、「あれは、韓国の内政上の理由だ」と指摘するのは百害あって一利なしです。客観的に見て、それが真実かどうかは極めて疑わしいのですが、韓国は「竹島の確保」を「歴史に照らした正義」と思い詰めています。「正義」を思いつめる人に、「それはお宅の家庭の事情でしょ」などというのは、かえって相手を硬化させることになるからです。
     
     竹島問題は、韓国による重大な主権侵害、領土紛争として扱わなくてはなりません。さすがに、日本政府は今回ばかりは「毅然とした態度」をとることを表明、国際司法裁判所(ICJ)への提訴や、駐韓大使の召喚、APECでの日韓首脳会議の拒否などを検討しています。しかし、韓国がICJ提訴には応じないことを表明していることから、悲観論が先行しそうな形勢です。
     
     国際紛争を武力によって解決しないことを憲法にうたっている国家としては、国際社会の公正と信義をたのみとすることしか日本のとる道はありません。韓国が拒否しようと、何回でもICJへの提訴を提案しつづける根気が必要です。
     
     そして、何より重要なのは、「日本がICJへ提訴する=国際社会の判断に紛争の平和的解決を委ねる」ことを将来に向かって国際社会に印象づけ続けることです。竹島が軍事力によって占拠されてから、60年もが経過しました。不法な占有でも、被害者が異議を唱えなければ、それが権利として確定してしまうことは、民間人の紛争でも国際紛争でも同じです。
     
     韓国の不法占有を訴える場所はICJだけではありません。国連はじめ、多国間の機構や会議など、あらゆる機会を活用すべきです。とりわけ重要なのは在外使節です。これまで日本の大使や大使館は任地国で、竹島問題を訴えてきたでしょうか。任地国の外務省や政府にあらためて日本の立場を働きかける必要があります。それも、一回だけの子どもの使いであってはなりません。世界中の国々で、何回でも、何回でも訴える必要があります。外交に安全保障を頼る日本としては、絶対に必要なことです。効果がすぐに出なくても、この行動は日本外交にとって問題解決力をつける訓練にもなるのですから。 


    東京スカイツリー - 2012.05.16 Wed

     22日に公式会場する東京スカイツリー。機会があったので、16日に登ってきました。これまでも近くに行ったことはあるのですが、付帯施設が完成してみると、まさに堂々たる威容です。634メートルのタワーをほぼ垂直に見上げる我が姿はまったくのお上りさんです。

    スカイツリー1 

     入場して高さ350メートルの天望デッキへ。いきなり東京タワー(332.6メートル)越えです。東京タワーができたのは1958年。それから半世紀余。スカイツリーはスケールだけでなく、設備、内装ともに豪華なうえにシックです。最近元気がないとはいえ、日本の国力を感じさせます。垂直に地上が見通せるガラスの床では、安全とはわかっていても、ガラスの上に足を踏み入れるのに、みなさんすこし躊躇します。

    ガラス床 
    ガラスの床に座って。残念ながら地上にはピントがあいませんでした

     さらに、450メートルの天望回廊へ。エレベーターを降りてゆるやかな回廊を登るしつらえは、なかなかの配慮です。隅田川が蛇行するすがた。遠く東京湾を越えて見える千葉県市原や五井の工業地帯。東京が一望のもとに見渡せます。東京タワーが小さく、低く見えます。

    スカイツリー2 
    天望デッキで

     浅草寺や上野公園以外に、スケールの大きなアトラクションの少ない下町に出現したスカイツリーは、さまざまなショップとレストランを備えているだけでなく、浅草という観光名所とのシナジー効果が期待できそうです。東武鉄道というどちらかというと地味な企業がつくった世紀の新名所が、東京下町に新たな魅力を付け加えました。周辺、そして東京、日本の商売繁盛を祈ります。


     

    三宅久之さん引退 - 2012.03.31 Sat

    きょうは、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」の収録でした。特別の日です。約10年、この番組の看板の一人だった政治評論家の三宅久之さん(82)の引退スペシャルだったからです。

    三宅さんは新聞記者としての大先輩ですが、私にとっては1985年に、やはりテレビ朝日系列の夕方のニュース「ニュースレーダー」のキャスターになったときの前任者という特別のご縁があります。あいさつにいったとき、「楽しんでおやりなさい」といってくださったのを覚えています。


    収録のとき、阿川佐和子さんに思い出を聞かれ、この話をしたとき、モニターの中で
    三宅さんが温顔で「そうだったね」とうなずいていました。カラリとドライに怒ることのできるじいさん(失礼)。東京都副知事・作家の猪瀬直樹さんは「家長」ということばをつかっていました。

    長い記者生活の経験がきちんと時間軸として蓄積され、高齢になるまで、かならずファクトに基づく話をしておられました。前半の収録に出演したあと、後半の収録をやはり政治評論家の屋山太郎さんと見ていて一致したのは「権力者との個人的関係をひけらかす」評論家ではなかったということでした。

    「ポンスケ」「デコスケ」と歯に衣きせぬ三宅さん。私も「君も政治記者やってたのに、よくそんなばかなことがいえるね」としかられたことがありますが、まったくいやな感じではありませんでした。私ももうじいさんですが、三宅さんのようなじいさんと一緒に仕事ができなくなるのはとてもさびしいです。

    オンエアは4月2日午後7時から「ビートたけしのTVタックル3時間スペシャル」(テレビ朝日)です。
     

    1年遅れの卒業式 - 2012.03.24 Sat

     きょうは法政大学の学位授与式(卒業式)でした。法政大学は毎年、3月24日に日本武道館で卒業式を行います。卒業式に出席した学生たちは歩いて市ヶ谷の大学キャンパスに戻り、そこで学科ごとに学位記を授与されます。なぜかこの日は毎年雨が多く、和服に袴の女子学生たちはけっこう難渋するのです。ことしも雨がうらめしい卒業式でした。

     私は日本武道館には行かず、私が指導教員を務めた韓国人女子学生の修士学位記授与に立会いました。中国人の女子学生も和服、袴姿なのが印象的でした。韓国人女子学生は国に帰って仕事をさがすそうです。そのあと法学部国際政治学科の学士学位記授与に立会いました。ゼミの学生たちの顔を一堂に見られる最後の機会です。学生たちも社会に巣立つ前のひとときを同級生と楽しんでいました。

     すると、去年卒業したはずのS君がそばに立っていました。S君は私のゼミではありませんでしたが、講義のあとキャンパスを一緒に歩きながらいろいろ質問する熱心な学生です。きいてみると、卒業式に参加したのだそうです。彼らの卒業式は東日本大震災と原発事故のあおりで中止になりました。同級生たちと別れを惜しむ余裕もなく社会に巣立っていった学生たちを招いたのは「大学総長の味な計らいです」(S君)とうれしそうでした。

     それだけではありません。「社会に出て1年たってからの卒業式は感動的でした。社会人生活を経験したおかげで、ふつうに4年生の3月に卒業するよりも、きょうは1年前までの学生生活をより深く思い返すことができましたし、社会に出たということの意味もよくかみしめることができました」とS君はいいます。

     ほかにも、一回りも二回りもスケールの大きくなった1年前の卒業生の顔がありました。そして何よりうれしそうだったのは、ことしの卒業生たちでした。私のゼミ生たちは、大好きだったゼミの先輩たちと一緒に卒業を祝えるという稀有な機会に恵まれました。昨日は後輩たちによる追い出しコンパで私もみんなと大騒ぎして、いささか疲れていたのですが、すばらしい卒業式に立ち会えた満足感でその疲れもどこかにいってしまいました。彼らのこれからの幸福を祈ります。
     

    民主党抗争はチキンゲームに - 2012.03.18 Sun

      動きのとれなかった政治がやっと動きそうです。2月25日の野田佳彦総理と谷垣禎一自民党総裁の秘密会談に続いて、岡田克也副総理が3月に入っての自民党幹部との接触で、「大連立」を持ちかけたというニュースが明らかになったためです。与野党すくみあい、与党内すくみあいで、凍りついたような政治に方向が見えてくるかもしれません。

    読売新聞が伝えるところでは、民主党の小沢一郎元代表グループは「大連立は『小沢切り』が目的だ」(幹部)と反発を強めているそうです。野田・谷垣会談が明るみに出たときに、いち早く反応したのは小沢氏本人で、「不快感」を表明したとのことです。

     小沢さんと、その支持グループの反応は妥当なものでしょう。野田総理が国会で「(小泉純一郎元総理のように)抵抗勢力を作って物事を進める手法はとりたくない」といいつくろっても、岡田副総理が「私は誰といつ会ったとか、どんな話をしたのかまったく言わないことにしている」と大連立話をぼかしてみせても、この二人のベクトルは「小沢一郎という政治家との最終対決」に向かっているからです。

     昨年末からことしにかけて目立ったのは小沢一郎氏の動きでした。政治資金規正法違反事件の裁判の形成が徐々に有利に展開してきたのを受けて小沢氏は動き始めました。ことし9月の代表選で復権し、みずからが総理にならなくても政治の実権を奪取するために小沢氏にとってどうしても必要なことは、衆議院での民主党の圧倒的多数を守ることです。豪腕小沢といえども、いまや手負いの身です。小沢マジックも色あせてきました。民主党と自民党を足して二で割って小沢新党をつくる力はもはやないのです。

     解散総選挙をやられたら目もあてられません。前回総選挙で大量当選した小沢チルドレンはじめとする水ぶくれ民主党議員は、マニフェストのうそが露呈し、尖閣、沖縄、東日本大震災で醜態をさらしてしまったことで、選挙区を歩けば罵声を浴びる体たらくです。次回の総選挙で再び国会に戻って来られるのは何人ぐらいでしょうか? そうなると、とにかく解散総選挙をさせないことが議員バッジを守る道です。そこで、小沢元代表と利害が一致します。大義名分は「前回総選挙での民主党の約束を守る」ことと増税反対です。マニフェストをあくまで実行すると叫んでみても、もはやあまり信用したり、期待したりする人はあまりいません。効果があるのは「増税反対」です。社会保障と税の一体改革という苦い薬を飲まされる時期が迫れば、迫るほど、「増税反対」の旗印は有効です。何より、野田総理の党内基盤を不安定にしておけば、解散総選挙回避という時間かせぎができるからです。先週末からの消費税増税関連法案の閣議決定に向けた民主党の合同会議は、小沢グループにとっては、その主戦場です。

     いまのところ、自民党に野田総理が持ちかけたという「話し合い解散」も岡田副総理が持ちかけたという「大連立」にしても、自民党は乗り気ではありません。野田総理、福田総理の真意にまだ疑いを持っているからですし、この局面で、大連立や話し合い解散に乗っても与野党の対立軸がぼけるだけで、選挙に不利との計算があるからです。

     これに対して、民主党内への影響は小さくありません。「敵」であるはずの自民党に対して政権主流が持ちかけた「大連立」「話し合い解散」は法案成立のためというより、小沢氏、小沢グループの生命線である「増税させずに時間かせぎ」の戦略を破壊するものだからです。それだけではありません。岡田氏は10日のテレビで、消費増税に反対している小沢氏について「世論とか野党の状況いかんだ」と述べ、賛成に転じる可能性があるとの見方を示しました。しかし、仮に岡田氏のいうように小沢氏が前言を翻して小沢氏自身のための時間稼ぎに成功したとしても、小沢氏に付き従っている議員たちにとっての打撃は致命的かもしれません。小沢氏はこの20年間、政治的主張を変えてきても生き残る政治的パワーがありましたし、増税問題については、この間もことばを選んできました。しかし、「増税をつぶす」と正面から公言してしまった小沢グループの議員たちが選挙区でどのような反応に会うのかは想像に難くないからです。そうなれば、彼らが小沢氏の統制に従い続けるかどうかも注目されます。その意味で、野田+岡田の仕掛けはなかなかの破壊力を持つ可能性があるといえそうです。民主党内の抗争はいよいよ最終的なチキンゲームに発展しそうです。負けるのはブレた方でしょう。

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     はぎたに じゅん

    Author: はぎたに じゅん
    TVコメンテーター
    法政大学法学部教授
    元朝日新聞編集委員
     政治記者、カイロ、ウィーン
     ボン特派員などを歴任
    出演番組
     スーパーJチャンネル(金)
     モーニングバード!(水)
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